「双月千年世界 3;白猫夢」
白猫夢 第9部
白猫夢・麒麟抄 9
麒麟の話、第9話。
ずれ始める歯車。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
9.
おかしいな。なにかが、おかしい。
「そうだね」
ああ、キミもそう思うよね? そうだ、やっぱりおかしい。
「もう一度、考えてみよう?」
そうだな。ここで一度、気になってるポイントを振り返っておくコトが、案外大事なのかも知れない。
まず、第一に。ボクたちの未来視は、相当の精度を誇るはずだ。コレを大前提として、ボクたちは行動してきた。
「でも、最近見えなくなってる。ちょっとずつだけど」
ソコなんだ。勿論、キミやボクの力が衰えたワケじゃない。「見れない」ヤツがいるせいだ。
「フィオくんだね」
そう、ソイツだ。あの水色頭め、未来から来ただって? ふざけたヤツだ!
まさかそんな方法で、未来が見えなくなるとは思わなかった。アイツが何か行動するだけで、未来視の範囲がどんどん狭まるとはね! ろくに実力も無い半端者の癖して!
「でも、心配ないよ。フィオくん、この時代に馴染んできてるもん」
く、ふふっ……。ああ、そうだった。そうだったね。
あの屈辱――カズセちゃんの暗殺に失敗した時は、いつもの3割程度までしか未来が見えなかったせいで思わぬ敗北を喫してしまったけど、今は既に5割、6割と回復してきている。アイツがこの、ボクたちの世界の因果律に組み込まれてきているからだ。
恐らく後2、3年すれば完全に馴染むだろう。アイツの行動も、ボクたちの予知の範囲内に収まる。
「その点は問題無さそうだね」
ああ。
第二に。あの猫女が面倒くさいってコトもある。
「何て言ったっけ? ルナ?」
ああ、そんな名前だったっけ、今は。
コレもフィオがもたらした効果に似ている――ボクの未来視にいなかった女だ。どうもあの「人生実験」で、アイツの運命がガラリと変わったかららしい。
はっ、間抜けな話だね! ボクがあの時、あの騒動の顛末を180度引っくり返したせいで、あんな不確定要素を作っちゃったワケだ! この、ボク自身が!
だもんで、コイツの存在を完全に忘れていた。カズセちゃんの件は、コレにも一因がある。まったく、タイカさんをようやく消したってのに、なんであんなのが邪魔してくるんだ!
「でも、二度は無いよ」
その通りさ。ボクももう完全に、あの女を未来視の中に組み込んだからね。あの女をきちんとモニタリングできれば、二度とあんな無様は見せないさ。
「あたしも気をつける」
ああ、そうしてくれ。
ソコで、だ。アイツら、今度はどう動くか。アオイ、キミにも見えてるよね?
「うん。克大火を奪還に来る」
そうだ。……だけど、ソレは放ってしまっていい。ミイラ取りがミイラになるだけだしね。
そんなコトよりキミには、もう一方の問題を解決してほしい。
「もう一方?」
知ってるだろ? あのクソ、……ああ、いや。巷で「卿」と呼ばれてるアイツが、もうじき死ぬ。
「……」
その後に起こる、政変。その裏で、アイツを始末してくるんだ。
「……」
分かるだろ? アイツだ。ほんのわずかな確率だけど、キミが死ぬ可能性には、すべてアイツが関わっている。
「……」
アイツは脅威だ。
今は雑魚だ。今は全く、相手にならない。取るに足らないゴミだ。
だけどアイツが力を付け、そしてキミを討とうと意志を抱けば、キミの未来には遠からず、死が訪れる。
ボクたちは無敵でなくてはならない。この先永遠に、世界の支配者でいるためには、だ。そのためには、どんな僅かで取るに足らない可能性も、見つけ次第に潰すべきだ。
「……」
だから――殺してこい。
「……」
分かった?
「……」
分かったか?
「……」
わ・か・っ・た・か、って聞いてるんだ。答えろ、アオイ。
「……分かった」
よし。それでいい。
もう一回、言うぞ。
分かってるだろうな、アオイ。
アイツが家族だろうとなんだろうと、そんなコトは関係ないんだ。
いずれ敵になるヤツらは、そうなる前に排除するんだ。
「分かってるよ。……うん、分かってる」
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ずれ始める歯車。
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9.
おかしいな。なにかが、おかしい。
「そうだね」
ああ、キミもそう思うよね? そうだ、やっぱりおかしい。
「もう一度、考えてみよう?」
そうだな。ここで一度、気になってるポイントを振り返っておくコトが、案外大事なのかも知れない。
まず、第一に。ボクたちの未来視は、相当の精度を誇るはずだ。コレを大前提として、ボクたちは行動してきた。
「でも、最近見えなくなってる。ちょっとずつだけど」
ソコなんだ。勿論、キミやボクの力が衰えたワケじゃない。「見れない」ヤツがいるせいだ。
「フィオくんだね」
そう、ソイツだ。あの水色頭め、未来から来ただって? ふざけたヤツだ!
まさかそんな方法で、未来が見えなくなるとは思わなかった。アイツが何か行動するだけで、未来視の範囲がどんどん狭まるとはね! ろくに実力も無い半端者の癖して!
「でも、心配ないよ。フィオくん、この時代に馴染んできてるもん」
く、ふふっ……。ああ、そうだった。そうだったね。
あの屈辱――カズセちゃんの暗殺に失敗した時は、いつもの3割程度までしか未来が見えなかったせいで思わぬ敗北を喫してしまったけど、今は既に5割、6割と回復してきている。アイツがこの、ボクたちの世界の因果律に組み込まれてきているからだ。
恐らく後2、3年すれば完全に馴染むだろう。アイツの行動も、ボクたちの予知の範囲内に収まる。
「その点は問題無さそうだね」
ああ。
第二に。あの猫女が面倒くさいってコトもある。
「何て言ったっけ? ルナ?」
ああ、そんな名前だったっけ、今は。
コレもフィオがもたらした効果に似ている――ボクの未来視にいなかった女だ。どうもあの「人生実験」で、アイツの運命がガラリと変わったかららしい。
はっ、間抜けな話だね! ボクがあの時、あの騒動の顛末を180度引っくり返したせいで、あんな不確定要素を作っちゃったワケだ! この、ボク自身が!
だもんで、コイツの存在を完全に忘れていた。カズセちゃんの件は、コレにも一因がある。まったく、タイカさんをようやく消したってのに、なんであんなのが邪魔してくるんだ!
「でも、二度は無いよ」
その通りさ。ボクももう完全に、あの女を未来視の中に組み込んだからね。あの女をきちんとモニタリングできれば、二度とあんな無様は見せないさ。
「あたしも気をつける」
ああ、そうしてくれ。
ソコで、だ。アイツら、今度はどう動くか。アオイ、キミにも見えてるよね?
「うん。克大火を奪還に来る」
そうだ。……だけど、ソレは放ってしまっていい。ミイラ取りがミイラになるだけだしね。
そんなコトよりキミには、もう一方の問題を解決してほしい。
「もう一方?」
知ってるだろ? あのクソ、……ああ、いや。巷で「卿」と呼ばれてるアイツが、もうじき死ぬ。
「……」
その後に起こる、政変。その裏で、アイツを始末してくるんだ。
「……」
分かるだろ? アイツだ。ほんのわずかな確率だけど、キミが死ぬ可能性には、すべてアイツが関わっている。
「……」
アイツは脅威だ。
今は雑魚だ。今は全く、相手にならない。取るに足らないゴミだ。
だけどアイツが力を付け、そしてキミを討とうと意志を抱けば、キミの未来には遠からず、死が訪れる。
ボクたちは無敵でなくてはならない。この先永遠に、世界の支配者でいるためには、だ。そのためには、どんな僅かで取るに足らない可能性も、見つけ次第に潰すべきだ。
「……」
だから――殺してこい。
「……」
分かった?
「……」
分かったか?
「……」
わ・か・っ・た・か、って聞いてるんだ。答えろ、アオイ。
「……分かった」
よし。それでいい。
もう一回、言うぞ。
分かってるだろうな、アオイ。
アイツが家族だろうとなんだろうと、そんなコトは関係ないんだ。
いずれ敵になるヤツらは、そうなる前に排除するんだ。
「分かってるよ。……うん、分かってる」
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皆様、大変お待たせいたしました。
第9部、はじまりです。
現時点でまだ執筆中。さーて、どうしよう。
いや、書くしかないんですが。
幸いなことに第9部終了までの構想はまとめ終えているので、後は書くだけです。
問題は、それが連載に間に合うかどうか。
皆様、大変お待たせいたしました。
第9部、はじまりです。
現時点でまだ執筆中。さーて、どうしよう。
いや、書くしかないんですが。
幸いなことに第9部終了までの構想はまとめ終えているので、後は書くだけです。
問題は、それが連載に間に合うかどうか。



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