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    「双月千年世界 3;白猫夢」
    白猫夢 第2部

    白猫夢・麒麟抄 2

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    麒麟の話、第2話。
    夢世界の預言者。

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    2.
     戦いに敗れ、ボクは封印された。

     何故タイカさんは殺さなかったのか? 彼は何も言わなかったが、理由は大体分かってる。
     魔力が欲しかったからだ。ボクの、彼を凌駕するほどの、膨大な魔力が。
     事実、ボクがその中に封じられた超々巨大魔法陣――「システム」は、ボクの体を核として魔力を集め、そしてタイカさんの元へ送っていた。
     そしてそれが、「黒い悪魔」の不死身伝説につながったワケだ。
     どれだけ滅茶苦茶に攻撃を受けても、何事も無かったかのように復活、回復できるだけの魔術と、その起動を可能にする量の魔力が、いつでも送られてるワケだし。
     死ぬワケが無いんだ。

     と言っても。
     その「システム」も万全じゃないらしかった。
     あまりに重篤なダメージを受けてしまうと、魔力供給が追っつかないらしい。
     その一例が、黒白戦争時代――実際に中央で戦争したのと、その前後の何やかやあった時代のコトだ――タイカさんがナンクンの人形に仕掛けられた罠にかかり、「バニッシャー」でどてっ腹をブチ抜かれた時だ。
     アレは本気でヤバかったんだろう。やむなくタイカさんは、「システム」の維持に使っていた魔力の一部を自分に回した。
     ソレでその場は切り抜けられたんだけど、……その代わりに、彼にとっては面白くないコトになったワケだ。
    「システム」の維持が1ランク下がり、そのために、ボクの意識だけがよみがえった。



     目覚めたところで、ボクはある人に出会った。
     その人は、面白いコトをしていた。
     自分の子孫に色々と助言を与え、導こうとしていたんだ。いわゆる霊夢(れいむ)――有益なコトを伝えてくれる、いい夢――を見させているつもりらしかった。
     彼女は幽霊だった。とっくの昔に体は死んでしまっていたけど、元々かなり腕のいい魔術師で、彼女のお師匠からその方法を教わったらしく、その魂は死後も健在なまま。
     それはボクも、ある意味で同じだった。体は死んだも同然――厳密に言えば死んでないけど、動けないし動かせないんじゃ、死んでるのと同じだろ――だけど、その心、魂は自由に動ける。
     ボクと彼女は、すぐに意気投合した。
     ボクも彼女と同じように、人の夢に出て、色々助言をしたくなったんだ。



     でも、勘違いしないでほしい。
     ボクはボクのために、霊夢を見させているんだ。
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