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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 3 ~19世紀の黄金銃~ 4

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    ウエスタン小説、第4話。
    不良刑事。

    4.
     エミルとアデルはグレッグを伴い、クレイトンフォードのポートマン邸を訪れた。
    「ふーん……。いかにもって感じ」
    「だな」
     目の前にそびえる建物は欧州風の、西部にはむしろ不釣り合いな洋館だった。
    「『ヨーロッパに憧れた成金の田舎紳士、祖先に思いを馳せつつおっ建てました』。……って感じだな」
    「あんまり親父の悪口言わないでくださいよ……」
    「悪口に聞こえたかしら?」
    「そりゃまあ」
     渋い顔をするグレッグに構わず、エミルたちは屋敷内に入る。
    「鍵は……、かかってないの?」
    「ええ。中には何にも無いですから、もう」
     そのまま中に進み、エントランスに入ったところで、色あせたコートを着た、やはり西部者には見えない男に出くわす。
    「何だ、あんたら?」
    「あんたこそ誰よ?」
     尋ね返したエミルに、男は面倒臭そうに名乗った。
    「ジェンソン・マドック。連邦特務捜査局……、ああ、いや、まあ、刑事みたいなもんだ」
    「刑事さんですって?」
     男の役職を聞き、グレッグはきょとんとする。
    「ここはもう、警察が捜査して引き上げた後のはずですけど」
    「そう聞いてるよ。俺は別管轄でな、再調査に来たんだ。で、あんた方は誰だ?」
    「申し遅れました。僕は……」
     名乗りかけたグレッグを制し、アデルが答える。
    「俺とそっちのお嬢さんは、パディントン探偵局の者だ。彼は依頼人で、ここの持ち主の息子さんだ」
    「と言うことは、グレッグ・ポートマンJrだな。彼については分かった。なるほど、ここにいる権利があるな」
     そう前置きし、ジェンソン刑事はアデルたちをにらみつけた。
    「だがお前らにそんな権利は無い。とっとと失せな」
    「何よ、それ」
     エミルは口を挟もうとしたが、アデルは「まあまあ」と彼女を制し、ジェンソン刑事に応じる。
    「そう邪険にしなさんな。あんたもどうせ、黄金銃事件で来たんだろ?」
    「あ?」
    「ここの家主が持ってた黄金銃を盗んだ奴。そいつを追ってる。そうだろ?」
    「だとしたら何だ?」
     ジェンソン刑事は煙草を口にくわえ、斜に構えてアデルをにらむ。
    「あんたらとベタベタ馴れ合いしながら、仲良くみんなで事件解決に向かいましょ、てか?
     ヘッ、寝言は寝てから言ってくれんかねぇ?」
    「……まあ、なんだ」
     アデルも多少、頬をひくつかせてはいたが、それでも穏便に済ませようと言い繕う。
    「悪い話じゃ無いはずだろ? 双方情報を出し合えば、事件の早期解決に……」
     アデルの言葉を遮るように、エントランスにパン、と音が鳴り響く。
     ジェンソン刑事は絶句したアデルの鼻先に、硝煙をくゆらせるリボルバーを向けていた。



    「今のは空砲だ。まあ、そうそうポコポコと、人死になんぞ出したかないからな。これでビビって降参する奴も多いから、一発目はカラ撃ちで勘弁してやってる。
     だがこれじゃ言うこと聞かないって奴には……」
     ジェンソン刑事はリボルバーに実包を込め、撃鉄を起こした。
    「仕方なく、本物をブチ込んでやることにしてるんだ。
     分かったらさっさと出てけ。挨拶だろうと言い訳だろうと、これ以上ゴチャゴチャ言いやがったらブッ放すぞ、ボケ」
    「……」
     エミルたち3人は無言で、屋敷を後にした。

    「なんだありゃ……。ヤバすぎだろ」
    「取り付く島もない、ってどころか、取り付かせる船も出させないって感じね」
    「あの……」
     と、二人の後ろで縮こまっていたグレッグが、恐る恐る声をかけてくる。
    「なんで僕まで追い出されちゃったんでしょう?」
    「追い出されたって言うか……」
    「あんたが一緒に来たんでしょ?」
    「……でしたっけ?」
     きょとんとした顔でそう返したグレッグに、エミルたちは呆れ返っていた。

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    ブログ「妄想の荒野」の矢端想さんに挿絵を描いていただきました。
    ありがとうございます!
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