黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 3;白猫夢」
    白猫夢 第6部

    白猫夢・眠猫抄 4

     ←白猫夢・眠猫抄 3 →白猫夢 目次(第6部;葵、目覚め編 前編)
    麒麟を巡る話、第309話。
    消えた葵。

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    4.
    「やっぱり、ここでの拘束は不可能でしたね」
     大火が帰った直後、天狐はまた、フィオと話をした。
    「コレも『元々の流れ』の通りか?」
    「ええ。タイカさんが来られたのも同じですし、行方をくらませたのも、一致しています」
    「ドコに逃げたかは?」
    「僕の知る限りでは、4年後まで分かりません。
     4年後、彼女は央北のヘブン王国に現れています」
     思いもよらぬ情報に、天狐は面食らう。
    「央北だって? なんでそんなトコに……?」
    「彼女はある組織を率いて、央北の支配に乗り出します。そしてそれは、あろうことか実現してしまうんです」
    「……ちょっと聞きたいんだが、どうしてお前はココに来たんだ?
     ハナっからアイツを止められねーと分かってたんなら、別のトコに行くべきじゃなかったのか?」
     尋ねた天狐に、フィオはくすっと笑って返す。
    「あなたから教えを受けたかったからです。そして僕がここにいたことで、助けられる可能性のある人が何人もいるから。
     そしてもう一つ、僕がここに来たことで、彼女の周囲、そして彼女自身に何らかのひずみ、変化が起こってくれないだろうかと言う、母の考えでもあります」
    「母、ねぇ。アイツが事の真相を聞いたら、どんな顔するかな」



     葵が失踪したと言う連絡を受け、西方プラティノアール王国、秋也の家では大騒ぎになっていた。
    「なんで葵が……」
    「さっき話した通りだけど、……正直、わたしにも納得し切れないところがあるわ」
     話を伝えた渾沌も、釈然としていない様子を見せる。
    「白猫だとか、そんな気配を感じられなかったもの。……でも確かに、いつも寝てた覚えはあるけど」
    「あの子がずっと寝てたのは、白猫と話してたからだってこと?」
    「今にして思えば、って感じね」
     と、葛がぼそ、と弱々しい声で、渾沌に尋ねた。
    「コントンさん、……お姉ちゃんは、ココに、戻ってくるの?」
    「戻らないでしょうね。戻れば、……わたしが、相手をしなきゃならなくなるもの」
    「……」



     某所。
    《コレで第一段階、完了だ。よくやったね、アオイ》
    「うん」
     葵の夢の中で、彼女は白猫――克大火の五番弟子、克麒麟と話していた。
    「この後は、央北に行けばいいんだよね」
    《よく『見えた』ね、アオイ。そうだよ、央北へ行くんだ。
     キミはソコで、人を集めるんだ。組織を築き、まずは……》
    「ヘブン王国を乗っ取る。そして央北の第三勢力となって……」
    《ソレが第二段階だ。そして第三段階の話――やがては央北全土を支配するんだ。ソレがキミによる世界平定の、第一歩となる。
     ……く、ふふっ。ボクは本当に、いい人材を手に入れたよ。ボクと同じように未来を見るコトができて、しかも文武両道、オマケにこんなに可愛らしい娘だ。
     ボクは嬉しいよ、アオイ》
    「あたしも、あなたの助けになれることが何よりも嬉しい」
    《またキミは、嬉しいコトを言ってくれる。親父さんとは大違いだね》
    「あたしは、あたし。誰でも無い。あたしだけを見て」
    《分かってるってば、く、ふふ、ふふふ、あはははっ……!》



     歴史が動く年、あるいは激動の時代と言うものは、確かに存在する。
     双月暦6世紀後半――時代は彼女の台頭と共に、激しく動き出した。

    白猫夢・眠猫抄 終

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    第6部終了です。

    「火紅狐」のあとがきなどで触れていた、「神と悪魔の代理戦争」。
    「白猫夢」中最強キャラ、葵が白猫――克麒麟の使徒となったことで、
    いよいよ次の部から、その争いが激化していきます。

    やはり強キャラは悪役である方が燃えるなぁ、と。
    無敵の主人公やらメアリー・スーやらが多くのラノベで横行する昨今、
    こんなキャスティングをする自分は、どちらかと言えば古風な書き方をしてると思います。
    しかし以前にも書いた通り、桁違いに強いキャラを無闇矢鱈に投下するような作風は、
    どうしても嫌いにしかなれないもんで。
    野球ゲームで自陣全員のステータスがMAXのチームを作ったとしても、多分面白くは感じられない。
    一瞬笑えますが、多分2回の表くらいで電源を切ってしまう。
    そこそこに山や谷があるチームの方が、プレイしてて断然楽しく感じます。



    次の部についてですが、現在、進捗率は30%というところです。
    またも残業や休日出勤が続いている状況なので、
    完成は恐らく、年が明けて以降になります。
    それまではドット絵や掌編、短編をボチボチ出していく予定です。
    次回はまた政治色が強いですが、一方で戦闘シーンも多めになりそう。
    乞うご期待。



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    皆様、ありがとうございます。
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