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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 3 ~19世紀の黄金銃~ 12

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    ウエスタン小説、第12話。
    イクトミ確保。

    12.
     片眼鏡に白いシルクハット、そして白いスーツに着替え、顔のメイクも落としたところで、イクトミの両腕に手錠がかけられた。
    「さあ、きりきり歩け」
     ジェンソン刑事は拳銃をイクトミの背中にゴリゴリと押し付けながら、彼を歩かせる。
    「いたっ、いたたた……。はいはい、歩きますよ。歩きますとも」
     イクトミは素直に、部屋の出口へと向かう。
    「……うーむ」
     一方、ワットウッド翁は残念そうな顔をしている。
    「折角のコレクション、見せられなくて残念だったわね、ワットウッドさん」
    「ええ。……よろしければ後ほど、見に来られますか?」
    「遠慮しとくわ。あたしは黄金にも撃てない銃にも、興味無いし」
    「……そうですか」
    「俺はちょっとは……」
     言いかけたアデルに、エミルが突っ込む。
    「黄金製ならなんでも、でしょ?」
    「……へへ」

     ワットウッド邸を後にしたところで、ジェンソン刑事が詰問する。
    「こないだのポートマン邸事件からそう日は経ってないし、お前も盗人旅行の途中だ。と言うことは、この近辺にこれまで盗んだものを置いてる、倉庫なり何なりがあるはずだ。
     こいつらとの約束でな、黄金銃だけは今すぐこいつらの手に渡したい。どこにあるのか、とっとと吐け」
    「あら」
     ジェンソン刑事の言葉を、エミルは意外に感じた。
    「随分親身になってくれるのね?」
    「勘違いすんな。馴れ合うつもりは一切無いと言ったはずだ。あくまで約束を守るってだけのことだ」
    「はい、はい」
    「で?」
     ジェンソン刑事に背中を小突かれ、イクトミは渋々答えた。
    「ええ、ええ、確かにございますとも。
     C州の山中、レッドロック砦跡。そこが私の宝物庫です」
    「C州か。道理でこの辺りをうろちょろしてるわけだ。
     よし、そこへ連れて行け」
    「仰る通りに」



     一行は再度列車に乗り、イクトミが示した場所へと向かった。
    「砦跡と言っていたが、一体いつの時代のものなんだ? お前の祖先が騎兵隊と戦ってた頃のか?」
    「さあ? それは私にも分かりません。
     ただ、近隣の者は口をそろえて、『忌まわしき土地』と呼んで恐れています。根城にして以来、誰かがやって来たことは一度もありませんよ」
    「なんだってそんな、いわくつきの不気味な場所を選んだんだ?」
    「人が寄り付かないからです。人のいない場所なら、盗みにやって来る者も必然的にいませんからね」
    「考えたわね」
    「ちなみに、今までいくらくらい盗んだんだ?」
     アデルの質問に、イクトミは大仰にかぶりを振る。
    「『いくら』? ワットウッド卿も仰っていたでしょう、公が取り沙汰す価値の多寡など、コレクターにとっては問題になりません。
     わたくしは、わたくしの心を満たすものにのみ、わたくしだけの価値を見出し、我が物とするのです」
    「……ああ、そうかい。ご高説どうも」
     話しているうちに、列車はその砦跡近くの街に到着する。
    「どうしますか?」
     駅を出たところで、イクトミが尋ねてくる。
    「どうします、って?」
    「もう正午を過ぎています。このまま砦跡に向かうとなれば、着く頃には日が暮れているはずですが……」
    「さっさと切り上げて帰りたいからな。とっとと行くぞ」
     ジェンソン刑事に即答され、イクトミは肩をすくめた。
    「やれやれ、熱心なことだ」
    「ふざけてるとそのスーツに穴開けて、星条旗にしてやるぞ。早く歩け」
     ぐり、とまたも拳銃を背中に押し当てられ、イクトミは顔を若干歪ませた。
    「刑事さん。それはいい加減、非常に痛いのですが、ご容赦いただけませんか?」
    「お前がやるべきことをちゃっちゃとやれば、やめてやるさ」
    「はい、はい、分かりました。それではしばし、我慢するといたしましょう」
     終始ジェンソン刑事がイクトミの背中を拳銃でつつきつつ、一行はレッドロック砦跡へと向かった。
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