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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 3 ~19世紀の黄金銃~ 5

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    ウエスタン小説、第5話。
    連邦特務捜査局。

    5.
    《ははは……、災難だったな》
     アデルからの報告を受け、パディントン局長は電話口の向こうで笑った。
    《なるほど、連邦特務捜査局の人間ならやりかねんな。いや、もうやったのか》
    「ご存知で?」
    《うむ。過去に何度かかち合ったことがある。
     実はその組織は名前こそ『連邦』とは付いているが、合衆国政府からはまだ、公式に認められていないんだ》
    「へぇ?」
     間を置いて、パディントン局長の申し訳無さそうな声が続く。
    《相応の成果を挙げれば、大統領も認めるんだろうが……。その『相応の成果』を度々、我々が横取りしてるもんだからなぁ。
     関係者筋の予想じゃ、公認されるにはあと10年、いや、20年はかかるんじゃないかと言われてる始末だ》
    「……なるほど。そりゃ、俺の鼻先にライトニング向けて、罵詈雑言かましてくるわけだ」
    《とりあえず時間を置いて、改めて調査開始だな。そのマドックとか言う捜査官とまた接触すると、何かと面倒なことになるだろう。今後も気をつけてくれ》
    「ええ、了解です」
     電話が切れたところで、エミルがアデルを軽くなじる。
    「あんた、探偵局の名前を使いすぎなんじゃない?」
    「え?」
    「あの時も、『関係者筋にそう名乗っておけば、ヘコヘコ頭を下げて協力してくれるだろ』って高をくくって、そう名乗ったんでしょ」
    「……まあな」
    「その結果がこれなんだけど?」
    「悪かったよ。今後は控える。……つもりだ」
     予定では、本日ポートマン邸に泊まるはずだったのだが――その屋敷にジェンソン刑事が居座っているために、彼らはさんさんと日差しが照りつける街中をうろうろする羽目になった。



     夕方になり、ジェンソン刑事が出て行ったことを確認したところで、エミルたちはようやくポートマン邸に入ることができた。
    「あら、ガス使えるのね。案外近代的じゃない」
    「いえ、多分切れてます」
    「……ホントね」
     ガスコンロのスイッチを何度ひねってもガスが出てこないことを確かめ、エミルはがっかりする。
    「じゃ、薪は?」
    「あると思います。多分、地下の倉庫に」
    「とりあえず温かいご飯は食べられそうね。アデル、ご飯買い出ししてきて」
    「おう。エミルは?」
    「キッチン使えるようにしとくわ。コーヒーくらい飲みたいでしょ?」
    「だな。じゃ、行ってくる」
     アデルが出かけたところで、グレッグが恐る恐る尋ねてくる。
    「あの、ミヌーさん」
    「なに?」
    「もしかして、ネイサンさんとはお付き合いを……?」
    「まさか」
     質問を鼻で笑って返したエミルに、グレッグは顔を赤くして謝る。
    「ご、ごめんなさい! 失礼なことを」
    「そんなに失礼でもないわよ。
     付き合いはわりと長いけど、恋人じゃないってだけ。傍から見たら勘違いする人もいるでしょうけどね」
    「は、はあ」
    「男と女がいたらイコール関係有りだって思う人は一杯いるし、気にしないでいいわよ。
     で、倉庫ってどこかしら?」
    「あ、はい。ご案内します」
     グレッグに案内され、エミルは地下へ降りる。
    「子供の頃、よくここで遊んでました。ひんやりしてて、友達と遊ぶのにはうってつけでしたよ」
    「ふうん」
    「ここが薪の貯蔵庫です。……あれ?」
     と、グレッグが薪の傍らに置いてある、丸く細長い、エミルの身長半分程度の大きさの缶に目をやる。
    「すみません、ミヌーさん。あったみたいです、ガス」
    「みたいね」
    「上に持って行ってコンロにつなげば、ちゃんと使えると思います」
    「重たそうね」
    「ガスは空気より軽いんですよ。大丈夫です」
     そう言って、グレッグはガスボンベを持ち上げようとする。
    「……っ、よい、……しょ、……ぐ、……重たっ」
     しかしビクともせず、グレッグはその場にへたり込む。
    「気体なら空気より軽かったでしょうけど、普通は液体になるまで圧縮して、鉄のボンベに詰めてあるのよ? 重たいに決まってるじゃない」
    「……すみません」
     へたり込んだままのグレッグをよそに、エミルはボンベに手をやる。
    「アデルと二人がかりなら運べそうね。後で取りに戻りましょ」
    「はい」
     そのまま倉庫から出ようとして――エミルは地下室の壁に、赤い筋がうっすら走っていることに気付いた。
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