黄輪雑貨本店 新館


    「白猫夢」
    白猫夢 第11部

    白猫夢・掴雲抄 3

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    麒麟を巡る話、第558話。
    対応策。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    3.
    「『夢の世界』ってなんやねん。メルヘンすぎやろ」
     突っ込んだマロに対し、一聖はフン、と鼻を鳴らす。
    「お前さんが信じようが信じまいが、あるものはあるんだ。
     と言っても物質的な話じゃなく、あくまで精神的な話だけど、な。世界中の人間の心の奥の奥、無意識の更に奥深くに――つっても、ちんぷんかんぷんだろうな。
     ま、ともかく白猫は今、ソコにいる。ソコから葵に指示を出してるんだ」
    「ソレ、前から思ってたんだけどさー」
     と、葛が手を挙げる。
    「あたしたちも白猫に、夢の中でなんかされてたりする可能性あるよねー?」
    「ソレについては心配しなくていい。オレが保護してる」
    「え、そなの?」
    「そうだよ。じゃなきゃ、とっくに操られてるっつの。白猫が一番恐れてるのは葛、お前さんなんだからな。
     あの時天狐ゼミにいたヤツらには全員プロテクトかけてあるし、親父の方でも関係者に施してるって聞いてる。だからオレが参入する前から『フェニックス』にいるルナも、間違いなく白猫からの影響を受けてない」
    「え、そうなの?」
     ルナ本人にそう言われ、一聖の歯切れが若干悪くなる。
    「……多分。(親父め、まーた黙ってやりやがったな?)
     まあ、うん、ともかく。『フェニックス』に関しては、万全に保護してあるから大丈夫だ。
     本当に警戒すべきは、盗聴や戦術兵器なんかじゃねーんだ。白猫による催眠こそ、最も警戒しなきゃならねー。
     例えばマークが超すげー作戦を立てたとしても、いざ実行しようって時に、この中の誰かが『なんかやっちゃいけない気がする』とか思って二の足踏んじまったら、ソレで失敗、ご破算になりかねねーからな。
     ま、今言った通り、ココにいるヤツらが操られるコトは絶対無い。だからマーク、お前さんは気にせず、現実での作戦を考えてくれ」
    「ええ。……っと、話がそれてきてますね。
     僕たち『フェニックス』にとって最大目標は白猫党の撃破だ。そしてそれを動かすのが、アオイさん。彼女こそが、僕たちにとって最大の敵になる。
     白猫党を倒すには、アオイさんをどうにかしなきゃいけない。アオイさんがいる限り、白猫党に決定的な敗北は訪れないんだ」
    「いや、それを言うなら白猫党そのものの方もやろ。
     そら確かにアオイさんが無茶苦茶強いし、頭もよお回るっちゅうのは知っとるけども、せやからって党の方は一切放っておいてええっちゅうもんでもないやろ? 何万人も党員がおるわけやし」
    「ま、そりゃそうよね。葵ほどじゃなくても、優秀なブレーンがいっぱいいるわけだし」
    「壁は2つですわね。アオイと、そして白猫党。でも党についてはマークに案がある、そうですわね?」
    「ああ」
    「じゃあ、残る問題はアオイか」
     フィオがそう締めたところで、全員がきょろっと互いの顔を見合わせる。
    「……」
    「……」
    「……何か案、ある?」
    「あるも何も」
     全員がうっすら抱いていた意見を、パラが代弁した。
    「アオイの行動が我々に把握できておらず、かつ、予測もできない以上、対応策は皆無ではないでしょうか?」
    「正にそこよね」
    「アイツがどう動くか、マジで予測が付かねーんだよな。コレまでだって、難訓にケンカ売りに行くわ、いきなりゼミをばっくれるわ……。
     正直な話、アイツが今、ドコにいるのかすらも、オレたちには分かんねーんだから、な」
    「となると、まず僕たちがやらなきゃいけないのは」
    「葵の行動を捕捉することよね」
     おぼろげながら指針は立ったものの、その先の意見は誰からも出てこない。
    「うーん……」
     自然と、場に沈黙が訪れる。
     そのため――扉の向こうでかたん、と音が鳴ったその時、全員の視線が一斉にそちらへと向けられた。
    「誰だ!?」
     真っ先にフィオが反応し、扉を乱暴に開ける。
    「こんにちは。どうされました?」
     扉の向こうにいたのは、ビッキーだった。
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