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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 3;白猫夢」
    白猫夢 第6部

    白猫夢・不遜抄 6

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    麒麟を巡る話、第303話。
    勝負開始。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    6.
     天狐は頭を抱えつつも、二人をなだめる。
    「とにかくだ、お前ら。いつまでそーやって決着の付かねー言い争いする気だよ? しかもオレの部屋で。
     んなコトするより、もっとはっきりとした形で、決着付ければどうだ?」
    「そうでしたわね」
     楓は葵を指差し、こう提案した。
    「あなたも曲がりなりにも焔流剣士であり、同じ攻撃魔術の研究生と言うことであれば、両者の優劣を決めるには実際に戦うのが、最もふさわしい方法だと思いませんこと?」
    「そうだね」
    「ご同意いただけて何よりですわ。では早速……」「待てよ」
     と、天狐が再度口をはさむ。
    「戦うって、ガチで斬り合うつもりか?」
    「そのつもりですけれど、何か?」
    「何かじゃねーよ。オレのゼミで殺し合いなんかさせてたまるか」
     天狐はどこからか刀のようなものを二振り取り出し、二人に柄を向ける。
    「得物はコレを使え。多分こうなるだろうと思って、オレが準備しといた。
     見た目は刀だが、切れ味は無い。その代わり刃部分が何かに当たれば、爆発する。と言っても殺傷能力は無い。派手に煙が噴き上がるだけだ。
     しかし、だ。その煙が体や服に着いたら、一週間は何やっても取れねー。つまり……」
    「有効打を受けた相手は一週間、衆目の前で恥をさらすと言うことですわね」
    「そう言うコトだ。コレなら二人とも納得するよな?」
    「ええ、あたくしは構いません」
    「あたしも」
     二人の返答を受け、天狐はうなずく。
    「よし。じゃあ対決の場所だが、あそこなんかどうだ?」
     天狐は窓の外、ラーガ邸前の丘を指し示す。
    「ええ、結構ですわ。
     それじゃあたくしは、準備をして参ります」
     楓は模擬刀を受け取り、部屋から出て行った。
     一方の葵も模擬刀を受け取ろうと、手を伸ばす。が、天狐は刀を引き、葵に尋ねる。
    「お前にしちゃ珍しいな」
    「なにが?」
    「お前があんだけキレるなんて、初めて見た気がするぜ」
    「誰だってあんなこと言われたら怒るでしょ?
     それにみんなそう思ってないみたいだけど、あたしは普通に怒るよ」
    「だろうな」
     葵も模擬刀を受け取り、部屋を出た。

     1時間後――葵と楓の両者が、丘に現れた。
     どこから聞きつけたのか、そこには既に葵の友人たちや楓の取り巻き、その他野次馬が集まっていた。
    「アオイ!」
    「あ、シエナ」
     道着姿で現れた葵に、シエナが心配そうに声をかける。
    「ホントにやるのね」
    「うん」
    「勝てるの?」
    「多分」
    「……ま、アンタならそうかもね。
     いいわ、心配なんかしない。応援するわ」
    「ありがと」
     一方の楓も道着姿になっており、取り巻き連中に囲まれていた。
    「お嬢様、頑張ってください!」
    「頑張るまでもありませんわ。あんなインチキ猫娘、一太刀で片を付けてやります」
    「流石です」
    「ちなみにお嬢様、決闘には何を賭けたんですか?」
    「え?」
     この一言に、楓は意外そうな表情を見せた。
    「賭け?」
    「あ、いや……。すみません、そうですよね、お嬢様がそんな……」「そうですわね。失念していましたわ」「えっ」
     楓はすい、と葵の方へ向かった。
    「準備はよろしくて?」
    「うん」
    「では早速、……と言いたいところですけれど、その前に一つ」
    「なに?」
    「ただ優劣を競う、と言うだけではあなたも真剣になれないのでは、と一考しまして、一つ提案を致しますわ。
     この勝負にあなたが負けたら、ゼミを出て行って下さらない?」
    「……ッ」
     この傍若無人な提案に、シエナが不快そうに顔をしかめる。
    「アンタ、何勝手なコト……」「いいよ。受ける」
     しかしいつものように、葵はシエナの様子に目もくれず、二つ返事で応じる。
    「でもその代わり、あなたが負けた時は、一つ約束してほしいことがあるの」
    「何かしら?」
    「二度とゼミの中で派閥を作らないで。ここにいる間は絶対、人の上に立たないで」
    「……ええ、よろしくてよ」
     楓は馬鹿にした目を葵に向け、了承した。
    「ではそろそろ、勝負致しましょう」
    「うん」
     二人は丘の、平地になっている箇所へ移動し、刀を構え合った。
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    入っていきなり番長格。
    大物ですね。

    NoTitle 

    このところ読めなかった部分をまとめて読みましたが、

    派閥だなんだという前に、

    葵さん、要するに、

    「番長」なんじゃ……(^^;)
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