「双月千年世界 3;白猫夢」
白猫夢 第11部
白猫夢・夢神抄 5
麒麟を巡る話、最終話。
そして、葵は。
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5.
《おつかれさん。テスト終了や》
《……!》
気が付くと、葵はふたたび夢の世界に戻っていた。
《今のは、何だったの?》
《アンタを昔に送ったんよ》
《そんなことできるの?》
《現実の世界やと大変らしいけどな。『こっち』やったら、チョイチョイってなもんや。
セイナのコトはよお知っとるやろ?》
《そりゃ、まあ。あたしのばーちゃんだし》
《もう薄々気付いとると思うけど、セイナも白猫に、色々指図されてたクチやねん。
既にこの頃な、アイツの『いじめ』は度を越しとった。セイナの友達とか先輩もポンポン見殺しにされたし、ほっといたらセイナ本人まで殺されかねへんと思ったアタシは、色々手を回してセイナから、興味を失わさせたんや。
ま、手ぇ引かさせたのにセイナが『白猫から赦された』とかワケ分からんコト言うてたから、当時は『あれ?』とは思てたけど、こう言うコトやったんやな。
自分でやっててなんやねんっちゅう話やけどもな、アハハ……》
エリザはけらけらと笑いながら、葵にウインクした。
《とりあえず、テストは合格やね。
さっきルナが言うてた通り、アンタは優しい子や。白猫のせいで一杯、汚れ仕事をしてしもたけど、ソレでもアンタの優しさは失われとらん。ちゃんとセイナを、助けてあげたんやから。
アンタならどれほど大きな力を手にしても、白猫みたいに、間違ったコトには使わへんはずや。きっと正しく、人を幸せにするために使う。アタシはそう信じとるで》
《……ありがとう、エリザさん》
エリザとともに夢の世界を歩きながら、葵は色々なことを聞いた。
《ようやく復帰でけたし、アタシもアンタの手助けしたるわ》
《うん、お願い》
《ソレにな、こっちの世界でもアタシ、魔術の研究続けててんよ。色々すごい術もでけたし、興味があったら教えたるで》
《うん、聞きたい。でもどうやって研究してたの? ここ、紙もペンも無さそうなのに》
《そんなもん、チョイチョイってなもんや。
ここに家がほしいと思えば作れるし、おやつ食べたいなと思ったらソコら辺にある。ここはそう言うトコや。
あ、そうそう。アタシの家もこっちに作っとるんよ。アンタも来いな。何やったら自分の部屋も作ってええからな》
《うん、行く。
ねえ、エリザさん》
葵は立ち止まり、エリザに尋ねる。
《どないした?》
《どうしてそこまで、あたしに優しくしてくれるの?》
これを聞いて、エリザは爆笑した。
《アッハッハ……、アンタは人に優しゅうするのんに、何や理由があったんか?》
問われて、葵は気付く。
《……無かった》
《せやろ? そう言うもんや。
アタシが思うにやで、ホンマの神様っちゅうのんは、ソコが肝心やと思うんよ》
《って言うと?》
《優しさや。誰にでも、いくらでも、何の見返りも考えんと、ただ優しくなれる。ソレがホンマの神様や。
普通の人間やっとったら、いがみ合いや利害関係、騙し騙されっちゅうコトがチョイチョイあるし、優しくなれへん時はどうしてもあるもんや。
せやからな》
ほんの少し、エリザは顔を赤らめながら、恥ずかしそうに語った。
《アタシらみたいに人間やめたヤツこそ、みんなに底無しに、優しくしたったらええんや。
ソレこそ、神様になった気分でな》
《……うん》
葵はにっこりと笑い、エリザに誓った。
《なるよ、あたし。
あたしは神様になる。みんなを助ける、優しい神様に。
あたしは星になる。みんなを導く、光輝く星に。
あたしはみんなの夢に、希望に、明日になる。
あたしは、
あたしは、白猫になる》
白猫夢・夢神抄 終
双月千年世界「白猫夢」 終
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そして、葵は。
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5.
《おつかれさん。テスト終了や》
《……!》
気が付くと、葵はふたたび夢の世界に戻っていた。
《今のは、何だったの?》
《アンタを昔に送ったんよ》
《そんなことできるの?》
《現実の世界やと大変らしいけどな。『こっち』やったら、チョイチョイってなもんや。
セイナのコトはよお知っとるやろ?》
《そりゃ、まあ。あたしのばーちゃんだし》
《もう薄々気付いとると思うけど、セイナも白猫に、色々指図されてたクチやねん。
既にこの頃な、アイツの『いじめ』は度を越しとった。セイナの友達とか先輩もポンポン見殺しにされたし、ほっといたらセイナ本人まで殺されかねへんと思ったアタシは、色々手を回してセイナから、興味を失わさせたんや。
ま、手ぇ引かさせたのにセイナが『白猫から赦された』とかワケ分からんコト言うてたから、当時は『あれ?』とは思てたけど、こう言うコトやったんやな。
自分でやっててなんやねんっちゅう話やけどもな、アハハ……》
エリザはけらけらと笑いながら、葵にウインクした。
《とりあえず、テストは合格やね。
さっきルナが言うてた通り、アンタは優しい子や。白猫のせいで一杯、汚れ仕事をしてしもたけど、ソレでもアンタの優しさは失われとらん。ちゃんとセイナを、助けてあげたんやから。
アンタならどれほど大きな力を手にしても、白猫みたいに、間違ったコトには使わへんはずや。きっと正しく、人を幸せにするために使う。アタシはそう信じとるで》
《……ありがとう、エリザさん》
エリザとともに夢の世界を歩きながら、葵は色々なことを聞いた。
《ようやく復帰でけたし、アタシもアンタの手助けしたるわ》
《うん、お願い》
《ソレにな、こっちの世界でもアタシ、魔術の研究続けててんよ。色々すごい術もでけたし、興味があったら教えたるで》
《うん、聞きたい。でもどうやって研究してたの? ここ、紙もペンも無さそうなのに》
《そんなもん、チョイチョイってなもんや。
ここに家がほしいと思えば作れるし、おやつ食べたいなと思ったらソコら辺にある。ここはそう言うトコや。
あ、そうそう。アタシの家もこっちに作っとるんよ。アンタも来いな。何やったら自分の部屋も作ってええからな》
《うん、行く。
ねえ、エリザさん》
葵は立ち止まり、エリザに尋ねる。
《どないした?》
《どうしてそこまで、あたしに優しくしてくれるの?》
これを聞いて、エリザは爆笑した。
《アッハッハ……、アンタは人に優しゅうするのんに、何や理由があったんか?》
問われて、葵は気付く。
《……無かった》
《せやろ? そう言うもんや。
アタシが思うにやで、ホンマの神様っちゅうのんは、ソコが肝心やと思うんよ》
《って言うと?》
《優しさや。誰にでも、いくらでも、何の見返りも考えんと、ただ優しくなれる。ソレがホンマの神様や。
普通の人間やっとったら、いがみ合いや利害関係、騙し騙されっちゅうコトがチョイチョイあるし、優しくなれへん時はどうしてもあるもんや。
せやからな》
ほんの少し、エリザは顔を赤らめながら、恥ずかしそうに語った。
《アタシらみたいに人間やめたヤツこそ、みんなに底無しに、優しくしたったらええんや。
ソレこそ、神様になった気分でな》
《……うん》
葵はにっこりと笑い、エリザに誓った。
《なるよ、あたし。
あたしは神様になる。みんなを助ける、優しい神様に。
あたしは星になる。みんなを導く、光輝く星に。
あたしはみんなの夢に、希望に、明日になる。
あたしは、
あたしは、白猫になる》
白猫夢・夢神抄 終
双月千年世界「白猫夢」 終
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これにて、「白猫夢」完結です。
本当に、本当に長かった。3年半以上とは、思いもよりませんでした。
ちょっと一呼吸置いて、数日後にはあとがきを掲載していきます。
お正月にした公約も、ちゃんと実現させなきゃいけませんしね。
ちなみに。
一応、「双月千年世界」にはマスコットキャラと言うか、第4の壁の手前にいる感じのキャラが1名います。
「白猫夢」の連載があまりにも長かったため、3年半振りの登場となります。悪いことをしたと言う気がしなくも無い。
これにて、「白猫夢」完結です。
本当に、本当に長かった。3年半以上とは、思いもよりませんでした。
ちょっと一呼吸置いて、数日後にはあとがきを掲載していきます。
お正月にした公約も、ちゃんと実現させなきゃいけませんしね。
ちなみに。
一応、「双月千年世界」にはマスコットキャラと言うか、第4の壁の手前にいる感じのキャラが1名います。
「白猫夢」の連載があまりにも長かったため、3年半振りの登場となります。悪いことをしたと言う気がしなくも無い。



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