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火紅狐 あとがき


    Index ~作品もくじ~

    シュウ「と言うわけで、『火紅狐』が終わりましたー。と言うわけで黄輪さん、恒例のアレですよー」

    ――まず質問させてください。どちらさん?(ニヤニヤ)

    シュウ「わたしはインタビュアーのシュウと申しますー」(イライラ)

    ――知ってます。

    シュウ「はいはいテンプレテンプレ」

    ――ノっていただいて、ありがたい限りです。

    シュウ「はい、と言うわけで完結時恒例のアレ、即ちあとがきインタビューのコーナー、進めていきますねー」

    ――どうもどうも。



    シュウ「それじゃまず、コレからお聞きしましょうー。
     連載中何度か、『火紅狐』の執筆は困難だったと仰ってましたが、具体的にはどんなところでつまずきそうになったんですか?」


    ――そうですね、何度か「書くのが辛い」とこぼしていました。
     何が辛いって、ファンタジーなのに戦闘シーンがほとんど無いところですね。いわゆる一般的な、勇者と魔王が出るようなものであれば、内容の1割か2割は敵と(物理的に)戦うシーンがあるわけで。
     ところが「火紅狐」は、主人公の職業が商人。その時点から、戦うような職業、キャラじゃないんですよ。文字通り「動きが無い」と言うのが、非常に文章としての表現がし辛かったですね。

    シュウ「戦う商人なんて、どこぞのト○ネコさんくらいですもんね」

    ――ええ。ただ、それはそれで、「戦わずして勝つ」と言うスタイルとして、別の書き方、表現の仕方につなげることはできました。
     作中でもランドに言わせてましたが、バタバタと戦って双方被害を出し、一方が何とか生き残る、みたいなのはあんまりいい結果じゃないんですよ。それで勝っても、得るものは少ないわけで。戦いに参加してない周囲の人たちにとっても、いい迷惑ですし。
     それよりも、相手が余計な消耗、消費をしないうちに、その蓄財ごとしれっと奪ってしまう。こういう結果であれば、戦った当事者だけではなく、周りにとっても波風立たず、好ましい結果になる、と。

    シュウ「兵法で言う、『上兵無兵』ですねー」

    ――リアリティというものを考えると、フォコは曲刀を振り回すよりも、卓上で人を手玉に取る方が、より「らしい」んですね。
    とは言えあの、フォコが西方の軍需工場に乗り込むシーンは、「元」から考えていたものでした。
     これは以前に言ったかもなんですが、この「火紅狐」、元はランドを主人公にした話でして。その時と設定や展開は、今作とはかなり違うものになっているんですが、このシーンだけは――敵役や展開は大幅に変わってはいるんですが――フォコが先陣切って戦うという流れだけは、変えてないんですね。

    シュウ「どうしてもフォコさんを戦わせたかった、と」

    ――そうですね。前身の作品におけるフォコの設定でも、ずる賢い一方で熱血漢、っていう性格は共通していたので、このシーンをボツにしてしまうと、「火紅狐」の肝、骨格と言うべきものが無くなってしまいそうだったので。
     そういう意味も含めて、「昔讐記」のサブタイトルの一つに、「火紅狐」の英字サブタイトル、「Red Hot Golden Lord」の和訳、「灼熱の黄金卿」を入れてあるんです。

    シュウ「なるほどー。
     っと、そろそろ丁度いいお時間ですね。本日はここまでですー。
     次回3月22日は、前作『蒼天剣』との関係について、お願いしますー」
    「火紅狐」あとがき ①職業:商人
    »»  2012.03.15.
    シュウ「それではあとがきインタビュー、第2回ですー。
     本日は『蒼天剣』と『火紅狐』のつながりを伺うと言うことで、ゲストをお呼びしております!
     間が(双月暦にして)200年も空いちゃってるので、ここはやはり、両方の時代に生きた方でないと、と言うわけで!
     今回のゲストはー、この方っ!」


    モール「はいはいはーい、『旅の賢者』こと、モール大先生の登場だねっ! はい拍手っ」

    シュウ「ぱちぱち」

    ――どもどもぱちぱち。

    モール「なんだよ、もうちょいノってこいってね」

    ――無駄にテンション高い人がいると、僕は急激に下がるんです、テンション。まあ、それはおいといて。
     前作「蒼天剣」において、「湖島録」をはじめとして、ニコル3世、つまりフォコについての記述が出てくるところがいくつかあります。
     「蒼天剣」の時代における金火狐財団の立場と言うか、体制と言うか、そういう気風、風潮は、ほとんどフォコが確立したものなんですよ。

    モール「確かにねぇ。私も『蒼天剣』の時、金火狐屋敷にお邪魔したり、公安の奴らにちょいと協力したりしたけど、屋敷も公安も、『火紅狐』に登場してるもんねぇ」

    シュウ「特筆すべきは、やっぱりミッドランドのお話ですよね。前作で第4部から第8部まで引っ張った、大掛かりなネタですし。
     でもちょっと気になるのが、前作に出てきた歴史学者のラルフさん。彼がアレコレ言ってたことと、今作の流れとで、整合性が合ってないところがいくつか……」


    モール「そりゃアレさ、その歴史学者の言ってるコトは、あくまでそいつの『仮説』だしね」

    ――その通りです。「尽火記」でもちょっと触れましたが、後世に伝わる「ニコル3世の話」は、真相が良く分かってない部分が多い、……と言うコンセプトで書いています。ラルフ教授の件も、「私はこう思っているのだ」と言うように、彼の主観で言わせてますしね。
     なので、「火紅狐」で語られた内容は、後世を舞台にした話で取り上げる際には、焦点をかなりぼやけさせる形で書く予定をしていますし、今作においても、「蒼天剣」で取り上げた事柄に触れる際は、明確にし過ぎないつもりで書いていました。
     と言うか、あまりにも前後の整合性を合わせ過ぎると、それはそれで確かにトリッキーで面白いとは思うんですが、「余地」が無くなってしまう気がするんですね。

    シュウ「余地?」

    ――読者さんが「あのキャラはこういう人なんだろう」、「あの事件にはこういうテーマがあったんだ」と、行間を読んで想像を膨らませる、そういう意味での余地が無くなってしまうんじゃないかな、と。
     別に僕は教科書を作っているつもりは無いですし、「この話はこういうつもりで読んでほしい」だとか「このシーンではこう感じてほしい」なんて読者さんに強要してしまうのは、烏滸がましいことだと思っています。
     読む人によって受け止め方は違うものですし、僕もどう受け止めていただけたか、その感想を聞くのが楽しみです。なので、話がまとまる程度には整合性を持たせるつもりですが、ギチギチに理路整然とした話を書こうとは、思っていません。
     僕も書いてて辛いですしね。

    モール「とか言いつつ、次回作で大幅に取り上げる『あの猫』については、話中はもちろん、前後にまで目一杯、設定を盛り込んでるらしいじゃないね。
     収拾付くのかねぇ……?」


    ――付けるつもりはしていますが、何分、丁寧と乱暴が同居する人間なもんで。途中でえいやっと無理くりまとめる可能性も、無きにしも非ず、ですね。
     って言うかモールさん、ネタバレはいけません。読者さんたちの、後の楽しみにとっておいてくださいな。

    モール「へーいへい。
     ってか、もう時間じゃないね。私、ほとんどしゃべってないよ?
     折角来たってのに、何なの、この扱い?」


    シュウ「あらー……。じゃ、じゃあですね、次回のテーマは、……あ、コレコレ!
    タイカさんとアル、ナンクンとの戦いについて!」


    モール「んなもん克呼べばいいじゃないね」

    シュウ「こーゆーのは第三者視点が大事なんですっ!
     と言うわけでモールさん、次回3月29日もゲスト、よろしくですよー」


    モール「……次回はもうちょいしゃべらせれってね」
    「火紅狐」あとがき ②「蒼天剣」と「火紅狐」、今後の作品との関連性
    »»  2012.03.22.
    シュウ「はい、皆様こんにちはー。それともこんばんは、ですかねー?
    今回のあとがきインタビュー、はじまりはじまりー」


    ――どもども。で、今回のゲストも、彼だか彼女だか分からない方です。

    モール「うっせ。
    んで? 今回のテーマは、克とアルと難訓のケンカ、だっけね?」


    ――ケンカ、と言うのとは大分違いますね。これは本来の意味通り、戦争になります。

    シュウ「と言うと?」

    ――本来、戦争と言うのは、「話し合いで決着が付けられないため、物理的・直接的な交渉に移った状態」のことを言います。
     彼らは「双月世界」を誰が手中にするかで対立し合っていますし、話し合いによる決着は望めません。

    モール「難訓は人の話聞かないし、アルは聞くように指示されてないからねぇ」

    シュウ「三方のうち二方が話し合いを拒んでしまうとなると、それは確かに、どうにもならなくなっちゃいますよねー……」

    ――なので残る交渉手段となると、直接対決でどうにかするにか無いわけです。
     ただし彼らの場合、複雑な事情が絡み合ってくるんです。

    シュウ「事情、ですか?」

    モール「難訓は世界の表舞台に出たくないらしいし、アルも結局は操り人形だから、表に出るわけにゃいかない。
     主立って動きたくないし、動いたとしても克が止めに入ってくる。となりゃ、自分らの代理を立てて、克にバレないように裏から操るしかないわけだね」


    ――それが「蒼天剣」におけるフーであったり、「火紅狐」におけるランドやイールだったわけです。
     次回作においても、この「代理戦争」は連綿と続いていきます。

    モール「私も何だかんだで参加する羽目になるんだよねぇ。めんどい」

    シュウ「でもアルやナンクンが勝っちゃうと、とんでもない世界になっちゃいそうですよね。
     わたし、タイカさんとモールさん、応援しますよー」


    モール「そりゃどーも」

    シュウ「話を戻しますけども、と言うことは黄輪さん、次回作でもアルやナンクンが、間接的に出てくるんですか?」

    ――それだけじゃありません。もう一人、この「代理戦争」に関わってくる奴が出てきます。

    シュウ「えぇ!? もっと大変なことになっちゃうんですか!?」

    ――そうなりますね。
     と、次回作についてそろそろ、話を出していきますが、舞台は「蒼天剣」の後の世界となります。その「代理戦争」も、より一層の激化を見せています。
     そこに参加しているプレイヤーの一人に、主人公の一人がケンカを売る。次回作はそういう話になります。

    シュウ「ん? ん? 何だか急に色々、情報が出てきましたね?
     次回作、主人公は一人ではない、と言うことですか?」


    ――予定では3人。世代交代しつつ物語を進めていく、と言う形式を取るつもりです。

    シュウ「これまではセイナさんの話に、トモエさんの話がちょこっと。フォコさんの話に、ランドさんがちょこっと。……みたいな展開がありましたけど、次回は主人公さんたちが均等に登場する感じになるんですか?」

    ――その予定ですね。大変な長丁場になりそうな予感がします。下手すると3年くらい連載するかも。

    シュウ「これまでは『蒼天剣』が2年半、『火紅狐』が1年半とちょっと、……くらいの期間でしたけど、まさかの3年越え、ありそうですか。
     これは楽しみであると同時に、……ちょっと不安も出てきちゃいますね」


    モール「大風呂敷広げ過ぎだっての。君の悪いクセだね」

    ――耳が痛い限りです。

    シュウ「と、本日はここまで!
     次回4月5日は、恋愛シーンについて。本編中では実現しえなかった、あの人とあの人によるダブルゲストです。
     お楽しみにー」
    「火紅狐」あとがき ③神と悪魔の代理戦争
    »»  2012.03.29.
    シュウ「お待たせしました皆様、こんにちは、……でいいですかね?
    本日のテーマは、ズバリ『恋愛』っ! と言うわけで本日のゲストとして、今作のダブルヒロインにお越しいただきましたー」


    ランニャ「どもー」

    ティナ「……よろしく」

    ――作中、この二人が出会うことはありませんでした。当然、互いにどんな人だったかも知らないわけで。

    ランニャ「あたしはフォコから聞いてたけどね。かなりノロけてたよ」

    ティナ「……」(照れている)

    シュウ「さて、テーマの方についてなんですけれども、前作でも今作でも、恋愛要素はちょくちょく出てきてましたが、黄輪さんはあまり、重要視はしていないとのことです」

    ――と言うよりも、ズバリ「恋愛小説」として、恋愛シーンをメインに書くことができない、と言うか。
     確かに恋愛の要素は、人間社会における重要なテーマの一つですが、それ単体では生活が成り立たないわけで。残念ながら、愛の力を電気や熱エネルギーに変える技術は、現在のところありませんし。
     現実世界においても、「愛さえあれば他には何もいらない」と言う方はいらっしゃいますが、実際には仕事や勉強、遊びや趣味と言った社会的、公共的な活動をしつつ、その一方でパートナーさんと付き合っていくわけで。愛だけに生きる、二人だけで生きていく、と宣言してしまうのは、まったくリアリティに欠ける言葉だと思うんです。
     むしろ、そうした生活、活動を共にするうちに恋愛が発生し、愛を育んでいく。現実的なライフスタイルを考えれば、その方が自然でリアリティに富むと思っていますし、作品の中でもそうした流れを重視し、戦闘や会話、交流などを重ねるうちに、特別な感情が芽生え、そこでやっと「恋愛」が始まる、と言う風に流れを作っています。
    厳密に数えてはいませんが、唐突にラブラブしだしたカップル、と言うのは、作中にはあんまりいないはずです。

    ランニャ「なーるほど。あたしも昔からの縁があったからだし、ティナさんも職場恋愛だもんなぁ」

    ティナ「……」(うなずいている)

    ――ただ、自分の作家仲間さんの中には、僕のように回りくどくお膳立てを整えたりせず、恋に落ちるところ、その後の展開、エンディングと、ピンポイントに「恋愛モノ」の要素を取り上げ、書き上げられる方がいらっしゃいまして。それは本当に、うらやましい文才だなと思っています。
     とは言え、現在のところ作品の方向性が違うので、真似をしたいと思っても、その機会はありませんが。

    ランニャ「あたしはいいけどな、フォコとラブラブしてるトコ書いてもらっても(チラッ)」

    ティナ「……」(チラッ)

    ――その機会はありません。多分。

    ランニャ「ちぇ」

    ティナ「……」(不満そうな目を向けてきた)

    ――話を戻しますと。
     恋愛に関わらず、「リアリティ」、和訳すると「現実っぽさ(あくまで現実そのものではない)、有り得そうな展開」、みたいなことだと思ってますが、そのリアリティが無いものは、作品として読むに堪えないものと、僕は考えています。
     例えば怪力乱神を語る、剣や魔法が華々しく交わされる、魔王と勇者が激しく戦う。なるほど、いかにもファンタジーな設定だな、とは思います。
     ですが、その設定に引きずられる、型にはめられる形でキャラが動かされれば、それはキャラや世界が独自に思考を持ち、それに則って行動する「物語」ではなく、舞台の上で役者が台本通り動き、定められた役割を機械的にこなす「演劇」になってしまっていると、そう感じられるんです。
     いかにファンタジーな世界とは言え、そこで動く人々は、彼らそれぞれの自由意思で行動しているはず。それを全く無視して、「まず設定ありき」でキャラを動かし続けることは、まったくリアリティに欠ける。読者さんからも「こんな展開有り得へんやろ!? 作者はアタマおかしいんちゃうか!?」と嘆かれるような展開になってしまうのではと、そう考えています。
     結局は作者の采配次第で物語は決まるものですが、いつでも自分に「このキャラは今、どう考えているのか? どう動こうとしているのか?」と問いながら、作品を作っています。

    シュウ「まず『それっぽさ』ありき、ということですね。
     それではお時間となりましたー。次回4月12日のあとがきインタビューは最終回! 『双月世界』について、ざっくりと説明していただきましょう!」
    「火紅狐」あとがき ④作中における恋愛要素と、リアリティ
    »»  2012.04.05.
    シュウ「はい皆さん、こんにちはー。あとがきインタビュー、いよいよ最終回となりました!
     今回はズバリ、『双月世界』そのものについて、説明していただきましょう!」


    ――とはしたいんですけども、まだまだ秘密にしたい要素がありますので、今回は「火紅狐」から「蒼天剣」までの、双月世界の世界観、特に宗教の要素について、ざっくりとだけ説明します。
     ちなみに今回のゲストは、うちのツートップのもう一人。

    大火「……」

    ――古今無双の剣士にして魔術師、不死身の男。契約の悪魔、克大火さん、です。

    大火「ああ、よろしく頼む」

    シュウ(この人本当に、おだてに弱いなぁ。今ニヤってした、ニヤって)

    大火「何か言ったか?」

    シュウ「イイエナンデモナイデスヨー」

    ――それでは本題、双月世界の宗教観って言うのはどんなものか、って話なんですけども。
     「火紅狐」までは、非常に強い勢力を持つ宗教、「天帝教」が中央政府と言う大きな政治組織を司り、世界を支配してきたんですが、今作でそれは崩壊。以後は央北の権力者たちが鎬を削りつつ、細々と運営していくことに。
     とは言え、天帝教の力はまだまだ大きくて、大火が中央政府の表舞台を退いた後になってまた、天帝教を引き込んだり利用したりして、勢力を維持したわけです。
     一方で、他の地域でも宗教の力は大きい。央中では、現実で言うカトリックとプロテスタントみたいな感じで、「央中」天帝教が発生。央南でも、短編でちょっと触れましたが、神道や禅道が広まっていますし、北方や西方、南海でも土着の宗教が根強い。

    大火「さらに追記するとすれば、双月暦4世紀半ばから、俺を神と祀る教団、『黒炎教団』なるものも誕生している」

    シュウ「現人神さんなんですねー(あ、またニヤっとした)」

    ――持論ですけども、どれだけ世界文明、文化が発展しようとも、宗教と言うものは無くならないと思うんです。
    宗教的思考に取って変わったと言われている科学観にしても、全く根拠のない「ニセ科学」を盲信してしまう人もいると言いますし、何かしら絶対的な価値観が無いと、人として軸がぶれてしまうんだろうな、と。
     その絶対的基準、価値観は、昔から宗教、その核となる「神様」や「神々しい何か」が一手に握っているんでしょうね。それを味方につけた組織は、非常に強力な「推進力」を得られるわけですし。

    シュウ「最たる例が、現実世界での宗教戦争ですよね。『神の名の下に』って名目だけで、数千キロも行軍して、死者が数万人規模に及ぶ戦いを起こしたわけですから」

    ――現代においても宗教テロは無くなっていませんし、「聖書や経典の教えは絶対である。間違っているはずは無い」と断言する人も、大勢います。
     反対に、例えばTVで「原発が危ない!」なんて、白衣や作業着を着た方が論じれば、簡単に信じ込む人も、決して少なくないでしょうね。彼らにとって、「科学(あるいは科学っぽいもの)は絶対である。間違っているはずは無い」わけですし。
     例え完全に、既存の宗教を廃した社会が来たとしても、そこにあるのはまた別の宗教が内在する社会になる。僕はそう思っています。
     例えば「神なんて非科学的なものは信じない」と公言しつつ「いただきます」と挨拶する家庭、みたいな。

    大火「『いただきます』は本来、神の力による豊穣を奉る言葉だから、な」

    シュウ「いかにもありそうですね、そういうご家庭」

    ――双月世界においても、宗教と言うものは非常に大きな存在なんです。第7部の主題でもあった「黒白戦争」は、央北天帝教にしても、央中天帝教にしても、宗教観が無ければ起こり得なかったでしょうね。



    シュウ「はい、と言うわけで今回のあとがきインタビュー、すべて終了致しましたー」

    ――もう少々お休みをいただいてから、次回作の連載を始める予定です。
      さて、その次回作ですけども。

    シュウ「ですけども!」

    ――タイトルは、「白猫夢 –Beat The Oracle!-」。

    シュウ「びーとざおらくる! ……って、どういう意味です?」

    ――エ○サイトとかで調べれば、和訳文は簡単には出てきますが、これはダブルミーニングです。直訳しただけでは、裏に隠してある意味は分からないようにしてあります。
     主人公は、前述の通り3人。

    シュウ「トリプルキャスト!」

    ――そのうち一人目は、なんと!

    シュウ「なんとぉー!?」

    ――まだ秘密。本編を読んでからのお楽しみです。

    シュウ「えぇー!?」

    ――やかましい。

    シュウ「てへぺろー」

    ――ま、そんなわけで。次回作もお楽しみに、と。

    シュウ「ご期待くださいー」



    ――最後にスペシャルサンクスのご紹介。
     「火紅狐」の連載中、特にお世話になった方を紹介させていただきます。

     まず、前作「蒼天剣」のキャラをお貸ししたり、キャライラストをいただいたりと、何かと交流のあった、「LandM製作所」の才条蓮さん(
    http://landmart.blog104.fc2.com/)。

     そしてコラボ企画やリレー小説と、何かと合同企画を持ちかけていただいた、「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさん(http://crfragment.blog81.fc2.com/)。

     「火紅狐」のイラスト数点を制作していただいた、「アリとアリクイ」の森野夜市さんと、とにもとさん(http://arit0ariku1pitapitap.blog79.fc2.com/)。

     また、主にツイッターを通して仲良くなった、「覇道の先に小説」の最果ての覇王さん(http://saihatehadou.blog39.fc2.com/)、「からくり童子 風のジード」のからくりオムさん(http://karakurizeed.blog.fc2.com/)。

     その他、当ブログ「黄輪雑貨本店 新館」にお越しいただいた皆様、小説をご清読いただいた皆様、ありがとうございました!

    シュウ「ありがとうございましたー!」
    「火紅狐」あとがき ⑤双月世界と宗教
    »»  2012.04.12.

    シュウ「と言うわけで、『火紅狐』が終わりましたー。と言うわけで黄輪さん、恒例のアレですよー」

    ――まず質問させてください。どちらさん?(ニヤニヤ)

    シュウ「わたしはインタビュアーのシュウと申しますー」(イライラ)

    ――知ってます。

    シュウ「はいはいテンプレテンプレ」

    ――ノっていただいて、ありがたい限りです。

    シュウ「はい、と言うわけで完結時恒例のアレ、即ちあとがきインタビューのコーナー、進めていきますねー」

    ――どうもどうも。



    シュウ「それじゃまず、コレからお聞きしましょうー。
     連載中何度か、『火紅狐』の執筆は困難だったと仰ってましたが、具体的にはどんなところでつまずきそうになったんですか?」


    ――そうですね、何度か「書くのが辛い」とこぼしていました。
     何が辛いって、ファンタジーなのに戦闘シーンがほとんど無いところですね。いわゆる一般的な、勇者と魔王が出るようなものであれば、内容の1割か2割は敵と(物理的に)戦うシーンがあるわけで。
     ところが「火紅狐」は、主人公の職業が商人。その時点から、戦うような職業、キャラじゃないんですよ。文字通り「動きが無い」と言うのが、非常に文章としての表現がし辛かったですね。

    シュウ「戦う商人なんて、どこぞのト○ネコさんくらいですもんね」

    ――ええ。ただ、それはそれで、「戦わずして勝つ」と言うスタイルとして、別の書き方、表現の仕方につなげることはできました。
     作中でもランドに言わせてましたが、バタバタと戦って双方被害を出し、一方が何とか生き残る、みたいなのはあんまりいい結果じゃないんですよ。それで勝っても、得るものは少ないわけで。戦いに参加してない周囲の人たちにとっても、いい迷惑ですし。
     それよりも、相手が余計な消耗、消費をしないうちに、その蓄財ごとしれっと奪ってしまう。こういう結果であれば、戦った当事者だけではなく、周りにとっても波風立たず、好ましい結果になる、と。

    シュウ「兵法で言う、『上兵無兵』ですねー」

    ――リアリティというものを考えると、フォコは曲刀を振り回すよりも、卓上で人を手玉に取る方が、より「らしい」んですね。
    とは言えあの、フォコが西方の軍需工場に乗り込むシーンは、「元」から考えていたものでした。
     これは以前に言ったかもなんですが、この「火紅狐」、元はランドを主人公にした話でして。その時と設定や展開は、今作とはかなり違うものになっているんですが、このシーンだけは――敵役や展開は大幅に変わってはいるんですが――フォコが先陣切って戦うという流れだけは、変えてないんですね。

    シュウ「どうしてもフォコさんを戦わせたかった、と」

    ――そうですね。前身の作品におけるフォコの設定でも、ずる賢い一方で熱血漢、っていう性格は共通していたので、このシーンをボツにしてしまうと、「火紅狐」の肝、骨格と言うべきものが無くなってしまいそうだったので。
     そういう意味も含めて、「昔讐記」のサブタイトルの一つに、「火紅狐」の英字サブタイトル、「Red Hot Golden Lord」の和訳、「灼熱の黄金卿」を入れてあるんです。

    シュウ「なるほどー。
     っと、そろそろ丁度いいお時間ですね。本日はここまでですー。
     次回3月22日は、前作『蒼天剣』との関係について、お願いしますー」

    「火紅狐」あとがき ①職業:商人

    2012.03.15.[Edit]
    シュウ「と言うわけで、『火紅狐』が終わりましたー。と言うわけで黄輪さん、恒例のアレですよー」――まず質問させてください。どちらさん?(ニヤニヤ)シュウ「わたしはインタビュアーのシュウと申しますー」(イライラ)――知ってます。シュウ「はいはいテンプレテンプレ」――ノっていただいて、ありがたい限りです。シュウ「はい、と言うわけで完結時恒例のアレ、即ちあとがきインタビューのコーナー、進めていきますねー」――どう...

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    シュウ「それではあとがきインタビュー、第2回ですー。
     本日は『蒼天剣』と『火紅狐』のつながりを伺うと言うことで、ゲストをお呼びしております!
     間が(双月暦にして)200年も空いちゃってるので、ここはやはり、両方の時代に生きた方でないと、と言うわけで!
     今回のゲストはー、この方っ!」


    モール「はいはいはーい、『旅の賢者』こと、モール大先生の登場だねっ! はい拍手っ」

    シュウ「ぱちぱち」

    ――どもどもぱちぱち。

    モール「なんだよ、もうちょいノってこいってね」

    ――無駄にテンション高い人がいると、僕は急激に下がるんです、テンション。まあ、それはおいといて。
     前作「蒼天剣」において、「湖島録」をはじめとして、ニコル3世、つまりフォコについての記述が出てくるところがいくつかあります。
     「蒼天剣」の時代における金火狐財団の立場と言うか、体制と言うか、そういう気風、風潮は、ほとんどフォコが確立したものなんですよ。

    モール「確かにねぇ。私も『蒼天剣』の時、金火狐屋敷にお邪魔したり、公安の奴らにちょいと協力したりしたけど、屋敷も公安も、『火紅狐』に登場してるもんねぇ」

    シュウ「特筆すべきは、やっぱりミッドランドのお話ですよね。前作で第4部から第8部まで引っ張った、大掛かりなネタですし。
     でもちょっと気になるのが、前作に出てきた歴史学者のラルフさん。彼がアレコレ言ってたことと、今作の流れとで、整合性が合ってないところがいくつか……」


    モール「そりゃアレさ、その歴史学者の言ってるコトは、あくまでそいつの『仮説』だしね」

    ――その通りです。「尽火記」でもちょっと触れましたが、後世に伝わる「ニコル3世の話」は、真相が良く分かってない部分が多い、……と言うコンセプトで書いています。ラルフ教授の件も、「私はこう思っているのだ」と言うように、彼の主観で言わせてますしね。
     なので、「火紅狐」で語られた内容は、後世を舞台にした話で取り上げる際には、焦点をかなりぼやけさせる形で書く予定をしていますし、今作においても、「蒼天剣」で取り上げた事柄に触れる際は、明確にし過ぎないつもりで書いていました。
     と言うか、あまりにも前後の整合性を合わせ過ぎると、それはそれで確かにトリッキーで面白いとは思うんですが、「余地」が無くなってしまう気がするんですね。

    シュウ「余地?」

    ――読者さんが「あのキャラはこういう人なんだろう」、「あの事件にはこういうテーマがあったんだ」と、行間を読んで想像を膨らませる、そういう意味での余地が無くなってしまうんじゃないかな、と。
     別に僕は教科書を作っているつもりは無いですし、「この話はこういうつもりで読んでほしい」だとか「このシーンではこう感じてほしい」なんて読者さんに強要してしまうのは、烏滸がましいことだと思っています。
     読む人によって受け止め方は違うものですし、僕もどう受け止めていただけたか、その感想を聞くのが楽しみです。なので、話がまとまる程度には整合性を持たせるつもりですが、ギチギチに理路整然とした話を書こうとは、思っていません。
     僕も書いてて辛いですしね。

    モール「とか言いつつ、次回作で大幅に取り上げる『あの猫』については、話中はもちろん、前後にまで目一杯、設定を盛り込んでるらしいじゃないね。
     収拾付くのかねぇ……?」


    ――付けるつもりはしていますが、何分、丁寧と乱暴が同居する人間なもんで。途中でえいやっと無理くりまとめる可能性も、無きにしも非ず、ですね。
     って言うかモールさん、ネタバレはいけません。読者さんたちの、後の楽しみにとっておいてくださいな。

    モール「へーいへい。
     ってか、もう時間じゃないね。私、ほとんどしゃべってないよ?
     折角来たってのに、何なの、この扱い?」


    シュウ「あらー……。じゃ、じゃあですね、次回のテーマは、……あ、コレコレ!
    タイカさんとアル、ナンクンとの戦いについて!」


    モール「んなもん克呼べばいいじゃないね」

    シュウ「こーゆーのは第三者視点が大事なんですっ!
     と言うわけでモールさん、次回3月29日もゲスト、よろしくですよー」


    モール「……次回はもうちょいしゃべらせれってね」

    「火紅狐」あとがき ②「蒼天剣」と「火紅狐」、今後の作品との関連性

    2012.03.22.[Edit]
    シュウ「それではあとがきインタビュー、第2回ですー。 本日は『蒼天剣』と『火紅狐』のつながりを伺うと言うことで、ゲストをお呼びしております! 間が(双月暦にして)200年も空いちゃってるので、ここはやはり、両方の時代に生きた方でないと、と言うわけで! 今回のゲストはー、この方っ!」モール「はいはいはーい、『旅の賢者』こと、モール大先生の登場だねっ! はい拍手っ」シュウ「ぱちぱち」――どもどもぱちぱち...

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    シュウ「はい、皆様こんにちはー。それともこんばんは、ですかねー?
    今回のあとがきインタビュー、はじまりはじまりー」


    ――どもども。で、今回のゲストも、彼だか彼女だか分からない方です。

    モール「うっせ。
    んで? 今回のテーマは、克とアルと難訓のケンカ、だっけね?」


    ――ケンカ、と言うのとは大分違いますね。これは本来の意味通り、戦争になります。

    シュウ「と言うと?」

    ――本来、戦争と言うのは、「話し合いで決着が付けられないため、物理的・直接的な交渉に移った状態」のことを言います。
     彼らは「双月世界」を誰が手中にするかで対立し合っていますし、話し合いによる決着は望めません。

    モール「難訓は人の話聞かないし、アルは聞くように指示されてないからねぇ」

    シュウ「三方のうち二方が話し合いを拒んでしまうとなると、それは確かに、どうにもならなくなっちゃいますよねー……」

    ――なので残る交渉手段となると、直接対決でどうにかするにか無いわけです。
     ただし彼らの場合、複雑な事情が絡み合ってくるんです。

    シュウ「事情、ですか?」

    モール「難訓は世界の表舞台に出たくないらしいし、アルも結局は操り人形だから、表に出るわけにゃいかない。
     主立って動きたくないし、動いたとしても克が止めに入ってくる。となりゃ、自分らの代理を立てて、克にバレないように裏から操るしかないわけだね」


    ――それが「蒼天剣」におけるフーであったり、「火紅狐」におけるランドやイールだったわけです。
     次回作においても、この「代理戦争」は連綿と続いていきます。

    モール「私も何だかんだで参加する羽目になるんだよねぇ。めんどい」

    シュウ「でもアルやナンクンが勝っちゃうと、とんでもない世界になっちゃいそうですよね。
     わたし、タイカさんとモールさん、応援しますよー」


    モール「そりゃどーも」

    シュウ「話を戻しますけども、と言うことは黄輪さん、次回作でもアルやナンクンが、間接的に出てくるんですか?」

    ――それだけじゃありません。もう一人、この「代理戦争」に関わってくる奴が出てきます。

    シュウ「えぇ!? もっと大変なことになっちゃうんですか!?」

    ――そうなりますね。
     と、次回作についてそろそろ、話を出していきますが、舞台は「蒼天剣」の後の世界となります。その「代理戦争」も、より一層の激化を見せています。
     そこに参加しているプレイヤーの一人に、主人公の一人がケンカを売る。次回作はそういう話になります。

    シュウ「ん? ん? 何だか急に色々、情報が出てきましたね?
     次回作、主人公は一人ではない、と言うことですか?」


    ――予定では3人。世代交代しつつ物語を進めていく、と言う形式を取るつもりです。

    シュウ「これまではセイナさんの話に、トモエさんの話がちょこっと。フォコさんの話に、ランドさんがちょこっと。……みたいな展開がありましたけど、次回は主人公さんたちが均等に登場する感じになるんですか?」

    ――その予定ですね。大変な長丁場になりそうな予感がします。下手すると3年くらい連載するかも。

    シュウ「これまでは『蒼天剣』が2年半、『火紅狐』が1年半とちょっと、……くらいの期間でしたけど、まさかの3年越え、ありそうですか。
     これは楽しみであると同時に、……ちょっと不安も出てきちゃいますね」


    モール「大風呂敷広げ過ぎだっての。君の悪いクセだね」

    ――耳が痛い限りです。

    シュウ「と、本日はここまで!
     次回4月5日は、恋愛シーンについて。本編中では実現しえなかった、あの人とあの人によるダブルゲストです。
     お楽しみにー」

    「火紅狐」あとがき ③神と悪魔の代理戦争

    2012.03.29.[Edit]
    シュウ「はい、皆様こんにちはー。それともこんばんは、ですかねー?今回のあとがきインタビュー、はじまりはじまりー」――どもども。で、今回のゲストも、彼だか彼女だか分からない方です。モール「うっせ。んで? 今回のテーマは、克とアルと難訓のケンカ、だっけね?」――ケンカ、と言うのとは大分違いますね。これは本来の意味通り、戦争になります。シュウ「と言うと?」――本来、戦争と言うのは、「話し合いで決着が付けられな...

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    シュウ「お待たせしました皆様、こんにちは、……でいいですかね?
    本日のテーマは、ズバリ『恋愛』っ! と言うわけで本日のゲストとして、今作のダブルヒロインにお越しいただきましたー」


    ランニャ「どもー」

    ティナ「……よろしく」

    ――作中、この二人が出会うことはありませんでした。当然、互いにどんな人だったかも知らないわけで。

    ランニャ「あたしはフォコから聞いてたけどね。かなりノロけてたよ」

    ティナ「……」(照れている)

    シュウ「さて、テーマの方についてなんですけれども、前作でも今作でも、恋愛要素はちょくちょく出てきてましたが、黄輪さんはあまり、重要視はしていないとのことです」

    ――と言うよりも、ズバリ「恋愛小説」として、恋愛シーンをメインに書くことができない、と言うか。
     確かに恋愛の要素は、人間社会における重要なテーマの一つですが、それ単体では生活が成り立たないわけで。残念ながら、愛の力を電気や熱エネルギーに変える技術は、現在のところありませんし。
     現実世界においても、「愛さえあれば他には何もいらない」と言う方はいらっしゃいますが、実際には仕事や勉強、遊びや趣味と言った社会的、公共的な活動をしつつ、その一方でパートナーさんと付き合っていくわけで。愛だけに生きる、二人だけで生きていく、と宣言してしまうのは、まったくリアリティに欠ける言葉だと思うんです。
     むしろ、そうした生活、活動を共にするうちに恋愛が発生し、愛を育んでいく。現実的なライフスタイルを考えれば、その方が自然でリアリティに富むと思っていますし、作品の中でもそうした流れを重視し、戦闘や会話、交流などを重ねるうちに、特別な感情が芽生え、そこでやっと「恋愛」が始まる、と言う風に流れを作っています。
    厳密に数えてはいませんが、唐突にラブラブしだしたカップル、と言うのは、作中にはあんまりいないはずです。

    ランニャ「なーるほど。あたしも昔からの縁があったからだし、ティナさんも職場恋愛だもんなぁ」

    ティナ「……」(うなずいている)

    ――ただ、自分の作家仲間さんの中には、僕のように回りくどくお膳立てを整えたりせず、恋に落ちるところ、その後の展開、エンディングと、ピンポイントに「恋愛モノ」の要素を取り上げ、書き上げられる方がいらっしゃいまして。それは本当に、うらやましい文才だなと思っています。
     とは言え、現在のところ作品の方向性が違うので、真似をしたいと思っても、その機会はありませんが。

    ランニャ「あたしはいいけどな、フォコとラブラブしてるトコ書いてもらっても(チラッ)」

    ティナ「……」(チラッ)

    ――その機会はありません。多分。

    ランニャ「ちぇ」

    ティナ「……」(不満そうな目を向けてきた)

    ――話を戻しますと。
     恋愛に関わらず、「リアリティ」、和訳すると「現実っぽさ(あくまで現実そのものではない)、有り得そうな展開」、みたいなことだと思ってますが、そのリアリティが無いものは、作品として読むに堪えないものと、僕は考えています。
     例えば怪力乱神を語る、剣や魔法が華々しく交わされる、魔王と勇者が激しく戦う。なるほど、いかにもファンタジーな設定だな、とは思います。
     ですが、その設定に引きずられる、型にはめられる形でキャラが動かされれば、それはキャラや世界が独自に思考を持ち、それに則って行動する「物語」ではなく、舞台の上で役者が台本通り動き、定められた役割を機械的にこなす「演劇」になってしまっていると、そう感じられるんです。
     いかにファンタジーな世界とは言え、そこで動く人々は、彼らそれぞれの自由意思で行動しているはず。それを全く無視して、「まず設定ありき」でキャラを動かし続けることは、まったくリアリティに欠ける。読者さんからも「こんな展開有り得へんやろ!? 作者はアタマおかしいんちゃうか!?」と嘆かれるような展開になってしまうのではと、そう考えています。
     結局は作者の采配次第で物語は決まるものですが、いつでも自分に「このキャラは今、どう考えているのか? どう動こうとしているのか?」と問いながら、作品を作っています。

    シュウ「まず『それっぽさ』ありき、ということですね。
     それではお時間となりましたー。次回4月12日のあとがきインタビューは最終回! 『双月世界』について、ざっくりと説明していただきましょう!」

    「火紅狐」あとがき ④作中における恋愛要素と、リアリティ

    2012.04.05.[Edit]
    シュウ「お待たせしました皆様、こんにちは、……でいいですかね?本日のテーマは、ズバリ『恋愛』っ! と言うわけで本日のゲストとして、今作のダブルヒロインにお越しいただきましたー」ランニャ「どもー」ティナ「……よろしく」――作中、この二人が出会うことはありませんでした。当然、互いにどんな人だったかも知らないわけで。ランニャ「あたしはフォコから聞いてたけどね。かなりノロけてたよ」ティナ「……」(照れている)シュ...

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    シュウ「はい皆さん、こんにちはー。あとがきインタビュー、いよいよ最終回となりました!
     今回はズバリ、『双月世界』そのものについて、説明していただきましょう!」


    ――とはしたいんですけども、まだまだ秘密にしたい要素がありますので、今回は「火紅狐」から「蒼天剣」までの、双月世界の世界観、特に宗教の要素について、ざっくりとだけ説明します。
     ちなみに今回のゲストは、うちのツートップのもう一人。

    大火「……」

    ――古今無双の剣士にして魔術師、不死身の男。契約の悪魔、克大火さん、です。

    大火「ああ、よろしく頼む」

    シュウ(この人本当に、おだてに弱いなぁ。今ニヤってした、ニヤって)

    大火「何か言ったか?」

    シュウ「イイエナンデモナイデスヨー」

    ――それでは本題、双月世界の宗教観って言うのはどんなものか、って話なんですけども。
     「火紅狐」までは、非常に強い勢力を持つ宗教、「天帝教」が中央政府と言う大きな政治組織を司り、世界を支配してきたんですが、今作でそれは崩壊。以後は央北の権力者たちが鎬を削りつつ、細々と運営していくことに。
     とは言え、天帝教の力はまだまだ大きくて、大火が中央政府の表舞台を退いた後になってまた、天帝教を引き込んだり利用したりして、勢力を維持したわけです。
     一方で、他の地域でも宗教の力は大きい。央中では、現実で言うカトリックとプロテスタントみたいな感じで、「央中」天帝教が発生。央南でも、短編でちょっと触れましたが、神道や禅道が広まっていますし、北方や西方、南海でも土着の宗教が根強い。

    大火「さらに追記するとすれば、双月暦4世紀半ばから、俺を神と祀る教団、『黒炎教団』なるものも誕生している」

    シュウ「現人神さんなんですねー(あ、またニヤっとした)」

    ――持論ですけども、どれだけ世界文明、文化が発展しようとも、宗教と言うものは無くならないと思うんです。
    宗教的思考に取って変わったと言われている科学観にしても、全く根拠のない「ニセ科学」を盲信してしまう人もいると言いますし、何かしら絶対的な価値観が無いと、人として軸がぶれてしまうんだろうな、と。
     その絶対的基準、価値観は、昔から宗教、その核となる「神様」や「神々しい何か」が一手に握っているんでしょうね。それを味方につけた組織は、非常に強力な「推進力」を得られるわけですし。

    シュウ「最たる例が、現実世界での宗教戦争ですよね。『神の名の下に』って名目だけで、数千キロも行軍して、死者が数万人規模に及ぶ戦いを起こしたわけですから」

    ――現代においても宗教テロは無くなっていませんし、「聖書や経典の教えは絶対である。間違っているはずは無い」と断言する人も、大勢います。
     反対に、例えばTVで「原発が危ない!」なんて、白衣や作業着を着た方が論じれば、簡単に信じ込む人も、決して少なくないでしょうね。彼らにとって、「科学(あるいは科学っぽいもの)は絶対である。間違っているはずは無い」わけですし。
     例え完全に、既存の宗教を廃した社会が来たとしても、そこにあるのはまた別の宗教が内在する社会になる。僕はそう思っています。
     例えば「神なんて非科学的なものは信じない」と公言しつつ「いただきます」と挨拶する家庭、みたいな。

    大火「『いただきます』は本来、神の力による豊穣を奉る言葉だから、な」

    シュウ「いかにもありそうですね、そういうご家庭」

    ――双月世界においても、宗教と言うものは非常に大きな存在なんです。第7部の主題でもあった「黒白戦争」は、央北天帝教にしても、央中天帝教にしても、宗教観が無ければ起こり得なかったでしょうね。



    シュウ「はい、と言うわけで今回のあとがきインタビュー、すべて終了致しましたー」

    ――もう少々お休みをいただいてから、次回作の連載を始める予定です。
      さて、その次回作ですけども。

    シュウ「ですけども!」

    ――タイトルは、「白猫夢 –Beat The Oracle!-」。

    シュウ「びーとざおらくる! ……って、どういう意味です?」

    ――エ○サイトとかで調べれば、和訳文は簡単には出てきますが、これはダブルミーニングです。直訳しただけでは、裏に隠してある意味は分からないようにしてあります。
     主人公は、前述の通り3人。

    シュウ「トリプルキャスト!」

    ――そのうち一人目は、なんと!

    シュウ「なんとぉー!?」

    ――まだ秘密。本編を読んでからのお楽しみです。

    シュウ「えぇー!?」

    ――やかましい。

    シュウ「てへぺろー」

    ――ま、そんなわけで。次回作もお楽しみに、と。

    シュウ「ご期待くださいー」



    ――最後にスペシャルサンクスのご紹介。
     「火紅狐」の連載中、特にお世話になった方を紹介させていただきます。

     まず、前作「蒼天剣」のキャラをお貸ししたり、キャライラストをいただいたりと、何かと交流のあった、「LandM製作所」の才条蓮さん(
    http://landmart.blog104.fc2.com/)。

     そしてコラボ企画やリレー小説と、何かと合同企画を持ちかけていただいた、「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさん(http://crfragment.blog81.fc2.com/)。

     「火紅狐」のイラスト数点を制作していただいた、「アリとアリクイ」の森野夜市さんと、とにもとさん(http://arit0ariku1pitapitap.blog79.fc2.com/)。

     また、主にツイッターを通して仲良くなった、「覇道の先に小説」の最果ての覇王さん(http://saihatehadou.blog39.fc2.com/)、「からくり童子 風のジード」のからくりオムさん(http://karakurizeed.blog.fc2.com/)。

     その他、当ブログ「黄輪雑貨本店 新館」にお越しいただいた皆様、小説をご清読いただいた皆様、ありがとうございました!

    シュウ「ありがとうございましたー!」

    「火紅狐」あとがき ⑤双月世界と宗教

    2012.04.12.[Edit]
    シュウ「はい皆さん、こんにちはー。あとがきインタビュー、いよいよ最終回となりました! 今回はズバリ、『双月世界』そのものについて、説明していただきましょう!」――とはしたいんですけども、まだまだ秘密にしたい要素がありますので、今回は「火紅狐」から「蒼天剣」までの、双月世界の世界観、特に宗教の要素について、ざっくりとだけ説明します。 ちなみに今回のゲストは、うちのツートップのもう一人。大火「……」――古今...

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