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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN ~荒野の名探偵~ 10

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    ウエスタン小説、第10話。
    サルーン・ミーティング2。

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    10.
    「ちぇ、見抜かれたか」
     サルーンに戻ったところで、ミヌーはアデルの目論見を看破したことを、本人に伝えてみた。
     するとアデルはぺろっと舌を出し、開き直って見せた。
    「ああ、そのつもりだ。まさか今更アンタに『4000ドルはやっぱり渡せねえ』なんて言えないからな」
    「そりゃそうよ。仮にあんたが、無理矢理そんな話に持ってくつもりだったら、あたしはあんたを撃ってるわね」
    「だろ? そりゃ御免だし、かと言ってこのまま東部に帰ったら、流石にどやされる。
     そんならもう一人賞金首を仕留めて帰れば、金は予定通り納められるし俺の評価も上がる。アンタもさらに8000ドル儲けられる。どこを向いても美味しい話だ。
     ってことで、もう一回手を貸してくれよ」
    「……図々しいったら無いわね。しかもその計算だとあんた、4000ドルもピンハネする気じゃない。
     ま、確かに美味しい話ではあるわね。いいわ、もう一仕事してあげる」
    「ありがとよ、ミヌー。……ふあっ」
     握手を交わしたところで、アデルが唐突に欠伸をする。
    「流石に『デリンジャー』相手で気が張ってたせいか、ちょっと疲れちまったな。明日も早く出るつもりだし、もうそろそろ寝るとするか」
    「そうね。あたしも疲れたわ」
     そう言って両手を上げ、背を伸ばすミヌーを見て、アデルがニヤニヤとした笑顔を向ける。
    「どうだい、多少は気心も知れたわけだし、今夜は一緒の部屋に……」
    「どうだか。あたしにとってあんたは今も、ただのお手伝いでしかないわ。
     おやすみ、アデル」
     ミヌーは昼と同様、ぷいと背を向けて席を立つ。
     背後から、アデルのしょんぼりとした声がかけられた。
    「……ああ、おやすみ。明日は7時に起こすよ」
    「ありがと」



     そして夜は明け、朝――。
    「起きろ! ミヌー、大変だ!」
     アデルが慌てた様子で、ミヌーの部屋の扉を叩いていた。
    「んん……むにゃ……何よ、うるさいわね……」
     部屋の時計を見ると、まだ6時をほんの少し過ぎたところである。
    「ふあ……、何かあったの?」
    「あったなんてもんじゃない! 昨夜の坊やたちが、あの給水塔に吊るされてるんだ!」
    「……えっ?」

     二人が急いで給水塔に向かうと、そこには既に、何人かの町民や野次馬がたむろしていた。
    「……」
     町民たちは無言で、給水塔に吊るされた人間を下ろそうとしている。
     吊るされていたのは、保安官オフィスで死んだ若者と、「デリンジャー」に殺された2人――そしてアデルの言った通り、昨夜アデルの口車に乗せられ、「打倒『ウルフ』」を唱えたあの2人だった。
    「まさか? 昨日の、今日でしょ?」
    「ああ……。俺たちが思っていたよりずっと早く、『ウルフ』は手を回してきたんだ。
     ほんの少しの反発も、反乱も許さないように、……ってな」
     昨晩の、アデルに焚き付けられ意気込んだ二人の顔を思い出し、ミヌーは嫌な気持ちになる。
     そしてそれは、アデルも同様だったのだろう。
    「胸糞悪いぜ……。俺がそそのかさなけりゃ、あいつらはまだ、生かされてたかも知れない」
    「……かもね」
     それ以上何もすることはできず、二人はサルーンに戻った。



     出鼻を最悪の形でくじかれ、二人は黙々と朝食を口に運ぶ。
    「……どうしたもんかね」
     スクランブルエッグをさらい終えたところで、アデルが口を開く。
    「どうもこうも無いわよ。仕掛けようにも、あいつはその度に、人を殺してる。何かする度に人が死ぬんじゃ、やってらんないわよ」
    「……だな。これじゃまるで、俺たちが疫病神だ」
    「実際そうでしょ。あんたがあの二人をあおったのは事実だし、それであいつらは殺されたのよ」
    「……言うな」
     アデルは食後のコーヒーに手を付けようともせず、うなだれている。
     それを見て、ミヌーはこう諭した。
    「あたしたちじゃ到底手に負えないわ。諦めた方がいいわね。あんたも手を引きなさいよ。
    これ以上下手に深入りしたら、今度はあたしたちが吊るされる羽目になるわ」
    「ぐっ……」
     アデルはうなだれたまま、悔しそうにうなった。

     と――落ち込む二人の着くテーブルに、ガタガタと騒々しい音を立てて座り込む者が現れた。
    「よぉよぉお二人さんよ、どうやら大分へこまされちまったらしいな?」
    「あ……?」
    「……あら、あんた」
     喜色満面でテーブルに着いたのは、あの金髪碧眼の小僧――ディーンだった。
    「あそこで皿拭いてるマスターから聞いたぜ、しくじって2人死なせたってな」
    「……おい、小僧」
     アデルが顔を挙げ、ディーンをにらみつける。
    「俺は心底、気分が悪いんだ。そのしまりのねーツラを、とっととどこかへやれ。さもなきゃ俺が死なせるのは2人じゃなく、3人になるぞ」
    「ま、ま、落ち着いてくれよ。ほら、ミヌーの姉御もそんな怖い顔しないでさ」
    「何の用よ? あたし今、とてもじゃないけどデートや仕事なんか、請ける気分じゃないんだけど」
    「そこさぁ」
     ディーンはニヤッと笑い、こう続けた。
    「もしかしたらまだ、『ウルフ』に一発食らわすチャンスが残ってるかも知れないぜ?」
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