黄輪雑貨本店 新館


    「白猫夢」
    白猫夢 第11部

    白猫夢・弄党抄 1

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    麒麟を巡る話、第588話。
    危機は端から忍び寄る。

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    1.
    《と言うわけでして、央南においても反発の動きが強まっているとのことであり、とても党本部に戻る余裕は無く……》
    「はぁ!? それじゃレジスタンスの移送はどうなるのよ!?」
    《率直に申し上げますと、今は移送に回す人員すら惜しいくらいなのです。
     何しろ今ここにいる将校らは、今まさに叛旗の火が立ち昇る地域から、レジスタンス騒動のために戻ってきた者ばかりなのですから》
    「……そうね。忌々しいけど、仕方無いわよね。
     ロンダ、あなたはしばらく央中で指揮を執るつもり?」
    《ええ。動くに動けない、とも言えますが。幸いにして無線設備は充実しておりますし、指揮に関して不足は無いでしょう》
    「了解したわ。情況が落ち着くまでは、トポリーノだけは何としても生かしておくのよ」
    《承知しております》
     通信が切れるなり、シエナは苛立った目を幹部の皆に向けた。
    「どう言うコトよ!? 何故こんな、いきなり、同時に!?」
     怒りで頭が煮え立っているのか、彼女の口からは支離滅裂な言葉が噴き出してくる。
     一方、いつも冷静沈着なトレッドは、彼女の言わんとすることをきっちりと汲み取っていた。
    「偶然の一致と捉えるには、あまりにも足並みが揃い過ぎています。明らかに、何らかの同意・意思疎通があったと見てしかるべきでしょう」
    「その説には大きな難点がある。一体どうやって、央南と西方が手を組んだと言うのだ? 世界の端と端だぞ?」
     イビーザの冷ややかな視線に負けず、トレッドは毅然と言い返す。
    「我々が正に今行っていた、そのままにでは? 即ち通信を用い、密かに関係を築いていたのでしょう。
     西方はかつて世界最先端の技術を有した『小さな大国』、プラティノアールが権勢を振るっていたことがあります。また、央南の黄州も世界各国と貿易を行う傍ら、少なからず技術供与も受けております。
     となれば、両地域が相応の無線技術を有していたとしても、全く不思議なことでは無いはずです」
    「むう……、考えられん話では無いな」
     イビーザをうならせ、トレッドは続けて話を展開する。
    「起こっていることを否定するより、まずは建設的な仮定を立てましょう。彼らが連携していると言う可能性を事実と捉えた上で、我々が何をどうすればよいかを検討するべきです」
    「そうね。その意見を支持するわ」
     次いでシエナがそう答えたことで、イビーザはそのまま、閉口せざるを得なくなった。
    「事実として、央南と西方が同時に動いてる。本来なら今、トレッドが言ったような仮説が事実であるか確かめたいところだけど、件のレジスタンス捜索で諜報員のほとんどが央中各地に散っている今、彼らをさらに央南と西方にまで飛ばすコトは、事実上不可能。トレッドの言う通り、仮説を事実と捉えて動くしか無いわ。
     最優先課題は、央南と西方の進撃を止めるコトよ。もし今、その双方で最前線を突き崩されるようなコトがあれば、コレまで培ってきた版図、勢力圏が大きく後退するコトになる。ソレは我々白猫党にとって、今世紀最大の敗北、屈辱よ。
     ロンダに代わって、アタシが指示するわ。即刻、両地域に兵を送り、前線防衛に当たらせるコト。他部署も可能な限り、コレを支援するコト。コレは党の、最優先事項とするわ。
     会議は以上よ。早速、動いてちょうだい」
     会議が締めくくられ、幹部陣がバタバタと席を立ち、シエナも部屋を後にした。

     だが――一人、イビーザは席に着いたまま、先程まで党首が座っていた席をにらんでいた。
    「……ふざけおって」
     イビーザは立ち上がり、ずかずかと歩み寄り、その席にどかっと腰を下ろした。
    「何が党首だ。男一人の意見をさも、党の総意であるかのように論説しおって。まったく、権力の私物化も甚だしい。
     やはり私だ……私がこの党を治めなければ……」
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