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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 4 ~シーブズ・エクスプレス~ 13

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    ウエスタン小説、第13話。
    事件解決と、謎の男の影。

    13.
     エミルたち4人は銃やレンチを構えながら、もうもうと黒煙を上げ、荒野に横たわった敵機関車へと近付く。
     と、その乗組員らしき傷だらけの男たちが、のろのろと這い出しているのが視界に入った。
    「動くな」
     アデルがライフルを向け、彼らを制する。
    「う……」
     男たちも銃を構えようとしたが、すぐに両手を挙げ、へたり込む。
    「……もういい、諦めたぜ」
     リーダーらしき男が、エミルたちに頭を下げた。
    「俺たちは全員降参する。だから、手当てしてくれ」
    「分かった」
     全員が手当てを受けた上で、両手を縛られて拘束された。



     強盗団逮捕を連邦特務捜査局へ連絡するため、サムとロドニーが近隣の街に向かったところで、残ったエミルとアデルが、リーダーの男に尋問を始めた。
    「名前は?」
    「ティム」
    「いくつだ?」
    「29歳」
    「この列車はどこで盗んだ?」
    「知らん」
     そう答えたティムの鼻先に、アデルがライフルを突きつける。
    「ごまかすな。ちゃんと答えろ」
    「ごまかしたつもりは無い。俺は本当に知らないんだ、こいつがどこから調達されたかなんて」
    「じゃあ、誰が持ってきた?」
    「俺たちの仲間だ。整備と改造と、盗品の換金も担当してる」
    「そいつの名前は?」
    「本名かどうかは知らんが、俺たちは『ダリウス』と呼んでた。
     3年前にそいつが機関車をまるまる一台、俺たちのところに持ち込んできたんだ。で、『カネがいるから協力して集めてくれ』って。
     で、俺たちはこの辺の街から盗みまくって、それをダリウスに渡してカネに換えてもらってた。どうやってんのかは知らないし、知ろうとも思わなかったが、それなりに美味しい仕事だった。
     何しろ、追っ手が全然付いて来られないんだから、捕まる心配なんか全く無かった。証拠品だって2日、3日でダリウスが捌いてくれるんだし」
    「ふざけやがって。ともかく、その機関車はこうして鉄クズになったし、お前らも拘束した。お前ら全員、これからすするのはうまい汁じゃなく、臭いスープになるだろうぜ」
    「……だろうな」
     尋問している間に、ごとん、ごとんと音を立てて、ロドニーの6900改が――今度はちゃんと整備された客車を連結して――戻ってきた。

    「本部からは、『可及的速やかに人員を送り、身柄の引き取りに向かう』と連絡がありました。それまでは一旦、マーシャルスプリングスで待機していてくれとのことです」
    「分かった。じゃあその間に、尋問の続きと行こうか」
     強盗団全員を客車に乗せ、6900改は来た道を引き返す。
    「お前らの本拠地は?」
    「4、5年前に『ウルフ』騒ぎで人が消え、廃れた街があるんだ。俺たちは元々流れ者の集まりで、そう言う街跡は、好き勝手に寝て暮らすにゃ丁度良かった」
    「『ウルフ』って、あの『ウルフ』か。懐かしいなぁ」
    「懐かしんでる場合じゃないでしょ」
     のんきなことをつぶやくアデルを小突きつつ、今度はエミルが尋ねる。
    「どうやってダリウスは、あなたたちに接触したの?」
    「隣町にちょくちょく買い物に行ってて、そのついでにバーとかサルーンに寄ってたんだが、そこで仲良くなった」
    「僕からもいいですか?」
     手を挙げたサムに、エミルが「どうぞ」とうなずく。
    「あの車輌、色んな鉄道会社の路線をまたいで移動できていたみたいですが、ゲージが違うのに、どうやって走れたんですか?」
    「ダリウスの発明だよ。『ゲージ可変機構』とか言ってたな。3フィートから3.8フィートまで、自由にゲージを変えられるんだ。
     あと、短距離なら線路を離れて自走できるし、それで線路から線路に渡ることもできる。あんな風に転がされなきゃ、どんな線路も走れるようになってたんだ。
     そう、……どんな道でも、だ」
     と、ティムがボタボタと涙を流す。
    「どうした?」
    「結構気に入ってたんだよな、あの機関車。あいつで朝焼けの中を突っ走るのが、何より楽しかった。
     それが、あんなボロボロのスクラップになっちまって、……俺、今すげえ、ショックなんだ」
    「バカね。そんなに気に入ってたモノを悪用するなんて」
    「……ああ。本当にバカ野郎だよ、俺は」
     静かに泣き出したティムを見て、エミルは肩をすくめた。
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