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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 2;火紅狐」
    火紅狐 第7部

    火紅狐・封臣記 4

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    フォコの話、351話目。
    金火狐総帥の立場。

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    4.
     コーネリアス卿は顔を青ざめさせつつも、強い口調でフォコを詰問する。
    「何故、情報を遮断したのだ、ニコル卿!?
     これは明らかに、我々の軍務執行を妨害している! 大変な重罪なのだぞ!?」
     いきり立つコーネリアス卿に対し、フォコは卓に置かれていた黄金製の杯をひょいと取り、差し出した。
    「まず、お話を聞いていただきたいんですけども、よろしいですやろか?」
    「……聞こうじゃないか」
     卿はフォコをにらみつけつつも、杯を手に取る。
     フォコは同じく黄金でできたピッチャーを卓から取り、卿に酒を注いだ。
    「北方から輸入した蒸留酒に、同じく南海から輸入したオレンジを搾って香り付けに加え、ウチの鉱山から出た炭酸水で割ったカクテルですわ」
    「……ん」
     一口すすった卿の顔が、すぐに赤くなってくる。
    「まずくは……、無いな。むしろうまい。ちょっと、……強いが」
    「火酒がベースですからな。炭酸で割っても、14、5度くらいあるでしょうな。
     ……ま、ボチボチ話、してきましょか。どうぞ、座ってください」
     そう言って、フォコは卓の椅子を引き、卿に座るよう促す。
    「ああ。……ニコル卿、私は、……あなたを、信じていたのだが」
    「どうも」
     卿が座ったところで、フォコも卓に付き、酒を自分の杯に注ぐ。
    「まず、立場をはっきりさせときますけども。僕は、中央政府の味方ではありません」
    「だろうな。こんなことをするくらいだから……」「それは、今は置いといてください」
     フォコはもう一度、卿に酒を注いだ。
    「僕がお話していきたいのは、そこへ至るまでへのことです。
     もう一度言いますが、僕、そして僕の率いる金火狐財団と、このゴールドコーストは、中央政府に味方をする気は、毛頭ありません。
     何故なら先々代の頃まで、我々と中央政府の間には深い確執があり、特に金をはじめとする貴金属の売買では、いつも揉めとりましたからな。
     そして先代の時代には、中央政府の側に付くような方針が多かった。ですが……」
    「ああ、知っている。私の方でも、先代の軍務大臣が、その先代総帥と結託して、世界を混乱に陥れたのだからな。
     それを考えれば私も君も、先代と同じ轍を踏みたいとは思わない」
    「まあ、そう言うことです。
     ……そう言うことなんですが、何故先代がそんな暴力的な行動、商人への派兵っちゅう無茶を実行できたんか、卿はご存知でしょうか?」
    「……いや。そう言われてみれば、知らないな」
     フォコは2杯目に口を付けながら、その理由を説明し始めた。
    「央北と央中では、中央政府が行使でける権威・権力の効果に、差があったからですわ。
     中央政府が在野の商人たちに財貨を要求する時、どのような条件で依頼されているか、卿はご存知ですか?」
    「寄進で成り立っている、……のが、建前ではあるが」
    「ええ、実際は神の名を借りた、強引な徴発です。まあ、これが央北天帝教の方であれば、まだご利益もあるかなと、自分をごまかすこともでけるでしょうが、我々央中の人間は納得が行きません。
     まともに顔も姿も見たことの無いような、山の向こうの人を神様やと崇めるっちゅうのんは、とてもやないですけど、でけませんのですわ。
     それこそが、央中天帝教の発祥なんですわ。乱暴に供物を要求し、奪い去る神様なんか、奉ってなんかおられへん、ちゅうわけです」
    「ズバリと言ってしまったな、卿」
    「ええ、ウチらはみんな、ズバズバっと言うてました。それはもうはっきり、『央北天帝教なんか知るかいな』と、何代にも渡って跳ね除けとったわけです。
     ほんで、それが天帝さんの怒りに触れたんですわ。相手もきっちり、『世界は朕のものである』と宣言しとりますからな。その宣言に真っ向から対立する我々のことが、煙たくてしゃあなかったことと思います」
    「……その鬱憤を晴らす形で、軍部とエンターゲート氏に指示を出した上で、堂々と強権発動に踏み切った、と?」
    「ええ、仰る通りです」
    「まさか!」
     フォコの話を聞き、コーネリアス卿はぐい、と酒をあおった。
    「それは暴論だ、卿よ。今の陛下ならいざ知らず、その強権発動――即ち央中商人、ゴールドマン家の封じ込めが行われたのは、まだ先代がご存命の頃だ。
     先代、ソロン・タイムズ帝はどちらかと言えば気弱なタイプ、良く言えば穏健派だった。そんなお方が、商人たちに刃を向けさせるような命令をしたとは、どう考えても筋が通らないではないか」
    「いいえ、閣下。軍部やエンターゲート氏の誘導があったにせよ、ソロン帝が自ら、認可しとったんです。
     その事実はこちら側で、裏付けを取っとりますから」
    「裏付け?」
     フォコの返答に、コーネリアス卿は酒に酔いかけていた顔を一転、引き締めて見せた。
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