「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第7部
火紅狐・興中記 3
フォコの話、341話目。
財団の誕生。
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3.
会議の空気が自分に向いてきたと感じ、フォコは話を大きく広げ始めた。
「海運業に関しては、僕に心得があります。現在、港の管理はどこが?」
ジャンニが肯定的な反応を見せたことで、他の者も少しずつ意見を出し始めた。
「街の奴に任せとる。商会とかはあらへん」
「せやったら、管理する商会を作りましょか」
「ほんで、その後の開発は?」
「今現在、央北に本拠のあるエンターゲート製造の基盤を全部、こっちに移しましょか。ほんで商会名も変えて、名実ともにウチのもんにした上で、工業振興の足掛かりにしましょ。
それから僕のツテで、北方と南海、西方に対しての武器輸出を行い、代わりにその三地域から何らかの商品を輸入し、ここで売る場を作りましょ」
「何らかて言うと?」
「そうですな……、例えば食料品とか奢侈(しゃし)品で言えば、北方からは塩やモルト酒、南海からは香辛料や煙草、西方からはワインや美術品とかですな。
他のものについても、売れそうならおいおい仕入れていきましょか」
「案外おもろそうやな、街を作るのんも」
と、会議の場が活発になったところで、一人がこんなことを言った。
「しかし……、後が滅茶苦茶きつなりそうやな」
「て言うと?」
「今話に挙がっただけで、商会が3つも増えることになる。このままその、アンタが言うてたみたいに、……何ちゅうたっけ、セールパーク?」
「セラーパークですな」
「それや、何とかパーク。そこと同じくらいに大きくするって言うたら、……街の規模、ここの8倍やったっけ。8かけるの3で、24社も商会増やさなあかんようになるんやないか?」
「まあ、それは極端な計算やけども、確かにこのまま野放図に開発しとったら、パンクしてまうな」
「その各種商会を管理する、団体やら組合やらを作る必要があるなぁ」
「せやなぁ」
「まあ、これについてもぼんやりとは考えとりました」
と、フォコは黒板に今までの案を書き連ねながら、その構想を語る。
「それに街の管理も、大きな規模で考えた方がええと思います。それこそ一つの国、つまり都市国家、『市国』と言う構想で。
そこで提案するのんが、ゴールドマン商会や、今から作ろうかと思てる商会、そして市政に関しても、すべてを統括する機関――財団の設立です」
「ふむ……」
一通り書き終え、フォコは不敵な笑みを浮かべる。
「とりあえず皆さん、やる気になってきたところで、実際に行動してみませんか? 明日、いや、今日から今出てきた案、港湾関係の整備から実行して行きましょ」
「せやな」
「ついでに今ここで創設と宣言、いっぺんにしてしまいましょ」
フォコは黒板をくる、と裏返し、そこに書き付けた。
「これよりこの街、イエローコーストを『ゴールドコースト』と改め、市政および商工業の体制を一新・一元管理するとともに、その市政、およびこれに関係する商工業の管理団体として、我々は『金火狐財団』を設立します」
前述の通り、この街の開発利権はケネスが中央政府から買い取っており、これには統治権も含まれていた。
そして総帥として持っていた諸権利はすべて現総帥、フォコに渡っているため、当然この権利についても、フォコの所有となっている。
「ちゅうことはやな」
会議を終え、フォコは自分の寝室にて、イヴォラを膝に乗せて話をしていた。
「お父さん、ここの市長も兼任するっちゅうことになるんやね」
「すごーい」
会議の内容を聞き、イヴォラは目を輝かせている。
「でもお仕事いっぱいだよね」
「せやねぇ」
一転、イヴォラはしょんぼりした顔をする。
「……いつランニャとけっこんするの? 予定、開けらんないよね」
「うーん」
ちなみに今、ランニャはクラフトランドに帰省している。
大火の刀を打つ要員として駆り出されているのも理由の一つだが、フォコとの結婚に当たって、彼女の今後の身の振り方を母親、ルピアと相談するのが、本来の目的である。
「けっこんしたら、ランニャはこっちに住むんでしょ?」
「そのつもりやと思う」
「でもランニャ、向こうにも色々仕事が残ってるみたいだよ」
「でも物理的になぁ、あっちとこっちと行き来すんのは難しいしなぁ。
ちょっとこれ見てみ」
フォコはイヴォラを膝から下ろし、壁にかけてある地図へと向かう。
「央中っちゅうのんがほら、こんだけ川やら湖やら多くてなー。なかなか街道整備や橋を架けるっちゅうのんがでけへんねん。
せやから途中の川とか湖を、舟で渡るのんが一般的なんやけど、それでも一ヶ月、二ヶ月のちょっとした旅やねん。
このままランニャがクラフトランドに仕事残したまんまやと、往復で最長四ヶ月になってまうし、ほとんど会えへんようになってしまうからなぁ。それにこれから、イヴォラの弟やら妹がでけるかも分からんし」
「そうなったらうれしいけど、それでランニャに辛い思いしてほしくないよ」
「同感やねぇ。なんかええ方法ないかなぁ」
「うーん」
一族を集めての会議の次は、父娘二人での会議が始まった。
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財団の誕生。
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3.
会議の空気が自分に向いてきたと感じ、フォコは話を大きく広げ始めた。
「海運業に関しては、僕に心得があります。現在、港の管理はどこが?」
ジャンニが肯定的な反応を見せたことで、他の者も少しずつ意見を出し始めた。
「街の奴に任せとる。商会とかはあらへん」
「せやったら、管理する商会を作りましょか」
「ほんで、その後の開発は?」
「今現在、央北に本拠のあるエンターゲート製造の基盤を全部、こっちに移しましょか。ほんで商会名も変えて、名実ともにウチのもんにした上で、工業振興の足掛かりにしましょ。
それから僕のツテで、北方と南海、西方に対しての武器輸出を行い、代わりにその三地域から何らかの商品を輸入し、ここで売る場を作りましょ」
「何らかて言うと?」
「そうですな……、例えば食料品とか奢侈(しゃし)品で言えば、北方からは塩やモルト酒、南海からは香辛料や煙草、西方からはワインや美術品とかですな。
他のものについても、売れそうならおいおい仕入れていきましょか」
「案外おもろそうやな、街を作るのんも」
と、会議の場が活発になったところで、一人がこんなことを言った。
「しかし……、後が滅茶苦茶きつなりそうやな」
「て言うと?」
「今話に挙がっただけで、商会が3つも増えることになる。このままその、アンタが言うてたみたいに、……何ちゅうたっけ、セールパーク?」
「セラーパークですな」
「それや、何とかパーク。そこと同じくらいに大きくするって言うたら、……街の規模、ここの8倍やったっけ。8かけるの3で、24社も商会増やさなあかんようになるんやないか?」
「まあ、それは極端な計算やけども、確かにこのまま野放図に開発しとったら、パンクしてまうな」
「その各種商会を管理する、団体やら組合やらを作る必要があるなぁ」
「せやなぁ」
「まあ、これについてもぼんやりとは考えとりました」
と、フォコは黒板に今までの案を書き連ねながら、その構想を語る。
「それに街の管理も、大きな規模で考えた方がええと思います。それこそ一つの国、つまり都市国家、『市国』と言う構想で。
そこで提案するのんが、ゴールドマン商会や、今から作ろうかと思てる商会、そして市政に関しても、すべてを統括する機関――財団の設立です」
「ふむ……」
一通り書き終え、フォコは不敵な笑みを浮かべる。
「とりあえず皆さん、やる気になってきたところで、実際に行動してみませんか? 明日、いや、今日から今出てきた案、港湾関係の整備から実行して行きましょ」
「せやな」
「ついでに今ここで創設と宣言、いっぺんにしてしまいましょ」
フォコは黒板をくる、と裏返し、そこに書き付けた。
「これよりこの街、イエローコーストを『ゴールドコースト』と改め、市政および商工業の体制を一新・一元管理するとともに、その市政、およびこれに関係する商工業の管理団体として、我々は『金火狐財団』を設立します」
前述の通り、この街の開発利権はケネスが中央政府から買い取っており、これには統治権も含まれていた。
そして総帥として持っていた諸権利はすべて現総帥、フォコに渡っているため、当然この権利についても、フォコの所有となっている。
「ちゅうことはやな」
会議を終え、フォコは自分の寝室にて、イヴォラを膝に乗せて話をしていた。
「お父さん、ここの市長も兼任するっちゅうことになるんやね」
「すごーい」
会議の内容を聞き、イヴォラは目を輝かせている。
「でもお仕事いっぱいだよね」
「せやねぇ」
一転、イヴォラはしょんぼりした顔をする。
「……いつランニャとけっこんするの? 予定、開けらんないよね」
「うーん」
ちなみに今、ランニャはクラフトランドに帰省している。
大火の刀を打つ要員として駆り出されているのも理由の一つだが、フォコとの結婚に当たって、彼女の今後の身の振り方を母親、ルピアと相談するのが、本来の目的である。
「けっこんしたら、ランニャはこっちに住むんでしょ?」
「そのつもりやと思う」
「でもランニャ、向こうにも色々仕事が残ってるみたいだよ」
「でも物理的になぁ、あっちとこっちと行き来すんのは難しいしなぁ。
ちょっとこれ見てみ」
フォコはイヴォラを膝から下ろし、壁にかけてある地図へと向かう。
「央中っちゅうのんがほら、こんだけ川やら湖やら多くてなー。なかなか街道整備や橋を架けるっちゅうのんがでけへんねん。
せやから途中の川とか湖を、舟で渡るのんが一般的なんやけど、それでも一ヶ月、二ヶ月のちょっとした旅やねん。
このままランニャがクラフトランドに仕事残したまんまやと、往復で最長四ヶ月になってまうし、ほとんど会えへんようになってしまうからなぁ。それにこれから、イヴォラの弟やら妹がでけるかも分からんし」
「そうなったらうれしいけど、それでランニャに辛い思いしてほしくないよ」
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「うーん」
一族を集めての会議の次は、父娘二人での会議が始まった。
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何を隠そう、僕はPCゲームの「シムシティ」が大好きです。
ここまでの話の流れで、そう感じた方は少なくないと思いますが。
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