黄輪雑貨本店 新館


    「白猫夢」
    白猫夢 第11部

    白猫夢・封魔抄 1

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    麒麟を巡る話、第615話。
    怒涛の楓。

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    1.
    「ウォーレンさん」
     楓はかなり、直情径行な人間である。
    「何でしょう、カエデさん?」
     そのため、楓はウォーレンに対して、率直に口説いた。
    「あなた、独身かしら? 恋人などもいらっしゃらないの?」
    「ええ、まったく。これまで女性とお付き合いした経験は皆無です」
    「あら、そうなの? 強面だけど、悪くないお顔立ちなのに」
    「恥ずかしながら、その方面には疎いもので」
    「勿体無いですわね」
     楓はそこで、にこ、と笑いかける。
    「あたくしとお付き合い致しませんこと?」
    「……うん?」
     あまりに単刀直入にそう申し出され、ウォーレンの目が点になった。
    「どう言う意味でしょう? 修行の、と言うことでしょうか」
    「それも悪くありませんが、あたくしが言いたいのは、男と女として、ですわ」
    「な、なんと? いや……、しかしですな」
     面食らった様子のウォーレンに、楓が畳み掛ける。
    「何か問題が?」
    「私はカズセちゃんの従者として来ている身です。自分の都合で動くことなど」
    「気にされないと思いますわよ。案外、『お、そうなのか? いーじゃん、おめでとさん』と喜んで下さるかも知れません。
     あたくしも、一聖ちゃんたちとの縁でこの国に導かれたようなものですし」
    「しかし、その、その用事が済んだとしたら、私は教団に帰らねばなりません。そうなればあなたとは……」
    「教団を離れてずっと一聖ちゃんに着く、と言うのは如何?」
    「それはできません。私にも、教団の地位と言うものがありますから」「あら? 教主猊下に疎まれていると伺いましたけれど」「そっ、……それは、まあ、確かに」
     楓より頭一つ大きいウォーレンが、じりじりと後ろに押されていく。
    「でしたら、こちらでの生活を考えた方がよろしいのではないかしら?」
    「あ、あなたはどうするんですか? この戦いが終われば、央南に戻るのでは……」
    「あたくし、最早故郷に戻れぬ身ですもの。戦いが終わっても、そのままこちらに住むつもりです」
    「か、勝手なことばかり言わないで下さい。私は……」「いいから」
     ついにウォーレンの背中が、壁に突き当たった。
    「それとも、あたくしは魅力的では無いと言うのかしら?」
    「そ、そんなことは」「ではお付き合いしていただけるのかしら?」「い、いや、だから」「はっきり言いなさい。はいか、いいえか」
     壁に当たってもなお、楓は迫ってきており、ついにウォーレンは壁と楓に挟まれる。
     そして楓の体にむぎゅっと密着され、ウォーレンは顔を真っ赤にしながらうなずいた。
    「……はっ、はい」
    「よろしい」

     2時間後――楓から報告を受けた一聖は爆笑しながら、「いーじゃん、おめでとさん」と返した。



    「さあ、行きますわよ!」
     楓はウォーレンに目をやり、刀を抜いて構える。
    「承知!」
     ウォーレンも楓と視線を合わせ、三節棍を構える。
    「クスクスクスクス」
     一方、二人と対峙した難訓の人形、セリカとカムリは、素手で応じる。
     いや、カムリの方は左腕を挙げ、その手首から銃口を覗かせた。
    「排除いたします」
     ガガガ……、とけたたましい音を立てて、カムリの自動小銃が火を噴く。
     二人はその場から別々の方向に飛びのき、銃弾をかわした。
    「逃しません」
     いつの間にか、ウォーレンの背後にセリカが迫る。
    「させませんわよ!」
     しかしセリカがナイフを突き立てるより早く、楓がその背後からセリカにつかみかかった。
    「えっ」
     セリカが素っ頓狂な声を上げるとほぼ同時に、楓はセリカの襟をつかみ、片手で空高く投げ飛ばした。
    「なっ……」
     振り返ったウォーレンも、面食らっている。
    「何と言う、……馬鹿力」
    「超人ですもの。これくらいは朝飯前ですわよ」
     そう言ってウインクして見せた楓に、ウォーレンはぎこちなくうなずいた。
     その間に、セリカは地面にすとんと着地し、カムリの背後に回る。
    「想定外の速さと筋力です。わたくしたちの反応速度を凌駕しています。カムリ、接近して戦うのは危険でしょう」
    「承知しました、セリカ」
     左腕の小銃を構えたまま、カムリも後ずさった。
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