黄輪雑貨本店 新館


    短編・掌編

    LEGEND OF SERENDIPITY

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    LEGEND OF SERENDIPITY

    ◆ぼうぐや「この ぬののふく を うるかい?
    ◆ →はい  いいえ
    ◆ぼうぐや「それじゃ 4クラム で かいとろう! まいどあり!

    「……もうちょっと色を付けてくれません?」
    「えー……、勘弁してくださいよぉ」
     薄汚れた布の服を押し付けられ、防具屋はげんなりした顔をする。
    「本当なら買い取りするようなものじゃないんですよ。常識で考えたら分かるでしょ、こんなドロドロに汚れたもの……」
    「そこをなんとか……」
     旅の商人に散々拝み倒され、やむなく防具屋はもう1クラム上乗せして買い取ることにした。

    「ったく、ウチは古着屋じゃねーっつの」
     ブチブチと文句を垂らしながら、防具屋は買い取った古着を水に漬け、汚れを落としていた。
    「しっかし……、旧いデザインだなぁ。ざっと見たとこ、10年や20年どころじゃねーな。
     ん? 背中になんか刺繍があるな。これって教会の、……いや、待てよ」
     その刺繍にただならぬものを感じた防具屋は、その古着を洗濯し終えるなり、近くの教会に持って行った。



     1ヶ月後、防具屋の目の前に、100万クラムもの金貨が積まれていた。
     実はその古着、100年以上前の聖人が死の際に着ていた服――つまり「聖骸布」だったのである。
     教会からは「こんな貴重な遺物をいただけるとは」と、並々ならぬ感謝を受けることとなった。
     その結果、防具屋は計99万9995クラムもの利益を得たのである。



    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



    ◆ぶきや「この ひのきのぼう を うるかい?
    ◆ →はい  いいえ
    ◆ぶきや「それじゃ 3クラム で かいとろう! まいどあり!

    「……もうちょっと色を付けてくれません?」
    「えー……、勘弁してくださいよぉ」
     ささくれたひのきの棒を押し付けられ、武器屋はげんなりした顔をする。
    「本当なら買い取りするようなものじゃないんですよ。常識で考えたら分かるでしょ、こんなただの棒……」
    「そこをなんとか……」
     旅の商人に散々拝み倒され、やむなく武器屋はもう1クラム上乗せして買い取ることにした。

    「ったく、こんなガラクタ……」
     ブチブチと文句を垂らしながら、武器屋は買い取った棒を振り上げる。
     特に使い途も思いつかないので、とりあえず布団たたきにしているのだ。
     しかし元々、ボロボロになっていた棒である。四度、五度と叩いているうちに、棒はぼきっと折れてしまった。
    「あっ、……あーあー」
     武器屋は真っ二つになってしまった棒を、慌てて手に取る。
    「……ん? 中は空洞だったのか、これ。
     あれ? 中に、紙が……?」



     3ヶ月後、武器屋は伝説の盗賊が遺した秘宝を発見した。
     実はこの棒、その盗賊が使っていた義足だったのである。
     用心深いその盗賊は義足に秘宝の隠し場所を記した紙を仕込んでいたのだが、彼はとある山で遭難し、義足だけが山中に残されていたのだ。
     その棒が巡り巡って、武器屋の元に渡ったのである。



    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



    ◆どうぐや「この ふるびたコップ を うるかい?
    ◆ →はい  いいえ
    ◆どうぐや「それじゃ 1クラム で かいとろう! まいどあり!

    「……もうちょっと色を付けてくれません?」
    「えー……、勘弁してくださいよぉ」
     すっかり黒ずんだ金属製のコップを押し付けられ、道具屋はげんなりした顔をする。
    「うちはゴミ収集所じゃないんですから。本当なら1クラムだって出したくないです」
    「そこをなんとか……」
     旅の商人に散々拝み倒され、やむなく武器屋は1クラムを出して買い取ることにした。

    「ったく、なんだってこんなもの……」
     ブチブチと文句を垂らしながら、防具屋はコップを磨く。
     せめて綺麗に磨けば売れるかもしれないと目論んでのことである。
     しかしどんなに磨いても、表面はピカピカになれど、黒い色が落ちる気配はない。
    「これ……、汚れじゃないな。元々の色なのかな。
     でもこんな真っ黒な金属なんて、絵本とかおとぎ話くらいでしか……」
     コップの材質が気になった道具屋は、知り合いの鍛冶屋にコップを見せてみた。



     半年後、道具屋と鍛冶屋は途方も無い金を手にしていた。
     実はこのコップ、というよりもこの金属、とある錬金術師の遺作だったのである。
     この金属は鋼より硬く、木材より軽い上に、100年経っても錆びることが無いのだ。
     しかしこの錬金術師は行方不明になってしまっており、製造法についても、長らく不明のままになっていた。
     道具屋たちはこのコップから製造法を導き出し、大量生産に成功したのである。



    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



    「知ってるか? 『伝説の旅の商人』の話」
    「なんだそれ」
    「一見、ガラクタにしか見えないものを売りつけてくるんだが、実はそれが聖骸布だったり、伝説の秘宝のありかだったり、失われた錬金術だったりって」
    「ほんとかよぉ」
    「でもマヌケだよな、その商人。
     自分で売ったモノの価値に、自分で気が付いてねーんだから」



    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



    ◆しょうにん「あーあ・・・。
    ◆しょうにん「ぜんぜん もうからないなぁ。
    ◆しょうにん「どこかに いい はなし ころがってないかなぁ・・・。
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    NoTitle 

    「もうちょっと色を付けて(略」

    ご指摘ありがとうございます。修正しました。

    NoTitle 

    ◆どうぐや 「この げんこうのたば を うるかい?

    ◆ →はい いいえ

    ◆どうぐや「それじゃ 1クラム で かいとろう! まいどあり!


    ……(T_T)

    ところでぶきやとどうぐやがぼうぐやになってますが……。
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