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    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!
    http://blog-imgs-29.fc2.com/a/u/r/auring/20110303233148f4b.jpg" target=_blank>
    イメージ、ど真ん中です。
    ありがとうございました!
    「蒼天剣」イラスト(ラフ) ~ 雪乃(高瀬 コウさんより)
    »»  2011.03.03.
    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!

    と、前回お伝えしましたが、さらに制作が進み、色が付きました。

    http://blog-imgs-29.fc2.com/a/u/r/auring/20110410221118156.jpg" target=_blank>
    おお……、LandM製作所さんで良くお見かけするイラストの雰囲気が出ている。
    いつかご縁があれば、晴奈とかも描いていただきたいものです。
    「蒼天剣」イラスト(色つき) ~ 雪乃(高瀬 コウさんより)
    »»  2011.04.10.
    小説ブログ「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんと、互いのキャラをコラボさせた小説を交換しました。

    こちらが僕の書いた、「黄輪雑貨的、範子と文子の三十分旅行」。
    そしてこちらがポールさんに書いていただいた、「趣喜堂茶事奇譚・特別編/山猫の夏」です。

    ポールさん、ありがとうございました!(*´∀`)
    コラボレート企画;ポール・ブリッツさんと
    »»  2011.05.23.
    アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんより、
    「火紅狐」はフォコ君(青年)と、フォコくん(少年)&ランニャちゃんを描いていただきました!


    こちらが夜市さんに描いていただいたフォコ君。


    そしてこちらが、とにもとさんからのフォコくん&ランニャちゃん。



    フォコ君の性格は作中やキャラ紹介に書いた通りですが、
    お二人に描いていただいたこのフォコ君は、普段から作中の端々で見せている優しげな雰囲気が、非常によく出ています。
    非常に、イメージ通り。
    成長したランニャちゃんも、ぜひ拝見したいものです。

    ありがとうございました!
    「火紅狐」イラスト ~ フォコ君(夜市さんより)、フォコくん&ランニャちゃん(とにもとさんより)
    »»  2011.05.30.
    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」の登場人物、黒炎教団の教主、ウィリアム4世を描いていただきました!

    と言っても、諸般の都合により、「蒼天剣」に登場している年齢よりも、若く描かれています。
    その詳しい都合は、また機会があれば。

    「蒼天剣」関連イラスト ~ 若い頃のウィリアム・ウィルソンIV世
    »»  2011.09.18.
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    ???「とゆーわけで
    夜市様より、このようなご質問をいただいたわけですけれどもー」

    フォコ「まずこちらから質問さしてもろてもええです?」

    ???「どうぞー」

    フォコ「あなた、どちらさん?」

    ???「あ、申し遅れましたー。
        わたくし、特別コーナーおなじみ(まだ2回目だけど!)、
        インタビュアー兼司会役の猫獣人、シュウ・メイスンですー」


    フォコ「はあ、そうでっか」

    シュウ「ちなみに作者の黄輪さんは、このやりとりをテンプレ化しようとしてるらしいです。内緒ですよー?」

    フォコ「んなこと言われても知りませんて」

    シュウ「ちなみにちなみに黄輪さんは、この質問コーナーにあまりにもコメントが寄せられないため、
        半分ふてくされてたコトも、やっぱり内緒ですよー」


    フォコ「言うてますやん」

    シュウ「ま、ま。細かいことはいいじゃないですかー。
        と、今回この質問コーナーにお集まりいただいたのは、次の5名さんです。
        まず現在好評連載中、『火紅狐』の主人公、ニコル3世ことニコル・フォコ・ゴールドマンさん」


    フォコ「はいはいどーもどーもー」

    シュウ「そしてフォコさんを追っかけて早○年、ついにゴールインまでこぎつけた銀髪のおてんば娘!
        フォコのパートナーはやっぱりこの人しかいない! ランニャ・ネールさん!」


    ランニャ「おてんばって言うなよぉ。ちょっと気にしてるんだからな」

    シュウ「そして続いては、物事の二手三手先を読むのは当たり前!
        すべてを見通す眼鏡くん、ランド・ファスタさん!」


    ランド「眼鏡くんて、なんかバカにされてるみたいだなぁ」

    シュウ「そしてそして、思いのたけを伝えては伝えては、全弾かわされる!
        わたしが愛したのはフラグクラッシャーだった!
        『猫姫』こと、イール・サンドラさん!」


    イール「ブン殴るわよ、アンタ」

    シュウ「最後にご紹介するのは、そんな彼らを温かく、あたたかーく見守ってきた女番長!
        ここで出会ったのも不可思議ですね! 心躍りますね! ルピア・ネールさん!」


    ルピア「おう、よろしく」



    シュウ「そんなわけで、まずは一つ目のご質問から。
        みなさんが好きな食べ物、または料理はなんでしょう?
        まずはフォコさんから」


    フォコ「あー、と。好き嫌いはないし何でも食べますな。
        強いて言えば、小麦系はよお食べるかも。パスタとか、パンとか」


    ランド「炭水化物ばかりだよね。あれで太らないのが不思議だよ」

    フォコ「若い頃苦労しまくってたもんで。どっちか言うたら痩せ型ですしな」

    シュウ「では続いて、ランニャさんは?」

    ランニャ「そりゃもちろん、母さんの手料理だなぁ。
         特に、鶏肉と卵と玉葱のピタ。アレは考えるだけでヨダレ出ちゃう」


    ルピア「あはは、そりゃどうも」

    シュウ「お次はランドさん」

    ランド「僕もルピアさんの手料理は好きだな。
        北方でも無理言って、アンチョビとトマト、アボカドのピザを何度か作ってもらったことがあるけど、
        やっぱり家で食べたのには敵わなかった」


    ルピア「言ってくれりゃ、いつでも作るぞ? カツミくんがいりゃ、あっと言う間に届けられる」

    フォコ「タイカさんをピザ宅配屋扱いですか、ルピアさん……」

    シュウ「それじゃ、イールさんはどんなのでしょ?」

    イール「そうねー……。あたしは逆に、南海で食べた魚料理かなぁ。
        アレは、めちゃめちゃ美味しかった。お刺身とかお吸い物とか。
        あ、海鮮鍋とか奉書焼きとかもあったわね。もー絶品だったわ、ホント」


    シュウ「美味しかったのは魚自体の質や調理の仕方だけじゃなくて、
        一緒に釣ったり食事したりした人が良かったからかもですねー」


    イール「え、えへへ……」

    シュウ「最後にルピアさんの好物、一体なんでしょうかー?」

    ルピア「そうだなぁ、私も好き嫌いは無いな。
        あ、でも、私も故郷の料理が、何だかんだ言っても好きだな。
        特にジャガイモとチーズ入りのオムレツ。あれは何皿でもいける」


    シュウ「黄輪さんによれば、ルピアさんたちの故郷、クラフトランドには、
        いわゆる『ドイツ』的イメージを持たせてるとか。
        だから職人さんが多かったり、無骨なしゃべり方をしていたりするんだそうです。
        ひょっとしてルピアさん、ビールもいけます?」


    ルピア「ああ。さっき言ったオムレツと、あとソーセージがあれば、何倍でも呑める」

    シュウ「呑みそうですもんね、ルピアさん。
        っと、ちょっと長くなってきたので、2つ目の質問は次回、また明日お答えしますねー」
    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー①
    »»  2011.12.02.
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    シュウ「と言うわけで、質問コーナー2日目です。
        今日もよろしく、お願いしますー」


    フォコ「はいー」

    シュウ「では早速、ご質問2つ目。
        魔力、体力、頭脳。それぞれ、能力的に一番高いのは誰なんでしょう、と言うことなんですけれども」


    フォコ「まあ、頭脳に関してはランドさんでしょうな」

    ランド「いや、君も相当の知力を持っていると思うよ。発想力と言う点では、僕は及ばないな」

    イール「ドッチもアタマいいと思うんだけどねー」

    ルピア「質の問題だな。
        フォコくんは、例えば大喜利みたいなので一つのお題を出されて、即興でポンと答えるのが得意だが、
        ランドはそれをやられると、答えに詰まってしまう。
        逆に専門的なことを答弁したり、複雑に込み入った問題をじっくり解いていくことに関しては、ランドは大得意だ。
        言い換えればフォコくんは短期瞬発型、ランドは長期安定型だな」


    ランニャ「なーるほど」

    シュウ「では次に、魔力と言うことなんですけども、これはどうでしょうか?」

    ルピア「そうだな……、私の見立てでは、イールちゃんがかなり強いように感じられるな」

    イール「まあ、魔術なら誰にも負けないって自信はあるわね」

    フォコ「他に『火紅狐』中で魔力のあるキャラって言うたら、僕とかマフスさん、ゲンゾウさんになりますけども、
        イールさんと比べたら、流石に差が大きいですな」


    シュウ「……? えーと」

    ランド「どうしたんですか、シュウさん?」

    シュウ「あ、……いえ。
        じゃあ体力はどうでしょう?」


    ランニャ「母さんはかなりある方だよね」

    ルピア「そうか?」

    ランド「一大組織を率いる一方で、自分自身も鍛冶に精を出し、しかもホコウと一緒に旅までこなして……。
        相当のバイタリティの持ち主じゃないと、なかなかできないよ」


    フォコ「他にも体力言うたら、やっぱり軍人やってはるレブさんとか、ゲンゾウさんとか。
        ちょと話変わりますけども、3つを比べて一番バランス取れとる人って言うたら、ゲンゾウさんですな」


    ランド「そうだね。元魔術教官で、今は軍のトップだからそれなりに頭はいいし、魔術の腕もいい。
        精力的に仕事をこなしてるし、体力もあの年代にしては、平均以上だろうな」


    シュウ「……あのー」

    ルピア「どうした?」

    シュウ「……あのお二人はどうなんです?」

    ランド「……あー。うん、あの二人ね。
        何て言うか、規格外な感じだよ」


    フォコ「ですな。タイカさんもモールさんも、どっちも桁外れに魔力持ってはりますし、
        魔術とか、他の知識に関してもめちゃめちゃ詳しいですし。
        魔力と知力に関しては、僕たちとは比べ物にならへんでしょうな。
        それにタイカさんは、単騎で一個大隊を一掃するくらいの体力がありますしな。
        ちゅうてもモールさんは、体力に関しては全然無いです。
        戦闘ではまったく、自分から前に出ようとしはりませんからな。
        それこそランドさんより、体力ないんちゃいますか?」


    ランド「そうだな……、それは僕も思った。
        前作でも触れていたけど、モール卿は『他人の体を奪う』能力がある。
        奪った体はどうも、半分死んでるとか、そう言うことなんじゃないかな。
        だから体自体からエネルギーと言うか、出力が出ないし、その結果、体力が無い、……とか」


    フォコ「それを踏まえても、魔力と知力に関しては二作品中、やっぱりダントツですな。
        タイカさんに対抗でけるのんは、モールさんくらいやと思います」


    シュウ「やっぱりあのお二人がツートップなんですね、前作から引き続いて。
        と、お時間が来てしまいました。
        3つ目のご質問についは、また明日ー」
    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー②
    »»  2011.12.03.
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    シュウ「質問コーナー、とうとう最終日ですー。
        今回は作者、黄輪さんとお話させていただきますねー」


    ――どうも。

    シュウ「黄輪さん宛の質問、改めて確認しますねー。
        今までのキャラで気に入っているのは、と言うことなんですけども」


    ――前日で触れていたツートップ扱いから言っても、やはり克大火とモール・リッチがお気に入りですね。
      大火はブレない、曲がらない、そして強い。
      全作品において北極星の如く、不変の存在ですね。
      一方のモールは、強いのは同じだけども、姿形が作品によってコロコロ変わる。
      そしてひたすら、胡散臭い。こっちは彗星って感じですね。
      この人間離れした両者の活躍、暗躍と対比が、一連の作品の魅力の一つだと思っています。

    シュウ「ふむふむー。ではちなみに、今作『火紅狐』や前作『蒼天剣』の中だと、どなたがお気に入りなんでしょう?」

    ――『火紅狐』だと、やはりフォコですね。
      3章以降で見せる、どんな苦難にもめげない精神力。敵に対して猛然と立ち向かう熱さ。
      その反面、愛情の出し方がなんか不器用。
      ここだけピックアップすると、いかにも主人公然とした要素がありますね。
      雄々しく剣を振るったり、リーダーっぽく動いたりしないだけで。

      あとはルピアも気に入ってるキャラですね。
      姐御肌で、確固たるポリシーを持ってるところ。何かと助けてくれるところ。
      実際、フォコの活躍には、要所要所でルピアさんからの影響が見えます。
      そう考えると、『火紅狐』には無くてはならないキャラと言えますね。

      そういう名サポート役は『蒼天剣』にもいて、そちらも気に入ってますね。
      前作のあとがきでも出した小鈴が、それに当たりますね。
      彼女も最後まで、主人公の晴奈をあれこれと助けてくれます。

      主人公は勿論、非常に気に入ってるんですが、彼らを支えてくれる人たち。
      そういう役どころもまた、僕にはツボですね。

    シュウ「なるほど、ありがとうございましたー」



    シュウ「では今回の特別企画、3周年記念質問コーナーはこれにて終了となります。
        次回、私が皆さんとまたお会いできるのは、『火紅狐』の終了後の予定です」


    ――その『火紅狐』、最終となる第7部は、12月11日からの開始予定です。
      1年半近くかけて連載してきた物語も、いよいよ終盤に突入です。

    シュウ「因縁の敵との決着を付け、新しい家族を得たフォコさん。
        一方、世界の中心である中央政府では、新たな戦乱の動きも。
        世界の命運はどこへ向かうのか?
        そして後世で語られるニコル3世の遺した謎、『大交渉』とは一体なんだったのか?
        こうご期待!」


    ――と宣伝してもらったところで、改めて3周年を迎えられたことに、感謝の意を。
      フォコくん、お願いします。

    フォコ「おかげさまで、『黄輪雑貨本店 新館』は開設3周年を迎えることができました!
        アクセス件数44,000件突破や、ランキングサイト『ブログむら』ファンタジー小説ランキング1位など、
        応援していただいている皆様には、ホンマに感謝してもしきれません!
        これからもご愛顧のほど、よろしくお願いします!」


    全員「よろしくお願いします!」
    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー③
    »»  2011.12.04.
    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    第一回はこちら
    第二回を、僕が執筆させていただきました。
    と言うわけで、どーん。(c)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

      2

     ジローの言葉に、サンライズ教授は笑い出した。
    「何をバカな、ちゃんとほれ、そこに……」
     ニヤニヤしながら机を指差した教授は、そこで硬直する。
    「……そこに、……あれ?」
     笑顔から一転、教授の顔は真っ青になる。
     ジローも、そしてメリッサも、同様に顔を青ざめさせた。
     その場の空気、そして彼らの体温の低下速度たるや、かつて極低温調理法を研究する際に一行が訪れた低温惑星、ゲレルでの日没時を思わせるほどだった。
    「ど、どっ、どこじゃ!? どこに!?」
     教授はがばっと床にはいつくばり、机の下やケージの裏、孵卵器と孵卵器の間など、老体とは思えない速さで点検し――そして唐突に、またも硬直する。
    「……ないっ!」
     教授の発した悲痛な叫びに、ジローはへたり込んでしまった。
    「そ、そんな……!? 一体、なぜ? どうして……?」
     世紀の大発明、夢の食品が失われたその衝撃で、教授もジローも、呆然とするしかなかった。
     そして恐らくは、メリッサも呆然としていたのだろうが――まだ彼女の方が若干、冷静になるのは早かった。
    「……な、内線! 緊急連絡!」
     メリッサは机に腰や腿をぶつけながらも、壁のコンソールに駆け寄り、警備に通報した。
    「すぐにこの区画の出入り口を封鎖して! 早く! 産業スパイよ!」
     最先端技術の粋を集めたこのP―FARMでは、警備網もそれなりに厳重かつ、精密に制御されたものとなっている。
     そのため、通報からわずか2秒後に、教授たちのいる研究モジュールは、他の区画との通行を遮断された。
     もしメリッサが叫んだように、産業スパイがいたとして、彼ないし彼女が何らかの方法でシャーレを盗み出し、逃走したとしても、閉鎖までは20秒とかかっていない。
     産業スパイがたとえ流体生物や超能力者のような存在であろうと、この区画に閉じ込められたことになる。

     しかし教授たちにとっても、大きな問題がもう一つ、発生した。
     あまりにも大慌てで閉鎖が要請されたために、警備側はうっかり、準最大級の警備システムを発動させてしまっていたのだ。
     これはバイオハザードなど、最悪の事態を想定して設定されたシステムであり、一度発動すると、最低30時間はその解除ができない、と言う厄介なものだった。
     そのため、スパイが本当にいたとしても、あと30時間は警備員たちが中に入れない。
    「『準』って、じゃあ、最大級だったらどうなってたんだ?」
    「決まってるでしょ? 区画ごと焼却、完全殺菌よ」
    「うわあ……。焼かれないだけマシかぁ」
    「どちらにせよ、30時間が経過するまでは、スパイと一緒に閉じ込められると言うわけか。うむむ……」
     教授もジローたちも、一様に頭を抱えるしかなかった。

     幸いにも食品の研究所だけあって、食料にも事欠かない。
     教授たちは研究室にこもり、封鎖が解除されるのを待つことにした。
    「とは言え、本当にあの時、スパイがいたんでしょうか?
     確かに僕たちはガムに気を取られてはいましたが、シャーレはすぐ側の机にあったわけですから、誰かが近付いていたら、気が付かないはずはない。
     でもあの時、僕たちの他には誰も室内にはいませんでしたし、扉が開けられたような気配も無かった。
     一体どうやって、盗めたと言うんでしょうか……?」
    「分からん。しかしどこを探しても、シャーレも、中のガムも、見つからんのじゃ。
     となれば、誰かが持って行ったとしか考えられんじゃろう?」
    「うーん……」
     と、そこでメリッサが、何かに気付いたような顔をした。
    「……あの、もしかしたら、なんですが」
    「なんだね、言ってみたまえ」
    「わたしたちがこの部屋に入ってから、今のこの時点まで、誰も出入りしてませんよね。ドアは一度も開いてませんから」
    「そうじゃな」
    「……え、ちょっと待ってよ、じゃあ」
     ジローはメリッサの言わんとすることを察し、身を震わせた。
    「出入りしてないってことは――まだ、この研究室にいるって言うのか?」
    「……かも知れない」
     メリッサは額に汗を浮かべながら、小さくうなずいた。
    銀河農耕伝説(リレー小説)/第二回
    »»  2011.12.15.
    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    ポールさん→自分→矢端想さん→ポールさん、と来て、また僕の番です。

    と言うわけで、どーん。(cでしたっけrでしたっけ)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

      5

    「なっ、……なんと間の悪い!」
     青ざめていた顔をほころばせていた教授は、またも愕然とした顔になった。
    「解除はできないのかね!?」
    「ダメです! 一度起動させたら、電子的な解除は不可能とのことです!」
    「電子的なって、どういうこと?」
    「あ、えーと、……聞いてみます!」
     メリッサは再度、管制室と連絡を取る。
    「教授、テロリストはその場で拘束されたそうです」
    「そんなことはどうでもいい! 肝心なのは、解除方法じゃろうが!」
    「あっ、そうでした。……ええと、物理的には解除方法は無くもない、とのことなんですが」
    「無くもない?」
    「焼却の方法なんですが、まず、区画内にはテル・エタノール、通称『TE燃料』を流すためのパイプが張り巡らされているそうなんです」
    「テル・エタノール? ……って、鋼鉄を2分で個体の状態から沸騰させるって言う、あの高々火力燃料?」
    「らしいわ。
     そのTE燃料は、最大級システムが発令されると、パイプ各所にある噴出口からシャワー状に流され、区画内に撒かれる。
     そして撒かれて揮発し、区画全域に発火可能な状態にまで充満したと、各所の濃度計が判断した後、その濃度計から放電され……」
    「一気に火が付き爆発、……というわけか」
     話しているうちに、三人の鼻腔には、ガムから発せられるハニートーストの香りとは違う、粘つくようなアルコール臭が、わずかながらも流れ込んできた。
    「一度撒かれてしまえば、制御不能となるわけか。
     換気システムや、実験用のドラフトで、TE燃料を外へ排出することは……?」
    「準最大級、および最大級システム発動中は、作動しないようになっているわ」
    「では、濃度計を止めるか、その放電を……」
    「この区画内には、10基備え付けられているそうです。
     5分ですべてを解除することは、物理的に不可能です」
     メリッサの返答に、教授とジローは黙り込んだ。
    「……は、はは」
     間を置いて、ジローが力なく笑い出した。
    「TE燃料で焼かれれば、骨も残らないだろうな。まさか、こんな死に方をするなんて……」
    「あ、諦めてはいかん! まだ何か、方法が……」
     教授の言葉も、ジローの耳には入らない。
    「あるって言うんですか!? TE燃料の噴出は止められない! 濃度計も止められない!
     もう僕たちには、最後の晩餐としてガムを噛むくらいしか、できることは無いんですよ!?」
     泣き叫ぶジローに、教授は閉口しかけた。

     だが――教授はまたも、その表情をガラッと変えた。
    「ガム? ……ガムか!」
     教授はがばっ、とジローの肩をつかみ、その閃きを口早に伝えた。
    「ガムを使うのだ! 口に含んですぐ、というあの変化速度であれば、恐らく間に合う!」
    「え?」
    「よいかジローくん、メリッサくん。TE燃料、即ちテル・エタノールの主成分は、CHO基だ」
    「CHO……、アルコール類ですね」
    「そうだ! そしてこのガムに生きておるコウジカビは、味覚を変えるという、一つの指向性を持っておる!」
    「つ、つまり?」
    「食品の風味、つまり『におい』を変える性質を持っているということだ!
     濃度計はTE燃料の濃度を検出し、起動するようになっておる! ということは、『TE燃料ではない別のアルコール類』の気体が充満したとして、その臭いに反応し、起動すると思うかね?」
    「……あ!」
     聞くが早いか、メリッサは管制室に、TE燃料の収められているタンクの位置を確認する。
     教授はこう言い放ちながら、研究室を飛び出した。
    「コウジカビはまだ相当の量を、低温室に保管しておる! ジローくん、来てくれ!」
    「はっ、はい!」
     走り出した教授とジローの後ろから、メリッサも駆けてきた。
    「タンク、場所が分かりました! わたしも取りに行きます!」
    「うむ、急ぐのだ!」
     三人はうっすらとアルコール臭が漂い始めた研究所内を、勢いよく駆け抜けた。
    銀河農耕伝説(リレー小説)/第五回
    »»  2011.12.21.
    アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんに、
    当ブログの小説「白猫夢」のキャライラストを描いていただきました!

    まずはシリーズ全編に出演している、うちのジョーカーキャラ。
    克大火。


    続いて「白猫夢」にて名コーチ役を務めた、跳ねっ返りの金毛九尾。
    克天狐。


    そして最後は、「白猫夢」というタイトルの由来にもなっている、夢の中の預言者。
    白猫


    非常にかっこ良く、かわいく描いていただけました。
    ありがとうございました!
    「白猫夢」イラスト ~ 克大火、克天狐、「白猫」
    »»  2012.07.06.
    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんが不定期的に連載している作品、「名探偵 深見剛助」シリーズ。
    去る2014年7月頃に集中連載されていた折、「自分にも一筆書かせてほしい」とお願いしたところ、
    ポールさんから快諾を得られたため、このシリーズの二次創作を制作しました。
    それがこちら。

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    結論殺人事件

     名探偵、深見剛助は額に冷汗を浮かべながら、そう締めくくった。
    「とにかく、これで今回の事件は解決したと言えるでしょう」



     さる大学の学長の死体が発見され、その捜査は難航を極めていた。
     その原因の一つは、被害者は大学の内外に敵を多く作っており、もしも事件である場合、犯人と思しき者が多数いたことだった。
    「次期学長の座を狙う大学の古株に、論文をこき下ろされた准教授、単位を落とされ卒業できず、中退した元ゼミ生が数名、共同論文を単独で発表されて仲違いした旧友、特許で争っていた大手製造会社役員、さらには遺産狙いの妻に娘に愛人1号、2号、3号、……と」
    「まるで見本市ですね、犯人役の」
     嘲るような深見剛助の言葉に、赤塚刑事も空笑いで返す。
    「はは……、まったくですね。最も疑わしい人物だけでも、なんと21名! こんなにうじゃうじゃいたら、捜査会議のホワイトボードが人名だけで真っ黒ですよ」
    「でしょうね」

    「……しかし、その時点で既に、ある程度の目星は付いてはいたんです」
     深見剛助の言葉に、たった一人、重要参考人として連れて来られたその人物は息を呑んだ。



     さらに捜査を難航にしていたのは、被害者がここ数日、その怪しい人物のオンパレードに恐れをなし、自宅からも離れた遠方のペンションに引き籠もっていたことだ。
    「見て下さいよ、深見さん。これ全部、脅迫状なんですよ」
     赤塚刑事が見せてくれたその手紙の束、いや、山を見て、深見剛助は目を疑った。
    「な、何通あるんです? とても10や20で収まりそうには見えませんが……」
    「ええ、単なるイタズラ程度のものも含めると、59通です」
    「半端なストーカーより性質が悪い。そりゃ、怯えもするでしょうね」
    「ええ。そのため被害者は、ペンションに鍵をかけ、庭一面に鉄条網を撒いて、誰も入れないようにしていたんです」
    「しかし籠もって3日後、突然警備会社がペンションからの警報を確認し、向かったところ……」
    「リビングの真ん中で、大の字になって死んでいるのを発見した、とのことです」

    「死体には外傷が無く、また、死因も心臓麻痺とのことでした。勿論自然死ですから、これだけでは事故か事件かは、断定できません。
     しかし詳しい状況を知っていくにつれ、ぼくは確信を深めていました。あなたが犯人である、これができるのはあなたしかいない、と」
    「……」
     深見剛助にはっきりと指差され、重要参考人のその初老の男性、かつて被害者の共同研究者だった博士は、表情を硬くした。



    「ええ、ご明察です。私が彼を殺しました」
    「そうですか」
     赤塚刑事をはじめ、警察官らが博士を囲む。
    「しかし何故です? あの精密かつ緻密な、私が考え得る限りで最高、最密度のトリックによって、私は完璧、完全なるアリバイを確立できたはずです。
     どこであなたは、私のトリックを見破ったのですか?」
    「……詳しい話は、署の方で行った方がよろしいでしょう。連行して下さい」
    「分かりました」
     なおも硬い表情を崩さない博士を、刑事たちが連行していった。

    「いやあ、深見さん。今回もお見事でした。
     正直な話、今もわたしには、何がどうなっているのか」
     赤塚刑事の言葉に、深見剛助は一瞬、顔を背ける。
    「……」
    「……深見さん?」
    「ああ、いえ。そうですね、ええ、非常に難解なトリックでした。まあ、詳しいことは仕掛けた本人がすべて、包み隠さず話してくれると思います、ええ」
    「え? 深見さんが明かしてくれるんじゃないんですか? いつもの流れなら犯人を前にして、あなたが色々と理屈を並べて……」
     意外そうな目を向け、尋ねてきた赤塚刑事に、深見剛助は淡々と、こう返答した。
    「隠しておくべきものも有ると言うことです。
     赤塚さん、どうかこの事件は、犯人からの言葉だけで、全容を考えて下さい」
     その言葉に、何かしらの含みを感じ取ったらしく、赤塚刑事はそれ以上、追及しようとはしなかった。
    「……分かりました」



     この時――深見剛助は部屋を去って行く赤塚刑事に聞こえぬよう、ぼそっと、こうつぶやいていた。
    「順序や細かい論拠はどうあれ、まあ、筋は通るんだから、いや、通ったんだから、いいじゃないか。
     結果さえきっちりしていればいいだろ」、……と。

    結(果)論殺人事件 完
    結論殺人事件 / ポール・ブリッツさんへの献作
    »»  2014.09.13.
    みいる

     僕は、いわゆる「芸術」と言うものにまるで興味が無い人間だ。
     学校での美術の時間はただ苦痛なだけだったし、社会人になった後も、自分から美術館や画廊に向かうことなど、皆無だった。
     デートなんかでそう言った場所へ行くとなると、その後は確実に彼女を怒らせることになる。
     時にはそのせいで仲がこじれて、振られてしまうこともあった。



     そんな僕がその絵に出会ったのは、3人目となる今の彼女に連れられ、懲りもせずにまた、とある美術館へ行った時のことだ。
     僕は例によって、壁にずらずらと飾られている絵画にも、フロアの真ん中に置いてある青銅製の置物にも興味をひかれること無く、彼女の後をうろうろと、無気力に付いて回っていた。
     と――不意に視線を感じ、僕は振り返った。

     そこには奇妙な子供の絵が飾られていた。
    「奇妙な」と言うのは、まず第一に、その子が男の子であるのか、それとも女の子であるのか、僕にはどうしても判断できなかったからだ。
     その子はどう見ても裸なのだが、顔も体つきも極めて中性的であり、腰の辺りもきれいに覆い隠されているのだ。
     そう、もう一つ奇妙な点は、そこにある。その子をふわりと覆っているのは、その子自身のものと思われる「尻尾」なのだ。
     そして、その尻尾と対になっているかのように、その子の頭には狐の耳がおごられている。
     なるほど、この子はいわゆる半人半獣、俗っぽく言うなら「ケモノっ子」と言うところなのだろう。
     まあ、絵なのだから何をどう描いても、作者の自由だ。いくら現実的でないモノを描いたって、誰が「ウソつきだ」などと咎めるものか。
     しかしその時僕は、明らかに「絵」であるはずのその子の目から、妙に生々しい雰囲気を感じていた。
     顔をそらすことも、目をつぶることもできず、僕はその絵の前に立ち尽くしていた。
     ようやくその絵の前から離れたのは、数フロアも先に進んでいた彼女がイライラとした様子で戻って来て、僕の手をぐいっと引っ張ってからのことだった。

     僕はその時、自分の四半世紀足らずの生涯で初めて、絵に心を奪われていた。
     いや、絵にではない。あの子に、心を奪われていたのだ。



     その後、僕は当然のように、3度目の失恋を迎えたはずだったのだが、僕の心の中には彼女に罵られた悔しさや、振られた悲しみなどは、微塵も無かった。
     心にあったのはただ一つ、あの子のことだ。神秘的な目と、そしてそれに似合う耳と尻尾を持った、あの子だ。
     僕はもう一度、あの美術館に足を運んだ。生まれてずっと、美術なるものから遠ざかっていたこの僕が、自分から向かったのだ。
     そしてまた、僕はあの子に会うことができた。前に飾られていた場所と同じ、あのフロアにいてくれた。
     無論、この子はただの絵だ。会話などできるはずも無い。だから僕は、その場でじっとこの子を眺めていた。
     だが、見れば見るほど、この子に引きこまれていくような感覚に陥っていく。
     この子から、目が離せない。この子の耳や尻尾が時折、ふわりと動いているかのようにすら感じる。
     この子を見つめているだけで、僕の心は満たされていくようだった。

     結局その日、僕は開館と同時に訪れたはずのこの美術館で、何時間もその場に立ち尽くしていたらしい。
     呆れた顔の学芸員が、僕の肩を叩いてきた。
    「お客さん、閉館なんですけど」
    「え? ……あ、す、すいません」
     僕は頭を下げ、そして思わず、こんなことを尋ねてしまっていた。
    「あの、この絵なんですが、売っていただけませんか?」
    「は?」
     学芸員の目が点になる。
    「無茶なお願いだと、承知しているんです。でも僕は、……この絵が、欲しくて」
    「……」
     唖然とした顔をしたまま、学芸員は「お待ち下さい」と言って、室内用の無線機で人を呼んだ。彼の口ぶりからして、どうやら美術館の責任者か誰からしい。
     1分もしないうちに、いかにも知識人と言った風体の男が、僕の前に現れた。
    「申し訳ございませんが、当館では一般のお客様に美術品を販売するようなことは……」
     断りの言葉を並べようとしたその男に、僕は深々と頭を下げた。
    「欲しいんです! お金はいくらかかっても構いません!」
    「……ん、ん」
     僕の頑なな態度に、男は早々に説得を諦めたらしい。代わりに、こう説明してくれた。
    「私共からはお売りできません。私共はこの絵画を借りているだけですから。
     交渉はこの絵画の所有権を持つ方と行って下さい。一応、お話は通しておきますので、お電話番号などいただけますか?」

     数日後、僕はこの絵の所有者に会い、そこでいくつか聞かされた。
     まず、この絵を描いた人物は不明であること。それどころか所有者自体、この絵がいつから自分の倉庫にあったのかも把握していなかったそうだ。
     所有者は沈んだ顔で、こう続けた。
    「倉庫の中であの絵を見付けてから、自分は何度もあの子を夢に見た。
     何を言うでも無いし、何かしてくるわけでも無かったが、あの子はただじっと、見つめてくるんだ。
     自分にこの絵は、とても手に負えない。手元に置きたくない。だから美術館に貸していた」
     そのせいか、僕がこの絵を買うと聞いていた彼は、この絵をかなりの安値で売ってくれた。



     そして今、僕の部屋の中にはあの子がいる。
     美術館で出会った時のまま、あの子は絵の向こうから、神秘的なまなざしで僕を見つめてくれている。
     話しかけてきたり、あまつさえ絵の中から飛び出したりなどと言う幻想的なことは、まだ一向に起こらない。
     だけど僕には、それで十分だった。

     僕は、この子が側にいてさえくれればいいのだ。
    みいる(小説ブログ「DOOR」 limeさんのイラストより)
    »»  2016.01.29.

    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!
    http://blog-imgs-29.fc2.com/a/u/r/auring/20110303233148f4b.jpg" target=_blank>
    イメージ、ど真ん中です。
    ありがとうございました!

    「蒼天剣」イラスト(ラフ) ~ 雪乃(高瀬 コウさんより)

    2011.03.03.[Edit]
    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!...

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    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!

    と、前回お伝えしましたが、さらに制作が進み、色が付きました。

    http://blog-imgs-29.fc2.com/a/u/r/auring/20110410221118156.jpg" target=_blank>
    おお……、LandM製作所さんで良くお見かけするイラストの雰囲気が出ている。
    いつかご縁があれば、晴奈とかも描いていただきたいものです。

    「蒼天剣」イラスト(色つき) ~ 雪乃(高瀬 コウさんより)

    2011.04.10.[Edit]
    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」は晴奈の師匠、雪乃を描いていただきました!と、前回お伝えしましたが、さらに制作が進み、色が付きました。...

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    小説ブログ「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんと、互いのキャラをコラボさせた小説を交換しました。

    こちらが僕の書いた、「黄輪雑貨的、範子と文子の三十分旅行」。
    そしてこちらがポールさんに書いていただいた、「趣喜堂茶事奇譚・特別編/山猫の夏」です。

    ポールさん、ありがとうございました!(*´∀`)

    コラボレート企画;ポール・ブリッツさんと

    2011.05.23.[Edit]
    小説ブログ「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんと、互いのキャラをコラボさせた小説を交換しました。こちらが僕の書いた、「黄輪雑貨的、範子と文子の三十分旅行」。そしてこちらがポールさんに書いていただいた、「趣喜堂茶事奇譚・特別編/山猫の夏」です。ポールさん、ありがとうございました!(*´∀`)...

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    アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんより、
    「火紅狐」はフォコ君(青年)と、フォコくん(少年)&ランニャちゃんを描いていただきました!


    こちらが夜市さんに描いていただいたフォコ君。


    そしてこちらが、とにもとさんからのフォコくん&ランニャちゃん。



    フォコ君の性格は作中やキャラ紹介に書いた通りですが、
    お二人に描いていただいたこのフォコ君は、普段から作中の端々で見せている優しげな雰囲気が、非常によく出ています。
    非常に、イメージ通り。
    成長したランニャちゃんも、ぜひ拝見したいものです。

    ありがとうございました!

    「火紅狐」イラスト ~ フォコ君(夜市さんより)、フォコくん&ランニャちゃん(とにもとさんより)

    2011.05.30.[Edit]
    「アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんより、「火紅狐」はフォコ君(青年)と、フォコくん(少年)&ランニャちゃんを描いていただきました!こちらが夜市さんに描いていただいたフォコ君。そしてこちらが、とにもとさんからのフォコくん&ランニャちゃん。フォコ君の性格は作中やキャラ紹介に書いた通りですが、お二人に描いていただいたこのフォコ君は、普段から作中の端々で見せている優しげな雰囲気が、非常によく出てい...

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    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」の登場人物、黒炎教団の教主、ウィリアム4世を描いていただきました!

    と言っても、諸般の都合により、「蒼天剣」に登場している年齢よりも、若く描かれています。
    その詳しい都合は、また機会があれば。

    「蒼天剣」関連イラスト ~ 若い頃のウィリアム・ウィルソンIV世

    2011.09.18.[Edit]
    LandM製作所の絵師さん、高瀬 コウさんより、「蒼天剣」の登場人物、黒炎教団の教主、ウィリアム4世を描いていただきました!と言っても、諸般の都合により、「蒼天剣」に登場している年齢よりも、若く描かれています。その詳しい都合は、また機会があれば。...

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    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    ???「とゆーわけで
    夜市様より、このようなご質問をいただいたわけですけれどもー」

    フォコ「まずこちらから質問さしてもろてもええです?」

    ???「どうぞー」

    フォコ「あなた、どちらさん?」

    ???「あ、申し遅れましたー。
        わたくし、特別コーナーおなじみ(まだ2回目だけど!)、
        インタビュアー兼司会役の猫獣人、シュウ・メイスンですー」


    フォコ「はあ、そうでっか」

    シュウ「ちなみに作者の黄輪さんは、このやりとりをテンプレ化しようとしてるらしいです。内緒ですよー?」

    フォコ「んなこと言われても知りませんて」

    シュウ「ちなみにちなみに黄輪さんは、この質問コーナーにあまりにもコメントが寄せられないため、
        半分ふてくされてたコトも、やっぱり内緒ですよー」


    フォコ「言うてますやん」

    シュウ「ま、ま。細かいことはいいじゃないですかー。
        と、今回この質問コーナーにお集まりいただいたのは、次の5名さんです。
        まず現在好評連載中、『火紅狐』の主人公、ニコル3世ことニコル・フォコ・ゴールドマンさん」


    フォコ「はいはいどーもどーもー」

    シュウ「そしてフォコさんを追っかけて早○年、ついにゴールインまでこぎつけた銀髪のおてんば娘!
        フォコのパートナーはやっぱりこの人しかいない! ランニャ・ネールさん!」


    ランニャ「おてんばって言うなよぉ。ちょっと気にしてるんだからな」

    シュウ「そして続いては、物事の二手三手先を読むのは当たり前!
        すべてを見通す眼鏡くん、ランド・ファスタさん!」


    ランド「眼鏡くんて、なんかバカにされてるみたいだなぁ」

    シュウ「そしてそして、思いのたけを伝えては伝えては、全弾かわされる!
        わたしが愛したのはフラグクラッシャーだった!
        『猫姫』こと、イール・サンドラさん!」


    イール「ブン殴るわよ、アンタ」

    シュウ「最後にご紹介するのは、そんな彼らを温かく、あたたかーく見守ってきた女番長!
        ここで出会ったのも不可思議ですね! 心躍りますね! ルピア・ネールさん!」


    ルピア「おう、よろしく」



    シュウ「そんなわけで、まずは一つ目のご質問から。
        みなさんが好きな食べ物、または料理はなんでしょう?
        まずはフォコさんから」


    フォコ「あー、と。好き嫌いはないし何でも食べますな。
        強いて言えば、小麦系はよお食べるかも。パスタとか、パンとか」


    ランド「炭水化物ばかりだよね。あれで太らないのが不思議だよ」

    フォコ「若い頃苦労しまくってたもんで。どっちか言うたら痩せ型ですしな」

    シュウ「では続いて、ランニャさんは?」

    ランニャ「そりゃもちろん、母さんの手料理だなぁ。
         特に、鶏肉と卵と玉葱のピタ。アレは考えるだけでヨダレ出ちゃう」


    ルピア「あはは、そりゃどうも」

    シュウ「お次はランドさん」

    ランド「僕もルピアさんの手料理は好きだな。
        北方でも無理言って、アンチョビとトマト、アボカドのピザを何度か作ってもらったことがあるけど、
        やっぱり家で食べたのには敵わなかった」


    ルピア「言ってくれりゃ、いつでも作るぞ? カツミくんがいりゃ、あっと言う間に届けられる」

    フォコ「タイカさんをピザ宅配屋扱いですか、ルピアさん……」

    シュウ「それじゃ、イールさんはどんなのでしょ?」

    イール「そうねー……。あたしは逆に、南海で食べた魚料理かなぁ。
        アレは、めちゃめちゃ美味しかった。お刺身とかお吸い物とか。
        あ、海鮮鍋とか奉書焼きとかもあったわね。もー絶品だったわ、ホント」


    シュウ「美味しかったのは魚自体の質や調理の仕方だけじゃなくて、
        一緒に釣ったり食事したりした人が良かったからかもですねー」


    イール「え、えへへ……」

    シュウ「最後にルピアさんの好物、一体なんでしょうかー?」

    ルピア「そうだなぁ、私も好き嫌いは無いな。
        あ、でも、私も故郷の料理が、何だかんだ言っても好きだな。
        特にジャガイモとチーズ入りのオムレツ。あれは何皿でもいける」


    シュウ「黄輪さんによれば、ルピアさんたちの故郷、クラフトランドには、
        いわゆる『ドイツ』的イメージを持たせてるとか。
        だから職人さんが多かったり、無骨なしゃべり方をしていたりするんだそうです。
        ひょっとしてルピアさん、ビールもいけます?」


    ルピア「ああ。さっき言ったオムレツと、あとソーセージがあれば、何倍でも呑める」

    シュウ「呑みそうですもんね、ルピアさん。
        っと、ちょっと長くなってきたので、2つ目の質問は次回、また明日お答えしますねー」

    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー①

    2011.12.02.[Edit]
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか????「とゆーわけで夜市様より、このようなご質問をいただいたわけですけれどもー」フォコ「まずこちらから質問さしてもろてもええです?」???「どうぞー」フォコ「あなた、どちらさん?」???「あ、申し遅...

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    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    シュウ「と言うわけで、質問コーナー2日目です。
        今日もよろしく、お願いしますー」


    フォコ「はいー」

    シュウ「では早速、ご質問2つ目。
        魔力、体力、頭脳。それぞれ、能力的に一番高いのは誰なんでしょう、と言うことなんですけれども」


    フォコ「まあ、頭脳に関してはランドさんでしょうな」

    ランド「いや、君も相当の知力を持っていると思うよ。発想力と言う点では、僕は及ばないな」

    イール「ドッチもアタマいいと思うんだけどねー」

    ルピア「質の問題だな。
        フォコくんは、例えば大喜利みたいなので一つのお題を出されて、即興でポンと答えるのが得意だが、
        ランドはそれをやられると、答えに詰まってしまう。
        逆に専門的なことを答弁したり、複雑に込み入った問題をじっくり解いていくことに関しては、ランドは大得意だ。
        言い換えればフォコくんは短期瞬発型、ランドは長期安定型だな」


    ランニャ「なーるほど」

    シュウ「では次に、魔力と言うことなんですけども、これはどうでしょうか?」

    ルピア「そうだな……、私の見立てでは、イールちゃんがかなり強いように感じられるな」

    イール「まあ、魔術なら誰にも負けないって自信はあるわね」

    フォコ「他に『火紅狐』中で魔力のあるキャラって言うたら、僕とかマフスさん、ゲンゾウさんになりますけども、
        イールさんと比べたら、流石に差が大きいですな」


    シュウ「……? えーと」

    ランド「どうしたんですか、シュウさん?」

    シュウ「あ、……いえ。
        じゃあ体力はどうでしょう?」


    ランニャ「母さんはかなりある方だよね」

    ルピア「そうか?」

    ランド「一大組織を率いる一方で、自分自身も鍛冶に精を出し、しかもホコウと一緒に旅までこなして……。
        相当のバイタリティの持ち主じゃないと、なかなかできないよ」


    フォコ「他にも体力言うたら、やっぱり軍人やってはるレブさんとか、ゲンゾウさんとか。
        ちょと話変わりますけども、3つを比べて一番バランス取れとる人って言うたら、ゲンゾウさんですな」


    ランド「そうだね。元魔術教官で、今は軍のトップだからそれなりに頭はいいし、魔術の腕もいい。
        精力的に仕事をこなしてるし、体力もあの年代にしては、平均以上だろうな」


    シュウ「……あのー」

    ルピア「どうした?」

    シュウ「……あのお二人はどうなんです?」

    ランド「……あー。うん、あの二人ね。
        何て言うか、規格外な感じだよ」


    フォコ「ですな。タイカさんもモールさんも、どっちも桁外れに魔力持ってはりますし、
        魔術とか、他の知識に関してもめちゃめちゃ詳しいですし。
        魔力と知力に関しては、僕たちとは比べ物にならへんでしょうな。
        それにタイカさんは、単騎で一個大隊を一掃するくらいの体力がありますしな。
        ちゅうてもモールさんは、体力に関しては全然無いです。
        戦闘ではまったく、自分から前に出ようとしはりませんからな。
        それこそランドさんより、体力ないんちゃいますか?」


    ランド「そうだな……、それは僕も思った。
        前作でも触れていたけど、モール卿は『他人の体を奪う』能力がある。
        奪った体はどうも、半分死んでるとか、そう言うことなんじゃないかな。
        だから体自体からエネルギーと言うか、出力が出ないし、その結果、体力が無い、……とか」


    フォコ「それを踏まえても、魔力と知力に関しては二作品中、やっぱりダントツですな。
        タイカさんに対抗でけるのんは、モールさんくらいやと思います」


    シュウ「やっぱりあのお二人がツートップなんですね、前作から引き続いて。
        と、お時間が来てしまいました。
        3つ目のご質問についは、また明日ー」

    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー②

    2011.12.03.[Edit]
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?シュウ「と言うわけで、質問コーナー2日目です。    今日もよろしく、お願いしますー」フォコ「はいー」シュウ「では早速、ご質問2つ目。    魔力、体力、頭脳。それぞれ、能力的に一番高いのは誰なんで...

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    [火紅狐のキャラ達に質問です!]
    ①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??
    ②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?
    ③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?



    シュウ「質問コーナー、とうとう最終日ですー。
        今回は作者、黄輪さんとお話させていただきますねー」


    ――どうも。

    シュウ「黄輪さん宛の質問、改めて確認しますねー。
        今までのキャラで気に入っているのは、と言うことなんですけども」


    ――前日で触れていたツートップ扱いから言っても、やはり克大火とモール・リッチがお気に入りですね。
      大火はブレない、曲がらない、そして強い。
      全作品において北極星の如く、不変の存在ですね。
      一方のモールは、強いのは同じだけども、姿形が作品によってコロコロ変わる。
      そしてひたすら、胡散臭い。こっちは彗星って感じですね。
      この人間離れした両者の活躍、暗躍と対比が、一連の作品の魅力の一つだと思っています。

    シュウ「ふむふむー。ではちなみに、今作『火紅狐』や前作『蒼天剣』の中だと、どなたがお気に入りなんでしょう?」

    ――『火紅狐』だと、やはりフォコですね。
      3章以降で見せる、どんな苦難にもめげない精神力。敵に対して猛然と立ち向かう熱さ。
      その反面、愛情の出し方がなんか不器用。
      ここだけピックアップすると、いかにも主人公然とした要素がありますね。
      雄々しく剣を振るったり、リーダーっぽく動いたりしないだけで。

      あとはルピアも気に入ってるキャラですね。
      姐御肌で、確固たるポリシーを持ってるところ。何かと助けてくれるところ。
      実際、フォコの活躍には、要所要所でルピアさんからの影響が見えます。
      そう考えると、『火紅狐』には無くてはならないキャラと言えますね。

      そういう名サポート役は『蒼天剣』にもいて、そちらも気に入ってますね。
      前作のあとがきでも出した小鈴が、それに当たりますね。
      彼女も最後まで、主人公の晴奈をあれこれと助けてくれます。

      主人公は勿論、非常に気に入ってるんですが、彼らを支えてくれる人たち。
      そういう役どころもまた、僕にはツボですね。

    シュウ「なるほど、ありがとうございましたー」



    シュウ「では今回の特別企画、3周年記念質問コーナーはこれにて終了となります。
        次回、私が皆さんとまたお会いできるのは、『火紅狐』の終了後の予定です」


    ――その『火紅狐』、最終となる第7部は、12月11日からの開始予定です。
      1年半近くかけて連載してきた物語も、いよいよ終盤に突入です。

    シュウ「因縁の敵との決着を付け、新しい家族を得たフォコさん。
        一方、世界の中心である中央政府では、新たな戦乱の動きも。
        世界の命運はどこへ向かうのか?
        そして後世で語られるニコル3世の遺した謎、『大交渉』とは一体なんだったのか?
        こうご期待!」


    ――と宣伝してもらったところで、改めて3周年を迎えられたことに、感謝の意を。
      フォコくん、お願いします。

    フォコ「おかげさまで、『黄輪雑貨本店 新館』は開設3周年を迎えることができました!
        アクセス件数44,000件突破や、ランキングサイト『ブログむら』ファンタジー小説ランキング1位など、
        応援していただいている皆様には、ホンマに感謝してもしきれません!
        これからもご愛顧のほど、よろしくお願いします!」


    全員「よろしくお願いします!」

    3周年記念企画 キャラクタへの質問コーナー③

    2011.12.04.[Edit]
    [火紅狐のキャラ達に質問です!]①好きな食べ物(又は料理)はなんですか??②魔法力、体力、頭脳。それぞれの能力で一番強い方は誰でしょう?③制作者さんは今までのキャラの中で特に気に入ってるキャラはだれですか?シュウ「質問コーナー、とうとう最終日ですー。    今回は作者、黄輪さんとお話させていただきますねー」――どうも。シュウ「黄輪さん宛の質問、改めて確認しますねー。    今までのキャラで気に入っている...

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    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    第一回はこちら
    第二回を、僕が執筆させていただきました。
    と言うわけで、どーん。(c)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

      2

     ジローの言葉に、サンライズ教授は笑い出した。
    「何をバカな、ちゃんとほれ、そこに……」
     ニヤニヤしながら机を指差した教授は、そこで硬直する。
    「……そこに、……あれ?」
     笑顔から一転、教授の顔は真っ青になる。
     ジローも、そしてメリッサも、同様に顔を青ざめさせた。
     その場の空気、そして彼らの体温の低下速度たるや、かつて極低温調理法を研究する際に一行が訪れた低温惑星、ゲレルでの日没時を思わせるほどだった。
    「ど、どっ、どこじゃ!? どこに!?」
     教授はがばっと床にはいつくばり、机の下やケージの裏、孵卵器と孵卵器の間など、老体とは思えない速さで点検し――そして唐突に、またも硬直する。
    「……ないっ!」
     教授の発した悲痛な叫びに、ジローはへたり込んでしまった。
    「そ、そんな……!? 一体、なぜ? どうして……?」
     世紀の大発明、夢の食品が失われたその衝撃で、教授もジローも、呆然とするしかなかった。
     そして恐らくは、メリッサも呆然としていたのだろうが――まだ彼女の方が若干、冷静になるのは早かった。
    「……な、内線! 緊急連絡!」
     メリッサは机に腰や腿をぶつけながらも、壁のコンソールに駆け寄り、警備に通報した。
    「すぐにこの区画の出入り口を封鎖して! 早く! 産業スパイよ!」
     最先端技術の粋を集めたこのP―FARMでは、警備網もそれなりに厳重かつ、精密に制御されたものとなっている。
     そのため、通報からわずか2秒後に、教授たちのいる研究モジュールは、他の区画との通行を遮断された。
     もしメリッサが叫んだように、産業スパイがいたとして、彼ないし彼女が何らかの方法でシャーレを盗み出し、逃走したとしても、閉鎖までは20秒とかかっていない。
     産業スパイがたとえ流体生物や超能力者のような存在であろうと、この区画に閉じ込められたことになる。

     しかし教授たちにとっても、大きな問題がもう一つ、発生した。
     あまりにも大慌てで閉鎖が要請されたために、警備側はうっかり、準最大級の警備システムを発動させてしまっていたのだ。
     これはバイオハザードなど、最悪の事態を想定して設定されたシステムであり、一度発動すると、最低30時間はその解除ができない、と言う厄介なものだった。
     そのため、スパイが本当にいたとしても、あと30時間は警備員たちが中に入れない。
    「『準』って、じゃあ、最大級だったらどうなってたんだ?」
    「決まってるでしょ? 区画ごと焼却、完全殺菌よ」
    「うわあ……。焼かれないだけマシかぁ」
    「どちらにせよ、30時間が経過するまでは、スパイと一緒に閉じ込められると言うわけか。うむむ……」
     教授もジローたちも、一様に頭を抱えるしかなかった。

     幸いにも食品の研究所だけあって、食料にも事欠かない。
     教授たちは研究室にこもり、封鎖が解除されるのを待つことにした。
    「とは言え、本当にあの時、スパイがいたんでしょうか?
     確かに僕たちはガムに気を取られてはいましたが、シャーレはすぐ側の机にあったわけですから、誰かが近付いていたら、気が付かないはずはない。
     でもあの時、僕たちの他には誰も室内にはいませんでしたし、扉が開けられたような気配も無かった。
     一体どうやって、盗めたと言うんでしょうか……?」
    「分からん。しかしどこを探しても、シャーレも、中のガムも、見つからんのじゃ。
     となれば、誰かが持って行ったとしか考えられんじゃろう?」
    「うーん……」
     と、そこでメリッサが、何かに気付いたような顔をした。
    「……あの、もしかしたら、なんですが」
    「なんだね、言ってみたまえ」
    「わたしたちがこの部屋に入ってから、今のこの時点まで、誰も出入りしてませんよね。ドアは一度も開いてませんから」
    「そうじゃな」
    「……え、ちょっと待ってよ、じゃあ」
     ジローはメリッサの言わんとすることを察し、身を震わせた。
    「出入りしてないってことは――まだ、この研究室にいるって言うのか?」
    「……かも知れない」
     メリッサは額に汗を浮かべながら、小さくうなずいた。

    銀河農耕伝説(リレー小説)/第二回

    2011.12.15.[Edit]
    「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!第一回はこちら。第二回を、僕が執筆させていただきました。と言うわけで、どーん。(c)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -   2 ジローの言葉に、サンライズ教授は笑い出した。「何をバカな、ちゃんとほれ、そこに……」 ニヤニヤしながら机を指差した教授は、そこで硬直する。「……そこに、……あれ?」 笑顔から一転、教授の顔は真...

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    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    ポールさん→自分→矢端想さん→ポールさん、と来て、また僕の番です。

    と言うわけで、どーん。(cでしたっけrでしたっけ)

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      5

    「なっ、……なんと間の悪い!」
     青ざめていた顔をほころばせていた教授は、またも愕然とした顔になった。
    「解除はできないのかね!?」
    「ダメです! 一度起動させたら、電子的な解除は不可能とのことです!」
    「電子的なって、どういうこと?」
    「あ、えーと、……聞いてみます!」
     メリッサは再度、管制室と連絡を取る。
    「教授、テロリストはその場で拘束されたそうです」
    「そんなことはどうでもいい! 肝心なのは、解除方法じゃろうが!」
    「あっ、そうでした。……ええと、物理的には解除方法は無くもない、とのことなんですが」
    「無くもない?」
    「焼却の方法なんですが、まず、区画内にはテル・エタノール、通称『TE燃料』を流すためのパイプが張り巡らされているそうなんです」
    「テル・エタノール? ……って、鋼鉄を2分で個体の状態から沸騰させるって言う、あの高々火力燃料?」
    「らしいわ。
     そのTE燃料は、最大級システムが発令されると、パイプ各所にある噴出口からシャワー状に流され、区画内に撒かれる。
     そして撒かれて揮発し、区画全域に発火可能な状態にまで充満したと、各所の濃度計が判断した後、その濃度計から放電され……」
    「一気に火が付き爆発、……というわけか」
     話しているうちに、三人の鼻腔には、ガムから発せられるハニートーストの香りとは違う、粘つくようなアルコール臭が、わずかながらも流れ込んできた。
    「一度撒かれてしまえば、制御不能となるわけか。
     換気システムや、実験用のドラフトで、TE燃料を外へ排出することは……?」
    「準最大級、および最大級システム発動中は、作動しないようになっているわ」
    「では、濃度計を止めるか、その放電を……」
    「この区画内には、10基備え付けられているそうです。
     5分ですべてを解除することは、物理的に不可能です」
     メリッサの返答に、教授とジローは黙り込んだ。
    「……は、はは」
     間を置いて、ジローが力なく笑い出した。
    「TE燃料で焼かれれば、骨も残らないだろうな。まさか、こんな死に方をするなんて……」
    「あ、諦めてはいかん! まだ何か、方法が……」
     教授の言葉も、ジローの耳には入らない。
    「あるって言うんですか!? TE燃料の噴出は止められない! 濃度計も止められない!
     もう僕たちには、最後の晩餐としてガムを噛むくらいしか、できることは無いんですよ!?」
     泣き叫ぶジローに、教授は閉口しかけた。

     だが――教授はまたも、その表情をガラッと変えた。
    「ガム? ……ガムか!」
     教授はがばっ、とジローの肩をつかみ、その閃きを口早に伝えた。
    「ガムを使うのだ! 口に含んですぐ、というあの変化速度であれば、恐らく間に合う!」
    「え?」
    「よいかジローくん、メリッサくん。TE燃料、即ちテル・エタノールの主成分は、CHO基だ」
    「CHO……、アルコール類ですね」
    「そうだ! そしてこのガムに生きておるコウジカビは、味覚を変えるという、一つの指向性を持っておる!」
    「つ、つまり?」
    「食品の風味、つまり『におい』を変える性質を持っているということだ!
     濃度計はTE燃料の濃度を検出し、起動するようになっておる! ということは、『TE燃料ではない別のアルコール類』の気体が充満したとして、その臭いに反応し、起動すると思うかね?」
    「……あ!」
     聞くが早いか、メリッサは管制室に、TE燃料の収められているタンクの位置を確認する。
     教授はこう言い放ちながら、研究室を飛び出した。
    「コウジカビはまだ相当の量を、低温室に保管しておる! ジローくん、来てくれ!」
    「はっ、はい!」
     走り出した教授とジローの後ろから、メリッサも駆けてきた。
    「タンク、場所が分かりました! わたしも取りに行きます!」
    「うむ、急ぐのだ!」
     三人はうっすらとアルコール臭が漂い始めた研究所内を、勢いよく駆け抜けた。

    銀河農耕伝説(リレー小説)/第五回

    2011.12.21.[Edit]
    「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!ポールさん→自分→矢端想さん→ポールさん、と来て、また僕の番です。と言うわけで、どーん。(cでしたっけrでしたっけ)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -   5「なっ、……なんと間の悪い!」 青ざめていた顔をほころばせていた教授は、またも愕然とした顔になった。「解除はできないのかね!?」「ダメです! 一度起動させたら、電...

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    アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんに、
    当ブログの小説「白猫夢」のキャライラストを描いていただきました!

    まずはシリーズ全編に出演している、うちのジョーカーキャラ。
    克大火。


    続いて「白猫夢」にて名コーチ役を務めた、跳ねっ返りの金毛九尾。
    克天狐。


    そして最後は、「白猫夢」というタイトルの由来にもなっている、夢の中の預言者。
    白猫


    非常にかっこ良く、かわいく描いていただけました。
    ありがとうございました!

    「白猫夢」イラスト ~ 克大火、克天狐、「白猫」

    2012.07.06.[Edit]
    「アリとアリクイ」の夜市さん、とにもとさんに、当ブログの小説「白猫夢」のキャライラストを描いていただきました!まずはシリーズ全編に出演している、うちのジョーカーキャラ。克大火。続いて「白猫夢」にて名コーチ役を務めた、跳ねっ返りの金毛九尾。克天狐。そして最後は、「白猫夢」というタイトルの由来にもなっている、夢の中の預言者。白猫。非常にかっこ良く、かわいく描いていただけました。ありがとうございました!...

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    クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんが不定期的に連載している作品、「名探偵 深見剛助」シリーズ。
    去る2014年7月頃に集中連載されていた折、「自分にも一筆書かせてほしい」とお願いしたところ、
    ポールさんから快諾を得られたため、このシリーズの二次創作を制作しました。
    それがこちら。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    結論殺人事件

     名探偵、深見剛助は額に冷汗を浮かべながら、そう締めくくった。
    「とにかく、これで今回の事件は解決したと言えるでしょう」



     さる大学の学長の死体が発見され、その捜査は難航を極めていた。
     その原因の一つは、被害者は大学の内外に敵を多く作っており、もしも事件である場合、犯人と思しき者が多数いたことだった。
    「次期学長の座を狙う大学の古株に、論文をこき下ろされた准教授、単位を落とされ卒業できず、中退した元ゼミ生が数名、共同論文を単独で発表されて仲違いした旧友、特許で争っていた大手製造会社役員、さらには遺産狙いの妻に娘に愛人1号、2号、3号、……と」
    「まるで見本市ですね、犯人役の」
     嘲るような深見剛助の言葉に、赤塚刑事も空笑いで返す。
    「はは……、まったくですね。最も疑わしい人物だけでも、なんと21名! こんなにうじゃうじゃいたら、捜査会議のホワイトボードが人名だけで真っ黒ですよ」
    「でしょうね」

    「……しかし、その時点で既に、ある程度の目星は付いてはいたんです」
     深見剛助の言葉に、たった一人、重要参考人として連れて来られたその人物は息を呑んだ。



     さらに捜査を難航にしていたのは、被害者がここ数日、その怪しい人物のオンパレードに恐れをなし、自宅からも離れた遠方のペンションに引き籠もっていたことだ。
    「見て下さいよ、深見さん。これ全部、脅迫状なんですよ」
     赤塚刑事が見せてくれたその手紙の束、いや、山を見て、深見剛助は目を疑った。
    「な、何通あるんです? とても10や20で収まりそうには見えませんが……」
    「ええ、単なるイタズラ程度のものも含めると、59通です」
    「半端なストーカーより性質が悪い。そりゃ、怯えもするでしょうね」
    「ええ。そのため被害者は、ペンションに鍵をかけ、庭一面に鉄条網を撒いて、誰も入れないようにしていたんです」
    「しかし籠もって3日後、突然警備会社がペンションからの警報を確認し、向かったところ……」
    「リビングの真ん中で、大の字になって死んでいるのを発見した、とのことです」

    「死体には外傷が無く、また、死因も心臓麻痺とのことでした。勿論自然死ですから、これだけでは事故か事件かは、断定できません。
     しかし詳しい状況を知っていくにつれ、ぼくは確信を深めていました。あなたが犯人である、これができるのはあなたしかいない、と」
    「……」
     深見剛助にはっきりと指差され、重要参考人のその初老の男性、かつて被害者の共同研究者だった博士は、表情を硬くした。



    「ええ、ご明察です。私が彼を殺しました」
    「そうですか」
     赤塚刑事をはじめ、警察官らが博士を囲む。
    「しかし何故です? あの精密かつ緻密な、私が考え得る限りで最高、最密度のトリックによって、私は完璧、完全なるアリバイを確立できたはずです。
     どこであなたは、私のトリックを見破ったのですか?」
    「……詳しい話は、署の方で行った方がよろしいでしょう。連行して下さい」
    「分かりました」
     なおも硬い表情を崩さない博士を、刑事たちが連行していった。

    「いやあ、深見さん。今回もお見事でした。
     正直な話、今もわたしには、何がどうなっているのか」
     赤塚刑事の言葉に、深見剛助は一瞬、顔を背ける。
    「……」
    「……深見さん?」
    「ああ、いえ。そうですね、ええ、非常に難解なトリックでした。まあ、詳しいことは仕掛けた本人がすべて、包み隠さず話してくれると思います、ええ」
    「え? 深見さんが明かしてくれるんじゃないんですか? いつもの流れなら犯人を前にして、あなたが色々と理屈を並べて……」
     意外そうな目を向け、尋ねてきた赤塚刑事に、深見剛助は淡々と、こう返答した。
    「隠しておくべきものも有ると言うことです。
     赤塚さん、どうかこの事件は、犯人からの言葉だけで、全容を考えて下さい」
     その言葉に、何かしらの含みを感じ取ったらしく、赤塚刑事はそれ以上、追及しようとはしなかった。
    「……分かりました」



     この時――深見剛助は部屋を去って行く赤塚刑事に聞こえぬよう、ぼそっと、こうつぶやいていた。
    「順序や細かい論拠はどうあれ、まあ、筋は通るんだから、いや、通ったんだから、いいじゃないか。
     結果さえきっちりしていればいいだろ」、……と。

    結(果)論殺人事件 完

    結論殺人事件 / ポール・ブリッツさんへの献作

    2014.09.13.[Edit]
    「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんが不定期的に連載している作品、「名探偵 深見剛助」シリーズ。去る2014年7月頃に集中連載されていた折、「自分にも一筆書かせてほしい」とお願いしたところ、ポールさんから快諾を得られたため、このシリーズの二次創作を制作しました。それがこちら。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -結論殺人事件 名探偵、深見剛助は額に冷汗を浮かべながら、そう締めくくった。「とにかく...

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    みいる

     僕は、いわゆる「芸術」と言うものにまるで興味が無い人間だ。
     学校での美術の時間はただ苦痛なだけだったし、社会人になった後も、自分から美術館や画廊に向かうことなど、皆無だった。
     デートなんかでそう言った場所へ行くとなると、その後は確実に彼女を怒らせることになる。
     時にはそのせいで仲がこじれて、振られてしまうこともあった。



     そんな僕がその絵に出会ったのは、3人目となる今の彼女に連れられ、懲りもせずにまた、とある美術館へ行った時のことだ。
     僕は例によって、壁にずらずらと飾られている絵画にも、フロアの真ん中に置いてある青銅製の置物にも興味をひかれること無く、彼女の後をうろうろと、無気力に付いて回っていた。
     と――不意に視線を感じ、僕は振り返った。

     そこには奇妙な子供の絵が飾られていた。
    「奇妙な」と言うのは、まず第一に、その子が男の子であるのか、それとも女の子であるのか、僕にはどうしても判断できなかったからだ。
     その子はどう見ても裸なのだが、顔も体つきも極めて中性的であり、腰の辺りもきれいに覆い隠されているのだ。
     そう、もう一つ奇妙な点は、そこにある。その子をふわりと覆っているのは、その子自身のものと思われる「尻尾」なのだ。
     そして、その尻尾と対になっているかのように、その子の頭には狐の耳がおごられている。
     なるほど、この子はいわゆる半人半獣、俗っぽく言うなら「ケモノっ子」と言うところなのだろう。
     まあ、絵なのだから何をどう描いても、作者の自由だ。いくら現実的でないモノを描いたって、誰が「ウソつきだ」などと咎めるものか。
     しかしその時僕は、明らかに「絵」であるはずのその子の目から、妙に生々しい雰囲気を感じていた。
     顔をそらすことも、目をつぶることもできず、僕はその絵の前に立ち尽くしていた。
     ようやくその絵の前から離れたのは、数フロアも先に進んでいた彼女がイライラとした様子で戻って来て、僕の手をぐいっと引っ張ってからのことだった。

     僕はその時、自分の四半世紀足らずの生涯で初めて、絵に心を奪われていた。
     いや、絵にではない。あの子に、心を奪われていたのだ。



     その後、僕は当然のように、3度目の失恋を迎えたはずだったのだが、僕の心の中には彼女に罵られた悔しさや、振られた悲しみなどは、微塵も無かった。
     心にあったのはただ一つ、あの子のことだ。神秘的な目と、そしてそれに似合う耳と尻尾を持った、あの子だ。
     僕はもう一度、あの美術館に足を運んだ。生まれてずっと、美術なるものから遠ざかっていたこの僕が、自分から向かったのだ。
     そしてまた、僕はあの子に会うことができた。前に飾られていた場所と同じ、あのフロアにいてくれた。
     無論、この子はただの絵だ。会話などできるはずも無い。だから僕は、その場でじっとこの子を眺めていた。
     だが、見れば見るほど、この子に引きこまれていくような感覚に陥っていく。
     この子から、目が離せない。この子の耳や尻尾が時折、ふわりと動いているかのようにすら感じる。
     この子を見つめているだけで、僕の心は満たされていくようだった。

     結局その日、僕は開館と同時に訪れたはずのこの美術館で、何時間もその場に立ち尽くしていたらしい。
     呆れた顔の学芸員が、僕の肩を叩いてきた。
    「お客さん、閉館なんですけど」
    「え? ……あ、す、すいません」
     僕は頭を下げ、そして思わず、こんなことを尋ねてしまっていた。
    「あの、この絵なんですが、売っていただけませんか?」
    「は?」
     学芸員の目が点になる。
    「無茶なお願いだと、承知しているんです。でも僕は、……この絵が、欲しくて」
    「……」
     唖然とした顔をしたまま、学芸員は「お待ち下さい」と言って、室内用の無線機で人を呼んだ。彼の口ぶりからして、どうやら美術館の責任者か誰からしい。
     1分もしないうちに、いかにも知識人と言った風体の男が、僕の前に現れた。
    「申し訳ございませんが、当館では一般のお客様に美術品を販売するようなことは……」
     断りの言葉を並べようとしたその男に、僕は深々と頭を下げた。
    「欲しいんです! お金はいくらかかっても構いません!」
    「……ん、ん」
     僕の頑なな態度に、男は早々に説得を諦めたらしい。代わりに、こう説明してくれた。
    「私共からはお売りできません。私共はこの絵画を借りているだけですから。
     交渉はこの絵画の所有権を持つ方と行って下さい。一応、お話は通しておきますので、お電話番号などいただけますか?」

     数日後、僕はこの絵の所有者に会い、そこでいくつか聞かされた。
     まず、この絵を描いた人物は不明であること。それどころか所有者自体、この絵がいつから自分の倉庫にあったのかも把握していなかったそうだ。
     所有者は沈んだ顔で、こう続けた。
    「倉庫の中であの絵を見付けてから、自分は何度もあの子を夢に見た。
     何を言うでも無いし、何かしてくるわけでも無かったが、あの子はただじっと、見つめてくるんだ。
     自分にこの絵は、とても手に負えない。手元に置きたくない。だから美術館に貸していた」
     そのせいか、僕がこの絵を買うと聞いていた彼は、この絵をかなりの安値で売ってくれた。



     そして今、僕の部屋の中にはあの子がいる。
     美術館で出会った時のまま、あの子は絵の向こうから、神秘的なまなざしで僕を見つめてくれている。
     話しかけてきたり、あまつさえ絵の中から飛び出したりなどと言う幻想的なことは、まだ一向に起こらない。
     だけど僕には、それで十分だった。

     僕は、この子が側にいてさえくれればいいのだ。

    みいる(小説ブログ「DOOR」 limeさんのイラストより)

    2016.01.29.[Edit]
    みいる 僕は、いわゆる「芸術」と言うものにまるで興味が無い人間だ。 学校での美術の時間はただ苦痛なだけだったし、社会人になった後も、自分から美術館や画廊に向かうことなど、皆無だった。 デートなんかでそう言った場所へ行くとなると、その後は確実に彼女を怒らせることになる。 時にはそのせいで仲がこじれて、振られてしまうこともあった。 そんな僕がその絵に出会ったのは、3人目となる今の彼女に連れられ、懲りも...

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