FC2ブログ

黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第5部

    火紅狐・破鎧記 4

     ←火紅狐・破鎧記 3 →火紅狐・破鎧記 5
    フォコの話、209話目。
    告発準備。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
     場所は湯嶺、ランドたちの話し合いに戻る。
    「我々の方でも調査し、エール氏が教唆しているその証拠をつかむべきでしょう。まず行うべきは、そこからです」
     ランドの説得により反乱軍の狐弦襲撃は中止され、代わりに中央政府の協力を止めさせる策が検討されていた。
    「うむ、そこが肝要であるな。元より拙者らは中央政府に対し、一般の世論以上の敵愾心は持ってはおらぬ。彼らと戦う理由など、まったく無いのだ。
     余計な敵に阻まれ、真に許すべからざる敵を逃がすことなど、あってなるものか」
    「その通りです。まあ……、僕からすれば、いずれは攻略したい相手ではありますが。
     それはさておき、具体的に証拠を見つけ、世間に公表するにはどうすればいいか? これを考えていきましょう」
    「ふむ……」
     少佐は顎に手を当て考え込んでいたが、やがて、ぱた、と手を打った。
    「一つ、考えがある」
    「なんでしょう?」
    「話の中核に何度も上がる、エール氏であるが。『清王朝に負債を抱えさせる』と言うその目的上、しきりに央中や央北へと足を運んでいる。
     奴をその、央中などへ出向いている途上で拘束し、中央政府まで引っ張り、彼らの面前で内情を暴露させてみてはどうだろうか?」
    「悪くない案です。しかし……」
    「しかし?」
     ランドが答える前に、イールが肩をすくめつつ、代わりに答える。
    「脅して吐かせるってのは、あんまり信用されないと思うわよ。そのエールって奴に、『反乱軍に言えって脅されたから言ったんだ』って言われちゃったら、何を言ってもウソに聞こえるだろうし。
     それに、そいつを引っ張っていき、話をさせるってなったら、あたしたちも必然的に、中央まで行かなきゃなんない。ランドは向こうじゃ完全に政治犯扱いだし、中央入りした時点で捕まるのは確実。少佐や他のみんなも十中八九、拘束・逮捕されるわよ」
    「なるほど、それもそうか……」
    「それに物的証拠でなければ、信用されるのは難しいでしょう。
     例えば、……そうですね。中央政府攻略を考えているのならば、それなりに物資を必要とします。それこそ、一地域の防衛、守護と言う名目だけでは持て余すほどの、莫大な量の軍事物資が。
     その異常な量の軍備、それが央南に存在しているのを、中央政府の要人に確認させれば、誰であろうと清王朝の思惑を悟らないわけがない。
     それを確認させた上で、エール氏と清王朝との関係、そしてエール氏がその物資の買い付けを指示していたことを広めれば……」
    「その要人が清王朝を非難し、上々に事が運べば、清王朝に刃を向ける。上々とは行かずとも、清王朝への協力が止むのは確実、……と言うことか」
    「その通りです。中央政府と言う頑丈な武具、鎧兜を外させてしまえば、清王朝の攻略は比較的平易なものになる。
     そしてあわよくば、逆に中央政府を我々の武器にしてしまおう、……と言う作戦です」
     ランドの作戦を聞き、少佐は腕を組んでうなった。
    「なるほど、……ふむ、……少なくとも出鱈目に敵陣を襲うより、ずっと効果的であるな」
     続いて、膝立ちになってランドに詰め寄ってきた。
    「では、その要人とは?
     半端な位の者では、中央政府を動かすなど、どだい無理な話だ。少なくとも高級官僚、ないしは大臣級の人間が視察に来てもらわねば、その計画は破綻だ」
    「ええ。……いえ、大臣級でも、止めるのは難しいでしょう」
     ランドの言葉に、少佐は首をかしげた。
    「それは何故だ?」
    「現在の中央政府は、ほぼ寡数の人間によって支配されています」
    「……? 大臣たちと天帝であろう? であるから、大臣なりに申し立て……」
    「その大臣も、です」
    「何……?」
     ランドはかつて中央政府の牢獄で結論に至り、後に母ルピアから裏付けを得た、恐るべき世界征服計画――ケネスとバーミー卿の共謀を説明した。
    「何と! つまりは中央政府各院も、そ奴らめの手の内にあると言うことか! むむむ……!」
     少佐は憤り、畳をダン、と叩いた。
    「それでは到底、卿の作戦など進められないではないか! 天帝をも抱き込んでいると言うのならば……」「あ、いえ」
     ランドはぱたぱたと手を振り、それを訂正した。
    「確かに政府各院が彼ら二人に掌握されているのは確かですし、天帝陛下も操られている、と言うのも間違いない。
     そう、今言った通り――大臣は傀儡ですが、天帝は誘導されている。その違いがあります」
    関連記事




    ブログランキング・にほんブログ村へ





    総もくじ 3kaku_s_L.png 双月千年世界 4;琥珀暁
    総もくじ 3kaku_s_L.png 双月千年世界 3;白猫夢
    総もくじ 3kaku_s_L.png 双月千年世界 2;火紅狐
    総もくじ 3kaku_s_L.png 双月千年世界 1;蒼天剣
    総もくじ 3kaku_s_L.png 双月千年世界 短編・掌編・設定など
    総もくじ 3kaku_s_L.png イラスト練習/実践
    総もくじ  3kaku_s_L.png 双月千年世界 4;琥珀暁
    総もくじ  3kaku_s_L.png 双月千年世界 3;白猫夢
    総もくじ  3kaku_s_L.png 双月千年世界 2;火紅狐
    総もくじ  3kaku_s_L.png 双月千年世界 1;蒼天剣
    総もくじ  3kaku_s_L.png 双月千年世界 短編・掌編・設定など
    もくじ  3kaku_s_L.png DETECTIVE WESTERN
    もくじ  3kaku_s_L.png 短編・掌編
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
    もくじ  3kaku_s_L.png 携帯待受
    もくじ  3kaku_s_L.png 今日の旅岡さん
    総もくじ  3kaku_s_L.png イラスト練習/実践
    • 【火紅狐・破鎧記 3】へ
    • 【火紅狐・破鎧記 5】へ

    ~ Comment ~

    管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    トラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【火紅狐・破鎧記 3】へ
    • 【火紅狐・破鎧記 5】へ