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黄輪雑貨本店 新館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

    「あらすじ」紹介ページ

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    • はじめてこのブログに来たので何から読んでいいかよく分かりません!」と言う方へ。
      当ブログ最大量の長編小説、「双月千年世界」へは、こちらのページから各目次へ飛ぶことができます。
      その他の小説については、一度トップページに戻ってから、右の方にある目次を選んで下さい。

    • 目次は連載順に表示されています。「何が何だか分からないけどとりあえず最初から読んでみたい!」と言う方は、
      一番上の「蒼天剣」から読んでいくことをおすすめします。

    • 久々に来たけどどんな話かすっかり忘れた!」と言う方、
      ざっくり説明聞いてから本編を読んでみたい……」と言う方のために、各部にあらすじを設けています。
      各部(『第1部』とか『第2部』とか)にあらすじへのリンクを張っているので、そこから見てみて下さい。


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    緑綺星 目次

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「緑綺星」地図(作成中……)

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    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝(2019年版)
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    緑綺星・狼嬢譚
    1 2 3 4
    緑綺星・闇騎譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・嘘義譚
    1 2 3 4 5 6 7
    緑綺星・友逅譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・奇襲譚
    1 2 3 4 5 6 7 8
    緑綺星・宿命譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9

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    第1部;猫報譚~白闇譚
    第2部;狼嬢譚~宿命譚

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    同じこと考えてそーだよね

    今日の旅岡さん

    もういくつ寝ると年末、と言う頃。
    街は緑と赤に彩られ、もうすぐやって来る大イベントに備え始めている。
    そんな最中、旅岡さんと大江さん、富士見さんは円さんのクルマに乗って、
    駅近くのショッピングモールに来ていた。

    円「ほな、ウチは駐車してくるから先に本屋行っといてなー」
    みんな「はーい」

    エレベータホール前で降ろされ、そのまま乗り込んだところで、
    旅岡さんが「なあなあ」と口を開いた。



    旅岡「今年のクリスマス、おねえにサプライズプレゼントしよかな思てるんよ」
    大江「いいじゃん。なんだかんだ色々お世話になってるもんね」
    富士見「でも紅ちゃんがそう考えるってことは、円さんも同じこと考えてそーだよね。似た者同士だし」
    旅岡・大江「……ありうる」



    なお富士見さんの予測は当たっていた。

    円「合流する前にしれっとナイショでプレゼント買うといたろーっと」

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    2022年12月携帯待受

    携帯待受

    Porsche Carrera(992L30)

    Porsche Carrera(992L30)

    Porsche Carrera(992L30)  Porsche Carrera(992L30)

    2022年12月の携帯待受。
    ポルシェのフラッグシップカー、911カレラ。

    「世界一の自動車メーカー」と言われたら、あなたは何を挙げますか?
    高級車メーカーとして知られるフェラーリやランボルギーニ、メルセデスでしょうか。
    はたまた売上と組織力のトヨタやGM、ルノー・日産・三菱アライアンスでしょうか。
    候補は色々とあると思います。異論も山のようにあるでしょう。
    しかし本当に1つだけ、これぞ世界一だと言うメーカーを挙げろと言われたら、
    大半の人がポルシェと答えるのではないでしょうか。
    高級車であることもそうですし、売上も(フォルクスワーゲングループとして考えれば)堂々の1位。
    全面的に文句なしの、世界一です。

    その世界一のポルシェが自社の持てる力をすべて注ぎ込んで作った技術と叡智の結晶、
    フラッグシップカーが、かの有名な911カレラです。
    今年の携帯待受は「ドイツ車シリーズ」と銘打ち、1年にわたってドイツ車を描き続けてきましたが、
    その大トリに据える題材としてはこれ以上ない、いや、これ以外にはありえないでしょう。

    ただ、10年ほど前にヨーロッパツアーを行っていた際には、
    自分の技術と知識の乏しさから、911を描くことを拒否してしまいました。
    だもんでこの10年、微妙に後悔していたのですが、
    今回に至ってようやく描き上げることができ、積年の遺恨を晴らすことができました。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、毎月上旬~中旬頃にtwitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
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    架空ロゴ;「テイル・トゥ・テイル」

    架空ロゴ



    緑綺星」に登場するスマホアプリ、「テイル・トゥ・テイル」のロゴアイコン。
    8世紀の双月世界ではダウンロード数堂々第1位のチャットアプリです。電子決済にも対応。
    現在執筆中の第3部にも登場します。意外なところでちょっと活躍するかも……?

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    チョイチョイってなもんや

    今日の旅岡さん

    今年も虎海家のハロウィンパーティに招待された旅岡さんと大江さん。
    例によって例のごとく、円さんに衣装代をたかりに行ったところ、
    ――やはりいつものように二つ返事で「えーよ」と快諾されはしたのだが――
    なんとなーくイタズラっぽい笑みを浮かべていたことが、ちょっぴり気にかかった。

    そしてパーティの当日。いざ出かけようかとしていた旅岡さんたちの前に、
    クラシカルな'80年代スポーツカーに乗った魔女、いや、円さんが現れた。



    円「ハロウィンパーティ行くんやろ? ウチも一緒に行くで~。準備もカンペキや」

    突然の登場に、旅岡さんたちは面食らった。

    大江「いや、行くでって言われても」
    旅岡「おねえは招待されてへんやん」

    呆れた声を上げた二人に、円さんは数日前と同じ、
    イタズラっぽい笑みを浮かべて返した。

    円「と思うやん?ほーら招待状」

    円さんの言う通り、彼女の手には虎海家の家紋が付いた招待状が握られている。

    旅岡「どこでもろたん?」
    大江「円って、雅ちゃんと面識あったっけ?」
    円「ソコはチョイチョイってなもんや。ウチも仕事の筋で色々ツテがあるし」
    旅岡「おねえは仕事だけはホンマにでけるからなぁ」
    大江「だけはね」
    円「えらい言われよーやな……乗せたらへんで、もぉ」

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    顔アイコン;パラ

    双月千年世界

    うちのキャラの顔アイコン、5人目。
    今回はパラ。




    「前回のランニャ制作時から、133日が経過しております」
    「徒然考察メンバーの顔アイコン完成率は、現時点で83.33%です」
    「本年年末までに全メンバーが揃う可能性は、現時点で1%以下と判別いたします」

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    2022年11月携帯待受

    携帯待受

    Porsche Cayman(982H2)

    Porsche Cayman(982H2)

    Porsche Cayman(982H2)  Porsche Cayman(982H2)

    2022年11月の携帯待受。
    ポルシェのスポーツカー、718ケイマン。

    前回「基本的にどうぶつの名前が付いたクルマの隣にはそのどうぶつを置きます」
    と言った矢先ですが、今回はケイマン(ワニ)ではなく猫です。
    爬虫類もあんまり得手ではないので……。
    その代わりと言ってはなんですが、キャラの服装はケイマン(西インド諸島の方)をイメージした、
    カリブ感あふれるものにしました。背景もなんとなく海っぽい。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
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    架空ロゴ;「セルバージャ・ロッソ」

    架空ロゴ




    架空ロゴシリーズ、アウトドア系ブランド「セルバージャ・ロッソ」。
    上部分の矢印は槍をイメージしたもの
    ハードな山歩きミリタリー級の用途にも耐えられる素材が売り。
    基本的に目一杯ハデな色合いしか揃ってない。何故ならアウトドアグッズだから。

    ※くれぐれもキャンプやハイキング、登山に行く際には、
    地味な色合いのものは着ないようにしましょう。
    ましてや迷彩服なんか、もってのほかです!
    万一遭難した場合、ほぼ確実に見つけてもらえませんので……。

    赤色大好きな猫藤さんが、結構ひいきにしているメーカーでもある。

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    14周年記念イラスト

    双月千年世界



    本日10月6日は当ブログ「黄輪雑貨本店 新館」の開設記念日。
    と言うわけでうちのメインコンテンツ「双月千年世界」各章の代表的ヒロイン兼、
    小説内の設定や世界観を考察するメンバー5人+1人の集合イラストです。

    天狐「なんだ+1って。オレ見切れてるし」
    エリザ「ソコが『+1』なんちゃう?」
    ランニャ「だって天狐ちゃん、どの章でもヒロインじゃないし」
    天狐「くっそー……」
    パラ「とは言え天狐ちゃんは黄輪氏が最も気に入っていると公言しているので、
    何かの折にはメインヒロインに抜擢される可能性は非常に高いでしょう」

    天狐「だといーけどなー」
    シュウ「大丈夫です! きっと! 多分!」
    小鈴「自分が連載中のヒロインだからって図に乗ってんじゃないわよ。
    あんまり暴走するとヘンな目に遭わされるわよ?」

    天狐「今に見てろよー……次回作こそはオレがヒロインになってやるからな!」



    これからも当ブログと、彼女たちの出てくる「双月千年世界」をお楽しみに!

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    業務連絡;復活しました

    雑記

    ご心配をおかけしました。
    個人的に色々ありましたが、復調しています。



















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    お気に召したかしら?

    今日の旅岡さん

    趣味と言うものは、必ずしも周囲の理解を得られるものではない。

    ミリタリーモノが大好きな虎海お嬢様だが、家族からの反応はちょっとひんやりしている。
    両親からは遠回しにやめろと言われているし、妹からはもっとはっきり、
    「そんなお召し物では一緒に外を歩けません」と突き放されている。
    そもそも今の日本、軍事関係にあんまり熱を上げていると、
    変わり者か危険人物扱いされてしまう。
    虎海お嬢様は、そうした意見をおしなべて「偏見と誤解」「正しい理解ではない」と捉えているし、
    無理に理解してもらおうとも思っていない。
    でも同好の士がなかなか得られないのは、ちょっとさみしいのである。

    そんなある日のこと。
    いつものように軍服ワンピースでカッチリ決めて街をご散策されていると、
    通りの向こうからゴシックロリータの雰囲気をにじませた、長耳の女の子が歩いてくる。
    しかしどこか、物足りないような印象も受ける。
    「まだ」「あと一歩」「もう一息」、そんな様子だった。
    そんな彼女のしっくり来ない姿が目に映った瞬間、お嬢様は彼女に声をかけた。

    虎海「あなた……『同志』の匂いを感じますわね」

    突然声をかけられ、横を通り過ぎかけたその娘はくるんと首を回す。

    パラ「わたくしのことでしょうか」
    虎海「ええ。あなたもお好きでしょう?
    様式美と機能美を兼ね備えた、わたくしのような服装が」

    彼女はしばらく無表情で虎海お嬢様を見つめていたが、その仏頂面のまま、やがて口を開いた。

    パラ「否定はいたしません。いいえ、むしろ強く肯定いたします」
    虎海「ではついてらっしゃい」
    パラ「承知しました。わたくしもあなたの服装から
    高い共感性及び信頼性を確認いたしましたため、同行いたします」

    何だか質の悪い翻訳アプリにかけたような話し方のその娘の手を引き、
    虎海お嬢様はお気に入りのお店――ゴシックブランド「シェベル・ザ・ドール」直営店に向かった。



    店に入ったその瞬間――やはり無表情のままではあったが――
    パラの目の色が明らかに変わったのを、お嬢様は感じ取った。

    虎海「お気に召したかしら?」
    パラ「大変魅力的です」

    彼女は若干食い気味に、お嬢様の問いに答えた。
    その反応に、お嬢様はにこっと口角を上げる。

    虎海「色良いお返事ですわね。わたくしも紹介した甲斐があると言うもの。
    良ければ何点か見繕って差し上げますけれど、いかがかしら?」
    パラ「ありがとうございます。あなたに全幅の信頼をお寄せいたします」

    同好の士がなかなか得られないのは、やっぱりちょっとさみしいが――
    得られたその時は、何物にも代えがたい喜びを感じるものである。
    それは虎海お嬢様にとっても、そしてパラにとっても同様だった。

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    そして全身ガッチガチにミリタリー風ファッションで固めて帰って来たパラを見て、
    小鈴が目を丸くした。

    小鈴「アンタ、ドコかに討ち入りでもする気なの?」
    パラ「これはわたくしの趣味です」
    小鈴「……あ、そ」

    他のみんなからもひんやりした反応を返され、
    その日のパラは、ちょっとさみしそうだった。

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    2022年10月携帯待受

    携帯待受

    alt=

    Porsche Macan(95BCNC)

    Porsche Macan(95BCNC)  Porsche Macan(95BCNC)

    2022年10月の携帯待受。
    ポルシェのコンパクトSUV、マカン。

    「マカン」とはインドネシア語で虎を意味する言葉だそうなので、
    隣の大きさ見本キャラも虎にしてみました。
    基本的に車名にどうぶつの名前が使われているなら、
    そのどうぶつを描くようにしています。
    「インパラ」ならインパラを。
    「ラパン」ならうさぎを。
    もちろん「ジャガー」は全部ジャガー

    じゃあ「ビートル」ならカブトムシを描くのか、と?
    昆虫大嫌いだから絶対描きません。あしからず。



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    3DCG習作;シュウ

    習作・汎用

    先週に引き続き、Vroidstudioでオリキャラ制作。
    今回はシュウ。




    昔描いたイラストにかなり近い素材があったので、それをベースに仕立ててみました。


    キャラが大分揃ってきているので、一度集めて撮ってみたいところですが……セット組むのがめんどくさいなぁ……。

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    3DCG習作;橘小鈴(2回目)

    習作・汎用

    Vroidstudioのバージョンアップによりおだんご髪が追加されたので、
    以前に製作した小鈴をリメイクしてみました。

    ちなみにこの髪型、本来はメタバース向け浴衣コレクション「CLCT for SUMMER」として配布されたそうなので、
    浴衣も着せてみました。

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    業務連絡;毎年恒例の所信表明 2022夏

    雑記

    本日は私、黄輪の誕生日です。
    Happy Birthday to me.



    去年は運と体調が悪かったなぁ、本当に。
    まさか貯金が30万以上減るとは思わなかった。
    保険に入っていなければどうなっていたことか。

    今年は無事に家で誕生日を祝えています。ありがたい。



    相変わらずのオーバータスクにより、
    小説の進みがすこぶる遅いですが、コツコツ書いてはいます。
    今年中には「緑綺星」第3部を掲載できると思います。
    イラストについてはようやく描くルーティンが自分の中に構築されてきたらしく、
    土日の2日があれば1枚、2枚は余裕で描けるようになりました。
    あと、ブログではほとんど触れていませんが、ゲーム実況もボチボチと続けています。
    月3~4本と言う遅さではありますが……。

    アラフォーの身でもまだまだ意欲の増加、技術の成長は続いています。
    今後さらに面白いモノ、面白いと思ってもらえるモノを制作できるよう、
    活動はボチボチ続けていくつもりです。
    これからもよろしくお願いします。

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    2022年9月携帯待受

    携帯待受

    VW Polo(AW)

    VW Polo(AW)

    VW Polo(AW)  VW Polo(AW)

    2022年9月の携帯待受。
    フォルクスワーゲンのポロ。

    今回は体調不良により更新が遅れてしまいました。
    夏バテ+連日の寝不足で倒れてしまい、土日が丸潰れに……(´・ω・)

    閑話休題。
    前回も少し触れましたが、VWは「ゴルフ」「シロッコ」「パサート」のように、
    風関係の名前を付けることが多い中、このポロは馬術競技のポロが由来。
    それを除けばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトの、
    コンパクトにまとまったハッチバックと言う、
    まさに「フォルクスワーゲン(大衆車)」を体現したクルマと言えます。



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    イラスト;小鈴(蒼天剣、7回目) / アンタ本当にアクティブねー、いつもながら

    双月千年世界

    今回は日本一海が近いと評判のあの駅にやって来たねこ車掌。
    普段から無人駅で、この時間帯は観光客の姿もそんなに無く、駅にはねこ車掌の姿だけしか無い。
    誰もいないホームでひとり海を眺めてのほほんとしていたところ、突然ひょいっと抱きかかえられた。

    小鈴「なーにたそがれてんのよ、お昼前に」
    ねこ車掌「にゃん!?」



    基本的にいきなり抱き上げられるのは嫌いなねこ車掌だが、
    どうやら小鈴の場合は、抱かれる感触がとっても良かったらしい。
    膝に座らされた途端、目がとろんとし始めた。

    小鈴「アンタ本当にアクティブねー、いつもながら」
    ねこ車掌「うなーぅ……」

    と、そうこうしている内に、下半分が青く塗られた気動車が入構してくる。

    小鈴「どーする? もう帰る?」
    ねこ車掌「んな~ん……」
    小鈴「じゃ、夜まで?」
    ねこ車掌「うなー」
    小鈴「夜までね。夕焼けもすっごくキレイらしーもんね」
    ねこ車掌「なー……」

    小鈴はもうすっかり寝ぼけまなこのねこ車掌の前足をつかみ、
    気動車を降りる乗客と運転手に向けて、ぱたぱたと振って見せた。

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    暑中お見舞い申し上げます

    雑記



    例年より一層の酷暑が続いておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
    節電を請う声が聞こえてくる一方、熱中症に気を付けよう、我慢せずクーラーを使おうと、
    左から右から異なる意見が炎暑の熱以上に暑苦しく飛び交ういつものご時世ではございますが、
    まずは己の身と健康を第一に考え、ご自愛くださいませ。

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    今年の夏もねこ車掌が、どこかの駅を訪れました。
    クイズとしての難易度は若干低め。知ってる人は知ってる、夏の名所です。
    答えが分かった方はコメントをお願いします。いつものように、正解は後日発表予定です。

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    ねこ車掌の運命やいかに……!?

    今日の旅岡さん



    天狐ちゃん「……」
    夜狼さん「……」
    ねこ車掌(ブルブル)
    一見、緊迫したシーンが展開されているようにも見えるが、実情はまったく違うのである。



    次の仕事に取り掛かる前に英気を養うべく、街をぶらついていたねこ車掌。
    ねこであるため、歩いているだけでも普通にかわいいともてはやされるし、
    写真を撮られてSNSに「#ねこ #カワイイ #帽子」などとタグを付けて投稿されてしまったりもする。
    この日もスマホを向けられたりなでなでふかふかもちもちされたりと、
    存分に可愛がってもらったので、気合も十分。
    さあ、次の仕事先に出かけるか――と意気込んだところで、ねこ車掌の前に天狐ちゃんが現れた。

    天狐ちゃん「おっ! お前さんかー」

    天狐ちゃんもかわいいモノは好きな性質なので、ねこ車掌を一撫でしてやろうと近寄ったところ――。

    夜狼さん「……!」

    天狐ちゃんの前に、やたら目つきの悪い「狼」の娘が現れた。
    彼女の姿、いや、目を見て、天狐ちゃんは警戒する。

    天狐ちゃん(コイツ……ナニする気だ? こんなかわいい猫ちゃんにらみつけやがって……?
    まさかコイツ、いじめるつもりじゃねーだろーな……!?)

    そんなことを考えていたが、彼女も自分の顔を鏡で見るべきである。
    何故なら天狐ちゃんも相当目つきが悪い方だからだ。
    そして天狐ちゃんの前に現れた夜狼さんも、ほとんど同じことを考えていた。
    かくして両者は互いに相手がねこ車掌をいじめようとしていると勘違いし、にらみ合う形になってしまった。

    災難なのはねこ車掌である。
    せっかく仕事への気分が高まってきたところで、こんな怖い娘二人に挟まれでしまったのである。
    溜まったやる気もすっかりしぼんでしまい、一刻も早く逃げ出したかったのだが、
    二人とも時折、チラチラとこっちをにらんでくるので、一歩も動けない。
    全国の鉄道をのほほんと渡り歩いてきた車掌も、こんな修羅場に巻き込まれた経験は無し。
    果たしてねこ車掌の運命やいかに……!?



    なお――この後、やはり偶然通りがかった旅岡さんが「あんたら何でこんなトコでメンチ切り合うてんの?」
    と介入してくれたため、ねこ車掌は無事に解放された。
    ついでに旅岡さんにわしゃわしゃふにふにしてもらい、
    改めて整ったねこ車掌は、意気揚々と仕事に出かけていった。

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    2022年8月携帯待受

    携帯待受

    VW Golf(CD)

    VW Golf(CD)

    VW Golf(CD)  VW Golf(CD)

    2022年8月の携帯待受。
    フォルクスワーゲンのゴルフ。

    思いの外妖しげな背景になってしまいましたが、
    元々「ゴルフ」の名前は球をひっぱたくスポーツ競技のことではなく、
    湾岸を意味するドイツ語「Golf(ゴルフ)」が由来。
    そう考えればこのトロピカルじみた色合いも、
    陽気な海沿いの雰囲気と合っているのかも。



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    3DCG習作;橘小鈴

    習作・汎用

    Vroidstudioでまたうちの娘を作ってみました。
    今回は小鈴。


    小鈴と言えば後頭部のシニョンですが、今の僕の技術力では満足行く形が作れず。
    一応後ろから見ればちょこんと盛ってはあるんですが、
    イラストのような大きさにはなりませんでした。
    アクセサリにシニョン実装されないかなぁ。あと尻尾。

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    アイス食べたいなぁ……

    今日の旅岡さん

    富士見「あっつぃ……」

    ダイエットのため野球部の猫藤さんの自主トレーニングに付いて来たものの、
    帰宅部の富士見さんでは体力的に釣り合わず、ランニング2km時点で早々にバテてしまった。

    富士見(あっついなぁ……あっついのに)

    一方の猫藤さんはランニング中に偶然横を走っていた銀髪狼っ娘と何故か競争を始めてしまい、
    すっかりヒートアップしていた。

    富士見(あっついのに雛ちゃん……なんであんな楽しそうに爆走してるんだろう……)



    ランニャ「あーはははは、もう一回! もう一回だ!」
    猫藤「ノリいいねぇ! よーし、もっぺんじゃ!」
    富士見(そろそろ止めた方がいいのかなぁ……二人とも顔、真っ赤だし……アイス食べたいなぁ……)

    富士見さんの頭の中にはもう、ダイエットのダの字も残っていなかった。

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    「双月シリーズ」イラスト ~ ランニャ(野川真実さんより)

    他サイトさんとの交流

    野川真実(@MsTarepanda)さんよりイラストをいただきました。
    いつもありがとうございます!



    徒然考察メンバーのランニャ。
    すらっとスレンダーなおデコ狼娘。
    考察回では基本的に疑問をぶつける役回り。

    こないだ彼女の顔アイコンを作りましたが、今のところ実況動画での出演予定は無し。
    エリザ共々、いつか使いたいものです。

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    旅岡さんの誕生日 / い、意外とガチの意見ね

    今日の旅岡さん

    6/27は旅岡紅子さんのブログ初登場日、そして誕生日。



    と言うわけで毎年恒例のポーズ。
    今年のスイーツはチョコミントスムージー。



    スイーツ店店長の黄さん「紅ちゃん、紅ちゃん。コレ今年の限定メニュー。どーね?」
    旅岡さん「チョコミント味やからスッキリ感は出とるし、アーモンドミルクがベースやからしつこくならへんし味もええねんけど、量が少な目やね。客側のコスパ悪いと『わーおいしー』で終わってリピート付かへんで。夏はどこの店も飲み物系スイーツ大売り出しやねんから、初動の一発で終わったら他のスイーツに競り負けて埋もれっぱなしになるで?」
    黄「……い、意外とガチの意見ね。わたし的に『わーおいしー』程度の期待してたよ」

    旅岡さんは食にはうるさい。

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    2022年7月携帯待受

    携帯待受

    AUDI R8

    AUDI R8

    AUDI R8  AUDI R8

    2022年7月の携帯待受。
    アウディのR8。



    久しぶりにかなりガーリーな柄に仕上がってしまいました。
    クルマ自体はこれでもかってくらい硬派なものなのに……。

    もしアウディに怒られたら、色味を変えて差し替えます。



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    顔アイコン;ランニャ

    双月千年世界

    半年以上間が空きましたが、久しぶりにうちのキャラの顔アイコンを制作。
    今回はランニャ。




    「また難しそうな話題だぁ……」
    「まあ、そうなるよな」
    「えーと……それってどゆことさ?」

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    双月世界地図;緑綺星(第2部)

    世界観・補足・考察

    「緑綺星」第2部の地図。



    リモード共和国の隠密特殊作戦部隊「ミューズ近衛騎士団」の一員となったエヴァは、
    下級騎士団員としての初仕事として白猫党領内、東の国境近隣を周回する任務に就きます。
    その詳細、そして真実は本編をお読みいただくこととして、各国の領地についての補足。

    白猫夢」から1世紀半近く経過する間に、経済破綻や戦争などで崩壊した国が近隣の大国に併合されたり、
    大国の中で内輪もめして分裂したりと、央北の勢力図は目まぐるしく塗り替えられていく一方、
    リモード共和国は「絶妙な外交」を続け、中立を保ち続けました。

    1世紀以上にわたり南北戦争(通称『長い7世紀戦争』)を続けていた白猫党ですが、
    休戦していた期間も少なからずあり、その合間、互いに相手を出し抜くべく画策していました。
    その一環として近隣国への侵攻・併合なども行われており、勢力圏は上述の時代よりも拡大されています。

    「緑綺星」はまだ激動の時代の渦中。
    この先もしかしたらまた、リモード共和国のように亡国の憂き目を見る国が現れるかも知れません……。

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    えーやん♡

    双月千年世界

    うちのブログの考察メンバー、小鈴・シュウ・エリザの3人で、
    中華レストランにてランチタイム。

    小鈴「って真っ昼間っからガッツリお酒飲んでるし」
    エリザ「えーやん♡」
    小鈴「ってかアンタ、ご飯食べないの?」
    シュウ「アルコールだけ胃に入れるのは体に悪いですよー」
    エリザ「そんなん気にせーへんもーん♪ 煙草も吸うとるし」
    シュウ「自由ですねー」

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    キャラ紹介;第2部

    緑綺星 キャラ

    「緑綺星」第2部のキャラ紹介。
    騎士団の遺志を継ぐ者、エヴァと、シュウの先輩。

    名前エヴァンジェリン・アドラー / Evangeline Adler
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    女性 / 狼獣人 / 697年
    髪:黒 瞳:青 耳・尻尾:黒、先端に白
    長身、やや筋肉質 色黒
    職業「ラスト・ダークナイト」
    ガチのお嬢様で文武両道で孤高のワンマンアーミーって、
    腹立つくらい設定盛り込みすぎじゃないですか?
    でも性格も良いコなんですよねー。悪いトコどこだろ……あ、諦めか。
    一度決めたコトは曲げない頑固者ですよ。(文責:シュウ)

    名前カニート・サムソン / Canito Samson
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    男性 / 短耳 / 690年
    髪:茶、瞳:黒
    中背、中肉
    職業雑誌記者
    インターン時代には色々お世話になりました。
    結構タメになるコトも教えてもらったので、
    ある意味わたしの師匠みたいなもんですねー。
    今でもちょくちょく連絡取って、
    相談に乗ってもらってます。(文責:シュウ)


    今作のキャラ紹介はあくまで、「シュウが出会った人を紹介する」形を取っています。
    なので第2部後半で登場したラモンについては、活躍してはいたものの、
    作中ではまだシュウが出会っていないため記事がありません。

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    2022年6月携帯待受

    携帯待受

    AUDI A8

    AUDI A8

    AUDI A8  AUDI A8

    2022年6月の携帯待受。
    アウディのA8。

    以前にどこかで言ったかも知れませんが、アウディの車輌名に付いている数字は、
    クルマ自体の大きさに比例して大きい数字が付けられています。
    同じAシリーズでも、現行A1は全長*全幅*全高が4040*1740*1435(mm)なのに対し、
    このA8は5190*1945*1470(mm)と、かなり大柄なクルマになっています。
    次回紹介予定のR8も、もしコンパクトスポーツモデルが発売されたとしたら、
    名前はR1になるんでしょうか……?




    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
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    業務連絡;「緑綺星」目次とあらすじを追加しました(第2部)

    雑記

    下記ページにて、「緑綺星」第2部の目次とあらすじを追加しました。

    http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)
    http://auring.web.fc2.com/ro-outline2.html(第2部あらすじ)

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    困った。第3部の展開がほとんど思いつかない。
    現時点で決まってることは第3部主人公の名前と特徴くらいです。

    ……ともかく他の予定をある程度片付けてしまってから、
    じっくり取り掛かろうと思います。

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    緑綺星 目次(第2部;ラスト・ダークナイト編)

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「緑綺星」第2部地図

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝(2019年版)
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    緑綺星・狼嬢譚
    1 2 3 4
    緑綺星・闇騎譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・嘘義譚
    1 2 3 4 5 6 7
    緑綺星・友逅譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・奇襲譚
    1 2 3 4 5 6 7 8
    緑綺星・宿命譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9

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    第1部;猫報譚~白闇譚
    第2部;狼嬢譚~宿命譚

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    緑綺星・宿命譚 9

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第77話。
    広がる闇。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    9.
     シュウたちがリビングに入ると同時に、一行テロップが表示されていたテレビ画面は、金火狐総帥シラクゾ・ゴールドマンのバストアップに切り替わった。
    《本日報告された飛翔体によるテロ攻撃に関し、公安局に犯行声明が送られました。現在公安局にて大々的な捜査が進められている犯罪組織『ネオクラウン』からのものと思われます》
    「なんやて!?」
     先にテレビにかじりついていたジャンニが、憤った声を上げる。
    《声明によれば、今回のテロ攻撃は前述した公安局の捜査に対する抗議・報復行動によるものであるとのことです。これに対し我々金火狐財団は市民の安全、市国の公益を第一に考え、かつ、市国における不当な暴力を一切許容しないとする従来よりの姿勢を崩すことなく、断固として戦うことをここに宣言します》
    「何言うてんねん、こいつ。今までずっと逃げ回っとったクセして」
    「クソ、やられたな」
     ジャンニが呆れた表情を浮かべる一方で、天狐はあごに手を当ててうめいている。
    「恐らく白猫党からコイツに、内々で打診があったんだ。筋書きはこうだろう。『仮想敵を作ってやるから話を合わせとけ』とか何とかな」
    「仮想敵ってつまり、ネオクラウンか」
     一聖も同様に顔をしかめつつ、天狐と検討を重ねる。
    「そうだ。この流れになれば、『市国で起こってる問題は全部ネオクラウンのせい』ってスキームができる」
    「なるほどな。そして金火狐総帥自ら『ネオクラウンと戦う』と公言したコトで、コイツは疑惑の人物一歩手前の立場から一転、市国のヒーローに大変身だ」
    「自分への嫌疑を回避できるどころか、公安局も監査局ももうコレで、公にはシラクゾの捜査ができなくなる。してると分かりゃ、逆にシラクゾとその取り巻きから批難されちまうだろう。『あのヒーローを疑うのか』ってな」
    「公安と監査さえ黙らせりゃ、後は好き放題だ。カネもモノも『ネオクラウンと戦うため』の一言で用意できちまうってコトだ。実態がどうあろうとな」
     二人の話を聞いていたジャンニの顔に、次第に朱が指していく。
    「んなアホな! ほんなら何やな、白猫党に横流ししても『ネオクラウンと戦うためやねん』で済ましてしまえるっちゅうんか!?」
     怒りをあらわにするジャンニに、天狐と一聖は揃ってうなずいた。
    「そうなる。何だかんだソレらしい言い訳付けてな」
    「恐らくは元々から、そう言うシナリオを作ってたんだろう。いずれシラクゾにこう宣言させて、ココまでコソコソやってきた白猫党への支援を本格化、かつ、正当化させるつもりだったんだろう」
    「つまりお前さんのヒーロー活動――スチール・フォックスの存在があろうと無かろうと、何一つ想定外は無かったってコトだろう、な」
    「ウソやろ……!?」
     ジャンニは怒りに満ちた表情で、その場に立ち尽くしていた。
    「ほな何やねん……俺……何のために……今まで……」
     そのやるせない言葉に答えられる者はおらず、リビングにはテレビの声だけが流れ続けていた。

     と――そこでぺこん、とシュウのスマホが鳴る。
    「あ、ごめんなさい」
     何故か謝ってから、シュウがスマホを見る。
    「……え?」
     見るなり目を丸くし、シュウは一聖の肩をぺちぺち叩いた。
    「カズちゃんカズちゃんカズちゃん、大変です!」
    「痛ぇよ! 何がだよ?」
    「えっとですね、あの、エヴァから、メッセージが」
     しどろもどろに説明しつつ、シュウはスマホを一聖に見せた。
    「ん?」
     シュウのスマホには、こう表示されていた。



    「差出人 エヴァ
     件名 突然ごめん

     急いで伝えてほしいことがある。この動画を見たらすぐ、君のチャンネルで流してくれ。これをすぐ世間に伝えないと、世界は白猫党に支配されてしまうかも知れない。
     白猫党は難民特区を狙っている」


    緑綺星・宿命譚 終

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    緑綺星・宿命譚 8

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第76話。
    シュウ・メイスンのターニングポイント。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    8.
    「まあ、その、なんだ。またお達しがあったわけだが」
    「奇遇ですねー。わたしにもありましたよー」
     セーフエリアにて、シュウとカニートがまた、二人きりで話し合っていた。
    「わたしの方から先にお話した方がいいですかー?」
    「……だろうな」
    「じゃ、まずコレを」
     そう前置きし、シュウは自分のスマホに送られてきた文面を見せた。
    「トラス王立大学からの正式な返答文です。『エクスプローラ社よりシュウ・メイスン君および当校に対して損害賠償請求があったことを受け事実調査を行ったところ、インターン契約に関し、エクスプローラ社による重大な違反が判明した。この件は裁判所を通じて異議申し立てを行い、公正かつ厳正な判断がなされた後、しかるべき対応を執ることとする』、……ですって」
    「お粗末な話だよな。偉そうに賠償求めておいて、実は自分たちの側が約束破ってたって言うんだから」
     シュウが伝えた通り、王立大学の調査によりエクスプローラ社は、インターン契約に関する違反を犯していたことが判明した。契約上、インターン生はトラス王国首都、イーストフィールド市内でのみ作業補助を行うことが定められていたのだが――。
    「わたし市内どころか、今まさに特区にいますもんね。その上、リモード共和国とかにも行っちゃってますし」
    「だよな……」
    「あと、『適切な報酬を支払うコト』って契約に含まれてたんですが、コレもちゃんと支払われてなかったみたいですね。わたしだけじゃなく、他のインターン生にも」
    「ああ」
    「ソレどころか『逆らうと大学にマイナス評価を送るぞ』っておどして、結構ひどいコトしてたって……」「もういい。分かった。こないだのことは悪かった。謝る。俺の負けだよ」
     額を押さえたカニートに、シュウは肩をすくめて返した。
    「厳密にはエクスプローラ社の負けですね。でも昨日の今日で、よく大学側もこんなに早く調査できましたよね」
    「機を伺ってたって感じがするな。いずれ大々的に責め立てるつもりだったんだろう。エクスプローラ社はしてやられたってところだろうな。
     この件はかなり大事になるだろう。王国におけるメジャー三大紙のスキャンダルだからな。もしかしたら俺の今後にも響くかも知れん」
    「ソレでいっそ辞めちゃおうって考えてたり?」
     シュウの指摘に、カニートは苦笑いで返した。
    「まだそこまでは考えてないさ。……とは言え、いつかフリーになって世界中を取材して回りたいって夢はあるからな。今後の会社の展開次第じゃ、その予定を早めるかも」
    「わたしもやってみたいですねー、フリージャーナリスト」
    「お前はちょっと方向性が違うかもな」
     そう言われて、シュウは面食らう。
    「わたし、向いてないですか?」
    「もっといい道があるってことだ。お前は文章だけで食ってくには、キャラが立ちすぎてるよ。お前はもっと自由に、やりたいことを存分にやりまくれ。それが一番、お前向きだよ」



    「……ってアドバイスされたんで、今はこうしてチャンネル作ってクラウダーでやりたい放題やってるってワケですねー。バッチリ収益化もしてるんでそこそこ稼げてるんですよね、今」
    「ソレはどーでもいーぜ」
     話を聴き終えた一聖が突っ込む。
    「んで? なんでエヴァの話題、取り扱わなくなったんだ?」
    「リモード共和国の新政府が、エヴァを指名手配しちゃったからです。『リベロ・アドラー暫定大統領の命を狙ったテロリスト』だって。完全フリーのわたしでも、流石に軍事政権の指名手配犯を擁護するのはコワいので」
    「友達だっつってたのにか?」
    「その友達も、いきなり何も言わずにわたしの前から姿消しちゃいましたからね。ソレなのにわたしばっかり頑張って持ち上げるって言うのも、なーんかハラ立って来ちゃって」
    「ま、気持ちは分かる」
     と、そこへ天狐が慌てた様子で現れた。
    「お前ら、こっち来い! ニュースで速報出てるぞ!」
    「速報?」
    「金火狐総帥が会見する! 今日の件でだ!」
    「え……!?」
     シュウと一聖は顔を見合わせ、揃ってリビングへ駆け出した。

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    緑綺星・宿命譚 7

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第75話。
    ラスト・ダークナイト;その宿命のために。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    7.
    「トッドレールか?」
    「です。……もしもーし」
     電話に出た途端、あのキンキンとしたアルトの声がコクピット内に響き渡った。
    《もしもーしじゃねえよ、お前さんよぉ? なんだって白猫党のヘリなんざ奪ってやがんだ? 特区じゃ大騒ぎだぜ、『キジトラ猫獣人と真っ黒な狼獣人の二人がアジト襲った』っつって、血眼で探し回ってんぞ。俺らの寝床も引っかき回されてるしよぉ》
    「あ、えーと、そのー……」「トッドレール」
     エヴァはラモンのスマホを奪い、会話に割り込む。
    「あんた、ヘリの横流しはできるか? ヘリの売却代金は私とラモンとあんたで三等分だ。その上で150万コノンを、私の取り分から払う」
    《ああん? その声……もしかしてエヴァンジェリンか? まさかお前さんがラモンそそのかしたんじゃねえだろうな?》
    「答えろ。できるのか? できないのか?」
    《ソレが人にモノ頼む態度かよ? まあいい、ツテはある。だが特区にゃ持って来れねえやな。今ドコ飛んでんだ?》
    「えーと……ウォールロック山脈近くです。リモード共和国から南に100キロくらい」
    《じゃ、そのまま山越えろ。南側東沿いのふもとにロータスポンドって町がある。今から向こうの知り合いに電話してやっから、ソコで落ち合おうぜ》
    「助かる」
    《また後で連絡する。じゃあな》
     電話が切れ、コクピットに静寂が戻る。
    「なんか勝手に三等分されましたけど……まあ、元からタダでもらったようなもんですし、いいです、それでも」
    「悪いな」
    「じゃ、南に向かいます。ナビ頼みます」
    「ああ。ロータスポンドだったな。スマホこのまま借りるぞ」
    「どうぞ」
     スマホで付近の地図を確認しつつ、エヴァはぼそ、とつぶやいた。
    「これでとりあえず、活動資金は作れそうだな」
    「活動資金? 何のです?」
    「白猫党と戦うためのだ」
    「は?」
     ラモンの動揺が操縦桿に伝わり、ヘリがわずかに傾く。慌てた様子で戻しながら、ラモンがおうむ返しに尋ねた。
    「白猫党と戦うですって? 何言ってんですか?」
    「白猫党は私の故郷を襲い、兄と祖父を殺した相手だ。復讐するのは道理だろう? 何よりああまで卑怯千万な方法で侵略するような奴らを、許しておくわけには行かない。放っておけばさらなる非道を繰り返し、いずれ世界に害をなすだろうからな」
    「別にエヴァさんがやる必要無いじゃないですか」
     奇異なものを見るような目で、ラモンが顔を覗き込む。
    「この世界には悪い奴や嫌な奴なんて、そこら中にゴロゴロいるんですよ? どうしようもないクズだって、掃いて捨てるほどいます。そんなのを一々、たった一人で相手してたら、体が持ちませんよ。
     それに復讐だとか正義のためだとか、そんなことのために人生、使うもんじゃないです。誰もほめちゃくれないし、もちろんおカネにだってならないですし。正義の味方なんて、わざわざ現実でやる必要は無いですよ」
    「君はそうかも知れない。でも私には、それしか無い、それにしか、生きる意味が見出だせないんだ」
    「ほんっとにエヴァさんは、僕たちと違う世界を生きてる人なんですね」
     しばらく沈黙が流れ――そしてラモンもぽつぽつとした口調で、こうつぶやいた。
    「でも……まあ……カッコいいですよ。眩しい……生き方です」
    「ほめてくれてるのか?」
    「そのつもりです」
    「……ありがとう」
     そのままヘリは南へと進み――エヴァンジェリン・アドラーは央北を離れた。



     ほぼ同時刻、某所――。
    「ウソだろ……」
     真っ青になった画面を前にした彼の顔もまた、青ざめていた。冷汗を拭いながらキーボードを叩くが、何の反応も返って来ない。
    「SD714が……最新の戦闘ドローンが1機残らず全滅なんて……まさか……そんなバカな……」
     男はガタガタと椅子を鳴らし、立ち上がる。
    「これ……まずいよな。こんなのが上に知れたら、減給どころの話じゃないよ。下手したら処刑モノだ」
     男は机に置いていた財布やスマホをかき集め、その場から離れようとする。と――。
    「腕時計はいいの?」
    「へ? ……~っ!」
     振り返ったところで、机に置いていたはずの腕時計を鼻先に差し出され、男は硬直する。
    「か……かかか……閣下!?」
    「全て見ていた」
    「そ……そう……です……か」
    「被害額は90億クラムと言ったところ?」
    「う……」
     男はその場に座り込み、頭を床にこすりつけて謝った。
    「申し訳ありません! とんでもないことになってしまい、本当に、あの……」「構わない」「……え?」
     顔を上げたところで、閣下と呼ばれたその短耳はくる、と背を向ける。
    「SD計画とMPS計画のデータは十分取れたと言っていい。費用対効果は十分。リモード共和国も手中に収めた。今、新たなリベロ役を手配している。損害も補填の目処が立っている。今作戦は万事において問題無しと判断。あなたはまだ有用。処刑の必要無し。席に戻って。以上」
    「……はい、閣下」
     男が腕時計を受け取り、そろそろと席に戻ったところで、「閣下」は淡々とした口ぶりでこう続けた。
    「エヴァンジェリン・アドラー。彼女は我々の脅威足りうる。彼女を探し出し、抹殺しなければならない。情報があれば速やかに知らせること。以上」

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    緑綺星・宿命譚 6

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第74話。
    ミッション・インコンプリート。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    6.
     その時だった。
    《……さん! エヴァさん! 聞こえ……すか!?》
     まだ耳に付けたままだった通信機から、とぎれとぎれにラモンの声が聞こえてきた。
    《急い……陰に隠……て! 航……支援し……す!》
    「……!」
     エヴァは小銃を捨て、ばっと身を翻す。
    《おいおい、まだやる気なの?》
     一方、エヴァとラモンのやり取りに気付いていないらしいSD714は、続々と大統領官邸に進入してくる。
    (59機……コンテナから10ずつ……4つ……40……裏手……確かコンテナが1つ……多分あれで全部……今だ!)
     エヴァは官邸の生垣を突っ切り、大通りへ転がりながら、通信機に怒鳴った。
    「ラモン! 撃て! 官邸の庭だ!」
    《了解!》
     次の瞬間、どこかから風切り音が鳴る。そしてSD714が今まさに包囲しようとしていた前庭にミサイルが着弾し――SD714たちはあっけなく吹き飛ばされた。
    「うわ……っ」
     きれいに整えられていた生垣も爆炎とがれきで消し飛び、地面に倒れ伏していたエヴァに大量の粉塵と焼けた枝葉が降りかかる。
    「げほ、げほっ……、くそ……体中が……痛いな……耳もだ……」
     がらん、とエヴァの前に、リベロを模したSD714の頭が転がってくる。
    「……チッ」
     白猫党に対する忌々しい気持ちも、兄と祖父に対する憐憫の情も――そして自分の過去の過ちに対する忸怩たる思いも込めて、エヴァはその頭部を蹴っ飛ばした。
    「ラモン、今どこにいる? 急な計画変更ですまないが、来れたら迎えに来てほしい」
    《そう言うと思って、今そっちに向かってます。って言うか、でなきゃヘリで航空支援なんかできないでしょ?》
    「悪いな、助かる。ランディングゾーン(ヘリの着陸指定地点)は君が今、ミサイルを撃ち込んだ官邸前庭だ」
    《大丈夫です? 敵が集まって来るんじゃ……》
    「その点は心配いらない。敵自ら得意げにあのガラクタどもの総数を教えてくれた上、その全機が前庭に集まって来ていたのを確認している。歩兵戦力についても全員ただのエキストラ役者でしかないと、ご丁寧に教えてもらったよ。であれば地対空攻撃なんか用意しているわけが無い。仮に用意していたとしても、偽者兵士じゃ使い方も分からんだろう」
    《了解です。30秒で向かいます》
    「頼んだ」
     まもなく北東から、ヘリのローター音が聞こえてくる。到着までのわずかな時間、エヴァはあちこちで黒煙が上がる、自分が生まれ育った街の大通りを見回し、ため息をついた。
    (ARRDKは撃破したが、白猫党が背後にいるとなればバックアップ策も講じているだろう。私一人じゃ、共和国の奪還は不可能だ。
     だが、私の誇りにかけて誓おう。この国はきっといつか、必ず――私が救ってみせると)
    《まもなく到着です》
     ラモンの声とともに、ヘリが降りてくる。エヴァは焦土と化した前庭に戻り、ヘリに乗り込んだ。



     ヘリはリモード共和国を離れ、南へと向かう。
    「どこへ向かっている?」
    「……考えてないです」
     ラモンは肩をすくめ、困った顔を向けた。
    「特区に戻ると確実に白猫党に追い回されるでしょうから、反対方向に向かってるだけなんです」
    「所属不明機でトラス王国や他の先進国に乗り込めば、問答無用で撃ち落とされるだろうからな。なおさら東方面には向かえない」
    「そもそもヘリを売りさばくルートなんて知らないですし、どこに持って行けばいいやらですよ」
    「さて、どうするか……」
     やがてウォールロック山脈が眼前に現れ、二人はぼんやりとその稜線を眺めていた。と――。
    「……何か鳴ってないか?」
    「え? ……あ、僕のスマホです」
     ラモンは操縦桿を握りながらポケットを探り、スマホを取り出す。
    「げ」
     画面に視線を落とした途端に顔をしかめたラモンを見て、エヴァはその相手が誰であるかを察した。

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    緑綺星・宿命譚 5

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第73話。
    次世代型戦闘兵器・SD714。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    5.
     一瞬前までエヴァが立っていた場所に無数の弾痕が刻まれ、その背後にあった執務机は木っ端微塵に破壊される。
    (回転連射砲にグレネード砲2門――一瞬でも気を抜けば、私もあの机同様に細切れにされる!)
     エヴァはSD714の集中砲火から逃げるため、側面に回り込もうとする。だがSD714は頭部をぐるんと動かし、エヴァを追尾する。
    《無駄だよ。人間の性能でこいつを上回ることは不可能だ》
     腕が一斉にエヴァを向き、起動音を立てる。
    (まずい!)
     反射的に小銃を向け、頭部――ではなく、その後ろの腕を狙って引き金を絞る。放たれた弾はグレネード砲内の、今まさに放たれようとしていたグレネードの弾頭に当たり、暴発させた。
    《うわっ!? ……あ、……あれ? 参ったな、背部攻撃システムが全部ダウンしちゃった。やるなぁ、エヴァンジェリン・アドラー。……でもまだだ。こいつの力はまだ、こんなもんじゃないよ》
     SD714の折れた腕ががちゃ、がちゃんと落とされ、別のところから腕が伸びる。その一瞬の間を突いて、エヴァは執務室から飛び出した。
    (今のは運が良かったが、あんな芸当が二度も三度もできるわけがない。正面から戦うのは愚策だ。何か方法を考えなければ……!)
     廊下を見渡し、他に敵がいないことを確認しつつ、エヴァはSD714から距離を取るべく走り出す。
    《どこまで逃げても無駄だよ》
     豪快な音を立て、執務室のドアが吹き飛ぶ。そこからSD714が飛び出し、猛然とエヴァの後を追って来る。
    「くっ……!」
     エヴァも近くの部屋のドアを蹴破り、中へと転がり込む。
    《君の動きは各種センサーとハックした官邸内の監視カメラで、ばっちり捕捉できてる。どう逃げようと、君の運命はもう決まってるんだよ》
     エヴァは背負っていたバッグから急いで予備の武器を取り出しながら、対策を練る。
    (手持ちの武器であれを破壊するのは不可能だろう。それでどうにかなるなら、共和国の兵士や騎士団員が倒せているはずだからな。
     しかし……どうやって倒す? 倒さなければ、私が生きてここを出ることも、祖父の無念を晴らすことも叶わない。当然、白猫党がここを襲ったことを公表し、奴らの不義非道を明るみに出すこともできない。何としてでも生き延びなければ……!)
     と、機械音が次第に近付いて来る。
    《やあ、エヴァンジェリン。かくれんぼはおしまいにしようよ》
     急いでバッグをひっくり返し、中から手榴弾を一つ残らず取り出す。
    (下手すれば巻き添えだが……この策しか無い!)
     SD714が壁ごとドアを壊し、部屋の中に入って来ると同時に、エヴァは手榴弾を部屋中に撒き、窓へ向かって駆け出した。
    《おいおい、まだ遊ぶのかい? 僕はもう飽き飽きだ……》
     窓から飛び出すと同時に手榴弾が一斉に爆発し――大統領官邸の一角が、SD714ごと崩れ落ちた。

    「……ふー……」
     エヴァは小銃を構え、自分が飛び出した部屋があった方角をにらみつけていたが、粉塵が収まった辺りで、ようやく構えを解いた。
    (どうにか危機は回避できたらしい。……一国も早く、共和国から脱出しなければな。できれば奴らが侵攻した証拠を集めたいところだが……)
     辺りを見回し、エヴァはため息をつく。
    (あのドローンの中の奴の話じゃ、やって来た兵士はみんな難民を洗脳しただけの木偶の坊。捕まえて尋問したところで、何の情報も持っていないだろう。周りのコンテナに入ってる武器もどうせ、刻印も製造番号も無いゴースト品だろう。……私が持って来た武器もそうだったからな。
     仕方無い。証拠集めは諦めて、脱出の方法を考えるとするか。どの道、相手もリベロだと言い張ってた人形が、ああしてスクラップになったんじゃ……)
     そこまで考えて――エヴァの背筋がぞくりと凍った。
    (……リベロの……『人形』? と言うことは……まさか)
    《ひどいことをしてくれたね、エヴァンジェリン》
     大型コンテナの扉が開き、中から声が聞こえてくる。
    《あれ一機作るのにいくらかかるか知ってるのかい? 半端な戦車より高く付く代物なんだよ? とは言え量産体制はもう整えてるから、今はもうちょっと安く済むんだけどね》
     がしゃん、がしゃんといくつもの足音を立てて、コンテナの中からぞろぞろとSD714の集団が現れる。
    「うっ……!」
    《ちなみに今回リモード共和国に持って来てるSD714は、全部で60機だ。いや、君に1機壊されちゃったから、正確には59機か。どうする、エヴァンジェリン? まだ遊ぶかい?》
     大統領官邸の正門の向こうからも、機械の足音が聞こえて来る。
    《それとももうやめにする? それならリセットボタンは自分で押してくれよ。こっちも弾がもったいないからね。
     さあ……どうする、エヴァンジェリン?》
    「くっ……」
     迫って来るSD714との距離を保ちつつも、エヴァにはもう、打開策が浮かばなかった。

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    緑綺星・宿命譚 4

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第72話。
    クーデターの真実。

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    4.
     人形から唐突な真実を告げられ、エヴァは面食らっていた。
    「死んでいる!? 3年前にだと!?」
    《ああ。アドラー家から逃げ出した後、彼は我々のところに身を寄せて……いや、これも率直に言おう。我々が身柄を拘束したんだ》
    「白猫党か?」
     エヴァのこの質問に、人形はようやく驚いた様子を見せた。
    《へえ? 偽装したつもりだったけど、よく見破ったね》
    「別の場所でお前たちの非正規部隊に遭遇した。そいつらが持っていた装備はそのまま、ここをうろついていたARRDKのものと同じものだった。ならばイコールで考えるのが道理だろう」
    《ま、そりゃバレるよね。とは言えここで君一人にバレたところで、って感じかな。そうだ、バレてもいいやついで、自慢ついでに、もうちょっと話をしてあげるよ。リベロは逃げに逃げて白猫党領内にたどり着き、そして当然の結果として、我々白猫党に捕まった。そこで我々は彼を利用するべく、今回の計画を企てたのさ。
     計画の全容はこうだ。白猫党領の領土拡大のため、そして将来的に新央北圏内へ侵攻することを見据えて、その両方に隣接する中立国であるリモード共和国を占領したい。しかし立案当初は我々もまだ、北側との戦闘が完全に収束する見込みが立ってなかったし、必要以上の戦闘も避けたい。何より軍事国家だからって自分の都合だけで無闇やたらに攻め込んだりなんかしたら、国際社会は絶対に容認してくれないし、四方八方から制裁を受けてしまう。だからその、国際社会を納得させられるだけの理由――『大義名分』が必要だった。
     そこに現れたのがリベロだ。彼にはリモード共和国を恨んで復讐を企てるだけの理由がある。しかしその一方で、一人でどうにかできるだけの実力も才能も、行動力も無い。我々の傀儡(かいらい)に仕立てるには、これ以上無く絶好の存在だった。我々はリモード共和国に異を唱える体のテロ組織を作った。そう、ARRDKだ。そしてリベロをそのリーダーに据え、時期を待って襲撃する機会を伺う、……と言うのが当初の計画だった》
    「『時期』だと? ……っ!」
     人形の言葉に、エヴァは息を呑んだ。
    《どうやらピンと来たみたいだね。そう、君が昨夜流したあの動画さ。しかも流したのが他ならぬアドラー家令嬢なんだから、都合がいいことこの上無い。いや、これも率直に言ってしまおうか。我々が、君にあの動画を流させるよう仕向けたんだ》
    「じゃあ、昨夜の襲撃もやはり……!」
    《その通り。難民特区に駐留させてた部隊を動かして、君に危険を感じさせたんだ。あのセーフエリアから大手の新聞社にすぐ連絡できるから、大方そっちの筋で広めてくれるだろうと思ってたけど、君自身が動画を流した。ま、その点はちょっと意外だったし、おかげで予定をかなり早めなきゃならなかったけど、結果的には問題無しさ》
    「なぜ私が特区にいると?」
    《白猫党領内で戦っていただろ? 無論、領内の監視は行き届いてるし、騎士団が難民狩りをしてたことも把握してる。とは言え我々にとっては領民が逃げ出すのを防止するのに一役買ってたから、いつもなら放っておくところだけど、あの晩は妙なことが起こった。騎士団のトラックが横転して、兎耳の男一人に全滅させられてた。しかもその内の一人が、兎耳の方に付いて行った。そこで残った3人を捕まえて尋問したところ、君の正体と、離隊した理由が分かった。
     となればいずれ、君も行動を起こす。我々はそう予測して、君をずっと泳がせていたってわけさ》
    「Rは……拘束した3人は生きてるのか?」
    《生きてるよ。解放する気は今のところ無いけどね。
     それよりリベロの話に戻ろう。我々の計画が気に入らなかったのか、あるいは我々の操り人形であることが嫌だったのか――リベロは自殺した。とは言えあんまり我々の計画には関係無かった。我々にとって必要なのは彼本人じゃなく、彼の名前だけだからね。
     彼が死んだその事実を握るのは我々だけだし、だから生きてるってことにして、偽者を用意してごまかした。そうそう、ARRDKの人員も――もしかしたら気付いてるかも知れないけど――特区でさらって来た人間を洗脳して偽の記憶を植え付けた、ただの一般人だ。この計画は北との戦闘ほど重要じゃないし、あまりコストをかけたくなかったからね。
     そして――こっちの方がもっと重要だけど――『こいつ』の実地試験もやっておきたかった》
     その言葉と同時に、人形からにょきにょきと、金属むき出しの腕が何本も伸びる。
    《次世代型戦闘用ドローン『スケープドール714』、通称SD714だ。首都を陥落させたのも、正規軍と騎士団を壊滅させたのも、こいつの戦果さ。
     ところでエヴァンジェリン、君は映画を観る方かい? それならこうして得意になって色んな秘密をしゃべった後、そいつがどう言う行動を取るかも分かるよね?》
     腕にそれぞれ重火器が搭載されていることを確認した瞬間、エヴァは危険を察知し、その場から飛び退いた。

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    緑綺星・宿命譚 3

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第71話。
    嘘と偽装と。

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    3.
     エヴァが大統領官邸に到着した時点で、既に太陽は西へ傾き、夕暮れが迫りつつあった。
    (今朝方、電撃的に襲撃したのだから、相手はおしなべて疲労しているだろう。注意力も落ち込んでいるはずだ。薄暮時の今なら私の行動を捕捉し、即応することは難しいだろう)
     物陰から敵の様子を確認したところ、エヴァの予想通り、誰も彼も憔悴した表情でぼんやり座り込んだり、突っ立ったままでいたりしている。
    (リベロ一人倒せば全てが終わるわけじゃないだろう。少しずつでも無力化しておいて損は無い)
     2、3人で固まっていた相手が、一人、また一人と、場を離れていく。
    (用を足しに行ったか、食料の調達か……。まあいい、好都合だ)
     たった一人残ったところで、エヴァはそっとその一人の背後に忍び寄り、首に腕を回す。
    「がっ!?」
     10秒も絶たない内に気絶した相手を素早く縛り、近くのロッカーに放り込む。
    「ん?」
     と、その様子を別の人間に目撃されたが――。
    「あばばばばば……」
     すかさずテーザー銃を撃ち込み、気絶させる。
    「なんかバチバチって聞こえなかったか?」
    「こっちからだよな。……ん!?」
     さらに敵が現れたが、これもすぐに飛びかかり、瞬く間に昏倒させる。1分も経たない内に4人、5人と倒し、エヴァはあっさり周辺を制圧してしまった。が――そのことに、エヴァは疑問を抱いていた。
    (妙だな……? いくらなんでも柔(やわ)すぎる。
     私は自分の実力を正しく知っている。並の人間が相手なら十把一絡げに叩きのめしてしまえるくらいの実力はある、……と、過不足無く把握している。だが相手は一国を陥落せしめんとするテロリストたちだぞ? そこいらの一般市民と変わらん腕前であるはずが無い。まともな兵士とまともに戦えば、私だって普通に苦戦する。騎士団が相手であったら流石に五分以下。私が勝てる保証は無い。
     同じ軍人、兵士であれば――それが非正規の軍隊であろうと――相応に苦戦してしかるべきだ。だがこいつらは、あまりにも歯ごたえが無さすぎる。正直、一般人が小銃を持たされているのと、大して変わらない。しかし、こいつらが首都を陥落させた連中であることは明らかだ。
     一体こいつらは何者なんだ……?)
     ともかく気絶させた敵を片っ端から縛り上げ、相応の安全を確保した上で、エヴァは官邸の中心である大統領執務室に向かった。

     エヴァは執務室のドアに狼耳を当て、中の様子を探る。
    (……? 足音も息遣いも無い? 物音らしい物音は、何一つ聞こえてこない。誰もいないのか?)
     人気が無いことを確認したが、それでも警戒を緩めず、恐る恐るドアを開ける。
    (罠も仕掛けられていない。……まあ、執務室などと言ってみてもただの部屋だからな。他に拠点を構えている可能性もあるか)
     中へ入り、部屋の中を見回し、やはり誰もいないことを確認する。
    (……ハズレだな。とするとリベロは一体どこに?)
     その時だった。
    《やあ。君は誰かな?》
     どこかから突然声が飛び、エヴァは小銃を構えて振り返る。そこにはいつの間にか、狼耳の男が立っていた。いや――。
    「リベロ!? ……じゃない!」
    《へえ?》
     リベロを模したらしきその人形は、無表情でおどけた動作を見せる。
    《君の顔は見た覚えがある。ちょうど昨日の夜中くらいに。そう、あの動画に出てた娘だ。君がエヴァンジェリンかい?》
    「そうだ。お前は誰だ?」
     銃口を向けるが、人形に動じた様子は無い。
    《僕かい? ここでは『リベロ・アドラー』役で出演している。……とは言え君は『こいつ』を、リベロとは呼びたくないだろうね》
     そう言って自分自身を指差した人形に、エヴァは小さくうなずく。
    「当たり前だ。本物のリベロは今どこにいる?」
    《うーん……そうだね……どう言ったらショックを受けないでもらえそうかな。いや、やっぱり率直に言った方がいいか。
     リベロ・アドラーはもうこの世にいない。3年前に死んでるよ》

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    緑綺星・宿命譚 2

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第70話。
    祖父の後悔。

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    2.
     アドラー屋敷も相当攻撃を受けたらしく、既に半壊していた。
    (流れ弾が当たったと言う感じじゃない。間違いなく攻撃目標にされた感じだ。……いや、相手のトップがリベロなんだ。ここを襲わないわけが無い)
     崩れ落ちた箇所から中へ入り、用心深く廊下を進む。
    (騎士団本部を最初に襲い、そして陥落させたとして、祖父が簡単に投降するとは思えない。隙を見て脱出し第二の拠点、即ちこの屋敷に逃げ込んで態勢の立て直しを図る。アドラー家の一員たる私ならそう考えるし、リベロも同じ考えに至ったのだろう。そして追撃し……その結果がこれだ)
     既にARRDKは引き上げたらしく、屋敷の中に人の気配は無い。エヴァは地下への階段を下り、金属製の扉の前で立ち止まる。
    (有事の際に使われるアドラー家専用シェルター……やはりここは無事か。……いや)
     扉の認証装置を操作し、ロックを解除する。
    (リベロなら開けられるだろう。と言うよりもあいつは一時、ここの住人だったんだからな)
     だが扉を開け、中の様子を確認したところで、エヴァは首をかしげた。
    (……? 大勢で押し入ったような様子が無いな。硝煙の臭いもしない。破らなかったのか?)
     警戒しつつ奥へと進み、ほどなくエヴァは、変わり果てた姿の祖父と再会した。
    「……死んでいるな」
     ジョゼの服は血で染まっており、手には弾を撃ち尽くした拳銃が握られている。
    (ARRDKの包囲から抜け出し、最後の意地でここまでたどり着きはしたが、……と言うところか。……うん?)
     と、遺体が寄りかかっていた木箱の上に手帳が置かれているのに気付く。
    (状況からして、祖父が遺したものだろう)
     エヴァは小銃を傍らに置き、手帳を手に取った。
    (当たり前だが、昨日時点までは整然と文字が並んでいる。……トッドレールの言っていたことの裏が取れてしまったな)
     手帳には騎士団の活動のすべてが、事細かに記されていた。
    (近隣諸国へのスパイ活動……国境辺縁での難民排除計画……『すべて順調。問題なし』だと? 何が問題なしだ、この人でなし!)
     ページをめくる手に次第に力がこもり、やがてエヴァは手帳を木箱に叩きつけた。
    「この……この、このっ、この……!」
     罵倒の言葉は頭の中にいくつも浮かんできてはいたが――それを肉親へ浴びせるのは流石に良心がとがめたため――どうしても口に出せず、代わりに木箱を蹴って苛立ちを抑えようとしたが――。
    (……?)
     木箱に叩きつけられた手帳の、最後のページに、何かが書かれていることに気付き、エヴァの足が止まる。もう一度手帳を手に取り、そのページを確かめた。



    「リベロの反乱 そして エヴァのMIA どちらも私が 軍人や政治家としてではなく アドラー家として成すべきことを成さず 私欲 いや、国家の欲 強欲のために 騎士団の歪みを糺さず 見て見ぬふりをしたがために 起こるべくして起こったこと
     真にアドラー家の一族 誇り高きダークナイトであるならば 正義のために動くべきだったのだ いつの頃からアドラー家は堕したのだろう 私の代で変えることはできなかったのか 変えることができなかった
     結局は 私もまた 誤った歴史を築き 悪と強欲に加担してしまったのだ

     私は 己の弱さを恥じる」




     手帳を読む手が――今度は怒りのためではなく、激しい動揺のために――震えていた。
    (これは……どう言うことだ? 祖父は……悔いていたと言うのか?)
     手帳を閉じ、もう一度祖父の亡骸を見る。
    (……分からないでも、ない。アドラー家は先祖代々の軍人の家系、大きな期待と羨望を寄せられてきたのだ。その期待に応えるためには、国家に並々ならぬ貢献をせねばならなかった。……その過程で少しずつ、正義の道を外れていったのだろう。それがいつの頃からなのか、それは分からないが、少なくとも剛毅な祖父が容易に変えられぬほど、長く続いていたのだろう。
     その苦悩がどれほどか、……私には到底計り知れないが、それでも、祖父の正義に寄り添いたかったその気持ち、その無念だけは、理解できる。……それなのに今、リベロが悪事を働こうとしている。曲がりなりにも平和であったこの国をめちゃくちゃな理屈で脅かし、破壊しようとしているのだ。何としても止めなければならない)
     エヴァは手帳を懐にしまい、小銃を背負って、屋敷を後にした。
    (私が止めてみせる。私こそが――最後のダークナイトなのだから)

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    緑綺星・宿命譚 1

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第69話。
    自分自身へのミッション。

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    1.
     3年前、エヴァの兄リベロ・アドラーも家の期待を背負い、騎士団試験に臨んでいた。しかし――周囲にとっても、そして恐らくはリベロ本人にとっても――極めて残念なことに、リベロはその期待に応えられるだけの資質・能力を持ち合わせていなかった。結果としてリベロは試験に落第し、その翌日から屋敷の地下に軟禁された。「一族の面汚しを外に出すわけにはいかない」とする、家長ジョゼの命令である。
     だが軟禁されて数日後、リベロは家を抜け出した。以降の足取りは、ようとして知れなかったのだが――。



    「再びその顔を見たのが、今朝の臨時ニュースだったと言うわけさ」
     エヴァは武装ヘリの中で、今朝に至るまでの経緯をラモンに話していた。
    「アドラー家って言うのを聞いたことないんですが、でも聞く限りだと、すごいハードな家庭環境なんですね」
    「そこそこの家柄と思っていたんだが……まあ、そんなものか」
    「あ、いや、僕は元々こっちの人間じゃないんで。央中の方なんです」
    「それでか。……まあ、君の言う通り、かなり変わった家庭環境であったことは否めない。物心付いた時には両親がいなかったし、かと言って祖父が世話してくれたと言う記憶も無い。騎士団に入るまで、私と兄は屋敷の人間に育てられていた」
    「それは……うーん……何と言うか、寂しいですね」
    「そうなのかな……? 学校の友人や屋敷を訪ねてきた人間からも何度か同じようなことを言われたが、正直ピンと来ない。私にとってはそれが普通の環境、基準の環境だったからな」
     いつの間にかヘリは難民特区を離れ、眼下には1世紀に渡る戦争ですっかり荒廃した、白猫党領とトラス王国の国境の景色が広がっている。
    「そう言えば一度、祖父にこんなことを言われたな。『アドラー家の黒き宿命を背負え』と」
    「黒き宿命?」
    「何を意味するのかは分からない。だがその時の祖父は、どこか寂しそうな、あきらめたような顔をしていた。今にして思えば、こうした事態に見舞われる可能性を示唆していたのかも知れないな。……っと、気を付けろ。白猫党領に近付きすぎると、対空砲で撃ち落とされる可能性がある」
    「承知してます。ただ、もしされたとしても、このヘリには回転連射砲とミサイルが積んでありますからね。返り討ちにできます」
    「やめてくれ」
     エヴァは肩をすくめて返し、進行方向を指差した。
    「一刻も早く共和国に行きたいんだ。余計な戦闘は避けたい。それにそもそも武装ヘリ用ミサイル1発辺り、数十万エルの値段が付くんだぞ」
    「それも承知してます。流石に庶民が使うにはもったいないです。温存しますよ」
     こんな風にとりとめのない会話をとぎれとぎれに続けている間に、二人はリモード共和国に到着した。

     ヘリは共和国首都ニューペルシェの郊外で、地表ギリギリまで高度を下げる。
    「私が降りたら、すぐここを離れろ。迎えは考えなくていい」
    「ありがたいです。それじゃ、……お気を付けて」
    「ああ」
     エヴァは装備を担ぎ、地面に降り立つ。直後、ヘリはエヴァが指示した通りに上昇し、あっと言う間に彼女の視界から消えた。
    (さて、と。私の人生で最も困難なミッションになりそうだな。……いや、これは『ミッション(指令)』なんかじゃ――誰かに指示されてやらされるようなことじゃない。私が自分で決断し、実行するんだ)
     エヴァは小銃を構え、ニューペルシェ市街に向かって歩き出した。
    (まずどこへ向かう? 単純に考えるのであれば大統領官邸だ。この国を奪取せんとする奴らなら、そこを襲う。当然、リベロもそこにいるだろう)
     エヴァは大統領官邸へではなく、自分の生まれ育った屋敷へと向かう。
    (そもそもこの非常事態に軍と祖父が動いていないはずが無い。確実に今、動いているはずだ。それなら私が向かうべきは大統領官邸か軍本司令部、あるいは騎士団本部のいずれかになる。……アドラー家の事情を知らぬ者ならそう考えるだろう。だが私はアドラー家の一員だ。祖父の行動も理解できている)
     街のあちこちで、ARRDKの一員らしき兵士たちが軍用トラックで巡回していたが、エヴァは彼らに気付かれることなく、自分の生家であった屋敷に到着した。
    (確信するが――祖父はきっと、ここにいる)

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    緑綺星・奇襲譚 8

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第68話。
    奇妙な符合。

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    8.
     合流したラモンに、エヴァは駐車場のヘリを指し示す。
    「あれは操縦できるか?」
    「は?」
     目を丸くするも、ラモンはこくりとうなずいた。
    「まあ、できなくはないですが」
    「あれならリモード共和国まで1時間くらいで行ける。いますぐ調達できる移動手段としては、あれ以上は無いだろう」
    エヴァの言葉に、ラモンの猫耳がびくんと跳ねる。
    「リモード共和国ですって!? あんたこないだそこから逃げて来たとこじゃないですか! しかも今朝方クーデターもあって……」「だから行くんだ」
     そう返しつつ、エヴァはラモンの肩を叩く。
    「それにあれはジェットヘリだ。1機3千万コノンはする代物だ。売るところで売れば、高級車が新車で3台は買えるくらいにはなる」
    「さっ、3千万!」
     カネの話をした途端、ラモンの目の色が変わった。
    「私をリモード共和国まで送ってくれれば、あのヘリは好きにしていい。売るなりバラすなり、君の勝手にしていいぞ」
    「う、うーん……でも危険なのは嫌ですよ。クーデターの真っ最中のとこに飛び込むのはちょっと……」
    「攻撃されているのは首都市街地だ。郊外に降ろしてくれれば安全だ。後は自力で行く。一回送り届けるだけで3千万なんだ。これ以上無いボロ儲けだろう?」
    「うーん……」
     ラモンは渋い顔をしていたが、やがて決心した顔でうなずいた。
    「……分かりました、やりましょう! 3千万のためならラモン・ミリアン、陸へ海へ空へですよ!」
    「ありがとう。よろしく頼む」
    「了解です。じゃ、給油だとか機器点検とかしないといけないので、30分待ってもらっていいですか?」
    「分かった。こちらもその間に戦闘準備をしておこう」

     気絶したままの兵士たちとコンテナから武器・弾薬をかき集め、エヴァは完全武装を整える。その間にラモンの準備も終わったらしく、駐車場からヘリのローター音が聞こえてきた。
    《準備完了です。いつでも行けますよ》
     ヘリに積んであった通信機も鹵獲しており、エヴァの狼耳にラモンの声が届く。
    「了解。まもなく向かう。……いや」
     と、コンテナに収められていた武器の中からテーザー銃を見つけたところで、エヴァは手を止めた。
    「ラモン、昨晩のセーフエリアでの騒ぎを聞いてるか?」
    《セーフエリアの? なんかヘリが襲ってきたとか何とかって……》
    「君が乗っているそのヘリのローター音、わたしには聞き覚えがあるんだ」
     エヴァは昨晩から奪ったままのテーザー銃と、コンテナ内に収められていたものとを見比べ、それが紛れもなく同型機であることを確認する。
    「私は昨晩、セーフエリアにいた。襲撃にも居合わせている。その時のヘリと、今君が乗っているヘリは、どうやら同一の機体らしい」
    《へ? ……ってことは、白猫党の奴らがセーフエリアを襲ったってことですか?》
    「そうなる」
     まだ横たわっている兵士たちの体をもう一度調べ、そのうちの一人に樹状の傷が2ヶ所走っていることを確認する。
    「兵士たちの中に、電紋(でんもん:電気が体を通ったことで生じる傷跡)が2つ付いてる奴がいる。だがさっき無力化した時には、1人に対してそれぞれ1回ずつしか使ってないんだ。それなのに2ヶ所あるってことは、今より前にもう一回――それもごく最近――電撃を食らってたってことになる。そして昨晩、わたしはセーフエリアを襲った兵士を一人、テーザー銃で気絶させているんだ」
    《つまりそいつらがゆうべ襲ってきた奴だ、……ってことになりますね。でも何で……?》
    「……それは分からない。ともかく時間が無い。すぐ行こう」
    《了解です》
     エヴァは弾薬を詰め込んだバッグを抱え、ヘリに乗り込んだ。

    緑綺星・奇襲譚 終

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    緑綺星・奇襲譚 7

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第67話。
    拠点制圧。

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    7.
     ラモンに案内され、エヴァは工場跡らしき建物の裏手に到着した。
    「連中はこの中で生活してます。半月に1回くらいでトラックも来るんで、結構忙しくしてるみたいですよ」
    「忙しく、か」
     建物の窓から中をうかがおうとしたが、廃屋に似合わない真新しい軍用コンテナに視界が阻まれる。
    「確かに何かの拠点らしいな」
    「たまーに盗みに入ろうとする奴がいるみたいですけど、成功したって自慢してる奴は一人も出てこないんで、ほぼほぼ返り討ちに遭ってるんでしょうね。でも元特殊部隊のエヴァさんなら……」「何度も言うな。気絶させるぞ」
     エヴァは建物を見上げ、壁の硬さを確かめて、侵入ルートを検討する。
    (鉄筋製のせいか、案外しっかりしている。2階の窓は板が打ち付けられている。あそこから侵入はできそうにないな。とは言え……)
     エヴァは数歩下がり、視界にいたラモンに指示する。
    「10分経って私から合図が無ければ、失敗したと思っていい。その時はそのままここから離れろ」
    「了解です」
     ラモンが数歩引いたところで、エヴァは2階部分まで壁を駆け上がり、窓に打ち付けられた板の、わずかな段差をつかんで自分の体を引き上げ、屋上までよじ登っていく。その様子を眺めていたラモンは、ぼそっとこうつぶやいていた。
    「アルトさんもバケモノじみてるけど……エヴァさんも相当バケモノだよなぁ」

     屋上に上がったところでまず、エヴァは敷地内の様子を探る。
    (表側は元々駐車場と、貨物の積み下ろし場所になっていたらしいな。……あのヘリで人を運んでいるんだろうか)
     駐車場跡には大量の軍用コンテナが置かれ、武装ヘリが停まっていた。
    (流石にここから地上に降りるわけにはいかないな。目立ちすぎるし、そもそも危険だ)
     と、屋上の端が大きく崩れているのを見つけ、エヴァは首を突っ込んでみる。
    (ここからなら侵入できそうだ)
     罠が無いか探るが、それらしいものは見当たらない。
    (そもそもこんなところから侵入しようと言う奴が、難民特区にいるとは思えない。相手もそう考えているんだろう)
     危険が無いことを確認して侵入し、そのまま部屋の外に出る。
    「……で……に……」
    「……いつ……」
     元々が工場だったせいか、部屋の外の廊下は吹き抜けとつながっており、1階の様子が見下ろせる。その中央に集まっている者たちが、机に武器と近隣の地図とを置いて何か話し込んでおり、階上のエヴァに気付いている様子は見られない。
    (全部で6人――お決まりのハーミット式班編成、ドライバー2名と実働班4名。偉そうに地図を叩いてるあいつがリーダーだろう。その右横でうんうんうなずいてるのがドライバー、その反対にいるのがコドラ(副運転手)と言うところか。向かい側にいるのが残りの実働班3名だな)
     一旦部屋に戻り、エヴァは思案を巡らせる。
    (どうやって全員倒す? こっちの手持ちは拳銃とテーザー銃が1挺ずつだ。廊下からじゃテーザー銃は届かないし、拳銃弾も威力が落ちる。廊下から飛び降りて肉弾戦と言うのもナシだ。1対6は流石に厳しいからな。さて、他に方法は……?)
     と、こちらの部屋にも小さい軍用コンテナがいくつか置かれているのに気付く。
    (中身は糧食と日用品か。こっちは……?)
     コンテナをいくつか開け、その中に拘束・鎮圧用の武器が入っているのを見付けて、エヴァはため息をつく。
    (なるほど、確かにあいつらは人さらいらしい。……それなら多少手荒にやっても、良心はさほど傷まないな)
     エヴァはコンテナの中から投網射出器を取り出し、迷いなく階下に向けて発射した。
    「それでは、……うわっ!?」
    「な、なんだ!?」
     机上の地図に気を取られていた6人は、あっさり網に絡め取られる。すかさずエヴァは1階に降り、テーザー銃を撃ち込む。
    「はがががが……」
    「あぎぎぎぎ……」
     侵入から5分もしないうちに、相手はあっさり無力化された。

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    緑綺星・奇襲譚 6

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第66話。
    無法地帯の儲け話。

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    6.
    「どうしたんですか、こんなところで? ……あ、そんなに警戒しないでいいです」
     ラモンはそう続け、腰のテーザー銃――結局あの晩に鹵獲した後、ずっと携行していた――に手を伸ばしたエヴァに落ち着くよう促す。
    「アルトさんならもうこの街にいません」
    「そうなのか?」
    「なんか結構大きい仕事頼まれたらしいです。書き置きだけ残ってました」
    「……随分あっさりしたものだな」
    「僕とアルトさんの関係なんてそんなもんですよ。仕事で僕の手を借りたいって時だけ、連絡が来るくらいの。……それに分かるでしょ? あの人、結構めんどくさい人なんですよ」
    「それは分かるな」
    「あの人と一緒にいられるのなんて、1週間か2週間がギリギリ限界です。それ以上は僕も無理です。……って、そんなことよりエヴァさん、こんなところで何してるんですか? クルマ買おうとしてるんですか、もしかして」
    「そのつもりだったが……」
     エヴァの返事を聞いて、ラモンはぱたぱたと手を振る。
    「こんなところで買うもんじゃないですよ。ここで売ってるのはクルマとは名ばかりの、ただの鉄クズですもん。と言うか、この街でまともなものは市場には出回ってないです」
    「やはりそうだろうな……うん?」
     ラモンの言葉に引っかかるものを感じ、エヴァは突っ込んでみる。
    「市場には、と言うのは?」
    「軍の非正規部隊とか犯罪組織とかのアジトが、この難民特区のあっちこっちにゴロゴロあるんですよ。その辺りなら多少はまともなものが揃ってます」
    「そうなのか? てっきりどこの国からも見放された土地、と思っていたが……」
    「『人』を手に入れるにはめちゃくちゃ都合のいい場所ですからね。ある日突然10人、20人消えたって誰も何とも思わないですし、通報とか逮捕とかもありませんからね」
    「ゾッとする話だな」
    「……あ、そうか」
     と、ラモンがニヤッとズル賢そうな笑みを浮かべる。
    「エヴァさんって元特殊部隊の人ですよね?」
    「うん? ああ、まあな」
    「モノは相談なんですけどね」
     そう前置きし、ラモンは付いてくるようエヴァに促した。

     市場を離れ、荒れた往来を歩きながら、ラモンは話を切り出した。
    「さっき言った非正規部隊の拠点がこの近くにあるんです。あの白猫党のとこですね。南側の方です」
    「白猫党だと?」
    「ま、そんな看板があったり本人たちがそう言ってたりってことは無いんですけども、僕もあっちこっち危険なとこを行き来してる身ですから、兵装を見ればピンと来るんですよ」
    「ほう……」
    「で、で、その白猫党の非正規部隊っぽいのが拠点を構えてて、で、色々備蓄してるんですよ。クルマもきっとあります」
    「まさか……それを襲えと言うのか?」
     尋ねたエヴァに、ラモンはにっこり笑って親指を立てる。
    「正解、その通りです! いやー、実はここまで乗ってきたあのバス、いよいよ使い物にならなくなってきちゃいまして。修理用に部品取りできるクルマが無いかって市場を見て回ってたとこだったんですが、もしエヴァさんがクルマを調達してくれたら、いっそそっちの方が手っ取り早いなーって。あ、用事があるなら一回くらいは僕が送迎しますし」
    「いや、しかし、縁もゆかりもない相手を襲うわけには……」
     渋るエヴァに、ラモンはこう返す。
    「ここじゃ日常茶飯事ですって。それに今まで散々縁もゆかりもない人たち襲ってきたんでしょ? もう一回くらいやった、って……あー……」
     エヴァにテーザー銃を突き付けられ、ラモンはようやく黙る。
    「それ以上ふざけたことを言うなら、話はここまでだ」
    「すいません」
     両手を挙げ、謝罪するが、それでもなおラモンは食い下がる。
    「でも実際問題、他に手段無いじゃないですか。それとも他にクルマ手に入れるアテがあったりするんです? って言うかそもそもクルマ買えるおカネ、エヴァさん持ってるんですか?」
    「それは……」
    「綺麗事言って我慢できるような余裕、無いでしょ? 汚いことでも今はやらなきゃ、どうしようもないんですってば」
    「むぐぐぐ……」
     エヴァはテーザー銃を構えたまま逡巡していたが、やがて折れた。
    「……仮にだ。仮に私たちがその拠点を通りがかって、何かしら犯罪の証拠、あるいは犯罪準備の証拠を見つけたとしたら、その時はだ、その時は、人道上、道義上でだな、適切な対応をしてもよい、はず、だ」
    「つまり『因縁付けられそうなとこがあったら襲っちゃっても問題無いよね』って言いたいんですね?」
    「は、はっきり言うな!」
    「言い訳はその辺でいいですから――つまりやってくれるんですね?」
    「……やるしかあるまい。……ただ、……本当に何もやましいところが無い連中だったら、流石に襲わないぞ」
    「本当にやましいところが一欠片も無かったとしたら、それでいいですよ。じゃ決まりですね」

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    緑綺星・奇襲譚 5

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第65話。
    罪と報復。

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    5.
    「エクスプローラ社の役員から直々に、お前にお達しがあった」
     正午少し前、シュウは苦い顔をしたカニートに呼び出され、二人きりで話していた。
    「『弊社のインターン生がビデオクラウドにて政治的主張を主旨とする動画を配信していたとの情報をつかみ、我々役員会で当該動画を視聴した結果、前述のインターン生、シュウ・メイスンと思しき名前が公表されていることを確認した。弊社はあくまでも公平かつ公正を期すべき社会の公器であり、弊社、もしくは弊社に関係する人間が特定の政権、政党、政治結社、およびその他の政治団体に類する組織へ加担する行為は、決して容認してはならない。ついては該当のインターン生に事実確認を行うこととし、もし前述の内容に相違が無いものであれば、相応の処置を講ずる』とのことだ」
    「そ、『相応の措置』って……」
    「まず間違いなくクビ、……いや、インターンだから語弊があるな。まあ、服務規程上の違約があるとして、大学への損害賠償が行われるだろう。良くて単位取り消し、悪くて退学だろうな」
    「そ、そんなぁ~……」
     顔を真っ青にするシュウに、カニートが畳み掛ける。
    「そんなじゃないだろ。こうなることは容易に予想できたはずだ」
    「でも、だって、わたしが自分の名前出したワケじゃ……」
    「例えあの動画で名前が出なかったとしても、世間は調べる。そして投稿者がお前だってことに、いずれは行き着いただろう。結果は一緒だ。ともかく、お前がやったことはお前の予想以上に責任が重かった。もう他人に責任なすりつけてる場合じゃない。素直に自分の罪を認めるしかないな」
    「『罪』って……何が罪なんですか?」
     シュウはべそをかきながら、そう尋ねた。
    「わたしは友達のためにやったんですよ。このままじゃ友達が危険にさらされるから、その対抗措置として。正当防衛でしょ、ソレなら?」
    「俺に言い訳したって仕方ない。……この件はもう、俺にどうこうできる状況じゃない。むしろ俺も、お前に対する監督責任を問われるだろう」
     カニートはシュウに背を向け、こう言い捨てた。
    「お前には心底がっかりした。もっと慎重な奴だと思ってたんだがな。正直、もう顔も見たくない」
    「……っ」
     それ以上何も言えず、シュウはぐすぐすと泣きながら部屋を後にし、自分の部屋に戻った。
    「エヴァ、ひっく、ごめん、わたし……」
     が――部屋の中には、誰もいなかった。

     クーデターの声明動画を観た直後、エヴァはたまらず、セーフエリアの外に飛び出していた。
    (なにが『我が妹のために』だ、あのクズめッ!)
     心の中には羞恥心と――そして何故か――義憤が湧き上がっていた。
    (あいつに利用されたことが悔しくてたまらない。その上、それを口実に共和国を襲うだなど、許されることじゃない。……国を捨てたつもりだったが、実際に襲われたとあっては、立ち上がらないわけにはいかない。ましてやあんなふざけた理屈で攻め込んでいいわけがない。
     どうにかして国に戻り、リベロの蛮行を止めなければ!)
     移動手段を確保するため、あの蚤の市に足を運んだものの――。
    (……やはりまともなものは無いか)
     中古車を一通り見て回ったが、どれも走行能力がありそうには見えず、エヴァは頭を抱えた。
    (となると徒歩で? いや、不可能だ。直線距離でも、共和国まで300キロ近くあるんだぞ? 仮に踏破したとしても、リベロの侵攻を止めるには絶対に間に合わない。何としても車を入手しなければ……)
     と――背後から唐突に、声が掛けられた。
    「あれ? エヴァさん?」
    「……!?」
     振り向くと、そこにはあの「猫」のドライバー、ラモンの姿があった。

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    緑綺星・奇襲譚 4

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第64話。
    臨時ニュース。

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    4.
     セーフエリア強襲と、そしてエヴァの訴えが配信されたその翌日、午前8時少し前――。
    「ふあ~ぁ……全然伸びてないね、再生数。37回だって」
    「……そうか」
     意を決して執った行動が功を奏しておらず、エヴァはがっかりしていた。
    「だが一応の牽制にはなっただろう。この動画が世に出回った今、奴らが襲ってきたら、わたしの主張を認めたも同然に……」「あ、8時になったよ。食堂開くから、一緒にご飯食べに行こ」「……ああ」
     あまり頓着していない様子で、スマホを手にベッドから立ち上がるシュウを見て、エヴァは憤りかけたが――。
    (……落ち着け、エヴァンジェリン。そんなの、ただの八つ当たりだろう? シュウはやれることをやってくれたんだ)
     自分に何度も言い聞かせ、エヴァも部屋を後にする。そのままシュウに付いて行く形で廊下を進んでいたが、一向に自分の心の整理は付かない。
    「あれから眠れたのか?」
    「うん、ぐっすり」
     黙って歩くのも変に思い、会話らしいものを試みてはみるが、何を話しても自分の感情の上を滑っていく。
    「エヴァは眠れなかったみたいだね。なんかぼんやりしてる」
    「ああ……まあ、いつものことだ」
     そうこうする内に食堂に着き、シュウがコーヒーメーカーを指差す。
    「ブラックにする? ミルク入れる? 砂糖いくつ?」
    「……カフェイン、苦手なんだ。コーヒー以外が飲みたい」
    「あ、そうなんだー」
     のんきそうに応じるシュウに、エヴァの苛立ちが再燃する。
    「前に言ったと思うんだけどな」
    「そうだっけ? ごめんごめん、ソレで飲み物……」「それで!?」
     苛立ちを抑えきれず、エヴァは思わず声を荒げる。シュウと、そして周囲の視線が自分に集中し、エヴァの頭がようやく冷めるが、シュウは猫耳を毛羽立たせたまま、固まっている。
    「え、っと……、ごめん。そんなに怒るなんて思ってなかったの、ホントにごめん」
    「い、いや、済まない。あんまり眠れてないから、……あの、ほら、寝ぼけたんだ、ちょっと」
    「……うん。そっか、うん」
     深々と頭を下げ、謝罪したものの、シュウの声には明らかに、怯えた色が混じっていた。

     その時だった。
    《臨時ニュースが入りました》
     一瞬前まで海水浴場の様子を映していたテレビが、緊張した面持ちのニュースキャスターのバストアップに切り替わる。
    《本日早朝、央北リモード共和国にて大規模な軍事衝突が発生した模様です。繰り返します。本日早朝、央北リモード共和国にて……》
    「……!?」
     さっきまでの気まずい空気が吹き飛び、シュウとエヴァは顔を見合わせた。
    「今、リモード共和国って……?」
    「あ、ああ。確かにそう言った」
     テレビにはかなり遠くから街の様子を撮影したらしい映像が映っており、もうもうと黒煙が上がっているのが確認できた。
    《外務省によりますと、現在、リモード共和国大統領府からの返答は得られておらず、現段階で詳細は不明との、……え? ……今? 今来たの?》
     と、右下のワイプに映されていたキャスターが戸惑った表情を浮かべ、そしてまた、テレビ全面に彼の顔が映し出された。
    《えー……、たった今、たった今です、たった今現在、リモード共和国を侵攻していると、えー、侵攻していると自称して、えー、発表している人物からの、えー、声明がですね、当局にメールにて送られてきたとのことです。……映像出せる? ……よし、……えー、これから、その映像をですね、再生いたします。えー、……お願いします》
     しどろもどろながらもキャスターが指示し、映像が切り替わった。



    《私は反リモード共和国、及び反アドラー近衛騎士団組織、通称『ARRDK』の総長、リベロ・アドラーだ。
     我々はリモード共和国が密かに行ってきた蛮行・悪行の数々を明らかにし、そして正義の名の元にこれを糺(ただ)すべく活動を行っていた。そして昨晩、私の妹エヴァンジェリン・アドラーが先んじてネット上に動画を公開し、王国の、そして騎士団の非道を詳(つまび)らかにしてくれた。この動画で訴えられていたことはすべて真実である。この妹の勇気に報いるべく、そして妹をこれ以上の危険にさらさざるべく、我々は只今を以て蹶起(けっき)することとした。
     我が妹のため、リモード共和国人民のため、そして平和のために、これより一両日以内に騎士団を壊滅させ、そして騎士団を操り長年に渡って不正に富と権力を築いてきたリモード共和国を制圧する。以上だ》




     テレビ画面がまた、先程のキャスターを映していたが、エヴァもシュウももう、そちらを見てはいなかった。
    「い……今のって? あの人、誰?」
    「……あ、兄、……だ」
     何が起こっていたのかまるで理解できず、エヴァは呆然としていた。と――シュウのスマホから、ぺこん、ぺこんと立て続けに通知音が鳴る。
    「ひぇっ……」
     シュウが怯えた声を上げ、スマホを机に投げる。その画面は、昨夜の動画の再生回数が一定数を超えたことを示す通知と、その動画に寄せられたコメントの転送通知でいっぱいになっていた。そしてこの後も通知音は鳴り続け――朝8時前までの時点でたった37回だった再生回数は、正午を迎えるまでに100万回を突破してしまった。

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    緑綺星・奇襲譚 3

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第63話。
    メイスンリポート#1;エヴァンジェリン・アドラー嬢の告発!

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    3.
    「積極的な? ……どーゆーコト?」
     きょとんとするシュウに、エヴァはこう返した。
    「襲う理由は一つしか無い。私に共和国の内情を語られてはまずいからだ。なら、先んじて公表してしまえばいい。その後で襲ってきたところで、もう手遅れだからな」
    「つまり今すぐ報道しろってことか。確かに効果はあるかもな」
     カニートはそう返しつつも、依然として渋い表情を崩さない。
    「だが何度も言うが、俺たちは政治面担当でもなければ、三流ゴシップ誌の記者でもない。確定できてない、裏も取れてない不確かな情報を、エクスプローラ社の名前で安易に広めるわけには行かないんだ。そもそも強襲の件にしたって、本当に君を狙ってのことかは定かじゃない。君が目的だと言うのは君の先入観、主観上での話でしかない。そんなあやふやな根拠で報じようったって、社の上層部は絶対に許可しないだろう」
    「明らかだろう!? それともただの偶然だと言うのか!?」
    「落ち着いてくれ」
     猛るエヴァに、カニートは堅い態度を示す。
    「現段階で確定している情報は、ここが正体不明の人間に襲われたと言う事実だけだ。それに関する君の意見も、そして君の持って来た情報も、結局は君一人の主張でしかない。客観的に確かな情報であると断定できない限り、俺たちはそれを世に広めることはできない。それがまともな会社、社会の公器ってやつだ。この回答で納得できないなら、他の出版社に掛け合ってみてくれ」
    「ぐっ……」
     整然としたことばではっきりと却下されてしまい、エヴァはうめくしかなかった。

     それ以上何もできず、エヴァとシュウはすごすごと部屋に戻った。
    「くそっ……! このまま座して襲われるのを待てって言うのか!?」
     エヴァががつん、と苛立たしげにテーブルを叩き、猛っている一方で、シュウは一旦ドアを開け、廊下の様子を確かめて、しっかり施錠して戻って来た。
    「ねえ、エヴァ」
    「何だ!?」
    「落ち着いて落ち着いて。あのね、先輩はああ言ってたけど、わたし、やっぱりエヴァに賛成だなって」
    「え?」
    「だからさ、『今すぐ』みんなに伝えてみたらどうかなって」
     シュウの言っていることが分からず、エヴァは首をかしげる。
    「今……すぐ?」
    「うん。今すぐ、コレで」
     そう返し、シュウはスマホをエヴァに向けた。



     こんばんは。えっと、初投稿です。ので。あの、聞きづらいトコがあるかも知れませんが、あの、よろしくお願いします。えーとですね、わたし、えーと、わたしの友達のエヴァンジェリン・アドラーさんが、今すぐに、全世界にお伝えしたいコトがあるってコトなので、いま、大急ぎで撮ってます。……じゃあ、エヴァ、えーと、……どうぞっ!
    《私はエヴァンジェリン・アドラー。4日前まで央北リモード共和国のアドラー近衛騎士団、『ダークナイト』の一員だった。これまでシュウの取材を……》ちょっ、あの、名前! コレ生配信! わたしの名前出しちゃ……《ん? ……あっ》……いいか、もう。はい、今この動画を撮ってるわたしがシュウです。じゃあ、はい、続きどうぞ。《あ、ああ。すまない。……コホン。これまで彼女の取材を受け、一般には私が単なるお嬢様でしかないと認識されていると思う。そして実家のアドラー家も、なんてことのない地方の名家であるとも。
     しかし実態はそうではない。アドラー家も、そしてダークナイトも、およそまともな、良識ある国家としてやってはならない悪事に手を染めているのだ。アドラー家はダークナイトを諜報機関として指揮しており、近隣諸国の裏事情を探り、闇取引を繰り返している。のみならず、ダークナイトを使って白猫党領からの難民を排除している。具体的に言えば、無断で白猫党領へ侵犯し、自国に渡ろうとしている難民を射殺しているのだ。そして私も、それに加担させられていた。事実を知らされないままに、だ。
     無論、今更私に罪はないなどとごまかすつもりは無い。私が犯してしまった罪は消えない。私はこの手で多くの人々を、……殺してしまったのだ。それが事実だ。その罪滅ぼしなどと言ってはおこがましいことだが、それでも、この非道を見て見ぬ振りなどできはしない!
     この放送を観ているすべての人へ、私ははっきりと伝える。リモード共和国は奇跡の国なんかじゃない。薄汚い悪事に手を染める、ならず者国家だ!》
     ……えーと、とのコトです。彼女は本日、トラス王国に身柄を保護されましたが、同じ日に、何者かからの襲撃を受けました。幸い彼女の身に危害が及ぶコトはありませんでしたが、コレは彼女の話が真実であるコトを示す、何よりの証拠です。
     どうか彼女がさらなる危険にさらされるコトが無いよう、いえ、さらなる悪事に加担させられるコトが無いよう、真実を広めて下さい。わたしからは、以上です。ありがとうございました。

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    緑綺星・奇襲譚 2

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第62話。
    偶然の撮影記録。

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    2.
     セーフエリア内を周り、他の敵を探している間に、どうやらトラス側の態勢も整ってきたらしく、廊下の電気が一斉に点く。
    「止まれ!」
     兵士たちが4人一組で現れ、エヴァに声をかける。
    「怪しい者じゃない。本日、ここに護送されたエヴァンジェリン・アドラーだ」
     素直にテーザー銃を床に捨て、両手と尻尾を挙げたエヴァに、兵士たちはほっとした様子を見せる。
    「そう……だな。確かに夕方くらいに見た顔だ」
    「ここで何をしてるんだ? その武器は?」
    「強襲されている気配を察知し、安全を確保すべく付近を探っていた。その際に接敵し、相手を無力化した。このテーザー銃はその際に相手から鹵獲(ろかく:敵の武器・物資を奪うこと)したものだ」
    「勝手に動かれては困る」
     そう前置きしつつも、班のリーダーらしき猫獣人が敬礼する。
    「しかし緊急事態に手助けしてくれるのは多少なりとも助かる。で、その倒した相手は? 死んでるのか?」
    「いや、気絶に留めた。こっちだ」
     来た道を引き返し、敵が倒れていた場所まで戻るが――。
    「どこだ?」
    「いない。……逃げられたらしい」
    「気絶させたのにか?」
    「させたはずだったんだが……仲間に助けられたか」
    「本当に敵だったのか? 我々を誤認して攻撃した可能性は無いのか?」
     猫獣人に尋ねられ、エヴァは首にかけていたカメラを起動した。
    「閃光弾のつもりでフラッシュを浴びせたが、その際に撮っていたはずだ。確認してくれ」
    「ふむ」
     カメラの映像を確認し、猫獣人は小さくうなずいた。
    「確かに我々の仲間じゃなさそうだ。装備が違うし、そもそも警戒態勢時は4人で行動するのが原則だ。1人でうろうろするようなことはしないよう、徹底している」
    「殺傷能力のある武器は装備していなかったが、一方でテーザー銃と結束バンドを所持していた。ただ騒ぎを起こすだけなら侵入までする理由は無いし、装備の内容からしても、ここにいる誰かを連れ去るのが目的だろう」
    「今判断するのは性急な気もするが、……まあ、そんなところだろう」
     猫獣人はエヴァに顔を向け、続いて尋ねる。
    「現在このセーフエリアにいるのは――我々トラス王国軍の兵士を除けば――取材目的の民間人2名。そして地質調査に来た央南人。それから君だ。この中で狙われる可能性が最も高いのは……」
    「恐らく私だろう」
     そう答えたところで、猫獣人はふう、とため息をついた。
    「それが分かっているなら、うかつな行動は控えてほしいものだが」
    「部屋の中じゃ逃げ場が無いだろう? それより打って出た方が打開の可能性がある」
    「道理と言うべきか、屁理屈と言うべきか。まあいい。ここからは我々と同行して……」
     と――頭上でずっと聞こえていたヘリの音が動き出すのを感じ、エヴァも兵士たちも、上を見上げた。
    「遠ざかっていく……」
    「……逃げた?」
     その後セーフエリア内がくまなく捜査され、人的・物的被害が0であったことはすぐに判明したものの、襲ってきた者たちの正体も、そしてその目的も、究明することはできなかった。

    「その時撮った相手がこいつか」
     安全が確保された後、まだ寝ぼけ眼のシュウと、そしてまだ起きていたカニートを交え、エヴァが撮った写真を確認することになったが――。
    「はっきり撮れちゃいるが、顔は暗視ゴーグルで覆われてるからさっぱり分からん。前からの写真だから尻尾は写ってないが、穴の無い帽子被ってるから多分裸耳系だろう。徽章やワッペンみたいなのも無いし、戦闘服の感じ……なんて言っても、俺は軍事ジャーナリストでもミリオタでもないから、どこの誰だなんてことも分からん。装備に関しても同様だ。つまり結論としては、この写真からは何も分からないってことだ」
    「……ですねー」
     渋い顔で固まっている二人に、エヴァは自分の考えを話す。
    「私がここに来たその日の晩に強襲してきたことを考えると、恐らく私を拘束し、連れ戻そうとしているんだろう。だがもちろん、私は戻るつもりは無い」
    「明日、明後日には護送されるとは思うが……」
    「また強襲される危険もある。いや、そもそも王国内に入った後でも、襲われるかも知れない。もっと積極的な対策を講じたい」

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    緑綺星・奇襲譚 1

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第61話。
    真夜中の襲撃。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     眠っていたはずなのにすっかりくたびれ切ってしまい、エヴァはもそもそとベッドから這い出した。
    (なんて悪夢だ……)
     ブラインドが下りた窓に目をやるが、一筋の光も差していない。
    (9時前に寝てしまったが、……どれくらい寝られただろう? 3時か、4時か……)
     そう思って部屋の中にあったデジタル時計を見ると、3時どころか、まだ日をまたいでさえいない。
    (たった2時間だと言うのに、この疲労感か。……いや、睡眠時間として考えたら、たった2時間で疲れが取れるものか)
    「う~ん……?」
     と、シュウも上半身を起こし、あくび混じりに尋ねてくる。
    「ふあぁ……どしたの~……?」
    「あ、ごめん。いや、変な夢を見てしまって」
    「そっか~……大変だったんだもんね~……でも……うにゅ~……寝ないと辛いよ~……?」
    「うん、そうだな。……ごめん、起こしちゃって」
    「……むにゅ……むにゃ……」
     話している間に、シュウはまた眠ってしまったらしい。
    (本当に寝つきがいいな。私もいい加減、しっかり寝よう。今度はトッドレールが出ても、相手なんか絶対しないぞ。……と言うかどうせ見るならシュウの夢の方が百倍いい)
     ふう、とため息を一つつき、エヴァはもう一度ベッドに入り直そうとした。

     と――エヴァの狼耳が、ばばばば……、と風切り音が遠くから迫ってきているのを聞きつける。
    (ヘリ……? 特区の上を飛んでるのか)
     そのまま聞き流しかけたが、違和感が襲ってくる。
    (……こんな夜中に? 撮影目的じゃないだろう。特区の上じゃ、灯りもほとんど見えないし。医療用や災害救助用でもないだろう。特区を見放してる王国が、こんなところまで飛ばすはずが無い。もしこのセーフエリア内で急病人が出て、その搬送が目的だと言うなら、外で兵士やスタッフが待機しているはずだが、それらしい気配は無い。……だとすると、あれは一体?)
     考えを巡らせている間に、ヘリの音は段々と近付き、真上で止まる。
    (上にいる……。じゃあやはり病人の搬送か?)
     が、そうでないらしいことはこの直後に判明した。カン、カンと硬いものがコンクリートに当たる音が、立て続けに天井から聞こえてきたからだ。
    (なんだ? ……まさか!?)
     察知した瞬間、エヴァは反射的に狼耳を押さえ、がばっとしゃがみ込む。と同時に窓の外からけたたましい爆発音と、おびただしい量の光が差し込んで来る。
    「うわあああ……っ!?」
    「ぐ、ぐれっ、グレネード! グレネード!」
    「き、緊急っ……!」
     外から兵士のものらしい声が聞こえてくるが、先程大量に降り注いだスタングレネード(閃光手榴弾)のためか、いずれも朦朧(もうろう)とした様子である。
    (……敵襲!?)
     一方エヴァは、屋内にいたこともあり、加えて襲撃直前に防御姿勢を取っていたこともあって、まったくダメージを受けずに済む。
    (一体何者だ!? 何の目的で!? ……いや、もう答えは出ているようなものだ)
     まだ悲鳴が続く外の様子を伺いながら、エヴァは――結局洗濯した後、きちっと畳んで机の上に置いていた――戦闘服を着込む。
    (私がここに来たその日の晩に襲撃してきたんだ。私以外が標的であるわけが無い。となれば敵は明白。騎士団の追手に違いない)
     部屋を見回し、武器になりそうなものを探すが、やはりパイプ椅子くらいしか無い。
    (流石に取り回しがしづらい。素手の方がマシだ。……ん?)
     と、机にシュウのカメラが置いてあるのを見付ける。
    (……これは使えそうだな。ちょっと借りるぞ、シュウ)

     そっとドアを開け、廊下の様子を伺う。
    (まだ屋内には侵入されてないようだ。……いや)
     耳をすませば、遠くの方で人が倒れる音がしている。
    (だが銃声は無い。堂々と攻め込んで来る奴らがサプレッサー(減音器)付きの銃を使う理由も無いし、恐らくスタンガンかテーザー銃辺りで気絶させているらしい)
     相手の出方を予想しつつ、廊下を進む。と、曲がり角から人が近付いて来るのを察知し、エヴァは手にしていたカメラを構える。
    (間に合わせの閃光弾だ)
     自分の方からさっと角を曲がり、鉢合わせた相手にカメラのフラッシュを浴びせる。
    「ぎゃあっ!?」
     暗視ゴーグルを付けていた敵は武器を落とし、顔を抑えてのたうち回る。
    (暗視ゴーグル付きでフラッシュなんか浴びたら、そりゃそうなるな)
     エヴァはすかさず落ちた武器を拾い、ためらいなく相手に向けて撃つ。
    「あぎぎぎぎ……」
     バチバチと電撃音がし、相手はあっさり気絶してしまった。
    (やっぱりテーザー銃だったか)
     片付けた相手を調べるが、携行している武器はいずれも非致死性のものばかりだった。
    (殺しに来たわけじゃ無さそうだ。拘束用らしい結束バンドも持って来てるし。……当然と言うか、身分が分かるものは無いな。とりあえず放っておこう)
     一応相手の手を縛っておき、エヴァはその場から立ち去った。

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