「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第6部
火紅狐・集僚記 3
フォコの話、261話目。
兎三人娘、集結。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
3.
ブリックロードの繁華街。
立ち並ぶ露店の一つを、フォコとモーリス師弟は訪れた。
「いらっしゃーい、……あれ? ペルシェじゃん。モーリスさんも。どしたの?」
その露店の主はジョーヌ三姉妹の次女、プルーネだった。
「おひさ。……ねーねー、この人誰だか分かる?」
そう言ってペルシェは、フォコの袖を引っ張る。
「んー? 珍しいね、狐獣人の人って。アンタの恋人?」
「違うって。ほら、『狐』って言ったら……」
「『狐』って言ったら……」
プルーネは考える仕草を見せ、ポンと手を打つ。
「あ、分かった!」
「そう、この人は……」
「外国のお客さん!」
プルーネのとぼけた回答に、三人がずっこける。
「そこちゃうわっ」
フォコが呆れつつ、ヒントを出す。
「覚えてへんかなぁ? ほら、僕のこと、昔に……」
「んー」
プルーネはフォコの顔をしげしげと見つめ、もう一度ポンと手を打つ。
「あ、じゃああれだ、昔ナラン島に来た職人さんの……」
「そうそうそうそう!」
「シロッコさん!」「なんでやねん!」
フォコは思わず、プルーネに突っ込んだ。
「あの人『狼』やろっ」
「あれー?」
埒が明かないので、モーリスが正解を出す。
「……ホコウ君だよ。ホコウ・ソレイユ君」
「誰だっけ?」
きょとんとするプルーネに、フォコは脱力するしかなかった。
改めて説明し、プルーネはようやくフォコのことを思い出してくれた。
「あーあー、そう言えばいたいた」
「忘れんといてほしいなぁ」
「ゴメンゴメン、忙しくってさ」
「……そうは見えへんけどな」
説明を受けている間、露店を訪れた客は一名も無い。
「きょ、今日はヒマなんだって。いつもはもっと、ワイワイして……」
「まあ、そこはええねん。ちょっと内々で話したいんやけど、今日はもう店、閉めてもろてええかな」
「ヤだよ。生活かかってるんだし」
突っぱねたプルーネに、ペルシェが耳打ちする。
「お父さんに関する話なんだよ。お父さん復活プロジェクト」
「えっ?」
目を丸くしたプルーネに、フォコが笑いかける。
「聞いてみたくない? 面白い話なんやけどなぁ」
「……3分待って」
プルーネは商品を片付けだし、途中で顔を挙げる。
「手伝ってもらっていい?」
「ええよ」
フォコはにっこり笑い、袖をまくった。
プルーネを伴い、モーリスの事務所に戻ってきたところで、事務所の玄関からルーが現れた。
「あれ、お母さんも?」
「うん、リモナちゃんと旦那さんも一緒よ」
その言葉通り、ルーに続いて赤ん坊を抱えたリモナが出てきた。
「あ、ホントに火紅兄ちゃんだ!」
「どもども、ご無沙汰しとりまして」
続いて、短耳の男が現れる。
「あ、もしかしてそちらが旦那さんです?」
「うん。……ほらアンタ、自己紹介、自己紹介」
リモナに促され、その内気そうな男はぺこりと頭を下げた。
「初めまして、レギ・メジャンです。小さいですけど、ブドウ農園を経営してます」
「どもども、火紅・ソレイユです。……と、これでジョーヌ三姉妹とおかみさん、モーリスさんと、粗方集まりましたな。
後は、……その、……あの」
口ごもるフォコを見て、ルーが済まなさそうに告げる。
「ティナちゃんね? ……残念だけど、わたしも行方は知らないの。西方に戻ってすぐ、行方が分からなくなっちゃって」
「そうですか……。まあ、これだけいれば計画には、問題ありません」
「計画って言うけどさ、一体、このメンバーで何すんの?」
尋ねたプルーネに、フォコは笑顔を作って答えた。
「おやっさんとジョーヌ海運を、蘇らせるんです」
「ソコ、ちゃんと聞いておきたいんだけど」
「うんうん」
続いて、ペルシェとリモナも尋ねてくる。
「一体どうやって、蘇らせるって言うの?」
「ま、それはおいおい。
とりあえずは、皆との再会を祝うんと、僕の方の仲間紹介とを兼ねて、ご飯でも食べに行きましょか」
フォコの提案に、三姉妹は顔をほころばせる。
「お、いいねぇ~」
「兄ちゃんのオゴリ?」
「勿論」
ビシ、と親指を立てたフォコを、三姉妹は「太っ腹ぁ」「お大尽だねぇ」とはやし立てた。
@au_ringさんをフォロー
兎三人娘、集結。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
3.
ブリックロードの繁華街。
立ち並ぶ露店の一つを、フォコとモーリス師弟は訪れた。
「いらっしゃーい、……あれ? ペルシェじゃん。モーリスさんも。どしたの?」
その露店の主はジョーヌ三姉妹の次女、プルーネだった。
「おひさ。……ねーねー、この人誰だか分かる?」
そう言ってペルシェは、フォコの袖を引っ張る。
「んー? 珍しいね、狐獣人の人って。アンタの恋人?」
「違うって。ほら、『狐』って言ったら……」
「『狐』って言ったら……」
プルーネは考える仕草を見せ、ポンと手を打つ。
「あ、分かった!」
「そう、この人は……」
「外国のお客さん!」
プルーネのとぼけた回答に、三人がずっこける。
「そこちゃうわっ」
フォコが呆れつつ、ヒントを出す。
「覚えてへんかなぁ? ほら、僕のこと、昔に……」
「んー」
プルーネはフォコの顔をしげしげと見つめ、もう一度ポンと手を打つ。
「あ、じゃああれだ、昔ナラン島に来た職人さんの……」
「そうそうそうそう!」
「シロッコさん!」「なんでやねん!」
フォコは思わず、プルーネに突っ込んだ。
「あの人『狼』やろっ」
「あれー?」
埒が明かないので、モーリスが正解を出す。
「……ホコウ君だよ。ホコウ・ソレイユ君」
「誰だっけ?」
きょとんとするプルーネに、フォコは脱力するしかなかった。
改めて説明し、プルーネはようやくフォコのことを思い出してくれた。
「あーあー、そう言えばいたいた」
「忘れんといてほしいなぁ」
「ゴメンゴメン、忙しくってさ」
「……そうは見えへんけどな」
説明を受けている間、露店を訪れた客は一名も無い。
「きょ、今日はヒマなんだって。いつもはもっと、ワイワイして……」
「まあ、そこはええねん。ちょっと内々で話したいんやけど、今日はもう店、閉めてもろてええかな」
「ヤだよ。生活かかってるんだし」
突っぱねたプルーネに、ペルシェが耳打ちする。
「お父さんに関する話なんだよ。お父さん復活プロジェクト」
「えっ?」
目を丸くしたプルーネに、フォコが笑いかける。
「聞いてみたくない? 面白い話なんやけどなぁ」
「……3分待って」
プルーネは商品を片付けだし、途中で顔を挙げる。
「手伝ってもらっていい?」
「ええよ」
フォコはにっこり笑い、袖をまくった。
プルーネを伴い、モーリスの事務所に戻ってきたところで、事務所の玄関からルーが現れた。
「あれ、お母さんも?」
「うん、リモナちゃんと旦那さんも一緒よ」
その言葉通り、ルーに続いて赤ん坊を抱えたリモナが出てきた。
「あ、ホントに火紅兄ちゃんだ!」
「どもども、ご無沙汰しとりまして」
続いて、短耳の男が現れる。
「あ、もしかしてそちらが旦那さんです?」
「うん。……ほらアンタ、自己紹介、自己紹介」
リモナに促され、その内気そうな男はぺこりと頭を下げた。
「初めまして、レギ・メジャンです。小さいですけど、ブドウ農園を経営してます」
「どもども、火紅・ソレイユです。……と、これでジョーヌ三姉妹とおかみさん、モーリスさんと、粗方集まりましたな。
後は、……その、……あの」
口ごもるフォコを見て、ルーが済まなさそうに告げる。
「ティナちゃんね? ……残念だけど、わたしも行方は知らないの。西方に戻ってすぐ、行方が分からなくなっちゃって」
「そうですか……。まあ、これだけいれば計画には、問題ありません」
「計画って言うけどさ、一体、このメンバーで何すんの?」
尋ねたプルーネに、フォコは笑顔を作って答えた。
「おやっさんとジョーヌ海運を、蘇らせるんです」
「ソコ、ちゃんと聞いておきたいんだけど」
「うんうん」
続いて、ペルシェとリモナも尋ねてくる。
「一体どうやって、蘇らせるって言うの?」
「ま、それはおいおい。
とりあえずは、皆との再会を祝うんと、僕の方の仲間紹介とを兼ねて、ご飯でも食べに行きましょか」
フォコの提案に、三姉妹は顔をほころばせる。
「お、いいねぇ~」
「兄ちゃんのオゴリ?」
「勿論」
ビシ、と親指を立てたフォコを、三姉妹は「太っ腹ぁ」「お大尽だねぇ」とはやし立てた。
- 関連記事



@au_ringさんをフォロー
総もくじ
双月千年世界 3;白猫夢

総もくじ
双月千年世界 2;火紅狐

総もくじ
双月千年世界 1;蒼天剣

総もくじ
双月千年世界 3;白猫夢

総もくじ
双月千年世界 2;火紅狐

総もくじ
双月千年世界 1;蒼天剣

もくじ
双月千年世界 目次 / あらすじ

もくじ
他サイトさんとの交流

もくじ
短編・掌編

もくじ
未分類

もくじ
雑記

もくじ
クルマのドット絵

もくじ
携帯待受

もくじ
カウンタ、ウェブ素材

もくじ
今日の旅岡さん

~ Trackback ~
トラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
~ Comment ~