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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第4部

    火紅狐・壊忠記 4

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    フォコの話、184話目。
    フォコ、卓へ戻る。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
     一方、トリペの霊廟。
    「うっ……、うっ……」
     兄の納められた棺を前に、マフスが泣き崩れていた。
    「どうして……どうしてなの……」
     何度も問うが、答えてくれる者はいない。
     マフスはひたすら、物言わぬ骸を前に泣き続けていた。

     と――。
    「ホンマにすみません」
    「……え?」
     聞きなれた声が、背後からかけられた。
     マフスが振り返ると、そこにはフードを深くかぶったフォコの姿があった。
    「……ホコウ、さん?」
    「はい。……えらい遅くなりまして、……その、……どう申し開きをしても、……ともかく、すみませんでした!」
     そう言うなり、フォコはがばっと地面に膝を着き、土下座した。
    「……」
    「僕がうっかり罠にはめられへんかったら、こんなことにはならなかったんです。ホンマにもう、何の言い訳もできません。
     許してくれ、なんて言えた義理やありませんし、……どうにでもしてください」
     フォコはフードを取り、自分の前に曲刀を置いて、もう一度土下座の体勢に入る。
    「……」
     マフスはふら、と立ち上がり、曲刀を手に取った。
    「あなたが……もっと早く戻ってきてくれれば」
     マフスは曲刀を上段に構え、フォコの前で静止する。
    「お兄様は死ななかったかも知れない」
    「ええ」
    「……でも」
     と、マフスは振り上げた曲刀を、そのまま地面に突き刺した。
    「あなたを殺すのは、筋が違うでしょうね。本当に悪いのは、……あなたを罠にかけた人物。
     本当にわたしが刃を向けるべきは、その人でしょうね」
    「……遅くなりましたが、手、お貸しします」
    「ありがとう、ホコウさん」



     フォコから事情を聞いたマフスは、口を抑えて戦慄した。
    「そんな……! あの人が!?」
    「ええ。宮殿の方で頭からばっさー、と袋被せられた後、どこかに運ばれまして。で、そん時に袋から出されて、顔を見たんですわ。
     ホンマにもう、驚くやら呆れるやらですわ。ろくに仕事もせえへんかったくせに、こんな妨害工作をするとか、……ホンマに外道の中の外道、クズの一等賞ものですわ。
     アリバラクでのことなんか、これに比べたら子供の遊びみたいなもんです」
    「……」
     憮然とする背後のイサンに目もくれず、フォコは話を続ける。
    「そんなわけで、今回の大騒動の犯人は分かってます。
     後は、どうやってそれを国王陛下に伝え、『あいつ』を捕まえるか、ですな」
    「でも、わたしはもう宮殿へ入れませんし、いつわたしを暗殺しようとする者が現れるか……」
    「大丈夫です。こっちには凄腕の魔術師さんがいてはりますから、何とでもできますで」
    「フン」
     と、フォコにそう紹介されたモールが、不満そうに鼻を鳴らす。
    「私は賢者だよ、け・ん・じゃ」
    「そうでした。凄腕の、賢者さんです」
    「そのとーり」
    「……期待、してますよ」
     軽いノリのモールに、マフスは少しだけ不安を感じた。

     と、頬を膨らませていたモールが、ふと顔を挙げた。
    「ん?」
    「どうしはりました?」
    「外に誰かいるね。……攻撃してくる気、満々。多分、そこの短耳のお姉ちゃんが言ってた暗殺者だね」
    「え」
     次の瞬間、霊廟内に球のようなものが投げ込まれた。
    「……うわ、わわっ!」
     その球の正体に気付いたフォコは慌ててマフスを抱き上げ、棺の反対側へと回り込んで横になる。
    「え、あ、あのっ、ホコウさん?」
     マフスは顔を真っ赤にしてもがくが、フォコは離そうとしない。
    「みんな、何かに隠れて! 爆弾です!」
    「ばく、……なんだって?」
     きょとんとしているイサンの首に、モールが魔杖を引っかけた。
    「寝てろって!」
    「うおわ!?」
     モールも姿勢を低くし、魔術で壁を作る。
     次の瞬間、轟音と共に、霊廟の窓と言う窓から真っ黒な煙が噴き出した。
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