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    銀河農耕伝説(リレー小説)/第五回

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    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    ポールさん→自分→矢端想さん→ポールさん、と来て、また僕の番です。

    と言うわけで、どーん。(cでしたっけrでしたっけ)

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      5

    「なっ、……なんと間の悪い!」
     青ざめていた顔をほころばせていた教授は、またも愕然とした顔になった。
    「解除はできないのかね!?」
    「ダメです! 一度起動させたら、電子的な解除は不可能とのことです!」
    「電子的なって、どういうこと?」
    「あ、えーと、……聞いてみます!」
     メリッサは再度、管制室と連絡を取る。
    「教授、テロリストはその場で拘束されたそうです」
    「そんなことはどうでもいい! 肝心なのは、解除方法じゃろうが!」
    「あっ、そうでした。……ええと、物理的には解除方法は無くもない、とのことなんですが」
    「無くもない?」
    「焼却の方法なんですが、まず、区画内にはテル・エタノール、通称『TE燃料』を流すためのパイプが張り巡らされているそうなんです」
    「テル・エタノール? ……って、鋼鉄を2分で個体の状態から沸騰させるって言う、あの高々火力燃料?」
    「らしいわ。
     そのTE燃料は、最大級システムが発令されると、パイプ各所にある噴出口からシャワー状に流され、区画内に撒かれる。
     そして撒かれて揮発し、区画全域に発火可能な状態にまで充満したと、各所の濃度計が判断した後、その濃度計から放電され……」
    「一気に火が付き爆発、……というわけか」
     話しているうちに、三人の鼻腔には、ガムから発せられるハニートーストの香りとは違う、粘つくようなアルコール臭が、わずかながらも流れ込んできた。
    「一度撒かれてしまえば、制御不能となるわけか。
     換気システムや、実験用のドラフトで、TE燃料を外へ排出することは……?」
    「準最大級、および最大級システム発動中は、作動しないようになっているわ」
    「では、濃度計を止めるか、その放電を……」
    「この区画内には、10基備え付けられているそうです。
     5分ですべてを解除することは、物理的に不可能です」
     メリッサの返答に、教授とジローは黙り込んだ。
    「……は、はは」
     間を置いて、ジローが力なく笑い出した。
    「TE燃料で焼かれれば、骨も残らないだろうな。まさか、こんな死に方をするなんて……」
    「あ、諦めてはいかん! まだ何か、方法が……」
     教授の言葉も、ジローの耳には入らない。
    「あるって言うんですか!? TE燃料の噴出は止められない! 濃度計も止められない!
     もう僕たちには、最後の晩餐としてガムを噛むくらいしか、できることは無いんですよ!?」
     泣き叫ぶジローに、教授は閉口しかけた。

     だが――教授はまたも、その表情をガラッと変えた。
    「ガム? ……ガムか!」
     教授はがばっ、とジローの肩をつかみ、その閃きを口早に伝えた。
    「ガムを使うのだ! 口に含んですぐ、というあの変化速度であれば、恐らく間に合う!」
    「え?」
    「よいかジローくん、メリッサくん。TE燃料、即ちテル・エタノールの主成分は、CHO基だ」
    「CHO……、アルコール類ですね」
    「そうだ! そしてこのガムに生きておるコウジカビは、味覚を変えるという、一つの指向性を持っておる!」
    「つ、つまり?」
    「食品の風味、つまり『におい』を変える性質を持っているということだ!
     濃度計はTE燃料の濃度を検出し、起動するようになっておる! ということは、『TE燃料ではない別のアルコール類』の気体が充満したとして、その臭いに反応し、起動すると思うかね?」
    「……あ!」
     聞くが早いか、メリッサは管制室に、TE燃料の収められているタンクの位置を確認する。
     教授はこう言い放ちながら、研究室を飛び出した。
    「コウジカビはまだ相当の量を、低温室に保管しておる! ジローくん、来てくれ!」
    「はっ、はい!」
     走り出した教授とジローの後ろから、メリッサも駆けてきた。
    「タンク、場所が分かりました! わたしも取りに行きます!」
    「うむ、急ぐのだ!」
     三人はうっすらとアルコール臭が漂い始めた研究所内を、勢いよく駆け抜けた。
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