黄輪雑貨本店 新館


    「白猫夢」
    白猫夢 第11部

    白猫夢・撹波抄 7

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    麒麟を巡る話、第567話。
    マロの暗躍。

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    7.
     返事を送ってから2日後の深夜、アローサはマロが泊まる宿を訪れていた。
    「よお来てくれたなぁ、ミリー」
    「変わってない、……とは言えないわね、マロ。すごく痩せたわ」
    「ほっとけ、はは……」
     数年ぶりに握手を交わし、席に着いたところで、アローサは本題を切り出した。
    「騒動って、何のこと?」
    「そら勿論アレや、電波ジャックの話」
    「やっぱり……! ねえ、マロ。何故その話を?」
    「簡単なことや。その電波ジャックしとる奴らと知り合いやねん。で、党のヤツらが慌てとるっちゅう話は、そいつらから聞いとる」
    「誰なの?」
     性急に尋ねるアローサに対し、マロは鷹揚に首を振る。
    「まあ、まあ。順を追って話しよか」
    「……ええ。いいわよ」
    「事の発端はな、央中攻略戦ん時や。ほら、央北と違て央中はお上がやいやい言うのん、嫌う傾向にあるやろ?」
    「そうらしいわね。民意優先の傾向があるとは聞いてるわ」
    「そう言う土地柄やから、白猫党が占領地でやっとるような、白猫党からの発注を強制的に、黙々とこなすっちゅうようなやり方が、肌に合わんわけや。
     一方でな、央中っちゅうたらほれ、俺の実家のお膝元や」
    「ゴールドマン家ね?」
    「せや。ほんでな、かつて金火狐商会で働いとって、今は央中の、白猫党領内に住んどる奴も結構おる。
     そのうちの一人がさっき言うた『反感』を抱き、かつての奉公先である金火狐のコネと技術を秘密裏に使て、領民放送をジャックしよった、……ちゅうわけや」
    「じゃあ、この騒動の黒幕は金火狐なの?」
    「ちゃうちゃう、そうや無い。あくまで金火狐商会の、一部分が関わっとる話や。……ま、それやからこそ、俺がこうして古巣を尋ねることになったんやけどな」
    「って言うと?」
     尋ねたアローサに、マロはニヤッと笑って返した。
    「単刀直入に言えば、そいつは財団にとっては『いらんことしい』やねん」
    「い、ら……ん? え?」
     央中の方言がよく分からず、アローサは首を傾げる。その反応を見たマロは肩をすくめつつ、説明し直した。
    「つまり厄介者、余計なことして場を乱す奴のこっちゃ。
     財団には昔から、『戦争やっとったら介入して早めに止めたればええ。せやけど自分から戦争起こしたらあかん』っちゅう考え方があるんや。その思想に基づけば、そいつはまさに、自分から戦争の火種を蒔こうっちゅうアホにしか見えんわけや。
     ま、そこまで言うたら、俺がなんでお前にコンタクトしたか、分かるやろ?」
    「つまり……、財団から要請されたってこと?」
    「そう言うことや。あくまで秘密裏に、やけどな。
     ま、俺は今現在、財団では鼻つまみ者、まともな部署に籍を置してもらえん、役立たずの道楽者扱いや。せやけどそのジャック犯と、そして白猫党の両方に関わりのある者やっちゅうことで、今回の密命を任されたっちゅうわけやねん。
     ちゅうわけで、俺から党に要請したいのんは、以下の2つや。1つ、央中某所――勿論どこかは知っとるで。もういっこの方を受諾してから話したる――におるそのジャック犯を拘束すること。
     そして2つ、俺に対する党の除籍処分を抹消し、俺に対して、党における何らかの重職に就かせること。ま、こっちについては元の地位にとか、そう言う我がままは言わへん。何やったら名誉職でもええんや。
     党は順調に拡大しとるし、俺も今一度、パイプを持っときたいからな」
    「なるほどね。……そうね、でも、私だけでは即決できないわ。何しろあなたの除籍は、幹部の満場一致による決定だったもの。それを撤回するには、その全員の了解が無いと。
     その上、あなたのためにわざわざ名誉職を設置するなんて、チューリン党首はきっと、いい顔しないでしょうしね」
    「見返りは十分やろ? 党の安寧秩序を乱すアホを引き渡すっちゅうてるんやし」
     マロの言葉に、アローサは腕を組んでうなる。
    「まあ……、ええ、そうね。確かにこの事態が早期に収束することは、党にとっては決して小さなことではないもの。
     分かった。できるだけあなたの希望が叶うよう、働きかけてみるわ」
    「おう。よろしゅうな」
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