黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 3;白猫夢」
    白猫夢 第2部

    白猫夢・飾帝抄 1

     ←キャラ紹介;秋也、昂子、ウォン →白猫夢・飾帝抄 2
    麒麟を巡る話、第65話。
    白い猫、白い夢、白い兎。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     ロガン卿の屋敷に泊まった、その夜のこと。
    《よくやったよ、シュウヤ。まずは第一段階突破だ》
     秋也はまた、夢の中であの白い猫獣人と会っていた。
    「第一段階? まだ、この先があるのか?」
    《キミは本当にバカなんだね》
    「は?」
    《今はまだ、帝国の中に入ったってだけじゃないか。コレからもっともっと、活躍していかなきゃいけないだろ?》
    「ああ、まあ、そうだよな」
     秋也の反応に、白猫は口をとがらせる。
    《何か不満でもあるって言うの?》
    「無いって言えば無いけどさ」
    《無いならいいだろ?
     で、次だ。キミた、……キミは明日、帝国のトップ、皇帝に会うコトになるワケだ。で、その席で皇帝から、こう依頼される。『プラティノアール王国に亡命する、その手助けをして欲しい』ってね》
    「ぼ、亡命? なんで……?」
    《ソコまで一々ボクに説明させるなよ。皇帝の方から説明してくれるし、ソレで把握しな》
    「……えーと、……白猫?」
     白猫の話に引っかかるものを感じ、秋也は質問する。
    《なんだよ?》
    「何で、そんなコトが分かるんだ?」
    《って言うと?》
    「オレが皇帝に会うのも、ソコで依頼を聞くのも、明日の話だろ? なんで皇帝が依頼する内容を、アンタが知ってるんだ?」
    《ああ、そんなコトか。簡単さ》
     白猫は右手の人差し指と中指とで、自分の両目を指差す。
    《ボクには未来が見えるのさ。だからこの先何が起こるかなんて、レストランのメニューを見るが如し、なんだよ》
    「予知能力、……ってヤツか」
    《そう言うコトさ。
     話を戻すけど、シュウヤ。キミはこの依頼を受け、王国に向かうんだ。皇帝の護衛としてね》
    「またあの森や街道を戻るコトになるのか。しんどいなぁ……」
    《ナニ言ってんだ、剣士のクセに。ちゃんとやるんだよ、シュウヤ》
    「ああ、やるよ。その方がいいんだろ?」
    《そう。ボクの言う通りにすればこの後の人生、万事うまく行くんだからね。
     間違っても途中でやめたり、逆らったりなんてしないようにね》
     威圧的にそう言い放つ白猫に、秋也は何となく、嫌なものを感じていた。
    (なんでオレが、コイツの言うコト聞かなきゃいけないんだ……?)
    《分かったかい、シュウヤ?》
     白猫が再度、尋ねてくる。
    「……分かってるよ。アンタの言う通りにするさ」
     そこで、秋也の夢は途切れた。



     そして、まだ鶏鳴も聞こえないくらいの、霧深い早朝。
     秋也とアルトはロガン卿に連れられ、街の北にある皇帝の居城、カプラス城を訪ねた。
    「まだ旅の疲れも取れきらぬ身であるのに、こんな時間に貴君らを連れ回すこと、誠に申し訳なく思う」
    「いえ、そんな」
    「これくらい早ければ参謀派も皇帝派も、まだ眠ってらっしゃるでしょうからね。致し方ないことです」
    「うむ……」
     三人は城の中庭に進み、そこで足を止める。
    「しばし待っていてくれ。もうすぐいらっしゃるはずだ」
    「皇帝陛下が、ですな」
    「うむ」
     既に季節は秋から冬へと差し掛かる頃であり、三人の吐く息は白い。
    「寒み……」
     秋也は思わず、そうつぶやく。
    「すまんな。屋敷に戻り次第、温かいものを用意させよう」
    「あ、すみません」
    「いや」
     と、どこからか声がかけられる。
    「流石に早過ぎた。だから今、用意しておいたよ」
     秋也たちが振り向くと、そこには所々紫色のメッシュが入った銀髪に、白い毛並みの兎耳と尻尾の、質素だが品のある服を着た若い兎獣人の男が、湯気の立つマグカップが4つ乗った盆を手にして立っているのが見えた。
    「陛下! 申し訳ございません、お気を遣わせてしまい……」
    「いや、いや。謝るのは私の方だ。ここの冬が突き刺すような寒気を伴うのは、何年も住んで知っているはずなのに、こんな無礼をしてしまった。
     そう言うわけだから、これはおわびだ。ささ、飲んでくれたまえ」
     そう返し、兎獣人――フィッボ・モダス帝はにこっと微笑みながら、盆を差し出した。
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    NoTitle 

    白猫は預言者(oracle)です。
    色んな預言を与えて、世界を変えようとしています。
    自分色に。

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    白猫一体何者なんだv-400
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