黄輪雑貨本店 新館


    「白猫夢」
    白猫夢 第11部

    白猫夢・夢神抄 1

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    麒麟を巡る話、第635話。
    悪魔との出会い。

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    1.
     ふわふわと宙を漂う葵を目にし、葛は思わず、こう言い放っていた。
    「……バカっ」
    《バカって?》
    「ソレじゃ、マジで幽霊みたいじゃん! まだギリギリ、死んでないんでしょ?」
    《ギリギリね。でも99%くらいは死んでるみたいなもんだよ。……それはどうでもいいの。
     あのね、カズラ。……あたしも、これからどうしようか悩んでるところなんだ。だから相談に乗って欲しいんだけど、いい?》
    「相談? 姉貴が、あたしに?」
    《うん。……そう言えば、子供の頃以来だね。あたしが、あんたに相談するなんて》
    「あー、うん。そう言や一回だけ姉貴、あたしに相談したコトあるんだよねー。
     まだあたしが2歳か、3歳の時だよね。いつになくさ、姉貴、くらーい顔して、『カズラ、もしもあたしとあんたとで船に乗って、それが沈みそうになって、脱出ボートが1人分しかないよって状況になったら、どうする?』つって。
     で、あたしまだ小さかったし、その話と現実をごっちゃにしちゃってさー、『ねーちゃんがのって。ねーちゃんがしんじゃやだもん』って泣きわめいたんだよね」
    《あったね。……実はね、その時あたしも、あんたを泣かせちゃったと思って、泣きそうだった》
    「あはは……、そーだったんだ。……ねえ、姉貴。
     今にして思えばさ、アレって、白猫のコトだったの?」
    《……そう》
     葵は憂鬱そうな表情を浮かべながら、小さくうなずいた。
    《実はその相談をした前の晩に、あたしは、初めて白猫に遭った。
     白猫はこう言った。『キミがボクのために協力してくれるなら、カズラには絶対手を出さない。この言葉の意味、キミなら分かるよね?』って。
     その脅しを受けた瞬間、確かにあたしはその意味を――その先の未来を『見た』。色んな未来があった。でもそれは全部、あたし以外の誰かが不幸な目に遭う未来だった。
     あんたが白猫にそそのかされ、パパやママを殺す未来。あんたが白猫の手先になって、じーちゃんやコントンさんを殺す未来。あんたが白猫に嫌なことを散々吹き込まれて、自分自身を殺す未来。
     そんな嫌な未来を一杯、白猫に見せられたあたしは、それこそ死んでしまいたくなるくらい、悲しくなった。
     あたしが泣くのを見て、白猫はこう続けた。『明日の晩、またキミの夢に現れる。自分の身を選ぶか、ソレともカズラを選ぶのか、ソレまでに考えておけよ』って。
     それから20年、ずっと――あたしの見る夢は全部、悪夢だった。白猫は毎晩、あたしにひどいことを言って、ひどいことをして、ひどい未来を見せ続けた。
     信じてもらえないかも知れないけど、あたしは眠りたくなかった。眠ってなんかいたくなかった》
    「姉貴……」
     葛の顔を見て、葵は肩をすくめて微笑む。
    《気にしないでいいよ。あの相談をしなかったとしても、あたしはきっとその道を選んでた。
     自分が20年も30年も白猫の奴隷になる未来よりも、あんたが死んじゃう未来の方が、何十倍も、何百倍も嫌だったんだし。
     あたしだって、もしボートが1人分しか無かったら、あんたを乗せる。あんたが死ぬのは嫌だもの》
    「……」
     涙が出そうになるのをぐっとこらえ、葛は尋ねた。
    「そ、……ソレで、相談って?」
    《あ、そうだった。
     こうやって、あたしは白猫みたいに、夢の世界に来られるようになった。試してみたら、寝てる人を連れて来ることもできた。
     じゃあ、あたしも白猫がやってたことをできるんじゃないかな、って。そう思ったんだ》
    「白猫がやってたコト? まさか誰かに、嫌な未来をてんこ盛りで見させようってコト?」
     葛の回答に、葵は呆れた顔をした。
    《やらないよ、そんなこと》
    「えっと、じゃあ、どう言う……?」
     きょとんとする葛に対し、まだ寝ぼけまなこのルナが、こう答える。
    「ふあー……。つまり、白猫党以前にあったうわさ話みたいに、『夢の中に現れて、人を導く助言を与えてやる』仕事をするってこと?」
    《うん。あたしも未来を『見られる』し、それができるんじゃないかなって》
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