「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第6部
火紅狐・仮痴記 4
フォコの話、299話目。
「エレメント」。
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4.
ついにフォコたち一行は、本命のカジノ、「ゴールドパレス」に足を踏み入れた。
「長かったなぁ、ホント」
「だが、仕掛けは十分。きっと、うまく行くよ」
「だといいけどねぇ」
一行は奥の方にある、「エレメント」と看板の付けられた卓に到着し、カントとモールが座る。
「……!」
事前に話を聞いていたらしく、一行を見たディーラーはビク、と震えた。
「どうしたね?」
「い、え」
「早速、打たせてもらおうか。まずは……」
そこでカントは言葉を切り、フォコに目くばせする。フォコは抱えていたかばんを卓の上に置き、開いて見せた。
「1000万からの勝負だ。悪いが、チップを用意してもらえるかな」
「は、はい。……しょ、少々お待ちを」
ディーラーが人を呼んでいる間に、フォコとモールはぼそ……、と何かを唱え始めた。
この「エレメント」と言うゲームは、六属性と「天」各4枚ずつの、「28枚式」のカードで行われる(なお、このゲームには『天』は使用されない)。
基本は親対子、一対多で進められる。まず、一人に対しカードが3枚配られ、それが以下の組み合わせに合致していれば、一符。まず、「火」3枚や「水」3枚など、属性がすべて揃えば「スーツ」。「火」「氷」「水」や「水」「雷」「土」など、属性の相関関係がそれぞれつながっていれば「チェイン」となる。
一符が成立すれば新たに3枚配られ、また、成立していなくても1巡につき1枚ずつ、カード交換の機会が与えられる。なお、一符が完成し新たにカードが配られた場合も、1巡として数えられる。
なお、親にはカード交換の機会は与えられていないが、子が捨てたカードを、自分の手持ちとすることができる。つまり、親は3枚以上のカードを同時に有する権利があり、その中から役を作ることが容認されている。
ゲームを進め、先に二符作った者が「アガリ」となる。また、役の組み合わせによって倍付け、三倍付けと、獲得できる賞金が変化する。
まず、「スーツ」と、それに関わらない「チェイン」(例えば『火』3枚と『氷』『水』『雷』)でアガった場合、獲得賞金は賭けた額の1倍。これは「ウィーク」と呼ばれる役となる。
それに対し、「スーツ」に関わる形(例えば『雷』と『氷』『水』『雷』)の場合は「グループ」と呼ばれ、2倍付けとなる。
属性が1枚以上被った状態での「チェイン」2組(例えば『土』『風』『火』と、『火』『氷』『水』)の場合は「ポジション」となり、3倍付け。「スーツ」2組の場合は「スタビリティ」となり、4倍付け。
そして1枚も被らない状態での「チェイン」2組(例えば『火』『氷』『水』と『雷』『土』『風』)の場合は「エレメンツ」と呼ばれ、最高の6倍付けとなる。
「お待たせいたしました。チップ1枚に付き、1000万のレートでよろしかったですね?」
「ああ、ありがとう。モールさん、あなたもどうぞ」
「はいよ」
店員から受け取ったチップを自分の前に積み上げ、モールはディーラーに目を向けた。
「さてと、ちゃっちゃと配ってね」
「は、はい」
ディーラーは額に流れた汗を拭き、カードを配り始めた。その間に、モールはフォコに目配せした。
(まずは準備、『一段目』だね。最初は『見』しておくからね)
(了解です)
カードが配られ、カントは賭け金を提示する。
「宣言通り、まずは1000万から。チップ1枚だ」
「同じく」
卓の真ん中に2枚のチップが置かれ、ディーラーも同じ枚数のチップを出す。
「お受け致します。カードは、よろしいですか?」
「交換してくれ」
カントはカードを一枚抜き、ディーラーに渡す。ディーラーはカードを受け取り、カードの「山」から1枚、カントに配った。
「私も交換」
モールも、同じように交換を頼む。
数巡後、ディーラーがほっとした顔で宣言した。
「できました。『ポジション』、3倍付けです」
「あらま」
「はは、やられた」
二人はさも残念そうに、持っていたカードをぱらっと卓に捨てた。
「続いてゲームされますか?」
「勿論」
「当たり前だね。ほい、チップ1枚ね」
ディーラーがカードをシャッフルするのを見ながら、二人はチップをまた、卓の中央に置いた。
うわさのカジノ荒らしがついに「ゴールドパレス」に現れたと聞いて、他の客たちが少しずつ、フォコたちのいる卓へと集まってきた。
「ここか?」
「らしいぜ」
いつものように日雇いで得たわずかな金を手に乗り込んできた、あの若者二人もこの騒ぎを聞きつけ、卓の近くに割り込んできた。
「今、どうなってる?」
「店側が5勝2敗だ。カジノ荒らしの方は今、1億8000万が溶けてる」
「へぇ……」
と、狼獣人の方が、カジノ荒らしの側に立つ、同じ狼獣人の女に気が付いた。
「え? あれ……」
「どうした?」
「……いや、……多分、気のせいだ」
「そっか」
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「エレメント」。
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4.
ついにフォコたち一行は、本命のカジノ、「ゴールドパレス」に足を踏み入れた。
「長かったなぁ、ホント」
「だが、仕掛けは十分。きっと、うまく行くよ」
「だといいけどねぇ」
一行は奥の方にある、「エレメント」と看板の付けられた卓に到着し、カントとモールが座る。
「……!」
事前に話を聞いていたらしく、一行を見たディーラーはビク、と震えた。
「どうしたね?」
「い、え」
「早速、打たせてもらおうか。まずは……」
そこでカントは言葉を切り、フォコに目くばせする。フォコは抱えていたかばんを卓の上に置き、開いて見せた。
「1000万からの勝負だ。悪いが、チップを用意してもらえるかな」
「は、はい。……しょ、少々お待ちを」
ディーラーが人を呼んでいる間に、フォコとモールはぼそ……、と何かを唱え始めた。
この「エレメント」と言うゲームは、六属性と「天」各4枚ずつの、「28枚式」のカードで行われる(なお、このゲームには『天』は使用されない)。
基本は親対子、一対多で進められる。まず、一人に対しカードが3枚配られ、それが以下の組み合わせに合致していれば、一符。まず、「火」3枚や「水」3枚など、属性がすべて揃えば「スーツ」。「火」「氷」「水」や「水」「雷」「土」など、属性の相関関係がそれぞれつながっていれば「チェイン」となる。
一符が成立すれば新たに3枚配られ、また、成立していなくても1巡につき1枚ずつ、カード交換の機会が与えられる。なお、一符が完成し新たにカードが配られた場合も、1巡として数えられる。
なお、親にはカード交換の機会は与えられていないが、子が捨てたカードを、自分の手持ちとすることができる。つまり、親は3枚以上のカードを同時に有する権利があり、その中から役を作ることが容認されている。
ゲームを進め、先に二符作った者が「アガリ」となる。また、役の組み合わせによって倍付け、三倍付けと、獲得できる賞金が変化する。
まず、「スーツ」と、それに関わらない「チェイン」(例えば『火』3枚と『氷』『水』『雷』)でアガった場合、獲得賞金は賭けた額の1倍。これは「ウィーク」と呼ばれる役となる。
それに対し、「スーツ」に関わる形(例えば『雷』と『氷』『水』『雷』)の場合は「グループ」と呼ばれ、2倍付けとなる。
属性が1枚以上被った状態での「チェイン」2組(例えば『土』『風』『火』と、『火』『氷』『水』)の場合は「ポジション」となり、3倍付け。「スーツ」2組の場合は「スタビリティ」となり、4倍付け。
そして1枚も被らない状態での「チェイン」2組(例えば『火』『氷』『水』と『雷』『土』『風』)の場合は「エレメンツ」と呼ばれ、最高の6倍付けとなる。
「お待たせいたしました。チップ1枚に付き、1000万のレートでよろしかったですね?」
「ああ、ありがとう。モールさん、あなたもどうぞ」
「はいよ」
店員から受け取ったチップを自分の前に積み上げ、モールはディーラーに目を向けた。
「さてと、ちゃっちゃと配ってね」
「は、はい」
ディーラーは額に流れた汗を拭き、カードを配り始めた。その間に、モールはフォコに目配せした。
(まずは準備、『一段目』だね。最初は『見』しておくからね)
(了解です)
カードが配られ、カントは賭け金を提示する。
「宣言通り、まずは1000万から。チップ1枚だ」
「同じく」
卓の真ん中に2枚のチップが置かれ、ディーラーも同じ枚数のチップを出す。
「お受け致します。カードは、よろしいですか?」
「交換してくれ」
カントはカードを一枚抜き、ディーラーに渡す。ディーラーはカードを受け取り、カードの「山」から1枚、カントに配った。
「私も交換」
モールも、同じように交換を頼む。
数巡後、ディーラーがほっとした顔で宣言した。
「できました。『ポジション』、3倍付けです」
「あらま」
「はは、やられた」
二人はさも残念そうに、持っていたカードをぱらっと卓に捨てた。
「続いてゲームされますか?」
「勿論」
「当たり前だね。ほい、チップ1枚ね」
ディーラーがカードをシャッフルするのを見ながら、二人はチップをまた、卓の中央に置いた。
うわさのカジノ荒らしがついに「ゴールドパレス」に現れたと聞いて、他の客たちが少しずつ、フォコたちのいる卓へと集まってきた。
「ここか?」
「らしいぜ」
いつものように日雇いで得たわずかな金を手に乗り込んできた、あの若者二人もこの騒ぎを聞きつけ、卓の近くに割り込んできた。
「今、どうなってる?」
「店側が5勝2敗だ。カジノ荒らしの方は今、1億8000万が溶けてる」
「へぇ……」
と、狼獣人の方が、カジノ荒らしの側に立つ、同じ狼獣人の女に気が付いた。
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「どうした?」
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