黄輪雑貨本店 新館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

    「あらすじ」紹介ページ

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    • はじめてこのブログに来たので何から読んでいいかよく分かりません!」と言う方へ。
      当ブログ最大量の長編小説、「双月千年世界」へは、こちらのページから各目次へ飛ぶことができます。
      その他の小説については、一度トップページに戻ってから、右の方にある目次を選んで下さい。

    • 目次は連載順に表示されています。「何が何だか分からないけどとりあえず最初から読んでみたい!」と言う方は、
      一番上の「蒼天剣」から読んでいくことをおすすめします。

    • 久々に来たけどどんな話かすっかり忘れた!」と言う方、
      ざっくり説明聞いてから本編を読んでみたい……」と言う方のために、各部にあらすじを設けています。
      各部(『第1部』とか『第2部』とか)にあらすじへのリンクを張っているので、そこから見てみて下さい。


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    琥珀暁 目次

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「琥珀暁」地図(作成中……)

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    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝 補足1
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    琥珀暁・陥港伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・古砦伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・奔尉伝
    1 2 3 4 5 6 7 8

    琥珀暁・狐傑伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・彼心伝
    1 2 3 4 5 6 7 8 9

    琥珀暁・南都伝
    1 2 3 4 5 6 7 8

    琥珀暁・練兵伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・奪港伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・北報伝
    1 2 3 4 5 6

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    第1部;彼訪伝~邂朋伝
    第2部;狐童伝~金火伝
    第3部;
     前編 陥港伝~狐傑伝
     後編 彼心伝~北報伝

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    イラスト;シュウ(双月千年世界)

    イラスト練習/実践

    今回もイラスト。
    不定期企画「徒然考察」で出したキャラ3人のうち、小鈴エリザのドレス姿を描いたので、
    今回は残り一人、シュウをピックアップ。

    線画版。


    ああ、めったにドレス着ない子なんだなぁ、と言うことが眺めてて分かる図。
    それでも前二人に比べればかなり地味めなフォーマルドレス。

    カラー版。勿論、今回も3色。


    地味な黒。
    耳と尻尾がスノーシューなので、ちょっと暗い場所に居たら分かんないなこれ。



    なので180度輝度転換。チョーカーも髪の色と合わせてみました。
    正直、これが一番可愛い。



    そしていつもの黒と金色緑色
    悪目立ちすること間違い無し。

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    イラスト;エリザ(琥珀暁)

    イラスト練習/実践

    なんかサクサクと創作活動が進む。
    芸術の秋と言うヤツだろうか。
    と言うわけで前回からわずか1週間、立て続けにイラスト掲載です。

    線画版。


    ドレス姿。前回のチャイナに引き続き、衣装替えです。
    となると次回制作予定のシュウもドレスになるのか……?
    やっぱりフォーマルなやつかなぁ。あんまり派手派手しくない感じの。

    服のシワの描き方が今持って良く分かりません。
    とは言え、前回のエリザで頑張ったフリル練習を応用し、
    それっぽい感じのシワを付けることができました。
    ただ、やっぱりまだ得心には至らず、ですが。

    前回の小鈴と合わせて、豊満なお姉さんを立て続けに描きましたが、
    今まで描いた絵の中で、一番魅力的に見えるものができました。
    あくまで「今までの中で」ですが。
    ……5年後くらいには、千単位でめっちゃいいねが付くような、
    魅力的なお姉さんが描けるようになりたいものです。



    カラー版。今回も3色作りました。


    黄色。黄金色。
    彼女らしく、ゴージャスな色に染めてみました。



    一転、清楚系な水色。
    これはこれで似合う。



    シックな緋色。
    これが一番のお気に入りです。

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    イラスト;橘小鈴(蒼天剣)

    イラスト練習/実践

    前回のイラスト掲載から2ヶ月近く空いてしまい、久々の投稿。
    「蒼天剣」より、橘小鈴を再度ピックアップ。

    線画版。


    前回は「ラテン系の人が勘違いしているニッポンの巫女服」と言う感じで描きましたが、
    チャイナ服が描きたくなったので実行に移しました。
    ただ、既存のチャイナ服を眺めてるのと、実際にデザインして描くのとはやっぱり大違いで、
    最後の方までどんなデザインに仕上げるか、かなり迷ってました。
    (あと、今にして思えば、もうちょっと脚を出すポーズにしても良かったなーって)
    とは言え前回より遥かにいい出来なので、現状はこれで満足。
    次回描く時は、もっと脚を色っぽく見せるよう努力するつもりですが。

    カラー版。

    前回のものに寄せた形でカラーリングしました。
    今回は全体的に橘色に染めています。



    が、なんだかチャイナ服を基にしたにしては、どことなく色っぽさが足りない。
    もっとバストやヒップを盛ればいいのだろうか?
    ……否! 色気はサイズじゃない! 雰囲気だッ!
    と言うわけで別パターンでカラーリングしたものがこちら。

    「色気=ピンク」とは安直な考えかも知れませんが、
    実際できたものを見れば、上のものよりも色っぽく見えるから不思議。
    安直と言って敬遠するなかれ、と言うことでしょうか。



    ひとつ色違いを作ってしまうと、もう一つくらい別パターンを作りたくなってくるのが素材屋の悪いクセ
    と言うわけで別の悪いクセも出して作ってしまいました。

    いつもの黄輪自画像風
    ちなみにシニョンと靴も自画像と同様、緑色に塗ってみたんですが、
    かなり気持ち悪い配色になってしまったので、そのバージョンはボツにしました。
    ミントグリーンはちょっと差し色程度にと思って置いてみても、相当存在感が出てしまうようで……。

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    このキャラは現在、不定期企画「双月千年世界 徒然考察」に出演していますが、
    残り2人も描いた上で、そのデザインで3人揃ってテーブルトークしてる絵も描きたいと考えています。
    完成はいつになるやら……。いや、完成する前に企画自体が自然消滅してしまいそうな……。

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    双月千年世界イラスト3点 ~ シュウ、雪乃、小鈴(野川真実さんより)

    他サイトさんとの交流

    野川真実さんより、またイラストをいただきました!
    毎度ありがとうございます。本当に嬉しい……!

    まず、「双月千年世界」マスコットのシュウ。




    実はリクエストしたのはシュウだけだったんですが、
    真美さんのご厚意により、雪乃と小鈴も描いていただけました。

    雪乃。


    小鈴。


    さらには小鈴に色と背景まで!


    嬉しすぎてツイッターの自画像を小鈴に設定しちゃいました
    真美さん、本当にありがとうございました!

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    業務連絡;毎年恒例の所信表明 2018夏

    雑記

    本日は私、黄輪の誕生日です。
    Happy Birthday to me.



    昨年と打って変わって、今年は過去15年で最高と言える運勢の年です。
    職場が変わった途端、こうも運気が上がるのかと。
    一体今までどれだけ職場と言うものに、運とやる気を吸われてきたのかと。
    驚くばかりですが、ともかく絶好調です。

    今年のはじめに本を出したいと言うようなことを言っていましたが、
    どうやら予算面での折り合いが付きそうです。
    後は内容をまとめれば行けるはず。自費出版(同人誌)となりますが。
    (でもどうせ作るなら、まともな形にしたいですね)
    と言うわけで、本年中に本を作ります。……多分売れないけど。字ばっかりだし。

    あと、「黄輪」とは別の名前でpixivに登録してるんですが(投稿はほとんどしてません)、
    そちらで紹介されていたVRoidStudioをDLし起動したところ、
    動作がカックカクでまともに動きませんでした。
    必要スペックが足りてないのが原因のようです。
    twitterでも話してた通り、今の自分のPCは7年以上前に構成したもの。
    当時でこそ確かに最高レベルのスペックを誇っていましたが、
    7年も経てば流石に見劣りするものとなってしまいました。
    そもそも一般的に、PCは3~4年使えば耐用年数に達するもの。
    まだ動きはしますが、いつ容態が急変するか分かりません。
    こちらも今年中に一新しようと考えています。
    で、新しくしたらもう一度VRoidStudioに挑戦して、
    今度こそ可愛いキャラを描きたいと思います
    勿論、アナログも描いていきますが。



    あ、ちなみに35歳になりました。アラフォーですね。
    でも気持ちは中2男子ですし女子高生と誤認されました
    これからもよろしくお願いします!

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    2018年9月携帯待受

    携帯待受

    LANDROVER RENGEROVER VELAR

    LANDROVER RENGEROVER VELAR

    LANDROVER RENGEROVER VELAR  LANDROVER RENGEROVER VELAR

    2018年9月の携帯待受。
    ランドローバーのレンジローバー・ヴェラール。
    名前が長いっ。

    またピンクに染めてしまった
    なお、アンケートは残り2回。今年はもう、選択肢は増えません。
    12月には最後まで選ばれなかった色を使う予定です。



    明日は僕の誕生日です。
    当日にも投稿予定なので、お祝いのコメントをいただければ幸いです。

    次回もカラーに関して、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 15

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第15話。
    幸運な顛末と、新たな仲間たち。

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    15.
     アデルたちがN州を後にしてから1ヶ月後――新聞各社は、とある道楽男の「幸運」を異口同音に報じていた。

    「リーランド氏 買収した炭鉱からダイヤが産出される!」



    「今思い返しても抜群のアイデアだったと思うよ、マジで」
    「うふふ」
     その新聞を眺めながら、半分呆れ気味に、そして半分尊敬気味につぶやくアデルに、エミルは楽しそうな笑みを返す。
     エミルのアイデア――それは知り合いの「機関車バカ」、富豪のロドニー・リーランドに事情を説明し、「『機関車用の石炭を安価で確保したい』と言う名目で、メッセマー鉱業から現地の作業員付きでアッシュバレー炭鉱を買収してもらえないか」と依頼することだったのだ。
     ロドニーも最初は驚いていたものの、「そんな因業会社なら、確かに凹ましてやりたくもなるわな」と了承。すぐに働きかけてくれた。
     ちなみにこの時、メッセマー鉱業からは相場より随分高めに売りつけられたものの、それでも買収成立時点までに産出されたダイヤの総額からすれば、微々たる額であったと言う。
    「で、グリフィスについてはどうなったんだ、結局?」
     周囲を気にしつつ、こそこそと尋ねたアデルに、エミルも小声で返す。
    「うやむやってとこね。捜査を担当してた特務局が潰れたから、どこに移管するかって揉めてるうちに、立ち消えになったらしいわよ。
     ま、ロドニーにクズ炭鉱売りつけた代金で横領された分は補填されてるでしょうし、向こうにしてみれば――ダイヤの件で憤慨はしてるでしょうけど――シケた会社員一人消えたくらいの損害しか無いってことになるわね。そんなの、向こうだってわざわざ自費出してまで探そうとしないわよ」
    「うーん、……悪党め」
    「名采配って言ってもらいたいわね」
    「ちなみに分け前はどうなるんだ? ロドニーが入ってきたってなったら……」
    「あたしたちの取り分の中から8割。つまり炭鉱の人たちが5、ロドニーが4、あたしたちが1ね」
    「もったいねーなぁ。ま、1割でも大金持ちにゃ違いないか」
     そう言って、アデルはニヤニヤと笑みを浮かべたが――。
    「あんたに1ドルも入らないけどね。ロバートにも、ダンたちにも」
    「……は?」
     エミルの言葉に、一転、アデルはショックを受ける。
    「ちょ、どう言うことだよ、それ!?」
    「勘違いしないでほしいけど、あたしも受け取らないわよ。使う必要が出るまで、ロドニーに預かっててもらうってことよ。
     あんたに直で渡したらいきなり金遣い荒くなりそうだし、そしたら『ネイサン、君は一体どこから儲けてるのかね?』って、局長が突っ込んでくるでしょ?」
    「そしたら探られて、今回の悪事がバレるってわけか。……しゃーねーなぁ」
     アデルは机に置いていた新聞を拾い、ぺらぺらとめくる。
    「……ま、万事丸く収まったから良しとするか。サムも無事だし。
     いや、サマンサちゃんか」
    「20歳超えた立派なレディに『ちゃん』付けするのは失礼よ。大体、そのこと知るまであんた、『サム』って呼び捨てにしてたくせに」
     エミルに突っ込まれ、アデルは苦笑いする。
    「いや、つってもさ」
     アデルは中腰に立ち上がり、机仕事をするサミュエル・クインシー――改め、サマンサ・ミラーをチラ、と見る。



    「やっぱあーやって女の格好してるの見たらさ、なんか今までみたいに呼び辛くって」
    「何よそれ。もしかして狙ってんの?」
    「ちげーよ、そう言うんじゃなくってさ……」
     と、アデルの視線に気付いたらしく、サムが恐る恐ると言った仕草で、こちらを見つめている。
    「あー、何でもないから。気にしないで」
    「あ、は、はい」
     サムが座り直したところで、アデルが安堵のため息をつく。
    「局長もダンたち含めて特務局から何人か引き抜いてくれたし、ほっとしてるよ」
    「……あたしはできないわね」
     そう返したエミルを、アデルはいぶかしむ。
    「何だよ? 何が不満なんだ?」
    「組織が本格的に動き出したってことよ。
     特務局が潰されたのよ? これまでで一番、やることがデカいじゃない」
    「そうか……そうだな」
    「きっとこれから、組織との対決が本格化していくはずよ。
     気を引き締めてかかりましょう、アデル」
    「……ああ」
     エミルの言葉を深く噛み締めつつ、アデルは新聞を畳んだ。

    DETECTIVE WESTERN 10 ~燃える宝石~ THE END

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 14

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第14話。
    横領事件の真相と収拾。

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    14.
     中に積まれた大量のリンカーンを目にし、ケビンは思わず後ずさる。
    「い、いいのかよ!?」
    「君への罪滅ぼしと思えば安いものだ。私一人、窃盗と横領の罪を受ければ、君たちに嫌疑がかかること無く、ダイヤを掘り出すことができるだろう」
    「ばっ、……バカ言ってんじゃねえよ、親父!」
     ケビンは声を荒げ、その申し出を断る。
    「あんたに罪被せてまでやるもんじゃないだろ、そんなこと!」
    「いや、いいんだ。これくらいのことをしなければ、君には申し訳が立たない」
    「それにしたって多すぎるって。いや、あんたがさっき言ったことには納得してる。10万ドルありゃその心配も無いってことも分かるよ。
     だけどその罪をあんた一人になんて、そんなことしたら俺、一生自分を許せなくなっちまう」
     ケビンはオーウェンの肩をトンと叩き、こう続けた。
    「それにさ、10万ドルなんて俺一人が持ってける量じゃないだろ?
     どうせ罪を被るつもりだったんならさ、付いてきてくれよ、親父」
    「え……?」
    「それにさ、確かにあんたの言う通り、俺たちだけじゃ無駄遣いしちまいそうだしさ。アタマいいのがカネの管理してくれた方が、絶対いいだろうしさ」
     ケビンは熱心に父親を説得し、共にN州へ向かうことに同意させた。

     結局、金庫にあった現金、総額12万3637ドル44セントをすべて盗み出し、オーウェンとケビン父子はN州へと逃げた。
     到着後すぐ、オーウェンとマクレガー監督は相談・協議を重ね、間も無くダイヤモンド採掘が開始された。
     そしてサムたちが訪れるまでに、マクレガー監督たちは木箱一杯のダイヤ原石を掘ることができたのである。



    「……で、1週間前にサムたちがここに来たと」
    「ああ。何もかもタイミング悪くってな」
    「って言うと?」
     尋ねたエミルに、マクレガー監督はしょんぼりとした顔を見せる。
    「訪ねてきたとこで、捜査官とグリフィスが鉢合わせしちまったんだ。しかもグリフィスは儲けを試算しようと思って、机の上にダイヤを山盛りにしてたところでさ。
    『これはなんだ、グリフィス!?』つって捜査官が拳銃構えていきり立ったからさ、これはやべえって思って、俺がそいつを、後ろからどついちまったんだよ」
    「マジでか……」
     額を押さえ、ため息をつくダンに、マクレガー監督は深々と頭を下げた。
    「本っ当に済まない。ただ、ちゃんと手当てはしたし、繰り返し言うが、不自由なくはさせてた。カネはたんまりあったし」
    「お前なぁ……」
     非難の目を向けるダンたちに、マクレガー監督はもう一度頭を下げた。
    「そんなわけでさ、身柄を隠しとくしかなくなっちまって、それについてもどうしようか、どうしようかって毎日悩んでたんだ。
     逮捕しないでくれるって言ってくれて、本当にほっとしてる」
    「ま、でも」
     と、エミルが冷ややかな目でマクレガー監督をにらむ。
    「そう言うことなら、ちょっとくらい『お詫び』してほしいところよね」
    「お詫び?」
     おうむ返しに尋ねたマクレガー監督に、エミルは、今度はいたずらっぽく微笑む。
    「ダイヤの儲け、グリフィスさんはいくらになるって計算したのかしら?」
    「あー……そう言う」
     エミルの腹積もりを見抜き、アデルが苦笑する。
     マクレガー監督も苦い顔をしつつ、質問に答えた。
    「質にもよるが、100万、200万の儲けになるんじゃないかって言ってた。ただ、今の時点でだし、まだまだ出る感じだから、もっと増えるかも知れん」
    「あら、そう」
     エミルはにっこりと笑みを浮かべたまま、マクレガー監督との距離を詰めていく。
    「あたしたちに逮捕権は無いけど、善良なアメリカ国民だから、犯罪を当局に報告する義務はあるのよね。だけど約束は約束だし、チクらないでいてあげるわ。
     でも捜査官がケガしたのは事実だし、サムはあたしの友達でもあるのよね。友達が1週間も監禁されたなんて話、怒りに任せて私刑(リンチ)くらいしたくなっちゃってもおかしくないことよね?
     まあ、あたしはシューペリア湖(Lac Supérieur)より寛大な心の持ち主だから、あなたが最大限の誠意を示してくれるって言うなら全部許してあげるし、このまま世間に隠れてコソコソ掘らずに済むような、もっといいアイデアをあんたにあげられるわよ」
    「え? それって……」
     尋ねたアデルに答えず、エミルは拳一つ分の距離まで、マクレガー監督に詰め寄る。
    「さて――それを踏まえて、あなたの『お気持ち』、きちんと聞かせてくれるかしら?」
     にっこりと微笑んだままのエミルに、マクレガー監督はぶるぶると震えながら、「……は、半分」と答えた。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 13

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第13話。
    20年越しの和解。

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    13.
    「ぐあっ!?」
     ケビンに殴られ、オーウェンは床を転げる。
     そのまま伸びてしまったオーウェンに、ケビンは怒りに満ちた怒声をぶつける。
    「俺はそのデイジーの息子だよ、クソ野郎がッ!」
    「……じゃ、じゃあ君は、ケビンか?」
    「そうだよ畜生! てめえのせいで俺は、この20年間ずっと死ぬ思いしてきたんだ!」
    「ま、待て! 私の話を聞け!」
    「うるせえッ!」
     倒れ込んだオーウェンになおも殴りかかろうとしたケビンに、オーウェンが怒鳴った。
    「デイジーが浮気したんだ!」
    「なっ……」
     その一言に、ケビンは動きを止める。
    「う、……ウソつくなよ。助かろうと思って」
    「嘘じゃないし、そもそも離婚と、君を引き取ることを言い出したのは、彼女の方だ。
     私のことを覚えているのなら、ウィリス・ウォルトンのことも知ってるだろう?」
    「……義理の親父だ。いや、だったヤツだ」
    「彼女はウィリスに熱を上げて、私のことを振ったんだよ。……その後の顛末も聞いてる。
     ウィリスから随分ひどい目に遭わされて、結局彼とも、半年で離婚したと」
    「ああ」
    「それでも君には謝らなければならない。ウィリスと別れた後、一度だけ、彼女からよりを戻さないかと手紙が来たんだ。
     だが私は、それに返事を出さなかった。『別れるのも自分の都合なら、元に戻るのも君の都合でか』と、当時の私は頭に来ていたからだ。
     だから君のことも、結果的に見捨てることになってしまった」
     オーウェンはその場にうずくまり、深々と頭を下げた。
    「君の気の済むようにしてくれ。私はどんな罰でも、甘んじて受ける」
    「……」
     父だった男の、薄くなった後頭部を眺めていたケビンは、拳を振り上げかけたが――力無く、だらんと下ろした。
    「いいよ、もう。お袋に問題があったってのは事実だし、お袋に散々迷惑かけられたあんたを、息子の俺がさらに痛めつけようなんて、神様が許しゃしないさ」
    「……ありがとう」
     オーウェンは顔を上げ――一転、けげんな様子を見せた。
    「しかし、……君は何故、ここに? 私に会いに来たのか? こんな夜中に?」
    「あっ、いや」
     ケビンはごまかそうとするが、目が勝手に、金庫の方へと向いてしまう。
     その視線を読んだらしく、オーウェンが声を上げる。
    「まさか、空巣か?」
    「うっ、……あ、ああ。会社がどうしても資金出してくれないって言うから、こっちから、その、取りに来たと言うか、いただこうと言うか」
    「あ」
     それを聞いて、オーウェンは目を丸くする。
    「もしかして君は今、N州に? アッシュバレー炭鉱で働いてるのか?」
    「ああ」
    「少し前に、アッシュバレー炭鉱から予算増額の要請が来たが、不要と判断したから断ったんだ。
     それで君が来たのか。……しかし、変じゃないか」
     オーウェンは立ち上がり、殴られて腫れ上がった左頬を抑えながら尋ねる。
    「あの規模の炭鉱に3万ドルは、どう考えても過剰投下だ。仮にあの山一帯が全て無煙炭の塊だったとしても、そこまで必要なはずが無い。
     一体何故君は、いや、君たちは、盗みを働こうとしてまで予算を欲しがるんだ?」
    「それは……」
     ケビンは仕方無く、ダイヤ鉱床が出てきたことをオーウェンに話した。
    「ダイヤだって!?」
    「あ、ああ。監督も今の予算じゃ掘り出せないって」
    「それはそうだろうな。確かにそれが本当なら、3万ドルは妥当、……でもないな」
     オーウェンはかぶりを振り、こう指摘する。
    「炭鉱についてのノウハウしか無い君たちが、今まで取り掛かったことの無い類の鉱床に手を出すとなると、軌道に乗せるまでにはかなりのコストがかかるはずだ。
     多分、3万では足りなくなる。二度、三度と、予算を追加することになるだろうな」
    「えっ……」
    「もし最初の予算を認可していたとしても、そんなに何度も万単位の予算を要求していれば、遅かれ早かれ怪しまれる。そうなれば早晩、本社幹部はダイヤの可能性に気付くだろう。
     どちらにしても、その計画は杜撰極まりない。本社にバレて、君たちは横領犯として告訴されるのがオチだ」
    「そんな……」
     厳しい評価に、ケビンは落胆する。
     だが――。
    「だから、最初から10万持って行けば、発覚の可能性はずっと少なくなる」
    「へ? ……今、何て?」
     尋ねるケビンに応じる代わりに、オーウェンは金庫のダイヤルを回す。
    「今、金庫の中には、10万ドルは入ってるはずだ。これを持って行きなさい」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 12

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第12話。
    決死の強盗。

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    12.
    「……っざけんなボケえええッ!」
     手紙を読んだ途端、マクレガー監督は激怒した。
    「つくづくケチな会社だぜ、まったくよぉ! ……とは言え、確かにここで石炭掘るのに3万ドルもいらんからな。普通に、ただ石炭掘るだけって本社が考えるなら、要求が通るワケねーか」
    「でも、どうするんです? このまま壁眺めてるだけじゃ、どうにもなりませんぜ」
     ゴードンの言葉に、マクレガー監督は苦々しい表情を見せる。
    「分かってら。俺名義でどこかで借金して、……いや、もしもダイヤがまともに出なかったらヤバいか。そもそも一炭鉱夫に3万ドルも貸すはずが無え」
    「……あの」
     と、ケビンが意を決したように手を挙げ、立ち上がる。
    「俺が取って来ます」
    「あん?」
    「俺が本社に忍び込んで、カネを盗って来ます」
    「お、おいおい」
     突拍子も無いケビンの提案に、マクレガー監督は目を丸くする。
    「バカなこと言うなよ、ケビン。いくらなんでも、そこまでやっちまったら……」
    「俺だって、こんな合衆国の端っこまで飛ばされて、毎日毎日どろっどろに汚れて働かされてるってのに、その見返りがたったの週3ドルじゃあ、ちっとも納得できないですよ。
     会社だって、少しくらい報いを受けりゃいいんですよ」
    「……」
     その場にいた全員が、ケビンと同じ不満を抱いていたのだろう――罪を犯そうと息巻くケビンを、誰一人、咎めることができなかった。



     その8日後の夜、ケビンは単身、P州のメッセマー鉱業本社に忍び込んでいた。
     運良く鍵の開いていた窓から侵入し、ケビンは誰もいない、夜の社内を恐る恐るうろつく。
    (ツイてるぜ、俺。こりゃもう、神様が俺にやれ、盗んでよしっつってるんだろうな)
     そんな自分勝手なことを考えている間に、ケビンは難なく、金庫前にたどり着いた。
     だが――。
    「うっ」
     金庫にはダイヤル式の鍵が付いており、ケビンがその暗証番号を知るはずも無い。
    (……神様ぁ)
     神に祈りつつ、ダイヤルをかちゃかちゃと回してはみるが、何の反応も返っては来ない。
    (こうなったら壊して……)
     そんなことも考えてはみるものの、自分の手にあるのは一箱分のマッチだけである。
     また、金庫ごと盗み出そうにも、相手は3フィート以上もの大きな鉄塊である。ケビン一人では到底、その場から動かすことさえできそうになかった。
    「……こんなのって無いだろ、神様。あんまりだ」
     ついにケビンは途方に暮れ、金庫の前にへたり込んでしまった。

     と――。
    「誰だ!?」
     背後から、男の声が投げかけられる。
    (やべっ!)
     慌てて立ち上がり、後ずさったところで、ケビンは男と目が合う。
    「う……っ!?」
     その、カンテラに照らされた顔を見た途端、ケビンも、そしてその男も、同じ表情を浮かべた。
     いや――同じだったのは表情ではなく、顔そのものだったのだ。
    「な、んっ……!?」
     相手も面食らっているらしく、自分より20年は老けた顔を引きつらせている。
    「あ、あ……」
     ケビンも混乱していたが、どうにか口を開き、恐る恐る相手に尋ねてみた。
    「あんた、……誰だ?」
    「わ、私か? 私はオーウェン・グリフィス。ここの社員で、今晩の当直だ」
    「オーウェン? ……オーウェン・グリフィス!?」
     その名前を聞いた途端、ケビンの頭は驚愕と、そして怒りで満たされた。
    「あんた、デイジー・モリスンって知ってるか? 24年前、イギリスから移民でやって来た、デイジー・モリスンだ」
    「で、デイジー? ああ、そのデイジーには、心当たりがある。昔結婚したことがあるが、そのデイジーだろうか」
    「そうかよ」
     瞬間、ケビンはオーウェンに殴りかかっていた。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 11

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第11話。
    降って湧いた福音。

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    11.
    「と、とと、ともかくだ」
     マクレガー監督はガタガタと震えながらも、ダイヤの原石を机に置き、その前に座り込んだ。
    「お、お前らも座れ。と、と、とりあえず、あ、アレだ、か、か、会議だ」
    「はっ、はひ」
    「りょうきゃ、……了解っス」
     全員、机を囲んで座り込んだが、誰も言葉を発しない。
     誰も彼も、この親指の先程度の、ほんのり透き通る石に、すっかり気圧されてしまっていたのだ。
    「……で、その、アレだ、ケビン」
    「うっス」
    「どこで見付けた?」
    「坑道っス」
    「んなこたぁ分かってんだよ! そこら辺の道端に落ちてるわきゃねえだろうが!?」
    「あ、す、すんません! あの、昨日おやっさんがダメだっつってたトコっス」
    「あそこでか? 泥炭も褐炭も出なくなっちまって、やたら岩にしかぶつからなくなっちまったからな……。でも、そうか、うーん……」
     マクレガー監督は原石を恐る恐る手に取り、つぶさに眺める。
    「俺も詳しいわけじゃないが、ダイヤってのは確かに、こう言う青っぽいような黒っぽいような岩ん中から出てくるって話は、坑夫筋の知り合いから聞いたことはある。
     だけども、マジでダイヤ鉱床を掘り当てちまったってことは……」
     その言葉に、全員がごくりと固唾を飲む。
    「……俺たち、大金持ちっスか?」
     ケビンがおずおずと尋ねるが、マクレガー監督はがっかりした顔をケビンに向ける。
    「いや、そうはならねえよ。
     このダイヤは、メッセマー鉱業所有の鉱山から出たんだからな。出たものは全部、会社のものだ」
    「そんな……」
     と、ゴードンが原石に視線を向けたまま、ぼそっとつぶやく。
    「分かりゃしないですよ」
    「あん?」
    「俺たちが、いや、ケビンが今の今、誰も予想してないところでダイヤ掘ったなんてこと、本社の誰が知ってるって言うんです?
     このまま黙っちまいましょうよ」
    「……うーん」
     ゴードンの意見に、マクレガー監督は悩ましげにうなる。
    「まあなぁ……。考えてみりゃ、会社には散々煮え湯を飲まされてきたわけだし、今だってこんな僻地(へきち)に飛ばされてるわけだし。
     もしかしたら来る日も来る日も泥だらけになって穴ぐらにこもって頑張ってる俺たちに、神様がプレゼントしてくれたのかもな、……なんてな」
    「おやっさん、そんなに熱心でしたっけ」
    「これ見りゃ教会に通う気にも、賛美歌歌う気にもなるってもんだ」
     マクレガー監督は椅子から立ち上がりつつ、ケビンに尋ねる。
    「ケビン、案内してくれ。もしまだまだ原石採れるってんなら、色々考えなきゃならんからな」
    「うっス」

     その後、日が暮れるまで試掘を続け、マクレガー監督らはなんと2カラット相当ものダイヤを掘り出すことができた。
     だが――。
    「硬ってえなあ、クソっ」
    「つるはしが欠けましたぜ、おやっさん」
     ダイヤの鉱床となるキンバリー岩は相応に硬い岩石であり、錬鉄製のつるはしで掘り出すことは容易ではなかった。
     ゴードンが差し出した、先が大きく欠けたつるはしを一瞥し、マクレガー監督は悪態をつく。
    「ケッ、こんな安物何本あったって、掘り出せるもんか!
     いや、そもそも石炭とダイヤじゃ、硬さが天と地だからな。もっとマシな装備を用意しなきゃ、どうしようも無いぜ」
    「でも、そんな予算無いですよ」
    「……本社に掛け合ってみるか」
    「えっ!? 言うんですか、会社に」
    「勿論、あんなクソ会社に、バカ正直に『ダイヤ出たんですけど』なんて言いやしない。まあ、『石炭出そうです』とか適当に言って、予算出してもらおうぜ」
     マクレガー監督は本社に手紙を出し、返事を待った。



     半月後――本社から届いた手紙には、ただ二行、こう書かれていただけだった。
    「予算追加の必要性無し
     現状の装備で対応せよ」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 10

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第10話。
    暗澹の中の光明。

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    10.
     坑道を入ってすぐ、マクレガー監督は木箱が積まれた側道の前で立ち止まる。
    「さっきマイト使ったが、どっちも結構奥だから大丈夫、……なはずだ」
    「どっちも?」
     尋ねたアデルに、マクレガー監督は正面を指差す。
    「今掘ってる方は半マイル先まで進んでる。こっちの側道はその半分くらいで諦めたけどな。
     ただ、小屋に入らない資材だとかを入れるのには便利してたから、1週間前まで倉庫代わりにしてた」
    「1週間前?」
     マクレガー監督は木箱をひょいひょいとどかしつつ、話を続ける。
    「1週間前、特務捜査局だって人間が4人、うちに来たんだ。だけど、……その、色々事情があってな。ここに閉じ込めるしかなくなっちまったんだ」
    「てめえ、監禁してたのか!?」
     血相を変えるダンに、マクレガー監督は申し訳無さそうに頭を下げる。
    「本当に済まねえと思ってる。……本当に、逮捕しないでくれるんだよな?」
    「逮捕しない。だが状況如何によっちゃ、一発二発殴らせてもらうぞ」
    「う……、ま、まあ、仕方ねえな。
     と、ともかくだ。一応、メシとか寝床とか、不自由無くはさせてた。常に見張りは付けてたけど」
     木箱をどかし終え、マクレガー監督は奥へと進もうとする。
     と、そこでエミルが声をかけた。
    「ねえ、監督さん?」
    「ん?」
    「サム……、いえ、特務局の人間4人を監禁した事情って、一体何なの?」
    「それは……、まあ、……色々だ」
    「話しなさいよ。状況がまったくつかめないまま、あたしたちもノコノコあんたに付いて行ってそのまま監禁されちゃ、たまったもんじゃないわ」
    「……」
     マクレガー監督は苦々しい表情を、エミルに向ける。
    「話さなきゃダメか?」
    「俺からも聞きたいところだな」
     腰に提げていた小銃に手を添えつつ、アデルも同意する。
    「特務局の人間、つまり司法当局の人間を無理矢理閉じ込めなきゃならんような事情が何なのか聞いとかないと、確かに後の展開が読めないからな。
     よっぽど誰にも知られちゃならない何かがあるとしたら、俺たちも生かしちゃおけんってことになるだろ?」
    「……分かった。だが、その」
     マクレガー監督は表情を崩さず、ぼそぼそとこう続けた。
    「俺はしゃべるのが苦手なんだ。そもそも、今回のことは何から話していいやらって感じなんだ。頭がどうにかなりそうなことばかり起こっちまって、本当、気が動転しまくってるって状態なんだよ。
     だから、多分、長くなるし、ワケ分からんと思うが、それでも聞く気か?」
    「ああ」
    「……分かった」





     2ヶ月前――。
    「かっ、監督、監督ーっ!」
     いつものように、マクレガー監督が部下たちに呪詛(じゅそ)めいた愚痴を延々と吐いていたところに、一番若い部下、ケビンが転がり込んできた。
    「だから俺はな、……な、何だよ、ケビン?」
    「こ、こんな、こんなもん、で、で、出たんスけどっ」
    「こんなもん……?」
     マクレガー監督を含めた小屋の中の全員が、ケビンに注目する。
     いや――視線はケビンにではなく、彼が抱える、白い石の塊に向けられていた。
    「何だそりゃ?」
    「……か、か、監督っ」
     と、部下の中でも一番年長のナンバー2、ゴードンが慌てた声を上げる。
    「そいつはダイヤだ! ダイヤモンドですよ!」
    「だ、……ダイヤぁ?」
     マクレガー監督はゴードンの顔を見、もう一度ケビンの方に向き直る。
    「何バカなこと言ってんだ。俺は16年炭鉱で仕事してるが、んなもん出てきたことなんか一度も無えぞ」
    「いや、しかし実際出てきたわけですし」
    「あのな、本当にダイヤだってんなら」
     苛立たしげに返しつつ、マクレガー監督はケビンが抱える岩塊をつかむ。
    「あの窓ガラスにこすりつけりゃ、切れるはずだわな。ほれ、見てろ」
     そう言って、マクレガー監督は岩塊で窓ガラスをガリガリと引っかき――まるで布をナイフで裂くように、さっくりと切れたガラス片は、がしゃん、と音を立てて床に落ちた。
    「ほら見た通りだ、こんなもんちっとも、……切れてるじゃねえか!?」
     途端にマクレガー監督は血相を変え、自分の手中にある岩塊をにらみつけた。
    「マジかよ」
    「……マジですね」
     予想外の事態に、マクレガー監督もゴードンも、他の作業員たちも、呆然とした顔で黙り込むしかなかった。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 9

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第9話。
    疑惑の炭鉱。

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    9.
     街を出て程無く、アデルたちは薄汚れたあばら家の前に到着する。
    「『メッセマー鉱業 アッシュバレー営業所』って看板が付いてるな。一応って感じでだが」
    「なんか傾いてないか……?」
     ハリーとスコットが指摘した通り、その小屋はあちこちに穴が空いており、今にも崩れそうな様相を呈していた。
     と、小屋の奥にあった坑道から、人がわらわらと現れる。
    「おい、あんたら……」
     スコットが彼らに声をかけようとしたところで、相手からの怒鳴り声が返ってくる。
    「んなトコでボーッと突っ立ってんじゃねえッ! 下がれ、下がれ!」
    「……! おっ、おう」
     状況を察し、アデルたちは大慌てで踵を返し、小屋の方へ走ろうとする。
     が、一人、ぽかんとした顔で突っ立っていたロバートを、残り5人が慌てて引っ張る。
    「バカ、鉱山だぞここ!」
    「え? は?」
    「マイトだよ、マイト!」
    「真糸?」
    「寝ぼけたこと言ってる場合か!」
    「坑道から大急ぎで人が出てきて『下がれ』っつってんだ、分かんだろ!?」
    「何が……」
    「ああ、もう!」
     まだ状況を把握できていなさそうなロバートを小屋の裏まで引っ張り込み、5人は耳を抑えて身を屈める。
     次の瞬間――ぼごん、とくぐもった音と共に、周囲がぐらっと揺れる。
    「おわっ!?」
    「……ダイナマイト使うくらい分かれよ」
    「す、すんませんっス」

     発破による粉塵が収まってきたところで、改めてアデルたちは、メッセマー鉱業の人間に声をかけた。
    「パディントン探偵局? それが一体、うちに何の用だ?」
     現場監督のジム・マクレガーは、けげんな目で一行を一瞥する。
    「監査なら本社に行けよ。うちにある帳簿なんて、メシとマイトのことしか書いてねえぞ」
    「いや、そうじゃない。数日くらい前に、ここに連邦特務捜査局の人間が来なかったか?」
     尋ねた途端、マクレガー監督の顔に険が差す。
    「あ? 捜査局だ? 知りゃしねえよ」
     その反応を見て、アデルは強い語調で尋ね直す。
    「もう一度聞くぞ。連邦特務捜査局の人間が、ここに来たはずだ。知ってることを話してくれ」
    「知らねえって言って……」
     怒鳴りかけた瞬間、マクレガー監督は硬直する。
     対面にいたエミルが、拳銃を抜いたからだ。
    「なに、……する、気だ、姉ちゃんよ?」
     恐る恐る尋ねるマクレガー監督に、エミルはもう一方の手でハンカチを取り出しつつ、こう返す。
    「別に? あなたが正直に話してくれたら、ほこりを払って終わりよ。
     でも強情張る気なら、掃除のはずみで弾が2、3発くらい出てきちゃうかも知れないけど」
    「……ぐっ」
     たじろぐ様子を見せるが、マクレガー監督はなお、頑なな態度を執る。
    「仮に俺がそいつらを知ってるとして、そしたら、あんたたちは何する気だ?」
    「なるほど」
     そこでアデルは、背後に立っていたダンたちを親指で差す。
    「ちなみにこいつらも特務局の人間だ。いや、だったと言うべきだな」
    「だった……?」
    「詳しい経緯は省くが、先日、特務局は解体された。当然、こいつらに逮捕権は無い。
     仮にあんたらが何らかの罪を犯したとして、それでも、あんたらを捕まえることはできない。その上で、だ。
     もしも特務局の人間がいるなら、解体された件を伝えて、一緒に引き上げようってだけだ」
    「……」
     マクレガー監督はしばらく黙り込んでいたが、やがて、はあと一息吐き、不安そうな口調で尋ねてきた。
    「本当に逮捕はしないんだな?」
    「あんたらを勝手に逮捕したら、俺が逮捕されちまうよ。そんな権限は無いからな」
    「……来てくれ」
     そう言って、マクレガー監督はアデルたちに背を向け、坑道に向かって歩き出した。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 8

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第8話。
    ゴーストタウン。

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    8.
     スリーバックスを発って5日後、アデルたち一行はN州、アッシュバレーに到着した。
    「……本当に何にも無いな」
     通りを見渡すが、薄汚れた家屋がまばらにあるばかりで、賑わっているような様子は全く見られない。
    「電線も無い。これじゃ確かに、電話連絡なんてできるはずが無いな」
    「それどころじゃないぞ。郵便局も保安官オフィスも無い。軒並み潰れてる」
     駅のすぐそばにあった建物を指差しつつ、ダンが呆れた声を漏らす。
    「ほぼ廃村って感じだな。本当にこんなところに、人が住んでんのか?」
    「そうね……」
     エミルが往来を見回し、首を横に振る。
    「ここ数ヶ月、馬車も荷車も通ってないって感じ。足跡も、せいぜい2人、3人ってところかしら」
    「3人だろう。3種類ある」
     アデルがしゃがみ込み、その足跡を調べる。
    「ただ、靴の形は一緒だな。大きさは違うが、靴底のパターンが同じだ。恐らく会社か州軍だとかからの支給品なんだろう。
     同じ会社の同僚3人が、駅に届いた荷物を受け取ったってところだろうな」
    「それに靴底のパターンが、やたらゴツいぜ。相当ハードな環境で働いてるんだろうな」
     ダンもアデルと同様にしゃがみ込み、その足跡を指先で触る。
    「その可能性は高いな。となりゃ、メッセマー鉱業の人間ってことで間違い無いだろう。
     ……何だよダン、あんたも結構やるじゃないか」
    「へへ……、伊達に特務局でしごかれてないさ」
     二人して笑い合ったところで、一転、アデルは首を傾げる。
    「だけど妙だな。3つあって、それが全部、作業員のヤツか」
    「何が妙なんだ?」
     尋ねたダンに、エミルが呆れ気味に答える。
    「サムたちよ。ここに来たはずでしょ?」
    「……あ、そうか」
     一行はきょろきょろと辺りを見回すが、それらしい足跡は見当たらない。
     と、様子をうかがっていたらしい年配の駅員が、とぼとぼとした足取りで近寄ってくる。
    「あんたら、さっきから何しとるんだ? 財布でも落としたのか?」
    「いや、何でも。……っと、ちょっと聞きたいんだが」
     アデルが立ち上がり、駅員に質問する。
    「俺たちの他に、スーツ姿で来たヤツらはいないか?」
    「スーツで? さあ……?」
     駅員は目をしょぼしょぼとさせながら、首を横に振る。
    「覚えが無いね」
    「最近雨が降ったのは?」
    「3日前くらいかなぁ」
    「そもそも、ここって人がいるのか?」
    「俺がいるだろ」
    「いや、そうじゃなくて、あんた以外に人が住んでるのかってことだよ。ざっと見たところ、店もサルーンも何も無いように見えるしさ」
    「鉱山の奴が4人か、5人くらい、……いや、6人? だっけか。まあ、そいつらくらいだな。
     あんたの言う通り、ここにゃもう店が無いから、ここで直に行商人と売り買いしてるみたいだよ」
    「『みたい』って……、あんた、ここで仕事してるんだろ?」
     呆れ気味にアデルがそう尋ねたところで、駅員は恥ずかしそうに笑って返す。
    「ヒマだからさ……。大抵寝とるんだ」
    「……そうか」
     その他、2、3点尋ねてみたものの、駅員からは大した情報を得ることはできなかった。

     駅員を適当にあしらい、駅舎へ戻っていったところで、ふたたびアデルたちは足跡に着目する。
    「あのくたびれたじいさんの話だから正確なことは分からないが、ともかくごく最近、雨が降ったって話だから――計算上、1週間くらい前にはサムたちが到着してたはずだし――サムたちの足跡が消えててもおかしくない。
     足跡が見当たらない以上、下手すりゃサムたちがここに来てない可能性もある。……とは言え、それは考えにくいけどな」
    「他に目的地も無いもんな」
     ハリーの一言にうなずきつつ、アデルが続ける。
    「だから来てることを前提として考えりゃ、間違い無くサムたちは、メッセマー鉱業を訪ねてるはずだ。
     この足跡も多分メッセマー鉱業のヤツらのだろうし、たどれば着くだろう」
     一行は駅を後にし、足跡に沿って街を抜けた。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 7

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第7話。
    追加連絡。

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    7.
    「息子?」
     朝食のベーコントーストを飲み込み、ダンが尋ね返す。
    「ええ。ただ、苗字も違うし、周囲の人間もそんな話聞いたこと無いって話だから、グリフィス本人は気付いてなかったかも知れないけど」
     局長からの電話で、グリフィスの監督する鉱山に、彼の息子が勤めていたことが判明したと伝えられたのである。
    「名前は?」
    「会社には、ケビン・モリスンって登録してたそうよ」
    「偽名、……とも何とも言えないな」
    「局長がざっと調べた限りじゃ、本名じゃないかって。グリフィスの、別れた奥さんの苗字がモリスンらしいから」
    「まあ、ケビンって名前も、モリスンって苗字も多いからな。グリフィスSrも息子だと思わなかったんだろう。
     しかし偶然とは思えないな。親父の管理してる鉱山に、息子が勤めてたってのは」
     アデルがつぶやいたその疑問に、エミルも同意する。
    「そうね。事件もあったわけだし」
    「思ったんだが」
     と、ダンが手を挙げる。
    「親子だって言うなら、似てたんじゃないか?」
    「あん?」
    「いやほら、駅だとか、アッシュバレーだとかで、グリフィスを見たって話だったろ?
     もしかしたらそいつ、グリフィスじゃなく、息子のモリスンの方だったのかもって」
    「……だとしたら?」
     けげんな顔をしたハリーに、ダンは得意そうな様子でこう続ける。
    「俺の推理だけど、グリフィスはもうとっくにモリスンに殺されてて、モリスンがカネを盗んだのかもって。
     いやほら、グリフィスの評判から言って、盗みを働くようなタイプじゃないって話だったしさ。良くあるだろ、『似た顔のヤツが別にいた』って、アレだよ、アレ」
    「三文推理小説ね、本当にそんな展開だったら」
     ダンの仮説を聞いたエミルが、呆れた目を彼に向ける。
    「もしその線が本当だったとしたら、事件から1ヶ月経ってるんだから、グリフィスの死体がどこかで発見されてるでしょ?
     局長からそんな話聞いてないし、その事実は今のところ、無いみたいよ」
    「近くの川にでも投げ捨てればそうそう見つかりゃしないだろうし、俺は有り得ると思うんだけどなぁ」
    「相当な手間じゃない? 忍び込んでカネを盗んだ上、人を殺して川まで運び出すなんて、そんなこと一人で、誰にも見付からずにできるかしら。
     第一、似てるとしても、親子なんだから、少なくとも20歳は年齢が違うはずでしょ? 40代の中年と20代の青年を見間違えるようなこと、そうそう無いと思うんだけど」
     エミルの反論に、ダンを除く全員が賛成する。
    「俺もそう思う」
    「いくら何でも、話がうますぎだ」
    「こじつけに近いぜ」
    「……だよなぁ」
     自分でもそう思ったのか、ダンは顔を赤らめつつ、コーヒーを一息に飲み干した。
    「まあいいや、この話はこれくらいで。
     ともかく、早くメシ食って支度しなきゃ、列車が出ちまうぜ」
    「そうだな」
     その後は取り留めもない話を交わしつつ、一行は朝食を平らげた。

     列車に乗り込み、動き出したところで、エミルが「あ、そうそう」と続けた。
    「局長からの電話、もう一つ伝えとくことがあったわ。
     特務局の状況だけど、明日か明後日くらいには、ミラー局長と局員が解放されるかもって」
    「解放されるって?」
     ほっとした顔をするダンに、エミルは肩をすくめて返す。
    「解放されるって言うより、追い出されるって言った方が的確でしょうけどね。
     ここ数日、オフィスにいた全員の身辺調査を行って、組織だとかの裏が無いってことが判明したから、とりあえず家には帰してもらえるらしいけど――司法省に組織の手が及んでるとすれば――間違い無く局長以下、全員が更迭・免職されるわね。
     組織にとって、特務局はパディントン探偵局の次にうっとうしい敵だもの。口実さえあれば、いつでも潰す気だったでしょうし」
    「そうか……そうだよな」
     ダンたちが意気消沈する横で、ロバートが不安そうに尋ねる。
    「探偵局は大丈夫なんスか?」
    「誰が潰すのよ? うちのトップは司法省長官でも州知事でも、大統領でもないわよ」
    「……あ、そう言やそうっスね」
    「そもそもうちにパディントン局長がいる限り、誰にも潰せやしないわ。そんな心配、あたしたちがする必要なんか無いし、気を揉むだけ無駄よ。
     だからあたしたちは、捜査に集中しましょう。それがベストよ。あたしたちにとっても、局長にとってもね」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 6

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第6話。
    銃創。

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    6.
     アデルが予測していた通り、アルジャン兄弟や組織からの襲撃も無く、アデルたち一行は一晩を安穏に過ごし、翌朝を迎えた。
    「ふあ、あー……」
     宿を一歩出て、背伸びをしたところで、アデルはすぐに腕を下げ、「いてて……」とうめく。
    (やっぱ一日くらいじゃ、治っちゃくれないよな)
     撃たれた右腕をコートの上からさすり、ずきずきとした痛みが残っていることを確認する。
    (ま……、痛いが、痛いってだけだな。腕も指も動くし、放っときゃそのうち治るさ)
     と、背後から声をかけられる。
    「『放っときゃ治る』なんて思ってないわよね」
    「えっ!? あ、いや」
     弁解しかけたところで、エミルがさらに釘を刺してくる。
    「そんなの、半世紀前の考えよ? きちんと治したきゃ、包帯変えたり消毒したり、ちゃんと治るまで手当て続けなさいよ」
    「お、おう」
     と、エミルがアデルのコートの襟を引き、脱ぐよう促してくる。
    「見せてみなさいよ。あんた、いっつもケガしても、隠すじゃない。
     化膿したり腐ったりしたら、手遅れになるわよ。切り落としたくないでしょ?」
    「い、いや、いいって。自分でやるって、後で」
     渋るアデルを、エミルは軽くにらみつけてくる。
    「何よ? まさかあんたも女だなんて言うつもりじゃないでしょうね?」
    「バカ言うなよ。……分かったよ、脱ぐって。脱げばいいんだろ」
     アデルはもたもたとコートを脱ぎ、左手をたどたどしく動かして、シャツの袖をまくろうとする。
    「……っ、……あー、……くそっ」
     しかし利き腕側でないことに加え、右腕の痛みが邪魔をして、思うようにボタンを外すことができない。
     見かねたらしく、エミルが手を添えてきた。
    「外したげるわよ」
    「わ、悪い」
     シャツの袖を脱がすなり、エミルは一転、呆れた目を向けてくる。
    「あんたねぇ……」
     アデルの右腕に巻かれた包帯が、赤茶けた色に染まっていたからだ。



    「血は止まってるっぽいから、昨日からずっと使ってるんでしょ、この包帯」
    「……バレたか」
    「バレたか、じゃないわよ。マジに切り落とすことになりかねないわよ、こんな汚いことしてたら」
     エミルはぐい、とアデルの左腕を引っ張り、宿の中に連れて行く。
    「宿なら包帯も消毒薬もいっぱいあるでしょうし、ちょっともらいましょ」
    「ああ……」
     と、二人が戻ってきたところで、宿のマスターが声をかけてきた。
    「お客さーん、エミル・ミヌーって名前?」
    「そうよ。電話?」
    「そう、パディントン探偵局ってところから」
    「出るわ。あ、その間、こいつの包帯変えるのお願いしていいかしら?」
    「ああ、いいよー」
     そのまま電話口まですたすたと歩き去るエミルを眺め――マスターと目が合ったところで、彼が心配そうに声をかけてきた。
    「お客さん……。めっちゃくちゃ俺のことにらんでるけど、そんなに傷、痛むの?」

     アデルの手当てが終わったところで、丁度エミルも電話を終えたらしい。
    「あら、綺麗に巻いてもらえたわね」
    「ちぇ、何か子供扱いされてるな。……で、局長は何て?」
    「話す前に、皆呼びましょ。そろそろ朝ご飯食べて列車に乗り込む準備しとかないと、遅れちゃうもの」
    「そうだな。……っと」
     言っているうちに、ロバートとダンたち3人が階段を降りてくる。
    「おはよーっス、兄貴、姉貴」
    「今、電話がどうとかって言ってたが……」
    「丁度いいわね。マスター、ご飯もらえる? 6人分ね」
    「はいはーい」
     店主がその場を離れたところで、ロバートたちが席に着く。
    「電話って? 一体どこ……、いや、こんな時かけてくるなんて、局長だけっスよね」
    「ええ。まだあたしたちがスリーバックスにいるって読んで、追加情報をくれたのよ」
     エミルの言葉に、アデルは首をかしげる。
    「追加情報? 特務局のことか?」
    「それもあるけど、メインは横領事件の方ね。
     犯人の身辺について、一つ分かったことがあるって」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 5

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第5話。
    事件の詳細。

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    5.
     パディントン局長から情報と指示を受け、一行は今後の対策を練ることにした。
    「現時点でも相変わらず、特務局は凍結状態。ミラー局長も依然として拘束されたままだし、局員たちも――元々残ってた奴、捜査から戻ってきた奴問わず――オフィスに缶詰めにされてるそうよ。
     サムについても、どうやら状況は変わってないみたい。局長が司法省の友人を介して情報を集めてるらしいんだけど、特務局宛ての電話は今のところ、ダンがかけたやつだけみたいね」
    「俺たちが出発する直前にサムたちのチームは出発してたから、日数から考えて、とっくに到着してるはずだ。首尾良く行ってるならもう逮捕し終えて、どこか電話の通じる駅まで戻って、連絡するはずだろう。
     それが無いってことは……」
    「横領犯を見付けられないでいるか、返り討ちに遭ってる可能性が高いってことだ。どっちの場合にせよ、特務局のゴタゴタを知れるような状況には無いだろう。
     どうあれ、俺たちが行く必要があるだろうな」
     アデルの言葉に、一同はそろってうなずいた。
    「となるとまず、事件の概要を知っとかないとな。ダン、その辺りは聞いてるのか?」
     スコットに問われ、ダンはうなずいて返す。
    「大丈夫だ。一応、メモしてるぜ。
     まず、横領犯についてだが、名前はオーウェン・グリフィス。1842年生まれ、イングランド系。結婚歴はあるが、現在は妻子無し。
     P州にあるメッセマー鉱業って石炭会社の社員だったんだが、1ヶ月前に約12万ドルを会社の金庫から盗み出し、蒸発。P州の警察当局が行方を調べたが、既に州内にいないことが分かった時点で、捜査は合衆国全域に捜査網を持つ特務局へと移管された。
     で、特務局が捜査を続行し、N州アッシュバレーに会社が所有する炭鉱があること、そしてグリフィスがそこの責任者だったってことが分かった。そこからグリフィスはそこに逃げた可能性が高いだろうってアタリを付け、地元警察に張らせてたところ、本人らしき人物を付近で見かけたとの報告があった。で、サムたちに向かわせたってわけだ」
    「グリフィスの特徴は?」
     尋ねたアデルに、ダンは肩をすくめて返す。
    「身長は5フィート7インチ。体重は147ポンド。体には傷やあざ、その他デカいほくろなんかも無し。茶髪で瞳の色は黒。特徴と言えるようなものはこれと言って無い。いわゆる『目立たない奴』だな。
     仕事ぶりは真面目で、同僚や上司とはそれなりに親しくはしてたそうだが、一緒にメシ食ったり、どこか遊びに行ったりって付き合いは、ほとんど無かったそうだ。
     事件発生時から姿が見えず、また、事件の直後に汽車で州を出ていたことが発覚したことから、P州当局、そして特務局共、彼を犯人と断定した、……ってわけだ」
     ダンが事件の概要を説明し終えたところで、ハリーが首をかしげる。
    「外部の犯行だとか、他に怪しい奴なんかは無かったのか?」
    「犯行があったとされる時間帯――他の社員が退勤した夕方から、出社してくる朝まで――社内にいたのは、その日当直だったグリフィス一人だ。
     そのグリフィスが事件後にP州の駅で目撃されていたことから、外部犯が当直のグリフィスを殺し、金庫を破ったって線はまず無い。
     もし外部犯がグリフィスをすり抜けてカネ盗んでたって言うなら、グリフィスは素直に警察へ届け出るだろう。それをせず、P州から高飛びしてるってことは、ほぼ間違い無くグリフィスが犯人だってことになる」
    「聞く限りじゃ、破綻や矛盾は無さそうね。さっきの組織云々と違って」
    「やめろよ……」
     ダンは顔を赤らめつつ、手帳を閉じる。
    「これだけなら本当、どうってこと無い奴って感じなんだがな。これで何で、サムたちが手こずるんだか」
    「ともかく、行くしか無いだろ」
     アデルがそう返し、椅子から立ち上がる。
    「今日はもう暗いし、列車も終業時刻をとっくに過ぎてる。
     アルジャン兄弟だって列車に乗れたとは考え辛いし、馬か何かで、何十マイルも離れた隣町にでも移動中だろう。となれば組織に連絡して報復にやって来るだとか、そんなことをする間も無いはずだ。
     ってわけで、一晩ゆっくり休んで、朝一番でN州へ向かおう。これ以上真剣な面(つら)付き合わせてあーだこーだ言い合ってたら、俺、マジにブッ倒れちまうぜ」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 4

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第4話。
    三流探偵。

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    4.
    「って言うと?」
     きょとんとした顔を並べるダンたちに、エミルが呆れた目を向ける。
    「サムたちが向かった場所は分かったわよ。その目的も把握したし、あんたたちの状況についてもオーケーよ。
     で、サムが今どう言う状況にあるか、それは予想できてる?」
     そう問われ、ダンがさも当然と言いたげに答える。
    「そりゃ、組織に捕まってるってことだろ。こんな状況だし、それ以外考えられんぜ」
     そこでアデルが「いや」と口を挟む。
    「そうは言い切れん。何でもかんでも組織の仕業ってわけじゃ無いだろ。
     そもそもさっき言ってた匿名の電話、『組織を探ってるチームは全員潰した』って話だが、サムたちは探ってたわけじゃないだろ?」
    「……あ、そう言やそうか」
    「脅しの材料にするなら、俺たち3チームを潰したってことをそのまんま伝えりゃ、それで十分だ。組織の捜査に加わってないサムたち4人にまで手ぇ出すなんて、余計な手間が増えるってだけだぜ。よっぽどのヒマ人共なのかよって話になる。
     第一、特務局が凍結された今、サムたちや、捜査で出かけてる他の局員には、組織に対抗できるような手立ては無くなってる。普通に考えりゃ、そいつらは放っとけば路頭に迷っておしまいだ。
     そんなのをわざわざ襲うなんて悠長なことするくらいなら、もっと別のことに人員やらカネやら費やすだろう。それこそ政府施設を襲うだとか、列車強盗するだとかな。
     故に、この事件に組織が関わってるって可能性は、かなり低い。となれば、もっと高い可能性を追った方がいい」
    「な……る、ほど」
     ダンが黙り込んだところで、アデルはこう続ける。
    「普通の事件と同様のケースで考えてみて――組織なんかと関係無い、いつも俺たちが関わってる捜査だとして――その横領犯に返り討ちにされたって可能性が一番高いだろう」
    「そう、そこよ。その横領犯にやられてる可能性が高いでしょうに、あんたたち全然、そこに触れようとしないじゃない。『組織の仕業に違いない』って決めつけて。
     いくら組織が今、あんまりにも目立ってるからって、最も有り得る可能性を無視して慌てふためいてたら、簡単に足元すくわれるわよ。
     突飛なことをあれこれあげつらうより、まずは可能性の高い方から順に、対応策を考えるべきじゃない?」
    「う……」
     ダンが恥ずかしそうに顔を赤らめたところで、エミルがさらに追及する。
    「と言うか、そもそもサムたちからの電話連絡が無くなったってだけでしょ、現状で分かってるのは。
     それならミラー局長の当初の予測通り、電話の無い環境にいるってだけじゃないの? N州なんて合衆国の外れみたいなところなんだし」
    「ま、まあ、そうだな」
    「あんたたち、やってることが滅茶苦茶よ。ちょっと予想外の事態に見舞われたくらいで、まともな議論もできないくらいにうろたえちゃって。
     よくそんな体たらくで、捜査員なんかやってたもんね」
    「め、面目無い」
     散々突っつかれ、ダンは目に見えてげんなりしている。
     見かねたのか、エミルは語気を、いくらか優しいものに改めた。
    「はあ……。とにかく、集められるだけの情報を集めましょう。
     とりあえずあたし、局長に電話してくるわね。あ、ミラーさんの方じゃなく、うちのパディントン局長の方ね」
    「なんで?」
     一転、面食らった顔を並べ、エミルの後ろ姿を見送るダンたち3人に、アデルが代わりに説明した。
    「特務捜査局が大変な状況にあるってことは、パディントン局長も把握してるはずだ。なんだかんだ言って『商売仲間』だし、持ちつ持たれつの関係も築いてきたんだからな。
     だからほぼ確実に、局長も俺たちの身を案じてるだろうし、対応策もいくらか用意してるだろう」
    「まさか! いくらあの『フォックス』でも、そこまで……」
     ハリーが反論しかけたところで、電話口に立っていたエミルが、一同に声をかけてきた。
    「局長から指示があったわよ。『一同、N州へ向かい状況確認を行うとともに、サムたちが危険な状態にある場合には、速やかに救出を行うこと。なお、特務局の状況は把握している。ダンたち3名についても、現状では帰投せず同行し、一旦探偵局に逃げた方が懸命だろう。受け入れる準備をしておく』だそうよ」
    「……は?」
    「マジでか……」
    「……怖ええな、あのおっさん」
     ダンたち3人は揃って顔を青ざめさせ、口をつぐんだ。

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 3

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第3話。
    司法省クライシス。

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    3.
    「そんな状態でよく、サムを助けてくれなんて話ができたわね。そもそもサムを男として特務局に引き入れたことが、そもそも背任行為じゃない。
     そんなことが司法省にバレたら、クビどころじゃ済まないんじゃない?」
     エミルの疑問に、ダンもうんうんとうなずいて返す。
    「だろうな。最悪、罰金刑か投獄されるか、かなりヤバい状況にあることは間違い無いだろう。
     だが今のところ、確かに監視されてるのはされてるみたいだが、どうやらオフイスに監視員がぞろぞろ詰めてたり、電話を傍聴したりって感じじゃ無い。じゃなきゃ俺と『娘を助けろ』なんて話、できやしないからな。
     と言うか多分、司法省も局長宛てに電話が来るとは思って無かったんじゃないかな」
    「って言うと?」
     けげんな顔をして尋ねたスコットに、アデルが答える。
    「マジで3チーム全滅ってことなら、誰からも電話なんか入るわけ無いって話だろ。
     仮に組織が電話かけてくるんなら、わざわざミラー局長じゃなく、司法省長官にかけるだろうからな」
    「なるほどな。……だけどそれ、何か変じゃないか?」
     ハリーにそう返され、今度はアデルがけげんな顔をする。
    「どう言う意味だ?」
    「いきなり誰だか分からん奴から『お前のチーム皆殺しにしたぞ』なんて電話かかってきて、それを真に受けんのかって話だよ。
     いくら局長が連絡途絶を報告してなかったとしてもさ、簡単に信じすぎだろ?」
     ハリーの意見に、アデルも一転、首をかしげた。
    「確かに……。そんな眉唾な話、まんま信じる方がどうかしてるな」
     話し合っていた皆の顔に、不安の色が浮かぶ。
    「もしかしたら、だけど……。信じるとか真に受けるとかそう言うレベルじゃなく、司法省は元からその経緯を『知ってた』んじゃないか?」
    「つまり、司法省に組織の手先が既に入り込んでて、そいつが匿名の電話を口実に、組織を探ってた特務局を潰しにかかったってことか」
    「その説が事実だとすると――それだけ迅速に手を打ってきたって言うなら――最悪、司法省長官からして、組織の一員って可能性も出て来るな」
    「マジか……」
     やがて6人は、互いに神妙な顔を突き合わせた。
    「どうあれ、サムを助けようと助けまいと、このままワシントンに戻るのはヤバそうだな」
    「確かにな。下手すると『お前らも局長派だな』みたいな難癖付けられて、揃ってお縄になりかねん」
    「じゃ、どうすんだ?」
     誰ともなく尋ねたダンに、ロバートが手を挙げる。
    「パディントン探偵局に来るってのはどうスか?」
    「はぁ?」
     その突拍子も無い提案に、ダンたち3人は目を丸くしたが――一転、異口同音に「いいかもな」と言い出した。
    「元から特務局が潰れるって話だったんだし、仕事内容が同じだってんなら、それでもいいよなぁ」
    「同感。ま、そっちの局長がどう言うか次第だけども」
    「アデル、良かったら口聞いてもらえないか?」
     3人から頭を下げられ、アデルは苦い顔をする。
    「そりゃあんたたちの頼みなら嫌とは言えないが、探偵局の人手は足りてるからなぁ。こっちの局長がうんと言うかどうか分からんぜ」
    「ま、そこら辺は『狐』サマ次第ってとこか。……じゃないっつの」
     ダンはブルブルと首を振り、話を元に戻す。
    「今話すべきはサムのことだろ」
    「あ、そうだった」
    「コホン、……えーと、どこまで話したっけか。ああ、そうそう、特務局が業務停止しちまったってとこからか。
     ともかくそんな状況だから、特務局からの支援も受けられないし、逮捕権限も取り上げられた状態だと考えた方がいい。だからもう、横領犯の逮捕云々って話は、捨てていいだろう。
     そりゃ犯罪者を野放しにするのは腹立たしいが、逮捕権限を失った俺たちがバッジ見せて『逮捕する』っつって連行したところで、ワシントンに着いた途端、俺達まで逮捕されちまうだろう。そんなのはバカバカしすぎるぜ」
    「となれば、純粋にサムを助け出すことだけを考えりゃいいってことだな。それと、同行した仲間3人も」
     と、そこでエミルが手を挙げる。
    「それが目的なら、一番重要な情報がまったく抜けてると思うんだけど?」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 2

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第2話。
    サマンサ・ミラー。

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    2.
    「いや、納得っちゃ納得なんだけどさ」
     トリスタンとの死闘を生き延びたパディントン探偵局のアデルたち3人、そして連邦特務捜査局のダン、ハリー、スコットを加えた計6人は、ミラー局長からの依頼を果たすべく、作戦会議と状況確認とを兼ねた会話に興じていた。
    「確かにサムはおどおどって言うかなよなよって言うか、一端(いっぱし)の男じゃないとは思ってたさ。うわさ通り、局長の恋人なんじゃないかってくらい。
     でもマジで女だとは思わなかった。完全にだまされてたぜ」
    「同感だな」
     アデルはコートのボタンを閉じながら、うんうんとうなずいている。
    「だがエミル、お前一体どこで、あいつが女だってことに気が付いてたんだ?」
    「代議士事件の時よ。宿に泊まるって時、2人ずつで2部屋借りようって話になったじゃない」
    「ああ、そんなことあったな」
    「そう言やあん時、サムのヤツ俺と兄貴と3人で1部屋借りようって提案したら、すげーうろたえてましたよね」
     思い返すロバートに、エミルが「それよ」と返す。
    「あの提案でうろたえるなんて、理由はそんなに無いじゃない。人に服の中を見せたくないってことね、ってピンと来たのよ。
     で、あの子と2人で部屋借りて、二人きりになったところで『事情聞かせてちょうだい』って言ったら、教えてくれたわ。
     ミラー局長が連邦特務捜査局を立ち上げたのはいいけど、集まる人材は保安官に毛の生えたようなのばっかり。勇敢で行動力があるのはいいけど、頭脳面で優秀な人材って言うのが、全然見付からなかったのよ。
     そこで目を付けたのが、H大ロースクールを飛び級で卒業した自分の娘、サマンサ。だけど司法省は女性雇用を認めてないから、苦肉の策として、性別をごまかして雇用したってわけ。
     ま、そんな提案、流石のサムも嫌だって断ったらしいんだけど、お父さんが全然折れてくれなくて、それで渋々承諾したって話よ」
    「無茶するなぁ、局長も」
     苦い顔をしつつ、ダンは机の上に地図を広げる。
    「ま、ともかくサムの経緯についてはそれくらいだな。今重要なのは、そのお嬢さんをどうやって助けるかってことだ。
     で、そもそもサムがどんな指令を受けてN州へ向かったかなんだが……」
     ダンは地図に記されたある町を指差しつつ、ミラー局長から聞かされた内容を伝えた。
    「P州で横領事件起こした奴が、このアッシュバレーって町に逃げ込んだって情報を、局長がキャッチしたんだ。
     それだけならそう危険だって臭いも無い。俺だってそう感じるし、局長もそう思ったんだろう。サムと他3名の計4名だけで、俺たちみたいに厳重な武装も無し。せいぜい拳銃を懐に入れとくくらいの軽装で向かったらしい。
     雲行きがおかしくなったのは、サムたちが出発して4、5日経った辺りの頃だ。基本、出張したら毎日電話連絡するのが俺たちの捜査方針だが、今回の俺たちと同様、突然連絡が途絶えた。とは言えサムたちが向かったのはほとんど鉄道も無い、かなりのド田舎だって話だから、そもそも電話が見付からないんだろう程度に思ってたらしい。
     だけどさらに数日が経ち、今回の業務停止につながる事件が発生した。俺たちを含む3チーム全てから、連絡が無くなっちまったんだ。
     ま、それだけならまだ、司法省がヒステリックに反応するってことも無かっただろうが……」
     ダンはそこで言葉を切り、ふーっと苛立たしげなため息を挟んだ。
    「司法省長官宛てに、匿名の電話が入ったらしい。
    『我々を探るために特務局が派遣したチームは全て、我々が壊滅させた。お前たちの動きも逐一監視している。これ以上、我々を嗅ぎ回るような行為はやめておくことだ』っつってな」
    「組織からの電話ってわけか」
     神妙な顔でつぶやいたアデルに、ダンも渋い顔で「だろうな」と答える。
    「そんなこと言われりゃ当然、司法省はパニックを起こす。事実その時点で、特務局には連絡途絶した4チーム64人がいたわけだし、さらに間の悪いことに、局長はその事実を司法省に報告してなかったんだ。
     局長に言わせりゃ、その時点まではまだ、そんな大事になってるなんて夢にも思ってなかったらしく、報告までするような必要は無いと判断してたそうだが、司法省にとっちゃそれは局長の背任行為、つまり『局長が司法省にとって不都合な事実を隠蔽した』と思わせるに十分だった。
     で、すっかりヒステリー起こした司法省は即刻、特務局を凍結した。局長自身も自分のオフィスに閉じ込められて、厳重な監視体制下にあるってことだ」

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    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 1

    DETECTIVE WESTERN

    半年ぶりのウエスタン小説、第10弾。
    真っ黒な地獄の中で。

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    1.
     アメリカ合衆国の発展に大陸横断鉄道が少なからず寄与していたことは以前に述べたが、その鉄道自体の原動力となったのは何か? これは周知の通り、石炭である。
     石炭自体は紀元前よりその存在が知られており、世界各地で燃料として用いられてきたが、その役割が大きく変化したのは18世紀後半、蒸気機関の発明に代表される、産業革命以降である。
     蒸気機関とは、簡単に言えば「水の沸騰により発生する蒸気圧を、動力に変換する装置」である。水を大量に、かつ、高速で熱し、膨大な蒸気圧を発生させるには、石炭はうってつけの物質だったのだ。
     石油や天然ガスに比べて遥かに安価な上、世界各地で採掘できるため、石油の大量採掘が可能となる20世紀に入るまで、石炭は工業と輸送業の主軸を担っていた。

     だが、石炭と一口に言っても、その質には大きな幅がある。
     質の良し悪しは一般的に、化石化した植物の炭化の度合いで計られるのだが、完全に炭化しきった無煙炭や、それに準ずる瀝青炭(れきせいたん)は発生する熱量も多く、蒸気機関車の燃料や炭素鋼の原料など、用途は豊富である。
     一方、炭化が進んでいない褐炭や泥炭は燃やしても大した熱量が得られないばかりか、空気中の酸素と勝手に化合して自然発火してしまうような、ろくでもない代物が多く、工業規模での需要を満たせるものでは無い。
     そして質の高いものほど希少であり、反対に、質の低いものほどあふれ返るのが自然の道理である。北米大陸には無煙炭を多く含む良質の石炭層が、他地域に比べて比較的多く存在するものの、やはりそうした高品質の地層は、そうそう発見されるものでは無い。



     この炭鉱で働く彼らもまた、一向に質の良い石炭が手に入らないことに、業を煮やしていた。
    「クソがッ!」
     試掘によって出てきた茶色い塊をべちゃっと床に叩きつけ、男は憤る。
    「完全に本社の奴ら、読みを外してやがる! こんなところ100年掘ったって、ろくなもん出やしないぜ!」
     採掘から戻ってきた男の部下たちも、泥だらけになった顔を揃って歪ませている。
    「結局、最初にちょっと瀝青炭が出ただけ、……ですよね」
    「ああ」
    「でもそれっきりですよね」
    「ああ」
    「……このまんま、出なかったら」
    「クビだよ。お前らも、俺も」
    「監督も?」
    「じゃなきゃこんな僻地に、週4ドル半で送り込むかよ? 出たらそのまま飼い殺し、出なきゃサヨナラってことだ。
     あいつら、いっつもそうだ。クソ野郎共め……!」
     のどの奥から絞り出すような怒りの言葉と共に、監督と呼ばれた男は椅子を蹴り飛ばす。
    「俺は勤めてもう16年にもなるが、ろくに給料も上げないクセして、あれやこれや無茶ばっかり言いやがる。
     んでちょっとばかしケチつけたら、こんな彼方へ左遷ってわけだ。まったく奴らときたら……」
     監督の愚痴が始まり、部下たちはげんなりした表情を浮かべる。
     薄暗い部屋の中で、聞くに堪(た)えない罵詈雑言をただただ一方的に聞かせられ続けるだけの、その地獄のような時間は、永遠に続くようにも思えた。

     その時だった。
    「かっ、監督、監督ーっ!」
     一人の若い男が、小屋の中に転がり込んできた。
    「だから俺はな、……な、何だよ、ケビン?」
    「こ、こんな、こんなもん、で、で、出たんスけどっ」
    「こんなもん……?」
     監督を含めた小屋の中の全員が、その若者、ケビンに注目する。
     いや――視線はケビンにではなく、彼が抱える、白い石の塊に向けられていた。

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    双月千年世界 徒然考察;『神器』

    世界観・補足・考察

    シュウ「……(もふもふ)」

    シュウ「……(もふもふ)」

    シュウ「……(もふもふ)」

    エリザ「何しとん?」

    シュウ「なんか机の上にぬいぐるみ置いてあったんで。
    可愛いですね、この黒猫ちゃん」


    小鈴「んふふ」

    エリザ「どないしたん、ニヤニヤして」

    小鈴「ぬいぐるみのタグ見てみ」

    シュウ「タグ? ……えっ!?」

    エリザ「『克大火謹製』ってマジか?」

    小鈴「コネ使って作ってもらった」

    シュウ「な、なんか夜中に勝手に動き出しそうなマジックアイテムに見えてきた……」

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    シュウ「と言うわけで今回のお題は、双月世界における『神器』について」

    小鈴「本来の意味としては『カミサマからもらったアイテム』みたいなもんだけど、
    双月世界だと違う意味も含まれるのよね」


    エリザ「『カミサマから~』っちゅう意味もあるねんけど、もう一つ、
    『異様に性能の良い武具』っちゅうのんもあるな」


    シュウ「どーやって作るのかはよく分かりません。企業秘密ってやつですね」

    小鈴「神器を作れるのは、現時点では克一門とモールさんと、
    ネール公国のお抱え職人だけってコトになってるわね」


    エリザ多少の例外はあるみたいやけどな」

    シュウ「で、その『異様な性能の良さ』って何なのかってことなんですが、まず『頑丈さ』。
    紙でも神器化したら、火を点けても燃えませんし、金属ならちょっとやそっとの衝撃でも壊れなくなります


    小鈴「後は、すごい魔力を持ってるコト。魔力の説明はまた今度するとして、
    神器化するとたった一振りの刀でも、ちょっとした工場や発電所並みの出力を出せたりするって話よ」


    エリザ「ホンマに神話っちゅうか、おとぎ話っぽいっちゅうか。
    コレ使い所間違えたら、黄輪さんの嫌いな安直チートもんの話になるよなぁ」


    シュウ「ご使用には細心の注意を! 色んな意味で」

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    シュウ「で、このぬいぐるみってただのぬいぐるみ、……ですよね?
    神器化とかそう言うの、特に無いですよね?」


    小鈴「何にも聞いてないから、そうなんじゃない?」

    エリザ「分からへんで? アイツ、大事なコト言いよらへんやん。わざとかうっかりか知らんけど」

    小鈴「……確かにねー」

    シュウ「大火さん作って聞いちゃうと、怖くて触れない……」

    エリザ「さっきまで普通になでなでもふもふしとったやん」

    シュウ「さ、さっきはさっき、今は今ですよぉ……」

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    暑中お見舞い申し上げます

    雑記

    2018暑中見舞

    暑中お見舞い申し上げます。

    近年稀に見る酷暑が続き、皆様辟易されていることと存じます。
    実を申せば私、黄輪は、夏より冬が好きな性分であり、
    一日でも早く涼しい日が来てくれることを、日々願っております。

    とは言え、夏は夏で楽しいことも少なくありません。
    折角巡ってきた季節ですし、美味しいものをあれこれいただこうと思います。

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    2018年8月携帯待受

    携帯待受

    MINI COOPER S 5DOOR

    MINI COOPER S 5DOOR

    MINI COOPER S 5DOOR  MINI COOPER S 5DOOR

    2018年8月の携帯待受。
    ミニクーパー。
    カウンタとか待受とか、素材に使うのはこれで何度目だろう。

    ちなみに8月23日は僕の誕生日です。
    当日にも投稿予定なので、お祝いのコメントをいただければ幸いです。

    次回もカラーに関して、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。



    Calender picture application by Henry Le Chatelier

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    「琥珀暁」イラスト ~ エリザとハン(野川真実さんより)

    他サイトさんとの交流

    以前に天狐ちゃんのイラストをいただいた野川真実さんより、
    今度は「琥珀暁」のエリザとハンのイラストをいただきました!



    エリザのいじってる感とハンの困らされてる感が出てます。
    ありがとうございました!

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    双月千年世界 徒然考察;尻尾

    世界観・補足・考察

    シュウ「はい、今回もだらだら考察回ですー」

    小鈴「今回は何やんの?」

    シュウ「ケモノっぽいヒトたちを論じる上で外せない二大要素と言えば、
    『お耳』と『尻尾』ですが、前者の方はこないだお話ししたので、今回は後者っ」


    エリザ「『尻尾』やね(ふわふわ)」

    シュウ「『尻尾』ですねー(さらさら)」

    小鈴「ここぞとばかりにぱたぱたさせてもうらやましくないわよ」

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    小鈴「あ、そもそもだけど」

    シュウ「なんでしょう?」

    小鈴「ふつーの猫とか狐とか、換毛期ってあるじゃん?」

    エリザ「あるな」

    小鈴「アンタらにもあんの?」

    シュウ「ん? んー……」

    エリザ「アタシは無いな」

    シュウ「そうですねー」

    小鈴「あ、そーなの?」

    シュウ「双月世界の人たち限定かもですが、
    わたしも含めたこっちの獣人の皆さんには無いみたいです。
    ふわふわ系の人は夏でも冬でもふわふわしてますし、
    さらさら系の人も、いつでもさらさら」


    エリザ「季節っちゅうか、地域性が出るっぽいな。
    アタシが住んでるんはわりかし温暖なトコやし、
    寒いトコに住んどるロウくんに比べたら、さらさら度合いが強いと思うで。
    実際そんなフカフカ触り倒して比較したコト無いけどな」


    小鈴「まあ、普通好きでもないおっさんの体、ベタベタ触ったりしないもんね。
    んじゃ、暑い地域だとさらさら系、寒い地域だとふわふわ系って感じかしら。
    ……あ、やっぱ尻尾って、歳取ったらハゲたりすんの? 耳も?」


    エリザ「多少あるみたいやね。
    おじいちゃんおばあちゃんで、地が見えとる人は結構見た覚えあるわ」


    シュウ「毛並みも悪くなるみたいですよ。
    近所のスーパーでご年配用の毛染めとかコンディショナーとか、見たコトありますし」


    小鈴「生活感出てきたわね」

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    小鈴「毛染めで気になったんだけど、耳とか尻尾とか、染めたりすんの?
    『黒いと重たく感じるから茶色にしちゃお★』みたいな」


    シュウ「染める人もいるみたいですよ。
    でも耳も尻尾もわりとデリケートなトコなので、よっぽどじゃなきゃ染めないです


    エリザ『白猫夢』第5部のんは、よっぽどやったっちゅうコトやね」

    小鈴「二人は染めてみたいと思う? 刺激無い染料があったとしたら」

    エリザ「アタシは自分の毛並み気に入っとるから思わへんなぁ」

    シュウ「ちょこっとやってみたい気はします。髪の毛の色と一緒にしてみたいなーとか」

    小鈴「ソコでこないだのイラストをちょこっといじってみたものがこちら」



    シュウ「……んー? うーん……?」

    エリザ「イメージと実際は異なる場合があります、ちゅうヤツやな」

    シュウ「やっぱり元のままが一番かもですねー」

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    イラスト;シュウ(双月千年世界)

    イラスト練習/実践

    前回の記事にてようやくシュウのキャラクタがある程度固まったので、
    イラストも描いてみました。

    線画版。

    以前の記事にて「フォーマルなイメージ」と言っていたので、ベストにネクタイ、スラックスと言った、堅めの姿にしました。
    ユニセックス感もあるので、この子にはぴったりな気がします。

    そしてカラー版。

    ノリで髪の毛ピンクにしましたが、もうちょっと落ち着いた色でも良かったかも知れません。
    これはこれで可愛いと思いますが。

    毛並みはスノーシューをイメージして色付けしています。
    全体の服装も白と黒が基調。以前に描いた、


    ……ん? んん?
    以前……に……?

    ……しまった! やらかした!
    以下、言い訳を3人に代弁してもらいます。

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    キャラ紹介;シュウ(双月千年世界)

    世界観・補足・考察

    以前の記事にてシュウの設定を考えるとお伝えしていたので、
    今回まとめてみました。

    名前シュウ・メイスン / Shiu Mason
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    女性 / 猫獣人 / [未確定]
    髪:桃 瞳:金 耳・尻尾:黒、先端に白
    身長:144cm 体重:39kg
    3サイズ:B69、H47、W71
    職業記者 / 黄輪雑貨本店公式マスコット
    あとがきとか番外編とかに出てくる子。「黄輪雑貨」の代表代理。
    ……とは言いつつ、あとがきも番外編もさほどやらないので、
    登場の機会は滅多に無い。


    色々考えた結果、女の子にしました。
    だってそっちの方が可愛いし。

    生年が[未確定]となっているのは、この子が後の双月世界シリーズに、
    正式に登場する予定だから。それがいつになるかは分かりませんが。
    年齢としては、20代前半のイメージ。

    あと、この10年抱いていたイメージとしては、やっぱりこの子は相当ちっこいだろうな、と。
    ちなみにお気に入りの一人、天狐ちゃんも相当ちっこい方(150cm)ですが、シュウはさらにちっこい。
    主要な大人キャラの中で唯一、天狐ちゃんが物理的に見下せる相手です。

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