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黄輪雑貨本店 新館


    短編・掌編

    A-R.exe

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    A-R.exe

    「……あー」
     本日二度目のブルースクリーンを目にし、僕は椅子にもたれて嘆いた。
    「もう限界かなぁ、このパソコン」
     一人、そうつぶやいてはみたが、解決策は無い。
     原因を究明できる知識も無いし、詳しい友人もいない。ついでに言えば、新しいパソコンを買う金も無いからだ。
    「あれがまずかったかなぁ。いや、……あれかもなぁ」
     ファイル共有ソフトで怪しいファイルを落としたことや、金をケチって無料ソフトをダウンロードしたこと、それっぽいサイトで得たにわか知識でパソコン性能アップの小技を試したことなどが頭に浮かんでくるが、どれも怪し過ぎて、はっきり原因とは断定できない。
    (……聞くか)
     僕みたいな貧乏・貧弱ユーザーが頼れるものと言ったら、ネットの掲示板くらいしか無い。
     僕は何とか再起動させたパソコンを使い、それっぽいサイトを回ることにした。

    (『ブルースクリーン 頻発 原因』……、っと)
     検索サイトにキーワードを打ち込み、あちこちのページを回ってみる。
     しかし、効果の有りそうな回答は見つからない。
    「じゃあ……、『フリーズ 多過ぎ 対処』」
     キーワードを色々弄ってみるが、一向に効果は上がらない。
     片っ端から思いついた単語を打ち込んでみたが、10分、20分と巡ってみても、まったく成果を挙げられなかった。

     と――最早でたらめと言っていいような単語を打ち込み、適当なサイトへ移動したところで、突然ダウンロードの同意を求める旨のウインドウが開く。
    「あ、ちょっ」
     ポインタの位置を自動でアイコンに移動させるよう――例によって、付け焼き刃のパソコン知識を試したくて――設定していたため、僕はうっかり、その同意に「Y:はい」と答えてしまった。
     途端に何かのファイルがダウンロードされ、僕のパソコンのデスクトップに設置される。
    「え、ちょ、止まれって、おい」
     設置された途端、そのファイルは自動でインストールを開始し、すぐにアプリを起動した。
    「……ああ、もう」
     いきなり立ち上がるようなアプリに、まともなものは無い。浅い知識しか無い僕でも、それは痛いほど分かっている。
     何とか終了させようと、僕はESCキーを押したり、AltキーとF4キーを同時押ししたりする。
     だが、そのアプリはうんともすんとも言わない。何を押しても、ウインドウが閉じないのだ。
    (……またフリーズしたのか?)
     一瞬そう思ったが、マウスを動かせばポインタが連動するし、落ち着いて聞けば、キーを押す度にポン、ポンとアラートが鳴っている。
     どうやら、アプリ上で操作しないと閉じられないらしい。
     気味悪く感じたが、僕はそのアプリを触ることにした。
    (まあ、どうしようも無かったら無理やり落とせばいいか)
     とりあえず、画面中央に設置されている、何だか良く分からない言葉が書かれたアイコンをクリックする。
     続いて現れたのは、またも良く分からない言葉の羅列が続くリスト画面だった。
     しかし、良く見てみれば「English」とか「Francais」とか書いてある。どうやら言語選択らしい。
     僕はその中から何とか「日本語」を見つけ、ようやく自分に分かる表記に変えることができた。
     しかし、ある程度の文字は分かっても、書いてある内容が理解できなかった。



    「『Akashic-Recorder Ver.567;@a79^¥(文字化けしていた)

     このソフト鵺ェア麟 任意の人物のパラメータを 編集す鴉こと%できます。
     注意:パラメータの編集麟 当該人物の他パラメータに 影響を及ぼす場合%鸚ります』」



     まず、文章のあちこちに文字化けが発生している。
     それに「人物のパラメータ」って言うのが、良く分からない。
     この時点で右下の「終了す鴉(多分、終了する……だと思う)」を押せば良かったのだが、僕はつい、その半壊した説明書に従って、自分の名前を打ち込んでしまった。
     すると、もう一つ新たなウインドウが開き、そこには大量の数字が並んでいた。
    「なんだこれ? ……ん?」
     数字の横には、やはり半壊した状態の単語が並んでいた。
     その中のいくつかに、目が止まる。
    「『資産(現金):2,267』」
     その数字には覚えがある。外から帰ってきてすぐ、自分の財布の中身を確かめてため息をついた時に見た数字だ。
     念のためもう一度財布を確認すると、確かにその額が、表面が擦り切れた財布の中に収まっていた。
    「偶然、……だよな?」
     そうつぶやきつつも、僕はウインドウを上にスクロールする。
     その中に、またも気になる数字の列を見つけた。
    「『年齢:26y8m19d……』」
     数字は1秒毎に、最後の1桁が1ずつ増えている。
    「……まさか……」
     僕はウインドウをスクロールさせ、先程の「資産(現金)」欄に1を入力し、「22,671」にしてみた。
     その瞬間、自分の周囲がぐにゃ、と歪むような感覚を覚える。
     立て続けに気味の悪い思いをしつつも、僕はもう一度、財布を確認した。
    「……増えてる」
     財布の中には、2万2千671円が収まっていた。
     それも、単に一万円札が2枚、と言う感じではなく、千円札や五千円札、小銭などが入っており、それはまるで、元からこの額が入っていたかのように感じられた。
    「……は、はっ」
     次の瞬間――僕はもう一度、パソコンに飛びついた。
    「もっ、……もうちょいっ」
     0を5回打ち込み、「資産(現金)」の欄に「2,267,100,000」と入力した。



     それがまずかった。
     物理的に、僕の古びた財布に22億もの金は収めきれなかったのだ。

     小銭も含めた22億は財布を跡形もなく破壊し、勢い良く部屋中に飛び散った。
     奇跡的に僕は無事だったが、高速で放たれた金属製の小銭は、あらゆるものに突き刺さり――その何枚かは、パソコンを貫通した。
    「あっ……」
     穴だらけになったパソコンから、ガタガタと音が鳴り響く。
     そして次の瞬間 め がい r kh 9%2 ?≪???激???????潟?若?????≪???激?e拘篁h?鐚???:
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    ==Program Fatal Error!==

    STOP:0x090B303A
    REI_HUMANPARAMETER_UNJUST_OPERATION(BB,7A9,E8F,5CC,D3A)

    This human parameter is broken seriously.
    This parameter received unjust operation.
    It is not recoverable.
    Prease shutdown and restart.
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    ブルースクリーンが出た時の、あの絶望感。
    あれだけの衝撃を与えられるような文章と演出は、
    なかなか書けません。

    NoTitle 

    やりますね(^^)

    どうオチをつけるかと思っていたら、そう来ましたか。

    キレのあるショートショートはやっぱり面白いですね(^^)

    さすが!
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