「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第4部
火紅狐・離海記 2
フォコの話、194話目。
破綻と再生。
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2.
「……そう。ありがとね、ホコウくん」
アミルの投獄をフォコから伝えられたマナは、失望したような、しかし、どこかせいせいしたような顔でそう返した。
「やっぱ、あいつ一人でフラフラさせちゃダメだったのね」
「って言うと?」
「そっか。……ホコウくん、あいつの本性、知らないのよね」
「いやぁ……、マナさんの前で言うのもなんですけども、大体は」
「……だよね。ま、ホコウくんの考えてる通りのヤツだったのよ。
誰か『お目付け役』がいれば、確かにそれなり、真面目で勤勉なんだけどさ。いなくなると途端に、自分勝手で乱暴なヤツになっちゃうのよ。
造船所の頃はあたしとか、おやっさん夫婦が居たからねー。何とか真面目にやっててくれてたんだけど。それがいざ、『砂嵐』が解体されたら、『俺には学も才能もないし、まともに働いてちゃ、とてもじゃないけど養っていけそうにない』とかアホなこと言って、海賊やりだしたのよ」
「ああ、最初に会った時も『レヴィアに目を付けられたし』とか『今さら堅気になんてなれない』とか逃げ口上述べてはりましたね」
「そう、そう言うヤツなのよ。……とは言えあたしも、あいつをちゃんとさせられなかったのよね」
「まあ……、それは仕方ありませんて。子供さんいてはったんですから」
「まあ、……ね」
場がしんみりとしたところで、ファンが話の輪に入ってきた。
「あ、そうそう、ニコル卿! 話しそびれていたことがございまして」
「き、卿?」
唖然とするフォコに、ファンは困ったような顔をした。
「あ、……いや、その、私めにとっては、尊敬すべきお方ですから。……お気に召されなければ、慎みますが」
「……いや、……別に、ええです。ほんで、話しそびれてたこと、っちゅうのんは何です?」
「ああ、そうでしたそうでした!
実はですね、ニコル卿からお任せいただいた、元シルム……、の、皆さんなんですけども、マナさんの方で、処遇をお任せすることになりまして」
「と言うと?」
「ああ、ほら、ホコウくん、ロクシルムって作ったじゃない? それをさ、あたしが引き継ぐことにしたのよ」
「ほう……。ほな、アミルん時みたいに、ロックスさんとの共同経営っちゅう形に?」
「そ、そ。あいつの代わりに、あたしが代表として」
「へえ……。じゃあロクシルムやなくて、ロックス・ハイミンみたいな感じですか」
「もっと縮めて、ロクミンにしようかなって相談してるトコ」
その名前を頭の中で検討し、フォコはうなずいた。
「そっちの方がええですね」
「ありがと」
「名前も決まりましたし、もう少しベール関係が落ち着いたら、以前のように活動できるでしょう」
「そうね。がんばりましょ、ロックスさん」
仲の良さげな二人を見て、フォコはほっとした気持ちになる。
「アミルが居てた時より、落ち着いて活動できそうですな。マナさんやったら包容力もありますし、部下のみんなも安心して付いてきてくれるでしょう」
「ええ、私もそう思います。それに……」
ファンは嬉しそうな顔で、内々の付き合いについて触れた。
「家族間でも、私とマナさんのところは良好でして。子供たちも、本当の兄弟姉妹のように仲が良くて」
「へえ……。ほんなら、末は安泰っちゅう感じですな」
「ええ。ご安心ください、ニコル卿。
南海の経済は私とマナさんが、守ってみせますぞ」
こうして再始動した連合、ロクミン大商会は長く、南海経済を支える存在となる。
再統合の数年後には代表同士の子供が結ばれるなど、公私ともに円満な運営が続いた。
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破綻と再生。
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「……そう。ありがとね、ホコウくん」
アミルの投獄をフォコから伝えられたマナは、失望したような、しかし、どこかせいせいしたような顔でそう返した。
「やっぱ、あいつ一人でフラフラさせちゃダメだったのね」
「って言うと?」
「そっか。……ホコウくん、あいつの本性、知らないのよね」
「いやぁ……、マナさんの前で言うのもなんですけども、大体は」
「……だよね。ま、ホコウくんの考えてる通りのヤツだったのよ。
誰か『お目付け役』がいれば、確かにそれなり、真面目で勤勉なんだけどさ。いなくなると途端に、自分勝手で乱暴なヤツになっちゃうのよ。
造船所の頃はあたしとか、おやっさん夫婦が居たからねー。何とか真面目にやっててくれてたんだけど。それがいざ、『砂嵐』が解体されたら、『俺には学も才能もないし、まともに働いてちゃ、とてもじゃないけど養っていけそうにない』とかアホなこと言って、海賊やりだしたのよ」
「ああ、最初に会った時も『レヴィアに目を付けられたし』とか『今さら堅気になんてなれない』とか逃げ口上述べてはりましたね」
「そう、そう言うヤツなのよ。……とは言えあたしも、あいつをちゃんとさせられなかったのよね」
「まあ……、それは仕方ありませんて。子供さんいてはったんですから」
「まあ、……ね」
場がしんみりとしたところで、ファンが話の輪に入ってきた。
「あ、そうそう、ニコル卿! 話しそびれていたことがございまして」
「き、卿?」
唖然とするフォコに、ファンは困ったような顔をした。
「あ、……いや、その、私めにとっては、尊敬すべきお方ですから。……お気に召されなければ、慎みますが」
「……いや、……別に、ええです。ほんで、話しそびれてたこと、っちゅうのんは何です?」
「ああ、そうでしたそうでした!
実はですね、ニコル卿からお任せいただいた、元シルム……、の、皆さんなんですけども、マナさんの方で、処遇をお任せすることになりまして」
「と言うと?」
「ああ、ほら、ホコウくん、ロクシルムって作ったじゃない? それをさ、あたしが引き継ぐことにしたのよ」
「ほう……。ほな、アミルん時みたいに、ロックスさんとの共同経営っちゅう形に?」
「そ、そ。あいつの代わりに、あたしが代表として」
「へえ……。じゃあロクシルムやなくて、ロックス・ハイミンみたいな感じですか」
「もっと縮めて、ロクミンにしようかなって相談してるトコ」
その名前を頭の中で検討し、フォコはうなずいた。
「そっちの方がええですね」
「ありがと」
「名前も決まりましたし、もう少しベール関係が落ち着いたら、以前のように活動できるでしょう」
「そうね。がんばりましょ、ロックスさん」
仲の良さげな二人を見て、フォコはほっとした気持ちになる。
「アミルが居てた時より、落ち着いて活動できそうですな。マナさんやったら包容力もありますし、部下のみんなも安心して付いてきてくれるでしょう」
「ええ、私もそう思います。それに……」
ファンは嬉しそうな顔で、内々の付き合いについて触れた。
「家族間でも、私とマナさんのところは良好でして。子供たちも、本当の兄弟姉妹のように仲が良くて」
「へえ……。ほんなら、末は安泰っちゅう感じですな」
「ええ。ご安心ください、ニコル卿。
南海の経済は私とマナさんが、守ってみせますぞ」
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