黄輪雑貨本店 新館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

    「あらすじ」紹介ページ

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    度々「(小説の内容が)何が何だか分からない」というコメントをいただいているので、
    一応あらすじを紹介したページを設けてはいるんですが、それについてもやはり、
    「どこにあるのか分からない」とのご指摘を度々受けていました。

    というわけで急遽、ダイレクトに「ここから行けば分かる!」という記事を作成しました。
    ここです。

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    琥珀暁 目次

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「琥珀暁」地図(作成中……)

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    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝 補足1
    双月世界の戸籍

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    1話目から読みたい方はこちら



    琥珀暁・狐童伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・錬杖伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・鳳凰伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・群獣伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・南征伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・駆逐伝
    1 2 3 4 5 6 7

    琥珀暁・金火伝
    1 2 3 4

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    第1部;彼訪伝~邂朋伝
    第2部;狐童伝~金火伝

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    「双月シリーズ」イラスト ~ 克天狐(矢端想さんより)

    他サイトさんとの交流

    天狐ちゃんのイラストがほしぃ(´・ω・)」と駄々こねてたら、
    いつもDWシリーズの挿絵でお世話になっている矢端さんから、素敵な贈り物が。



    ありがとうございます!
    この天狐ちゃんなら優しく指導してくれそうだ……。

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    イラスト;克天狐(4回目)

    イラスト練習/実践

    タブレット買ったので試しに描いてみよう、……と思ったんですが、設定がうまく行っていないのか、
    どうしてもタップするとブラシ種類選択ウインドウが表示されてしまい、結局描けずじまい。
    いつも通りのマウス描きです。

    線画版。

    どうでもいいことですが、描いた後にウエストマーク付けるの忘れてることに気が付きました。
    とは言えバストアップなので、無くてもいいんですが。

    カラー版。

    ちなみにツイッターでこんなことをつぶやいてます。
    https://twitter.com/au_ring/status/921404554280701952
    金毛九尾の赤黒オッドアイの三白眼で和装男装風でぺったんこの狐っ娘が見たい。
    そしてそれを元にイラストの練習がしたい。


    と言うわけで誰か描いて欲しいな、……と。

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    双月世界地図;琥珀暁(第2部)

    世界観・補足・考察

    「琥珀暁」第2部の地図。



    エリザとモールの旅路は、おおよそ6~7年か、それ以上と考えています。
    その行程、
    )エリザの村を出てラボの村へ行き着き、
    )そこから壁の山で数年修行後、
    )一旦ラボの村に戻り、
    )クロスセントラルに討伐隊を借りに行き、
    )壁の山を超えてラボの村に一時逗留後、
    )エリザの村でバケモノ退治。

    ……一桁~10代前半くらいの女児が歩く距離じゃないなこれ。
    逆算すると、モールとの旅の後半くらいのエリザは、もうちょっと歳、年代が上なのかも。
    (第3部がえらい内容になってしまっているので、そのためのエクスキューズです)

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    2017年11月携帯待受

    携帯待受

    DODGE VIPER

    DODGE VIPER

    DODGE VIPER  DODGE VIPER

    2017年11月の壁紙。
    アメリカ車。ダッジのバイパー。
    緑色にするとイギリス車みたい。
    アメリカ車のナショナルカラーって何色なんでしょうか。水色かなぁ……?

    ボチボチ来年のことを考える時期です。
    来年の待受はどうしましょうか。
    ちなみにこの数年の流れとしては、

    2013:日本・世界のハッチバック
    2014:世界の高級車
    2015:世界の大衆車
    2016:日本の軽車両
    2017:世界・日本のスーパーカー

    来年はまた、日本中心に進めようかなぁ。
    何か希望・リクエストがあれば、そちらを優先しますが。



    次回もカラーに関して、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。



    Calender picture application by Henry Le Chatelier

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    双月世界地図;琥珀暁(第1部)

    世界観・補足・考察

    そう言えば「琥珀暁」の地図描いてなかった。
    と言うわけで、今更ですが掲載。



    とは言え、紀元前1年の話。
    これ以前の歴史は皆無なので、あんまり特筆すべき箇所も無く。
    強いて言えば「火紅狐」以降の時代に比べて、大きな川が少ないくらい。
    と言うのも、あの川は双月世界における巨大政治組織、「中央政府」成立以降に、
    央北各地に水を供給することを目的として引かれた水路。
    元々の川はこんだけシンプルでした。

    あと、「南旅伝」と「襲跡伝」でゼロたちが旅した道のりも記しておきます。
    緑の線が往路、青の線が復路です。
    さらに言えば、「南の村」は「火紅狐」以降のサウスボックスとは違う街。
    鉱山が枯れたり別の鉱山が見付かったりで、ちょくちょく移動しているようです。
    また、「大交渉」以降は歴史的建造物ができたり大小様々な商会が集まったりして、移動してない模様。

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 15

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第15話。
    31日、決断のとき。

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    15.
     局長はギルマンの目星を付けてすぐに、イクトミへ連絡した。
    「……と言うわけだ。そのジャック・スミサーと、彼の会社を調べれば、ギルマンへの手がかりが得られるだろう」
    《ありがとうございます。やはりあなたは優れた探偵王だ》
    「喜んでもらえたようで何よりだ。
     それよりイクトミ。今、私の側には誰もいない。人払いしているからね。エミルたちにも席を外してもらっている。
     この会話が誰かに聞かれると言うことは、無いと思ってくれていい」
    《ふむ……?》
     イクトミのいぶかしげな声が返ってきたところで、局長も再度、周囲に怪しい気配が無いことを確認してから、こう尋ねた。
    「Aはそこに?」
    《ええ、おります。お互い、今は一人でいると大変危険ですから》
    「状況は切迫している、……と言うことか。であれば早い内に、行動を起こさねばならんな。
     教えてくれるかね、イクトミ。アルジャン兄弟は今、どこにいる?」
    《A州のスリーバックス、メリー通りにあるレッドラクーンビル。そこにディミトリ・アルジャンの工房があります。
     そして2週間後の31日、ディミトリは兄トリスタンに、新たな拳銃を提供するとの情報を得ております》
    「その情報、どうやって入手を?」
    《何を隠そう、私とムッシュ・ボールドロイドは今、その隣室に潜んでいるのです》
    「何だって?」
     驚く局長に、イクトミはこう続ける。
    《電話回線に細工をし、ディミトリが電話で交わした会話はすべて、筒抜けになっております。一方で、わたくしたちの会話が傍受されないよう、スイッチ式に盗聴の可・不可を切り替えることもできます。
     普段から銃のことしか頭にないディミトリのこと、自分の電話に細工をされていることなど、まったく気付くはずも無い。事実ここに潜んで2日が経とうとしておりますが、今日も彼は、電話で兄と会話を交わしております。
     組織のことについて、それはもう明け透けに、そして何の隠し立てもせずに、です》
    「ほう……」
     と、電話の声がアーサー老人のものに変わる。
    《おかげで色々と、情報を得ることができました。情報源としては、もう十分にディミトリは役立ちました。
     我々はすぐ、ここを発つ予定です。入手した情報を頼りに、組織からの攻撃をかいくぐりつつ、ギルマンを追うつもりです。
     エミル嬢に襲撃させても、別段、何の問題も発生しないでしょう》
    「そうか。ではすぐ、準備する。今日、明日中には連邦特務捜査局の人間も連れて、A州へ発つことができるだろう」
    《幸運を祈ります。では》
     がちゃ、と電話が切れる。
     そしてすぐ、局長は別のところに電話をかけた。
    《こちら司法省、連邦特務捜査……》「やあ、ミラー。私だよ。ジェフ・パディントンだ」
     相手の挨拶をさえぎり、局長が名乗る。
    《……あんたか。一体何の用だ?》
     相手――連邦特務捜査局局長、ウィリアム・ミラーは、あからさまに邪険そうな声で応対する。
    「合同捜査をお願いしたい。極めて重要かつ、危険度の高い依頼だ」
     しかし局長がそう切り出した途端、その声色は真剣なものに変わった。
    《詳しく聞かせてくれ》
    「相手は『猛火牛』こと、トリスタン・アルジャン。
     N州でのリゴーニ地下工場事件やO州のトレバー銀行強盗事件、W州のユナイテッド製鉄工場爆破事件などの主犯ないしは重要関係者と目されている人物だ」
    《ほう》
    「出現する場所がつかめた。情報源は明かせないが、確かだ。
     確実に逮捕するため、人員を貸して欲しい。何人寄越せる?」
    《見繕ってみよう。……その、なんだ》
     ためらうようなミラーの口調から、局長は彼が言わんとすることを察する。
    「分かっているさ、危険な捜査になる。あの子は呼ばんよ」
    《恩に着る。1時間ほどくれ。こちらから連絡する》
    「分かった」
     ふたたび、電話が切れる。
     局長は局員たちが集まるオフィスに入り、声をかけた。
    「ネイサン。エミル。それから、ビアンキ君。
     仕事だ」

    DETECTIVE WESTERN 8 ~悪名高き依頼人~ THE END

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 14

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第14話。
    組織を討つために。

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    14.
     わたくしは本懐を隠すため、そしてわたくしが組織に「アレーニェ」だと悟られぬために、怪盗「イクトミ」を演じることにいたしました。
     まったく何の価値も無い、盗んだとしても何の被害も出ないようなモノを、さも価値があるかのように仰々しく盗み出すと言う、滑稽な道化を演じたのです。
     その裏で、わたくしは組織がどれだけの人員を有し、どこに本拠や基地を構え、何を計画しているのか探り、明らかになったものから逐次、潰しておりました。
     はじめのうちは、それは少しずつながらも成果を上げておりました。わずかながらも組織の力を削ぐことに成功し、地道に続けていればいつかは呪いを振り払い、ふたたび幸せで穏やかな生活を獲得できるのではと、淡い期待も抱いておりました。
     ですが現幹部の一人、フランシスコ・メイを倒した辺りから、組織もわたくしがかつての「アレーニェ」だと気付いたようでした。それを境に、組織はあちこちに兵隊を撒き、わたくしを襲わせ始めたのです。
     それに加え、組織はわたくしがガラクタのためにメイを殺害したと言ううわさを広め、かつてわたくしを投獄した時のように、警察や司法権力の力を借りてわたくしを捕らえようとしたのです。
     わたくしは改めて、組織の執拗さと陰湿さを認識しましたが、最早、後には引けません。その汚名をあえて否定せず、むしろ汚名を借りる形で、2人目の幹部を殺害しました。そう、黄金銃のポートマン老人です。
     しかしこれは、結果的に言えばかなり悪い事態を引き起こしてしまいました。あなた方パディントン探偵局を敵に回した挙句、わたくしの部下、相棒となっていた男を失うことになりましたからね。

     とは言え、あのマドモアゼル・エミルと再会できたことは、わたくしにとってこの上ない喜びでした。あの女(ひと)もわたくしと共に組織を憎み、共に戦ったことがあるのですから。
     旧組織陥落の折に生き別れとなり、二度と逢えぬものと諦めておりましたが、こうしてふたたび巡り逢えたのは、まさしく運命なのだと、組織を今度こそ潰すために神がお遣わしになったのだと、そう確信したのです。

     あの女(ひと)と共に戦うことができれば、わたくしは今度こそ、組織を完膚無きまでに潰し、人並みの生活と、ささやかな幸せを獲得できると――そう信じているのです。



    「つまり組織が崩壊し、君が殺害した2名がその幹部であると言う証拠が出れば、強盗殺人の容疑は帳消しになる。
     窃盗行為にしても、価値の無いガラクタ品ばかりだ。被害を訴え出る者などいるはずも無い。
     組織を潰すことができれば、君にかけられている数々の嫌疑・賞金は消える。我々と手を組んでいたことが分かったとしても、潰れた後であれば何の問題も無くなる、と言うわけだ」
     空になったバーボンの瓶を床に置き、アーサー老人はうんうんとうなずく。
    「しかし安直に『協力してくれ』『よかろう』などと話を進めるのには、無理がある。
     将来的に組織が無くなれば万々歳だが、その前に組織が手を打ち、我々と君との関係が明るみに出れば、組織を追うどころではなくなるだろうからな。
     とは言え手はある。少し待っていたまえ」
     アーサー老人はニヤ、と笑い、電話に向かった。



    「まさか君がAと接触していたなどとは、夢にも思わなかった」
     ブルース・ジョーンズ・カフェの奥で、パディントン局長はクスクスと笑いながら、イクトミと卓を囲んでいた。
    「流石のパディントン局長も、面食らったと言うわけですな。ボールドロイド氏も、一矢報いたと言う気分でしょうな」
    「勝率はトントンだよ。私が勝つこともあれば、Aが一杯食わすことも、往々にしてある。
     ま、そんなことよりも、だ。君と連携することとして、今後について策を講じていかねばなるまい。相手は『組織』、1人や2人じゃあないんだからな。
     初手は3人で話した通り、我々がアルジャン兄弟を捕らえ、君がギルマンを討つ。それによって組織は強い駒を失うと共に、兵站活動も滞ることとなる。言わば『腕』と『脚』を失うことになるのだ。
     仮にこれが狩りだとしたなら、腕と脚を失った獣を、次はどう攻略する?」
    「ふむ……。トリスタンさえいなくなれば、わたくしに恐れるものはございません。首尾よくギルマンを討てていれば、組織は兵隊を動かすこともできなくなるはずです。相手からの攻撃は、まず無くなると見ていいでしょう。
     となれば後は、『頭』を撃ち抜くばかりでしょう」
    「よかろう。その時は私の方でも全力を挙げ、君を援護する。いや、援護だけじゃあない。エミル嬢も説得し、前線に向かわせよう。
     君とエミル嬢がいれば、確実とは言えないまでも、かなり高い勝率を得られるはずだ」
    「はい、善処いたします」
     局長とイクトミは同時に立ち上がり、固い握手を結んだ。
    「では、ギルマンの手がかりが分かり次第、連絡するよ」
    「よろしくお願いいたします」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 13

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第13話。
    独白。

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    13.
    「人に歴史あり、か。だがそれを私に聞かせて、何をしたい?」
     アーサー老人に2杯めのバーボンを注がれ、それもイクトミは飲み干す。
    「誰かに私の人となりを知っていただきたい、……などと言うのは厚かましいですな。いや、そんなことは申しますまい。お願いの話を、先にいたしましょう。
     組織と戦い、壊滅させることは、わたくしに課された宿命。この生命を賭してでも、成し遂げねばならぬ役目です。ですがわたくしには今、味方がおりません。
     どうか組織と戦うため、力をお貸しいただけませんでしょうか?」
     アーサー老人もバーボンを呷(あお)り、静かにうなずく。
    「どの道、私もFも組織と戦おうとしていたのだ。我々にとっても、君と言う凄腕の協力が得られると言うのならば、断る理由は無い。
     だが君と手を組むと言うことは、即ち探偵が犯罪者と手を組むと言うことでもある。関係を明かすことは、我々にとってマイナスになるだろう」
    「ご心配なく。いくつかの理由から、結果的にその心配は無くなるでしょう」
     イクトミの回りくどい言い方に、アーサー老人は首を傾げる。
    「どう言う意味かね?」
    「わたくしが公に殺害した人間については、ご存知でしょうか」
    「2件――1人目はN州レッドヤードの投資家、フランシスコ・メイ氏が秘匿していたと言う、18世紀製の気球用バーナーだったか、それを強奪するために殺害。
     そして2人目は、全純金製のSAA(シングル・アクション・アーミー)を強奪するため、グレッグ・ポートマン氏を。……と記憶している」
    「ええ、左様です。世間一般には、わたくしがそれら『ガラクタ』の蒐集のため、彼らを殺害したものと認識されているでしょう」
    「『ガラクタ』だと?」
     思いもよらないイクトミの言葉に、アーサー老人は自分の耳を疑った。
    「お前は、……まさか、……まさか、数々の窃盗行為は、偽装だったと言うのか?」
    「左様です。それについても、詳しく説明せねば、何が何だか見当も付きますまい」



     わたくしが組織との戦いを始めたのは、およそ1年半か、2年ほど前でしたか……。

     あの狂気の集団から逃れ、気ままな生活を謳歌していたのですが、そこへ突如、無くなったはずの組織からの召集令状が届きました。
     偽名で生活し、犯罪とは縁遠い職業に就き、少しばかりの友人に囲まれていた、わたくしのところに。
     当然、わたくしは令状を無視しました。今更あんなところには戻れない、戻りたくない、……と。
     そして、半月ほど経った頃でしょうか――わたくしは突然、町の銀行を襲ったコソ泥としての汚名を着せられ、訳の分からぬままに拘束・投獄されました。
     わたくしには、その一日はとても、とても恐ろしく、冷たく、おぞましい一日でした。昨日まで淡々と仕事に勤しんでいた職場を叩き出され、昨晩まで仲良く酒を飲んでいた友人たちに口汚く罵られながら、わたくしの新たな人生には無縁と信じていた監獄に突然、放り込まれたのですから。

     しかし、さらに恐ろしいのは、ここからでした。
     檻の中で打ちひしがれていたわたくしの前に、あの紋章を持つ者が2名、現れたのです。彼らはわたくしに、こう告げました。
    「これで我々の力が、良く分かっただろう。
     素直に我々の下に戻ってくるなら、すぐにでもここから出してやる。断ると言うのならば、君は明日にでも絞首刑になるだろう。
     窃盗と、友人殺しの罪でね」
     そう告げられた瞬間――わたくしの心の中に突如、天啓のようなものが飛来しました。いや、それはむしろ呪詛(じゅそ)、呪いの言葉と言ってもいいようなものだったのかも知れません。
     組織がこの世にある限り、わたくしには未来永劫、平和で幸せな生活などと言うものは訪れないのだと。

     わたくしは立ち上がり、檻の鉄柵をこの両の腕で引きちぎって牢を抜け、慌てふためく彼らを殴り据えて気絶させ、牢の中へ投げ捨てました。
     そしてわたくしは、町から逃げたのです。

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 12

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第12話。
    イクトミ襲撃の夜。

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    12.
    「ごきげんよう、ご老人。騒がしい夜になりそうですな」
     そこには全身真っ白のスーツに身を包んだ伊達男が、拳銃を構えて立っていた。
    「……貴様……イクトミ……!?」
     アーサー老人は戦慄する。
     そして――銃声が、サルーン内に轟いた。



     だが、アーサー老人は傷一つ負うこと無く、その場に立ち尽くしたままだった。
    「……な、……なぬぅ?」
     流石のアーサー老人も、何が起こったのか把握するのに、数秒の間を要した。
     そして周囲の人間が、一人残らず射殺されていることに気付き、アーサー老人はもう一度イクトミに視線を向けた。
    「どう言うことだ? 何故彼らを殺した? まさかこいつらが一人ひとり、リーブル硬貨(18世紀までフランス王国で使われていた貨幣)を握っていたと言うわけでもあるまい」
    「ええ、左様です。
     彼らはあなたを狙っていたのです。そしてわたくしはあなたを探していた。であれば彼らを排除せねば、当然の帰結として、わたくしの目的は達せられません」
    「彼ら? こいつら全員が、私をだと?」
     アーサー老人はどぎまぎとしつつ、もう一度辺りを見回す。
    「彼らの懐を探ってみて下さい。その証明が見付かるはずです」
    「……うむ」
     イクトミの言う通りに、アーサー老人はカウンターに突っ伏したバーテンの懐を探り――そして、あの「猫目の三角形」が象(かたど)られたネックレスを発見した。
    「こいつら……!」
    「あなたはいささか、組織について知りすぎました。組織があなたや、あなた方を消そうとしています」
    「それを私に知らせるために、ここへ来たと言うのか?」
    「それも理由の一つです。あなた方がいなくなれば、わたくしもまた、早晩倒れることとなりますから」
    「どう言うことかね? ……ああ、いや」
     アーサー老人は長年の経験と勘、そして磨き抜いた人物眼から、イクトミに敵意が無く、友好的に接しようと距離を図っているのだと察し、フランクな声色を作る。
    「立ち話もなんだ、バーボンでもどうかね?」
     アーサー老人はカウンターの内側に周り、バーテンの死体をどかして、グラスを2つ取り出す。
    「ご厚意、痛み入ります」
     イクトミはほっとしたような顔をし、恭しく会釈をしてから、カウンターの席に付いた。

     カウンター周辺に漂っていた血と硝煙の匂いが、酒とつまみのバターピーナツの匂いに押しやられたところで、イクトミは話を切り出してきた。
    「わたくしのことを、いくらかお話してもよろしいでしょうか?」
    「うむ、聞かせてくれ」
     イクトミはバーボンを一息に飲み、ふう、と息を吐き出した。
    「インディアンとしての本名は、わたくしにも分かりません。
     仏系の父親からは一応、『アマンド・ヴァレリ』なる名をいただいておりましたが、10歳、いや、11歳くらいの頃から、自分からそう名乗ることは無くなりました。
     父はインディアンであった母のことを、家畜程度にしか思っていなかったことが分かりましたからね。その血を引くわたくしのことも、どう思っていたか。いや、悪感情を抱いていたことは間違い無いでしょう。
     そんな事情でしたから、11歳の頃に家を出ました。そんなわけで幼いながらも放浪の日々に入り、間も無く組織が『人材育成のため』と称して、わたくしを略取・誘拐しました。
     そこで私は、新たに『アレーニェ(蜘蛛)』と名付けられました。身体能力が他の子供と比べ、飛び抜けて高かったからでしょう。……しかしその名も結局、組織を抜けた際に捨てました。
     その後、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て――わたくしは、己で自分自身を『イクトミ』と名付けたのです」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 11

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第11話。
    怪盗紳士の真の顔。

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    11.
    「それじゃ殺人犯として名前が知られ出したのは、最近の話なのね?」
     エミルにそう尋ねられ、局長はうなずく。
    「うむ。しかし妙なのは、それに関する風説の流れの、その『速さ』だ。
     確かに『強盗殺人』などと言うものは卑劣で恥ずべき犯罪であるし、故に悪評として広まるのが早いことは、想像に難くない。だがそれにしても、他の凶悪犯の名が知れ渡る速度と比較すれば、あまりにも早すぎるのだ。
     例えばあの『スカーレット・ウルフ』の場合、1881年にW州における大量殺人が発覚し、それを東部の司法当局が知り、懸賞金の額が上がったのは、そのさらに半年も後だった。
     80年代のはじめであれば、既に電話網が確立されて久しいし、鉄道網だって成熟の度合いは今とほとんど変わらない。にもかかわらず『ウルフ』は半年、イクトミは数週間だ。
     3桁を超える無差別殺人を犯してきた『ウルフ』と、資産家2人だけのイクトミであれば、人民に危険を及ぼす可能性は、どう考えたって前者だ。当局にしても、イクトミなんぞを『ウルフ』以上の危険人物だと捉えていたとは思えん。
     となれば、考えられるのは――風説を操り、司法当局へ伝わる速度を早めた者がいる、と言うことだ」
    「つまり組織の奴らが、イクトミを捕らえるために、世論と司法当局を利用したってこと?」
     エミルのこの問いにも、局長は同様にうなずいて見せた。
    「無論、『捕まえるのはあくまで自分たちだ』とは、考えていただろうがね。……おっと、話が逸れてしまった。
     ともかくイクトミを拿捕、拘束、あるいは殺害せんと、組織は全力を挙げている。風説の流布にしてもそうだし、滅多やたらに襲撃しているのも、そうと言える。
     であればギルマンも大忙しだろう。組織の兵隊たちに、じゃぶじゃぶと武器・弾薬を供給していたに違いない」
    「……! つまりO州・K州・N州で頻繁に武器の輸送を行っていた奴が……」
     アデルの言葉に、局長はニヤっと笑った。
    「そうだ。我々が黄金銃事件で得た、イクトミの犯行ルート及び盗難品リストと、その密輸送の情報を合わせれば……」
    「自ずとギルマンの動向がつかめる、ってワケね」



     3日後、ロドニーから伝えられた情報と、自分たちの資料を基にし、局長は見事、目標を割り出すことに成功した。
    「ジャック・スミサーなる、この人物が怪しいな。
     いかにも偽名だが、それだけじゃあない。イクトミが盗みを働く前後数日、決まって貨物車1~2台分の武器・弾薬をその近辺に送っている。
     この人物を洗えば、かなり高い確率でギルマンを突き止めることができるだろう」
    「ねえ、局長。あなたの話しぶりから、ずっと考えてたんだけど」
     と、エミルが口を挟む。
    「イクトミが『美術品』を盗むのは、もしかして口実だったんじゃない?
     そしてあなた、それを知っていたか、イクトミから聞いていたんじゃないかしら?」
    「……うむ」
     局長は目線を資料に落としたまま、小さくうなずく。
    「私も世間から見向きもされぬ、しかし一部の愛好家には高く評価されると言うような逸品にはロマンがあると考えるタイプであるし、多少は蒐集(とくしゅう)もしている。
     だがそんな私の目からしても、イクトミの集めた美術品のほとんどは、はっきり言ってガラクタとしか映らなかった。
     事実、黄金銃事件で押収し、持ち主のところに返そうとしたモノのほとんどは、『いらない』と突っ返された。元の持ち主もゴミとしか思っていなかったような、益体(やくたい)も無い代物ばかりだったんだよ。
     とすれば彼が盗みを働いていたのは、本来の目的を隠すための偽装(フェイク)なのではないか? ……と、そう考えていた。
     その考えが確信に変わったのは、リゴーニ事件だ。彼は『ガリバルディの剣』なるものを盗もうとうそぶいていたらしいが、地上の屋敷にも地下工場にも、それに該当しそうなものは無かったそうだ。
     リゴーニ、あるいは彼の部下が持ち去った可能性も無くは無いが、剣を置く台座であるとか壁に掛けるフックだとか、そう言うものも、どこにも無かったと聞いている。つまり『元々剣があった』と言う形跡は、まるで無かったんだ。
     その上、君たちをわざわざ、自分の隠れ家に連れ込んだこともおかしい。そんなことをすれば間違い無く、隠れ家は司法当局に抑えられる。血道を上げて集めたはずのコレクションが押収されてしまうことは、容易に想像できたはずだ。
     なのに彼はあっさり隠れ家に君たちを入れていたし、さらにその後、一つとして取りに戻ったような様子も無かった。
     つまり彼は剣を口実にして君たちに協力を求め、最初から地下工場を暴くつもりだったのだ」
    「え、……じゃあ」
     目を丸くするアデルに、局長は目線をチラ、と向けた。
    「そうだ。彼の正体は、フランス絡みの美術品を蒐(あつ)める怪盗紳士でも、卑劣な強盗殺人を繰り返す凶悪犯でも無い。
     彼は組織を潰すため、たった一人で行動していた、義勇の士だったのだ」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 10

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第10話。
    鉄道犯罪。

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    10.
    「そうだな、まずは、……不審な鉄道車輌、なんてのは?」
     尋ねたアデルに、ロドニーは苦い声を返してくる。
    《『何でも』って言ったばっかりで悪いが、それは答えられん。いや、『言えない』ってことじゃなくてな、『言い切れない』んだ。
     俺みたいな大鉄道愛好家や各鉄道会社、その他警察とかその関係者だとかにゃ残念でならんが、鉄道を使った犯罪やら不正なんて話は、あっちこっちでうわさされてる。お前さんが今尋ねた『不審な車輌』なんてのは、それこそあっちこっちで目撃されてるし、捕まえようも無い。
     ティム・リード鉄道強盗団みたいなのを捕まえられたのは、マジで奇跡ってヤツだろうよ》
    「そんなに多いのか? その鉄道強盗団を捕まえた辺りの頃は、そんなに跋扈(ばっこ)してるなんて話は聞いて無かったが……?」
    《そうだな、正確に言えばその直後から増えだしたって感じだ。恐らくあの時聞いた、ダリウスって野郎のせいだろう。
     俺もあの時、サムとかから話を聞かせてもらってたんだが、盗まれた車輌やその部品を使ってるだろうなって言う不審車輌の情報は、かなり聞く。それに『ゲージ可変機構』が取り付けられてるらしい車輌があるってのも、最近良く耳にしてる。
     多分だけども、ダリウスがあっちこっちにバラ撒いてるんだろう。何の目的かは分からんが、パテント料みたいな感じでカネもらってるとしたら、相当稼いでるだろうな》
    「ふーむ……」
     アデルがロドニーから聞いた情報を書き留めたメモを見て、局長がうなる。
    「確証は無いがそのダリウスも、組織の一員なのかも知れないな。
     私の記憶しているところでは、ダリウス氏が活動を開始したのは3年か、4年前だったはずだ。そして組織の活動再開は、少なくとも2年以上前から。時期はかなり近い。いや、重複していると見てもいいだろう。
     ダリウスが資材と資金を集め、組織の活動に充てていた可能性は、十分に考えられる」
    「そうね……」
     エミルたちが話しているのを背に受けつつ、アデルは質問を続ける。
    「じゃあ、そのダリウスについて、何か知らないか?」
    《そっちについては、さっぱりだ。
     あの一件以来、鉄道関係に指名手配が回ってるが、ダリウスを見たって奴は出てこない。そのくせ、あいつにつながってるっぽいうわさはポロポロ出て来る。
     まるで幽霊かなんかだよ、まったく》
    「そうか……」
     その後もあれこれと質問を重ねるが、ギルマンにつながりそうな情報は、一向に入手できない。

     と、局長がトン、トンとアデルの肩を叩き、代わるよう促してきた。
    「あ、はい。……いや、局長が話をしたいって」
     受話器が局長に渡され、彼はこう質問した。
    「すみません、突然。いや何、私からもちょっと、聞かせていただこうかと思いまして。
     リーランドさん、鉄道輸送に関して尋ねたいのですが、お詳しいでしょうか」
    《ああ、まあ、そりゃ、それなりには》
    「ではここ1年か2年の間に、大量の武器・弾薬が――そうですな、一小隊が十分活動できる程度の量で――頻繁に運ばれたと言う記録はございますか?」
    《んー……? ちょっと待ってくれ。思い出す。……あー、と、そうだな、ちょくちょく聞いてる》
    「O州やK州、N州近辺ではどうでしょう? 特に多いのではないですか?」
    《……局長さん、なんか知ってるのか? いや、確かにこの2年、その辺りで武器が運ばれまくってるって話を聞くからさ》
    「やはり、ですか。
     もしやと思いますが、その輸送の中でも非正規と思われるものについてですが、それらに最も使用されていた路線は、W&Bのものでは?」
    《あ、ああ。確かによく使われてるって話は、……聞いてる》
    「なるほど。可能なら、その関係者をピックアップしていただきたいのですが」
    《ちょっと時間をくれれば、まとめられると思うぜ。あっちこっち電話して、多分明日か、明後日くらいには返事できる》
    「では3日後の同時刻辺り、またこちらからご連絡を差し上げます。よしなに」

     電話を切り、局長はふう、と息を吐いた。
    「やれやれ、当たってしまったか」
    「局長……? 何か、つかんでたんですか?」
     尋ねたアデルに、局長はこう答える。
    「イクトミが襲撃された、と言っていただろう? そこから推理したんだ。
     そもそもイクトミに指名手配がかけられたのは1年ほど前だが、その容疑は何だったか、知っているね?」
    「ええ。殺人が契機となった、と」
    「そこだ。それが起こる前までは、彼は奇抜な紳士、風変わりな窃盗犯としての評判しか無かった。いわゆる『怪盗』と言うやつだ。
     だがN州における強盗殺人――西部方面への投資家として知られていたフランシスコ・メイ氏の殺害が、全米への指名手配の契機となった。
     そして指名手配の直後、2件目の殺人が起こる。それがグレッグ・ポートマンSrの件だ。これがイクトミの名を『悪名高き卑劣漢』として、決定的に知らしめることとなったわけだ」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 9

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第9話。
    霧中の敵を追え。

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    9.
    「参ったね、これは」
     リロイ副局長が帰った後、局長は腕を組んでうなった。
    「リロイでも、か。なるほど、イクトミが依頼してくるわけだ」
     常より局長から「情報収集能力に長けている」と称される彼でさえも、ギルマンについては、何の情報も持っていなかったのである。
    「一応、ツテを頼るとは言ってましたけど……」
    「望み薄だな。しかし、だ」
     局長はパイプを手に取り、火を灯す。
    「東洋のことわざには、『火の無いところに煙は立たぬ』とある。
     生きている以上は何か食わねばならんし、となれば店で買うなり、畑や牧場を持つなりすることが予想される。であれば店で聞き込みを行うなり、土地台帳を照会するなりすれば、素性は割れる。一人の生きた人間がこの世界で活動している以上、必ずその痕跡は、どこかに残るものだ。
     ましてやギルマンと言う男は、兵站管理を任ぜられていると言うじゃあないか。となればどこかで武器・弾薬の買い付け、もしくは製造を行い、それを各拠点に運ぶと言う活動を積極的に、かつ、大規模に行っていることは予想できる。
     リゴーニ地下工場事件にトリスタン・アルジャンが関わっていたことを考えれば、あれが組織の一端であったことは、想像に難くない。となれば武器の製造は恐らく、地下活動的に行っているだろう。そこからギルマンを探すのは難しいかも知れん。
     しかしその輸送はどうだろうか? 全米に鉄道網が充足しつつある昨今、彼らがそれら公式な鉄道網を押しのけ、独自の鉄道路線を何千マイルも占有しているとは考えにくい。少なからず公共の路線を流用していると考えて間違い無いだろう。事実、リゴーニ事件においてはW&Bやインターパシフィックの路線が使われていたと言うしね。
     としても、それが一々、どこそこの鉄道会社に運行を届け出ているとも考えにくい。多少なりとも偽装していることは考えられるが、それでものべつ幕無しに届け出ていれば、秘密でも何でもなくなってしまう。
     さてネイサン。ここで一つ、私にアテが思い付いたわけだが、君はどうかね?」
     局長に問われ、アデルもピンと来る。
    「つまり鉄道関係に詳しい奴から、不審な人物や車輌なんかの目撃情報を集めてみる、と」
    「そう言うことだ。そしてネイサン、君の友人にいただろう? 西部の鉄道網について非常に詳しい、機関車ギークの男が」
    「なーるほど」

     アデルは早速、その「機関車ギーク」――マーシャルスプリングスの道楽者、ロドニー・リーランドに電話をかけた。
    《も、……もしもーし?》
     数年前に廃業されたと言っていたものの、会社が使っていた電話回線はまだ、生きていたらしい。
     受話器の向こうから、ロドニーのいぶかしげな声が聞こえてきた。
    「おう、俺だ。アデルバート・ネイサン」
    《あ、ああ、お前さんかぁ。こないだはどうもな。
     っつーか、びっくりさせんなよ。いきなりデスクの電話鳴ったからさ、驚いて椅子から引っくり返っちまったぜ》
    「悪いな、突然。って言うか、電話なんてそんなもんだろ」
    《そりゃそうか。んで、どうしたんだ?》
    「ちょっと聞きたいんだが、……そうだな、そっちで何か、事件だとか、悪いうわさだとか、そう言うの無いか?」
    《は?》
     ロドニーのけげんな声が返って来る。
    《あんたいつから、ゴシップ記者になったんだ?》
    「いや、そうじゃない。詳しい事情は話せないんだが、ある男を鉄道関係から追っててな。そっち方面でそれらしい情報が無いか、調べてるところなんだ」
    《ああ、まだ探偵屋だったか。そう言うことなら色々、教えてやるが……。
     何が知りたいんだ? 鉄道情報なら何でもござれだ。各鉄道会社の景気から、どこの駅のコーヒーがうまいかまで、何でも聞いてくれ》

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 8

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第8話。
    記憶の矛盾。

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    8.
     わだかまりつつも探偵局に戻ったところで、アデルは局長に尋ねる。
    「それで局長、どうやってギルマンを探すんです? また例の名士録に名前があったり、とか?」
    「いや、流石にまったく情報が無い。リロイに聞いてみるとしよう。
     リロイは今日は非番だが、彼が非番にやることと言えば本を読むか、奥さんとチェスするか、後はあの三毛猫をからかうくらいだ。呼べばすぐ来る。
     と言うわけでアデル、リロイを呼んでおいてくれるか? 住所は知っているな?」
    「ええ。行ってきます」
    「うむ」

     アデルが局を出たところで、エミルが再度、局長に尋ねる。
    「それで局長、イクトミに何の条件を出したの?」
    「さてね」
    「……あいつがいるから話せなかった、ってことじゃないのね」
    「うむ。あれは正真正銘、私とイクトミとの間で交わした約束だ。君たちに打ち明けることは、今は無理だ。
     機が熟せば話しても構わないとは、考えているがね」
    「そう」
    「それよりもだ、エミル」
     と、局長は真面目な顔になり、小声で尋ねる。
    「君の言っていることとイクトミの話には、矛盾や齟齬(そご)が散見される。
     さっきも取り沙汰したが――君は『幹部陣とのつながりは無かった』と言っていた。しかし一方、イクトミは『親交はあった』と言う。
     無論、君とイクトミとの価値観の違いなどから、『一方は親しくしていたつもりだったがもう一方はそんな風に思っていなかった』と言うようなことはあるだろう。しかし――細部ばかりとは言え――彼と君の話には、食い違う点がいくつもある。
     一体、どう言うことなんだ? 本当に君とイクトミは、同じ組織に属していたのかね?」
    「それは本当、……だと、思うわ」
    「思う?」
    「そうじゃなきゃ、あいつがあたしを知ってる道理が無いでしょ?」
    「それは確かにそうだ。しかし一致しない点があるのは、何故だ?」
    「……それは、多分」
     エミルは一瞬口ごもり、恐る恐ると言った口ぶりになる。
    「あたしの記憶が、少し、……いえ、かなり、壊れているんだろう、と」
    「壊れている?」
    「ええ。あなたも知っていることだけど、あたしは組織の大閣下、即ち祖父を殺した。……いえ、イクトミによれば死んでないのよね。
     とは言え肉親同士の殺し合いなんて、結構ハードな話でしょ?」
    「確かにね」
    「そのせいか、……あの頃の記憶が、……あんまり、はっきりしないのよ。よっぽど嫌な思い出があるのか、……思い出そうとしても、どうしても思い出せないのよ」
    「ふーむ……」
     エミルの話を受け、局長は苦い顔をする。
    「確かにどこぞの大学だか研究機関だかで、あまりに深刻かつ衝撃的な体験をした者は、精神に悪影響を及ぼすと言うような説が唱えられていたと記憶しているが、……ふーむ、君のような鋼の精神の持ち主であっても、例外では無いと言うことか」
    「鋼なんかじゃないわよ。あたし、これでもナイーブなの。
     ともかく局長、お願いするけど――あんまり、あたしに組織の話、聞かないでほしいの。聞かれても大体答えられないと思うし、思い出そうとすると、アタマ痛くなるのよ」
    「うむ、分かった。まあ、組織の情報を抜きにしても、君が得難い人材であることには変わりない。今後は聞かないことにするよ。
     さて、そろそろアデルが戻ってくる頃だろう。リロイの分も合わせて、コーヒーを淹れてきてもらって構わないかね?」
    「いいけど、……局長、あなたさっき、2杯飲んでたでしょ? まだ飲むの?」
    「うむ。質の良いコーヒーは何杯飲んでもいいものだ。淹れる人間の腕も関係してくるがね。君のコーヒーなら一樽だって飲める」
    「あら、ありがと」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 7

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第7話。
    組織攻略の端緒。

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    7.
     イクトミの言葉に、エミルは血相を変えた。
    「嘘でしょ?」
    「これが嘘であれば、わたくしは喜んでホラ吹きと呼ばれましょう。どんな嘲(あざけ)りを受けたとしても、どれほど幸せなことか。
     ですが、甚(はなは)だ残念なことに、これは事実なのです。わたくしも間違い無く死んだものだ、と思っておりました」
    「何があったの?」
    「そもそもの発端は、古巣に呼び戻されたことです。
     そう、再び組織の幹部として活動せよ、との命令が、わたくしに下ったのです」
     やってきたコテージパイにチラ、と左目を向けつつ、イクトミはこう続ける。
    「しかし今やわたくしは、孤独と砂漠の乾いた風、そして祖国フランスから渡ってきた美術品の数々を愛する日々を謳歌(おうか)しております。今更あの狂気の集団に戻ろうなどとは、露ほども思っておりません。
     ですので丁重にお断りいたしましたところ、それから執拗(しつよう)に襲撃を受けまして。無論、トリスタン級の怪人でも現れぬ限り、わたくしが手こずるようなことは全くもってありえないのですが、それでも昼も夜も、場所も構わずに襲われては、たまったものではありません。
     故に組織の現状を知り、逆にこちらから襲撃することで、二度と勧誘されぬようにと画策していたのですが、その過程で3つのことが分かったのです。
     1つは、組織は以前と変わらず、大閣下の統率下にあること。2つは、組織はわたくしと同様、生き残った元幹部たちに召集をかけ、そのほとんどがそれに応じ、復帰していること。
     そして3つ、元幹部の一人であるギルマンには召集がかかっておらず、にもかかわらず、組織の兵站が以前のように機能していることです」
    「どう言うことだ?」
     尋ねたアデルに、イクトミではなく、局長が答えた。
    「つまりギルマンは組織から離れることなく、ずっとシャタリーヌの元にいたと言うことか」
    「左様でございます。恐らくは大閣下が逃走している間もずっと、彼の本分である逃走ルートの確保に努め、同道していたものと思われます。
     であれば彼のいるところに、かなり高い確率で、大閣下本人か、もしくは本拠地なり移動ルートなり、彼に関する何らかの情報が存在するものと」
    「その情報をつかみ、君は組織を攻撃すると言うわけか。
     そして――なるほど、君が何故、アルジャン兄弟を売るような真似をするのか。それも理解したよ。
     要するに君は、エミルにアルジャン兄弟を始末してもらいたいと言うわけだね?」
    「ええ、仰る通りです。先程も申し上げました通り、流石のわたくしでも、トリスタンには一歩及ばぬものでして。
     ですがマドモアゼルならば、あの怪人を下すことは容易なはずです。事実、以前に対決した際にも、彼女はトリスタンを退けておりますから」
    「買いかぶりよ」
     エミルはそう返すが、イクトミは首を横に振る。
    「買いかぶりなどではございません。極めて公平かつ客観的な評価です。わたくしはマドモアゼルの実力を、良く存じておりますから」
     そう返したイクトミに、局長と、そしてアデルが反応した。
    「ふむ?」
    「どう言うことだ? 一緒に戦ってたって言うのか?」
     アデルに問われ、イクトミはけげんな表情を浮かべる。
    「左様ですが、何か? 顔ぶりから察するに、『そんなわけがあるか』とでも言いたげなご様子ですな」
    「昨日、我々がエミル嬢に、ギルマンに付いて何か知らないか尋ねたのだが、彼女は『自分は幹部連中との関わりは無かった』と答えたんだ。
     しかし君は幹部だったのだろう? となれば話が矛盾する。彼女が嘘をついたとも考えにくい」
    「ふむ」
     イクトミはエミルにチラ、と視線を向け、こう返した。
    「確かに一緒に仕事をしていたとか、作戦に参加していたとか、そう言った事実はございません。ですがプライベートでは、それなりに親交はございます。
     その折に、実力の程は十分拝見しております」
    「なるほど。
     まあ、ともかく――君の言葉を額面通り信じるとすれば、君にはアルジャン兄弟を無傷で葬れると言うメリットが有るわけだ。
     そして我々も、彼らに懸けられた懸賞金を手にし、名うての賞金首を仕留めた名声をも得られると言うわけだ。
     いいだろう。君の依頼、受けることにしよう」
    「ありがとうございます」
     イクトミがほっとした顔をし、握手しようと手を差し出したところで、局長がこう続けた。
    「ただし、こちらも条件がある」
    「なんでしょうか?」
     いぶかしげに片眉を上げたイクトミに、局長は立ち上がるよう促す。
    「詳しい話は離れてしよう。君と私だけでね」
    「局長?」
     目を丸くするエミルとアデルをよそに、イクトミは素直に立ち上がり、そのまま二人で店の奥へと消えた。
    「……どう言うこと?」
     尋ねたエミルに、アデルは肩をすくめるしか無かった。
    「局長お得意の工作か何か、……だろうな」

     数分後、二人は何事も無かったかのように奥から戻り、それからにこやかに歓談しつつ、コテージパイとコーヒーを平らげた後、そのままイクトミは店を出ていった。
     アデルたちは局長の出した条件や密談の内容について尋ねたが、局長はニコニコと微笑みながらコーヒーを飲むばかりで、何も答えなかった。

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 6

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第6話。
    探偵王と怪盗の邂逅。

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    6.
     翌日、3時。
     壁に取り付けられた電話がじりりん、と鳴り出したところで、局長がすぐに受話器を取った。
    「はい、こちらパディントン探偵局。……うむ、そうだ。私がパディントンだ。
     君はイクトミかね?」
     局長の後ろで様子を伺っていたアデルとエミルは、顔を見合わせる。
    「来たわね」
    「流石、伊達男。3時きっかりだな」
     その間にも、局長とイクトミは電話越しに会話を交わしている。
    「そうだ。私が話をする。……いや、彼女はいるよ。私の後ろにね。
     ……そうは行かない。君はエミル嬢にではなく、このパディントン探偵局に対して依頼したのだろう? ……個人的に、であったとしてもだ。彼女は個人業じゃあなく、局に所属する人間だ。である以上、彼女の仕事は局がマネジメントするのが道理だろう? ……ははは、馬鹿を言うものではない。いつ終わるとも知れん仕事をさせるために休暇を取らせるなど、私が認めると思うのかね? ……そう言うことだ。それが嫌だと言うのならば、これまで通り一人で捜索したまえ。
     ……うむ。ではもう少し詳しい話をしようじゃあないか。いつまでもそんなところで私たちを眺めていないで、……そうだな、こっちのビルの斜向いに店がある。君のいるウォールナッツビルの、3つ左隣の店だ。……そう、ブルース・ジョーンズ・カフェだ。
     そこなら捕まる、捕まえるなんて話抜きで相談もできるだろう? 無論、衆人環視の中でドンパチやるほど、我々も無法者じゃあないからな。君もそう言うタイプのはずだ。
     ……決まりだな。私たちもすぐ向かうから、君もすぐ来たまえ」
     そこで局長は電話を切り、窓の外に向かって手を振る。
     その様子を眺めていたエミルが、呆れた声を上げた。
    「あのビルにいたの?」
    「うむ、予想はしていた。彼も慌てたようだよ。居場所を言い当てられたものだから、指摘した瞬間、声が上ずったよ」
    「伊達男も形無しね、クスクス……」



     15分後、局長が指定した喫茶店に、一般的な――今度は「東部都市では」と言う意味で――スーツ姿で、イクトミが姿を現した。
    「あら、白上下じゃないのね」
     指摘したエミルに、イクトミは苦笑いを返す。
    「流石に目立ってしまいますから。わたくしも、色々と狙われる身でしてね」
    「ふむ」
     イクトミのその言葉に、局長が納得したような声を漏らす。
    「つまりギルマン某を探したい、と言うのは、やはり組織に関係してのことかね?」
    「左様です」
     イクトミが椅子に座ったところで、局長がメニューを差し出す。
    「私がおごろう。ここのコテージパイは絶品だそうだよ」
    「ほう。ではそれと、コーヒーを」
     そう返したイクトミに、局長はニヤっと笑いかける。
    「君もコーヒー派かね?」
    「ええ。氏はイギリス系とお見受けしますが、紅茶は?」
    「実を言えば、あまり好きじゃあないんだ。それがイギリスを離れた理由の一つでもある」
    「変わった方ですな」
    「君ほどじゃあないさ」
     やり取りを交わす間に注文し終え、間も無く一同の座るテーブルにコーヒーが4つ、運ばれてくる。
    「コテージパイが温まるまでにはまだ多少、時間がある。それまでに話を詰めておこう。
     まず、君からの依頼を受けるか否かについてだが、君から何かしらの情報を得られれば、受けてもいいと考えている」
    「情報……、何のでしょうか?」
    「まず、アンリ=ルイ・ギルマンとは何者なのか? 組織においてどんな役割を担っていたのか?
     そして何故、君はギルマンを探しているのか? それを聞かせて欲しい」
    「ふむ」
     イクトミはコーヒーを一口飲み、それから局長の質問に応じた。
    「ギルマンはいわゆる『ロジスティクス(兵站活動)』を担当していました。
     武器・弾薬と言った装備の調達や侵攻・逃走経路の確保、基地や備蓄施設の設営、その他組織が行う作戦について、あらゆる後方支援を行う立場にありました。
     そして……」
     イクトミはそこで言葉を切り、エミルに視線を向けた。
    「なによ?」
    「大閣下がマドモアゼルの手にかかって死んだと思わせ――その実、陥落せんとする本拠地からまんまと彼を連れ出したのも、ギルマンの仕業なのです」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 5

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第5話。
    無理筋の依頼。

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    5.
    「なるほど」
     アデルたちの話を聞き終え、パディントン局長はそれだけ言って黙り込んだ。
    「……どうしましょうか?」
     沈黙に耐えかね、アデルが尋ねる。
    「ふむ……」
     しかし、局長はうなるばかりで、返事は返って来ない。
    「迷うことがあるのかしら?」
     エミルからそう問われ、ようやく局長は応じた。
    「いや、迷っているわけじゃあない。
     君の言う通り、その依頼は受けて然るべきものだろう。我が探偵局が凶悪犯2名を拿捕できる絶好のチャンスだ。情報提供者が犯罪者だとしても、そんなことはチャンスを逃す理由にはならん。
     一方で、疑問がある。イクトミが何故我々に対し、そんな依頼をしてきたのか? その点だ」
    「確かにね」
     局長の指摘に、エミルもうなずいて返す。
    「あの怪盗気取りの伊達男がわざわざあたしたちの前に現れ、わざわざ依頼なんかしに来るその理由が、さっぱり分からないものね」
    「そう、それだ。
     彼は探偵として動けば、恐らくそこいらのヘボ探偵より余程、いい仕事をするだろう。リゴーニ地下工場事件の一件だけでも、その才能と実力がよく分かる。
     が、それ故に何故、我々に依頼してきたのかと言う疑問も、一つの解が付けられるだろう。即ち、彼のその『相当の手腕』を以てしてもなお、そのアンリ=ルイ・ギルマンなる人物の足跡を追うことができなかったのだろう、と言うことだ」
    「なる……ほど」
     局長の見解を聞き、アデルは嫌な予感を覚える。
    「つまり我々にとっても、この依頼は相当な無理筋だ、と見るべきでしょうね」
    「うむ。……そこでエミル、君に聞きたいことがある」
     局長からそう尋ねられ、エミルはけげんな顔を向ける。
    「どうしたの、改まって?」
    「君は『組織』に詳しい、と考えていいのだね?」
    「ええ、まあ。少なくともあなたよりは詳しいでしょうね」
    「では尋ねるが、このギルマンと言う人物は、『組織』においてどんな役割を担っていたのかね?」
     局長の質問に、エミルはわずかに表情を曇らせる。
    「それは……」
    「言えない、と言うことかね?」
    「違うの。そうじゃなくて、……そうね、まず、あたしが『組織』でどんな立場にいたかってことから話すけれど」
     そう前置きし、エミルはぽつりぽつりと言った口調で話し始めた。
    「まず、あたしが『大閣下』の孫だったって話は、知ってるわよね?」
    「うむ」
    「その、言ってみれば、……何て言うか、そう言う立場って、例えば国王に対する王女、みたいなものじゃない?」
     珍しく、顔を赤らめつつ話すエミルを見て、アデルは内心、笑いが込み上げそうになる。
     それを見透かされたらしく、エミルがにらんでくる。
    「なによ?」
    「い、いや。何でも」
    「……コホン。と、ともかく、そう言う、その、王女って、例えば騎士団に入ったり、政治に携わったりする?」
    「なるほど。つまり、言わば君は『籠の鳥』として扱われていた、と言うことか」
    「そう言うこと。だから、あんまり幹部がどうだったとか、『組織』が何をしてたかとか、詳しくないのよ。
     だからそのギルマンって奴も、全然面識は無いの」
    「ふーむ……。となると、手がかりが全く無いな。イクトミに聞くしか無さそうだ」
    「どうでしょうね? 依頼してくるほどだから、相手も大したことは知らないんじゃ……?」
     そう返したアデルに、局長は肩をすくめる。
    「何の接点も関係も無い人間を探してくれなどと頼むような人間は、この世にはまずいるまい。捜索を依頼するのならば、必ず何かしらのつながりがあって然るべきだ。返事をするのはそれを聞いてからだろう。
     仮にアデルが言う通り、本当に何の接点も無く、何の手がかりも与えられないとなると、その依頼は断る他無い。何の手がかりも無いまま局員をあてどなく放浪させるほど、我が探偵局は暇ではないからな」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 4

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第4話。
    アルジャン兄弟。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
    「アンリ=ルイ・ギルマン?」
     首を傾げつつも、アデルは懐からメモを取り出し、その名を書きつける。
    「名前からしてそいつもフランス系か? スペルはこれでいいのか?」
    「Hが抜けていますね。あと、AではなくEです」
    「分かりづれえな、無音のアッシュ(注:フランス語は基本として、語頭の『H』を抜いて発音する)かよ」
    「それがフランス語と言うものです」
    「こいつが今、どこにいるのかが知りたいのか?」
     尋ねたアデルに、イクトミは恭しくうなずく。
    「その通りでございます」
    「ちょっと待ちなさいよ」
     と、エミルが再度さえぎる。
    「あんた、受けるつもりなの? まだ報酬が何なのかも聞いてないのに?」
    「ああ、そうか。つい流れに乗せられちまった」
     アデルは首をぶるぶると振り、イクトミをにらみつける。
    「いい加減聞かせてみろよ、お前が持ってきた報酬とやらをよ?」
    「ええ。先程示したものこそが、わたくしの提示する報酬でございます」
    「何だって?」
     首を傾げるアデルとは反対に、エミルは納得言ったような表情を浮かべる。
    「そう言うこと?」
    「さて、どうでしょうか」
     そんな風に言葉を交わしつつ、目配せし合った二人に、アデルは苛立たしさを覚えた。
    「何だよ?」
    「つまりね、こいつは知ってるのよ。『あの二人』の居場所を」
     エミルからそう説明されるが、アデルには依然としてピンと来ない。
    「あの……二人?」
    「アルジャン兄弟よ。ほら、いつものあんたなら手帳開いて、賞金額を確かめるところじゃない?」
    「ん? ……お、おう」
     言われるがまま、アデルは自分の手帳を開き、賞金首のリストを確認する。
    「トリスタン・アルジャン、賞金9800ドル。結構な大物だな。
     ディミトリの方はデータが無いが……」
    「一応ながら、ディミトリは一般市民として生活しているようですから。
     しかし兄のトリスタン、即ち犯罪者へ改造拳銃を提供したり、非合法のルートでM1873のコピー品を国内外へ流したりと、裏を覗けばかなり『臭い』ことを行っているようです」
    「M1873のコピー品……? おい、それってまさか」
    「ええ、ご明察です。あのリゴーニ地下工場で見た、大量の武器。
     あの製造にも、ディミトリが関わっていたようなのです」
    「マジか」
     これを聞いて、アデルは真剣になった。
    「それが本当なら、アルジャン弟も立派な犯罪者ってわけだ。
     少なくともウィンチェスター社からは著作権侵害で訴えられるだろうし、そもそも密輸って点でお縄になる」
     エミルも真面目な顔でうなずいている。
    「軽く見積もっても3~4000ドルのお尋ね者になるわね。兄弟合わせれば12000ドルに届くかも知れないわ」
    「と言うわけです。これはかなりの報酬と言えるのではないかと、わたくしは思っているのですが」
     そう尋ねたイクトミに、二人は揃ってうなずいて返した。
    「なるほどね。確かに美味しい話だわ」
    「捕まえられれば、の話だがな」
    「お二人ならばそれが可能、そう思って提示した次第です。
     どうでしょうか? わたくしの依頼、お受けになっていただけますか?」
    「この場ですぐイエスとは言えないわね。あたしたちは基本的に、探偵局の人間だし」
     そう返したエミルに、イクトミは苦い顔をする。
    「と言って探偵局にわたくしが依頼しに参れば、その場で拘束されるでしょう?」
    「当たり前だろ。強盗殺人犯を放っておくわけが無い」
     アデルにも冷たい態度を取られ、イクトミはやれやれと言いたげに首を振る。
    「では、ここは一旦お暇するといたしましょう。また明日、午後3時に、電話にてご連絡いたします。その時に返事をお聞かせ下さい。
     では、わたくしはこれにて」
    「え?」
     次の瞬間、イクトミはほとんど垂直に飛び上がり、ビルとビルの間をとん、とんと蹴って二人の頭上をやすやすと越え、そのまま大通りへと消えた。
    「……やられた」
     上をぽかんと見上げたまま、アデルがうめく。
    「あっちのペースに乗せられっぱなしね。
     まあ、とりあえず帰って局長と相談しましょ」
     そう言って、エミルは傍らに置いていた買い物袋を手に取った。

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 3

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第3話。
    銀板写真。

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    3.
    「で、報酬は?」
     エミルが尋ねたところで、イクトミは懐に手を入れた。
    「あ、拳銃などではございませんから、そう緊張なさらず。マドモアゼルもホルスターから手を離して下さい。
     お見せしたいのは、こちらです」
     イクトミはゆっくりと懐から手を抜き、一枚の銀板写真を二人に見せた。
    「この写真、中央に写っている人物については、マドモアゼルには説明の必要はございませんでしょう」
    「……ええ、そうね」
     写真を目にした途端、エミルは明らかに不機嫌な様子を見せる。
    「こんなの残ってたのね」
    「フランス人らしく、洒落たお方でしたから。自己顕示欲もいささか強いご様子でしたし」
    「ええ、このいかにも『わしは旧大陸が誇る叡智の結晶である』って言いたげなしたり顔、見てて吐き気がするわ」
     二人のやり取りを聞き、アデルは首をかしげる。
    「何が写ってるんだ?」
    「こちらは、……っと、マドモアゼル。わたくしから説明差し上げてもよろしいでしょうか?」
    「勝手にどうぞ」
    「では、……コホン。
     この写真は187X年、C州にて撮影されました。ご存知の通り銀板写真と言うものは基本、複製が利かぬものでして、そのためその場で何枚も撮られまして。
     1時間も2時間も笑顔で直立していなければならず、幹部一同、こんな遊びに付き合わされるのは二度と御免だ、次は一人で突っ立っててくれ、……などと言い合うのが我々だけでの酒の席における、定番の肴でした」
    「あ……?」
    「失礼、話が逸れました。
     ともかくこの写真は、その組織の首領と幹部一同の集合写真なのです」
    「組織、……って、まさか」
    「ムッシュ・ネイサンもご存知のようですね、我らが組織の存在を。
     そう、この写真の中央に鎮座しておられますのは、かつて『大閣下』と称された組織の首領、JJ・N・シャタリーヌ氏です」
     エミルが罵った通り、写真の中央に写っているその老人の顔は、下卑た性根を感じさせずにはいられない、醜く歪んだものであった。
    「それで笑顔のつもりなんだから、内面の汚さが分かるでしょ?」
    「これが笑顔だって? ……ああ、確かにありありと分かるな」
    「わたくしにしても、この悪鬼の如き笑顔は二度と拝したくないものです。
     さて、そんなおぞましい写真をお二人にお見せしたのは、何も大閣下の下劣な顔を認識させようと言うつもりではありません。
     注目していただきたいのは、この3名でございます」
     そう言って、イクトミはとん、とんと2ヶ所を指し示した。
    「こちらの2名、ムッシュ・ネイサンも以前に顔を合わせたことがあるのですが、覚えておいででしょうか?」
    「以前に……? いや、待て。確かにこっちのいかつい方は見覚えがある。
     こいつ、もしかして……?」
    「ええ、『猛火牛(レイジングブル)』ことトリスタン・アルジャンです。彼は組織の上級幹部でした。そして横にいる、彼の弟も」
    「弟?」
     尋ねたアデルに、イクトミは肩をすくめる。
    「あなたと初めてお会いした黄金銃事件、その発端となった黄金製SAA。あれを製作したのがその彼、ディミトリ・アルジャンなのです」
    「へぇ……?」
    「ねえ、イクトミ。あんたの話が無駄に長ったらしいってことは嫌になるほどよく分かったから」
     エミルが若干苛立った様子で、話をさえぎる。
    「その写真に何の意味があるのか、さっさと教えてちょうだい」
    「そう焦らずに、マドモアゼル。
     わたくしが依頼したいのは、もう一つ指し示した人物についてなのです」
     そう言ってイクトミは、ある人物をもう一度指差した。
    「彼の名はアンリ=ルイ・ギルマン。彼の行方を探していただきたいのです」

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 2

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第2話。
    怪盗紳士、三度目の登場。

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    2.
    「で、どの店の豆が美味しいって話なの?」
    「そこなんだよなぁ」
     エミルと共に街の大通りを歩きながら、アデルは肩をすくめる。
    「グレースの奴、コロンビア産のがどーの、アフリカの方から輸入したのがどーのって色々うんちくを垂れてばっかで、結局『ここがあたしのイチオシね』ってのを教えてくれなかったんだよ。
     しまいにゃ俺も『ああ、こりゃ聞くだけ時間の無駄だ』と思って、適当に切り上げてきちまったんだよな」
    「役に立たないわね。勿論あんたじゃなくて、アシュリーの方がだけど」
    「まったくだ」
     この日、二人は揃って買い物袋を抱えながら、街をぶらついていた。
     と言ってもプライベートではなく、探偵局で使う紙やインクなどの消耗品、そしてコーヒーやドーナツと言った飲食物の買い出しである。
     それでも単調なデスクワークよりも幾分気楽な作業であるためか、それとも街を流れる秋風が心地いいためか、二人の雰囲気は軽く、呑気なものだった。
     そんな雰囲気の中で交わす取り留めの無い話が、アデルが交流を持つ情報屋のアシュリー・グレースに触れたところで、エミルが尋ねてきた。
    「そう言えば聞いた話だけど、あの子、副局長の娘さんですって?」
    「苗字も一緒だし、多分そうなんだろ。
     局長曰く、副局長は『情報収集と分析、そしてその応用・活用にかけては、彼の右に出る者はいない』って話だし、そこら辺の才能が娘に遺伝したんだろうな」
    「お父さんに比べたら、腕と扱う情報は雲泥の差だけどね。
     でも本当に娘さんなら、なんでうちに入らないのかしら? 街の裏手でコソコソやってるより、よっぽどマシなはずなのに」
    「さあ……? 今度、副局長に聞いてみたらどうだ?」
    「その『今度』がいつになるやら、だけどね」
    「違いない。あの人いつも、いるのかいないのか分からんって感じだし。あの人の席、いつ見ても猫しかいないからなぁ」
    「あはは……」
     のんびり世間話に興じながら、二人は通りの角を曲がり――その途端に揃って駆け出し、裏路地に滑り込んだ。
    「あんたも気付いてた?」
    「そりゃな。と言うより、わざと姿を見せてる気配すらあったぜ」
    「そうね。あたしもそれは感じてた。
     となると多分、あたしたちがこの路地に隠れることも計算に入れてるでしょうね。……そうでしょ?」
     通りに向かって呼びかけたところで、声が返って来る。
    「ええ、ご明察です」
    「……また、あんたなの?」
     エミルがげんなりした声を漏らす。
     間を置いて、声の主が裏路地に入ってきた。
    「ごきげんよう、マドモアゼル・ミヌー。それからムッシュ・ネイサン」
     現れたのは、あの「西部の怪盗紳士」――イクトミだった。



    「何の用だよ?」
     ぶっきらぼうに尋ねたアデルに、イクトミは恭しく帽子を脱ぎ、お辞儀をする。
    「単刀直入に申しますと、依頼をお願いしたく参上した次第です」
    「……あんたねぇ」
     呆れ顔で眺めていたエミルが、こめかみを押さえている。
    「さっきあたしたちを尾行してた時、普通の――あたしたちにとっての普通よ――スーツ姿だったじゃない。
     あたしたちと話をするためだけに、この一瞬でわざわざその白スーツに着替えたわけ?」
    「ええ。依頼するのですから、正装が適切かと思いまして」
     臆面も無くそう返すイクトミに、アデルは悪態をつく。
    「正装、ねぇ。俺には仮装に見えるが。
     まあいい。依頼だの何だの言ってるが、そんなもん俺たちが受けると思うのか? お前、自分がお尋ね者だってことが、全然分かって無いだろ」
    「良く存じておりますとも。自分のことですから。
     そしてムッシュ・ネイサンがどうであれ、マドモアゼル、あなたはこれからわたくしの言うことを、聞く気でいるはずです」
    「ええ、そうね。アデルがこう言う反応するってことも、あたしが半端な見返りじゃ動いたりしないってことも、全部把握しての、あんたのこの行動ですもの。
     さぞやあたしが求めてやまないような、そんな極上の報酬を持ってきてるんでしょうね?」
    「勿論ですとも」
     イクトミはにっこりと、微塵も悪意を感じさせない笑みを返した。

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    DETECTIVE WESTERN 8 ~ 悪名高き依頼人 ~ 1

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第8弾。
    電話連絡。

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    1.
     これまでの作中で何度も、さも当然のように使われてきた電話だが――史実として、電話のシステム自体が確立されたのは1876年(A・G・ベルの特許申請と成立)、そして合衆国において電話会社が開業されたのが、そのおよそ2年後である。さらにはその2年後、普及数は5万世帯にも上っていたと言われている。
     その通信網の多くは当然、発展の目覚ましい東部に張られたものだが、「遠く離れた人間と瞬時かつ同時に会話できる」と言うかつてない利便性は、鉄道と馬以外の交通手段が乏しい西部においても、絶大な効果を発揮できたと考えられる。
     その観点から、本作では電話を用いた通信網が西部にも、多少なりとも存在していると仮定・考察し、物語を展開している。



    「報告は以上です」
     淡々と報告を終え、彼は相手の言葉を待つ。
     間を置いて、穏やかで飄々とした声が返って来た。
    《ありがとう、A。ところで……》
     その声に、いたずらじみた色が混じる。
    《この前私が送った三人はどうだったかね? 君の眼鏡に適う者はいたかな?》
     それに対し、A――アーサー・ボールドロイド老人も冗談交じりに答えた。
    「茶髪のイタリア系だったか、あれは探偵向きでは無いでしょう。勘は鈍いし観察力も皆無。度胸も根性も無い。いわゆるヘタレですな。
     ただ、敏捷性は申し分無いし、言うことも素直に聞く。根気良く鍛えれば多少は使い物になるでしょうな。と言っても探偵ではなく、兵卒かそこらとして、ですが。
     赤毛の青年はまずまずと言ったところでしょう。探偵に不可欠の観察力、洞察力、推理力は身に付いているようですし、何より口が良く回る。交渉事や尋問、聞き込みに対してなら、恐らく探偵局一の逸材でしょう。
     ま、口が回り過ぎなきらいもありますがね。弁が立つ分、舌禍や失言も多いでしょうな」
     人物評を聞き、受話器の向こうから笑い声が聞こえてくる。
    《ははは……、確かに、確かに。やはり君の人物眼は確かだ。
     それで、彼女は? 若手の中では一番の期待株なのだが》
    「彼女……、エミル・ミヌーですか」
     ふう、とため息を付き、アーサー老人はこう続けた。
    「若手どころか、私の知る全探偵局メンバーの中でも1、2を争うでしょう。戦闘能力に関しては、ですが。
     いや、探偵としての能力も高い。先述の赤毛君よりも、もしかすれば高い観察力と洞察力を有しているかも知れません」
    《ふむ。……A、そのエミルの戦闘能力について、君の考えを聞きたい》
     尋ねられ、アーサー老人は応じる。
    「物腰や身のこなしからして、近接戦闘の技術は非常に高いでしょう。ナイフや鞭はおろか、素手でも相当の実力を発揮するはずです。並のゴロツキ相手ならものの2、3秒でノックアウトでしょうな。
     射撃能力に関しては、実際に銃を撃つ様子を目にしたことなどはありませんが、少なくとも相当な視力を有していると思われます。赤毛君が双眼鏡を使っていたところで、彼女はほぼ間違い無く裸眼で、私の顔を認識していたようですからな。
     仮に20ヤード先に拳大のワッペンを置いたとしても、彼女ならきっちり意匠の詳細を認識し、階級や所属を言い当てるでしょう。
     ただ、やはり現時点では、情報が甚だしく不足しています。願わくばまた彼女に会い、いくらか探りを入れてみたいところですな。
     とは言え、また直に会うのは得策では無いでしょう」
    《ふむ? ……いや、なるほど。彼女は警戒するからな。名前の通り、子猫(minou)のようなところがあると言うか。そんな状況で会っても、前回と変わらんからな》
    「ええ、仰る通りです。可能ならば、彼女が何かに注視しているところを陰から観察する、……と言うようなシチュエーションがあればいいのですが」
    《用意できればいいのだがね。難しい注文だな》
    「いや……、あくまで単なる希望です。いつも通りの、私のやり方で探ってみるとします」
    《うむ。
     では、A。また次回の、定期連絡を待っているよ》
    「ええ、では」
     電話を終え、アーサー老人はくる、と踵を返し、サルーンのマスターに声をかける。
    「バーボンを」
    「はい、かしこまりま……」
     マスターが答えかけたその瞬間――サルーンの空気が凍りつく。
     その異様な気配をアーサー老人も感じ取り、入口に目を向ける。
    「ごきげんよう、ご老人。騒がしい夜になりそうですな」
     そこには全身真っ白のスーツに身を包んだ伊達男が、拳銃を構えて立っていた。
    「……貴様……イクトミ……!?」
     アーサー老人は戦慄する。
     そして――銃声が、サルーン内に轟いた。

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    2017年10月携帯待受

    携帯待受

    CHEVROLET CORVETTE

    CHEVROLET CORVETTE

    CHEVROLET CORVETTE  CHEVROLET CORVETTE

    2017年10月の壁紙。
    今回からアメリカ車。シボレーのコルベット。

    今回はめっちゃ早く待受を更新しました。
    何故なら次週9/18から、「DW8」の連載を始めるから
    現在、毎週月曜にブログ更新を行っているのですが、
    「DW8」は全15話のため、今から毎日掲載すると9/189/25を越えてしまい、
    次月待受を今月中に掲載できなくなってしまう事態が発生してしまいます。
    来年のカレンダーを来年になって用意する人はあんまりいないと思います……)
    そんなわけで、前回更新から半月で掲載することになりました。
    次回分はいつも通り、10月下旬の予定です。



    次回もカラーに関して、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。



    Calender picture application by Henry Le Chatelier

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    イラスト;猫獣人

    イラスト練習/実践

    今回も自分の診断メーカー「ケモノったー(ヒロイン攻略編)」で出た結果を元に、イラストの練習。

    今回の結果はこちら。

    https://twitter.com/au_ring/status/897463691871899648
    黄輪さんが攻略するのは水色の髪で、緑色に赤が混じった毛並みのお嬢様系猫っ娘。
    好きなことは絵を描くこと、嫌いなことはツイッターでつぶやくこと。
    次の連休に河原へ誘うと好感度大アップ!
    攻略難易度:★★★★★
    #aukemono
    https://shindanmaker.com/718478


    まず線画版。

    先日、近所のスーパーで見かけた人が、まさにこんな格好でした。
    (勿論、猫耳と尻尾は付いてませんよ)
    可愛かったので参考にさせてもらいました。

    そしてカラー版。

    とは言え色は若干変えてあります。
    元は白黒で、それも清楚な感じで良かったんですが、
    より可愛らしさを出すため、ピンク色を加えてみました。

    さらに背景と、妄想SS京都風。


    「絵を描きたいので、市内できれいなところないですか?」
    と聞かれたので、四条大橋からの景色を推める。
    ついでに「案内するよ」と言って付いて行った。
    下心バリバリだが、多分気付かないはず……
    「座ってお話します? 他の皆さんも並んで座ってるみたいですし」
    あれ? もしかしてバレてる?
    https://twitter.com/au_ring/status/904328447660408833

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    2017年9月携帯待受

    携帯待受

    AUDI R8 coupé

    AUDI R8 coupé

    AUDI R8 coupé  AUDI R8 coupé

    2017年9月の壁紙。
    アウディから、R8。

    以前にもR8をモチーフにした待受を制作したことがありましたが、
    あれから年月が経ち、昨年モデルチェンジしていたとのこと。
    そんなわけで新たに描き起こしました。
    隣の兎っ子もついでにモデルチェンジ。



    次回もカラーに関して、twitterにてアンケートを行う予定です。
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    業務連絡;毎年恒例の所信表明 2017夏

    雑記

    本日は私、黄輪の誕生日です。
    Happy Birthday to me.



    やっぱり昨年は最悪の年でした。でも今年もいい感じではありません。
    仕事運もよろしくないし、祖父が亡くなりましたし。
    ただし金運に関しては、最低値だった一昨年よりは改善されているのかも知れません。

    あと、画力も確実に向上していると実感しています。
    文章力なども含め、創造系の能力はまだまだ成長していると確信しています。
    で、懐事情が少しずつながらも良くなっていることを考え、多少の貯金をし、
    1年以内に本でも出せればと思っています
    それが34歳になった自分の目標です。

    ……いくらかかるんだろう。そもそも本って、どうやって作ればいいのか。
    その方面に詳しい方、ご教示いただければ幸いです。

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    イラスト;狼獣人

    イラスト練習/実践

    今回も自分の診断メーカー「ケモノったー(ヒロイン攻略編)」で出た結果を元に、イラストの練習。

    今回の結果はこちら。

    https://twitter.com/au_ring/status/883963761740005376
    黄輪さんが攻略するのは緑色の髪で、桃色に水が混じった毛並みのおっとり系狼っ娘。
    好きなことはネトゲ、嫌いなことは水泳。
    夏休みにお寺へ誘うと好感度大アップ!
    攻略難易度:★★★★★
    #aukemono
    https://shindanmaker.com/718478


    まず線画版。

    ネトゲ好きな子がぐっすり寝てるわけが無い。
    と言うわけで眠たそうな感じにしました。

    そしてカラー版。

    あんまり統一感の無い感じ。
    服にはこだわらない。彼女がこだわるのは、多分ガチャとアバター。

    さらに背景と、妄想SS京都風。


    連日チャットばっかりの付き合いだったので、
    「たまには外行かない?」と弘法市に誘ったところ、
    眠そうな顔で近鉄東寺駅からのそのそ現れた。
    で、市場だけ行くのも勿体無い気がしたので、
    ついでに五重塔で記念撮影。
    やっぱり眠そうだった。
    https://twitter.com/au_ring/status/897462256543211520

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    サティスファイ・ジョーンズ・ロッカー

    短編・掌編

    サティスファイ・ジョーンズ・ロッカー

     私は満足している男だ。

     多少のトラブルや諍いはあれど、仕事は順調である。
     高級車や一戸建ては買えないが、貯金も資産も多少ある。
     少しばかりぽっちゃりしていて首や肩が凝り気味だが、健康も概ね問題ない。
     愛する人や親密な友人もいないが、孤独と思ったことも無い。
     特に過不足も無く、平穏そのもの。それが私の人生である。



     ある時、胡散臭い老人が目の前に現れた。
    「このボタンを押せば、君に幸せが訪れる」
     その他、何かしらしゃべっていたが、あまり覚えていない。
     老人からボタンを受け取った私は、一度もそのボタンを押すこと無く、自宅の押し入れに収めた。

     ある時、あからさまな出で立ちの紳士が目の前に現れた。
    「このノートに願いを書けば、どんなものでも叶うのです」
     その他、何かしら説明していたが、あまり覚えていない。
     紳士からノートを受け取った私は、一文もそのノートに書きつけること無く、自宅の押し入れに収めた。

     またある時は、いかにも偉そうな科学者が現れ、珍妙な機械を私に渡す。
     はたまたある時は、明らかに放浪している風の行商人が、変わった小箱を私に渡して逃げ去る。
     その他、色んな人々がどう言うわけか、私に様々なモノを渡していく。
     しかしそのどれにも手を付けること無く、私はそれらを全て、自宅の押し入れに収めていった。



     そんな私も老境を迎え、押し入れは満杯になっていた。
     大抵のことには動じない私も、流石に押入れ付近の雑然とした状況を疎ましく思い、兄弟やその子供たち、さらにその孫たちにも片付けの手伝いを頼んだ。
    「もう、大叔父さんは不精だなぁ」
    「あとでアイスおごってよー?」
     そんな風に文句を言いながら、姪孫たちが押し入れから色々とモノを出していく。
    「ねえ、大叔父さん。このボタン、なに?」
     聞かれたので、私は覚えている限りのことを答える。
    「押すと幸せになるんだってさ」
    「なにそれ、ウソくさーい」
     姪孫が笑う一方、別の姪孫が尋ねてくる。
    「大叔父さんは押したの?」
    「いいや。もらいものだけど興味無かったから、とりあえず押し入れに入れといたんだ」
    「押していい?」
    「あげるよ。いらないし」
     姪孫はボタンを両手に抱え、嬉しそうにしていた。
     と、別の姪孫がノートを掲げている。
    「これなにー?」
     聞かれたので、また私は覚えている限りのことを答える。
    「書いたことが叶うんだってさ。興味無かったから、とりあえず押し入れに入れといたんだ」
    「ふーん。もらっていい?」
    「いいよ」
     そしてまた別の姪孫が、小箱を持って来る。
    「これはー?」
    「いいものが入ってるんだってさ。興味無かったから……」「とりあえずおしいれにいれといたんだー、……って?」
    「そう、そう」
     結局、私の家の押し入れに収まっていた様々なガラクタは、すべて姪孫たちが持って行った。

     その後、私は特に後悔も不満もなく、満足して生涯を終えた。



     そして彼岸へ渡った先――私の前に、ずらりと人だかりができていた。
    「あ、あなた……どうしてなんです?」
     口火を切ったのは、かつてノートを私に渡した紳士だった。
    「どうして一度も、私たちの贈り物を使って下さらなかったんですか!?」
    「どうしてって、……うーん」
     私は首をひねりつつ、こう答える。
    「別にこれと言って欲しいものも無かったしなぁ」
     私の返答が不満だったらしく、他の者たちも口々にぼやき出す。
    「も、もったいない!」
    「使ってくれれば……」
     それを受け、私は姪孫たちに渡したことを彼らに伝えたが――。
    「そんな話をしてるんじゃないんです!
     もうお気づきでしょうけど、私たち全員、あなたを惑わすべく参上した悪魔ですっ!
     あなたを地獄に堕としてやろうと色々、色々企んでたのに、なんで全然引っ掛かってくれないんですかあっ!?」
    「はあ、……なんかすみません」
     揃って意気消沈する悪魔たちの中、一人、こんなことをつぶやく者がいた。
    「こんな奴初めてですよ……。人間誰だって、ちょっとくらい欲があるって言うのに。
     あなた、『もうちょっとくらい』って思わなかったんですか?」
     そう聞かれて、私は答えた。
    「そう言うの、あんまり……。
     私、自分の人生に満足してましたので」

     結局、恨みがましい目でにらんでくる悪魔氏一同を横目に、私は天国行きのバスへと乗った。
     その道中、背中に白い羽の生えた運転手がクスクス笑いながら、こう教えてくれた。
    「あなたのことは『こっち』でもうわさになってましたよ。
     悪魔に一度も誘惑されなかった男だって」
     とは言え特に何かをしたと言うわけでもないので、私は「はあ」とだけ返した。



     私は常に満足した男だった。
     悪魔氏一同にとっては、ひどく不満な男だったようだが。

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    イラスト;葛(白猫夢)

    イラスト練習/実践

    前回に引き続き、自分の小説から。
    今回も「白猫夢」より、葛。

    線画版。


    実を言うと、あんまり葛に関しては絵面のイメージが、僕の中で固まってません。
    葵の方が印象強すぎて……。

    とは言え、一応葛の体型もデータとして作ってあります。
    身長164cm、3サイズは上から順に83、57、86。体重は57kg。
    こちらは普通の女の子体型。

    カラー版。

    前回言っていた通り、三毛の毛並みです。
    ちなみに髪の色もですが、目の色も姉と同じ。
    あんまりお姉ちゃんが目を見開かないので、確認する機会は少ないでしょうが。

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