黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 短編・掌編・設定など」
    赤虎亭日記

    赤虎亭日記 37

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    朱海さんの話、第37話。
    双月暦530年10月:イオタの副業。

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    37.
     双月暦530年 10月8日 土曜
     また懲りもせず、イオタが青アザ作って帰って来た。いつもながらヒヤヒヤさせられる。いい加減にしとかないと、いつか痛い目見るだけじゃすまんぞっつって叱ったけども、「でもまだ借金が……」の一点張りだ。コイツの悪いトコだ。一回思い立ったら、全然人の話を聞かない。ソレで行方不明になったクセに懲りてないのか?
     海悠も父親譲りと言うか何と言うか、今日もイオタと同じように、顔にアザを作って戻って来た。自分の性別分かってんのかっての。こっちについてはいっぺん、ウィルを叱らないとダメだな。
     もしかしたらシルキスやクイントも一緒にやってんのかと思ってシリンに聞いてみたら、「そう言えば」って顔しやがった。まさかお前、自分の子供のやるコトに気付いてないワケじゃないよな……?

     双月暦530年 10月10日 天曜
     午前休業にして、親同士とエスタで会議。
     ソコで分かったコトだが、どうも孤児院の子供らの中で、武闘派グループみたいなのができつつあるとか。主犯は言うまでも無くウィルだ。
     このままじゃきっと誰か大ケガしちまうんで、どうにか止めさせられないか相談し合う。ただ、エスタの意見としては「子供たちは楽しんでるみたいだし、ただ『ダメ』って言うだけじゃ止めようとはしない。だからちゃんと武道の心得がある人を先生にして、きちんとした指導を受けさせたらどうか」と。
     ココで名案浮かぶ。イオタに指導させたらどうか? 元々剣術の心得があるし、実戦経験もあるし、適任だろう。ソレに、毎日毎日アザだらけになって帰って来るのを見るのはイヤだし、先生やらせるなら闘技場で稼がなくてもいいワケだし。
     提案してみたら、イオタ本人も含めて賛成された。あー、コレで父娘まとめて叱らなくて済むなぁ。
     話は変わるが、この会議が終わったトコで、ビートがアズサと一緒に話の輪に入ってきた。何かと思ったら、「そろそろ独立して、アズサと一緒に店を持ちたい」と。唐突に聞かされたが、確かにビートも21歳になるし、巣立つ頃だよな。
     ただ、一緒に来たけども、アズサはビートと一緒に暮らすとか結婚とか、そう言う気は全く無いらしい。あくまで経営だけ関わるつもりだとか。まあ、こっちも想像に難くないな。いかにもアズサっぽい。
     しかしこうなってくると、店番が不足しそうだな。イオタもビートもいないとなると、シリンだけになるし。また誰か探すかなぁ。

     双月暦530年 10月14日 雷曜
     第2回親会議。
     まず、イオタの指導日と指導料について。エスタと違ってイオタは朝に強いから、火~土の午前中に稽古をつけるコトになった。指導料は1回1200エル。1週間で6000になる。
     イオタが闘技場で1回に稼げるのが(勝てば)4~5000で、週2くらい行く。勝率3割強ってところだから、闘技場行くよりは稼げるはずだ。イオタも文句無いはずだし、会議でも反対しなかった。
     続いてビートがウチを辞める時期について。とりあえず、年内一杯までいてもらうコトにした。開業資金はまだ貯まってないが、多少借金して都合を付けるつもりらしい。コレを聞いたイオタが不安そうにしてたが、アズサはしっかり者だからな。うまくやるだろ。アタシだって店を開いた頃は借金だらけだったし。

     双月暦530年 10月16日 風曜
     イオタの指導に備えて、午前中はシリンとビートに任せ、イオタと二人で道具やら何やらの買い出しに行く。
     ただ、途中で気付いたと言うか改めて認識したと言うか、イオタの計画性の弱さが浮き彫りになる。明らかにいらないだろって言うのを買おうとするし、指導を受ける子の人数も把握して無いし。アタシが一緒に来なかったら、間違い無く散財してるぞコイツ。
     コレはもっと、ちゃんとしたヤツにやり方を聞いて、イオタに指導受けさせないと危なさそうだ。

     双月暦530年 10月17日 天曜
     晴奈が道場やってるコトを思い出し、フォルナと晴奈の妹に魔術で手伝ってもらって、「色々教えてくれないか」と打診する。「道場の運営指導と言うことであれば、喜んで引き受けいたす」っつって、こっちに来てくれるコトになった。
     久々に晴奈に会えるな。10年ぶりくらいか? ちなみに息子の秋也くんも、一緒に来るらしい。この話を伝えたら、シリンもシルビアも喜んでた。そうだよな、コイツらも晴奈と仲良かったもんなぁ。

     双月暦530年 10月27日 水曜
     晴奈が来てくれた。予定通り、秋也くんも一緒だ。ちなみに他の子は、父親の仕事を見学したり小鈴んトコに遊びに行ったりで、予定が合わなかったらしい。
     やっぱり道場やってる経験が長いからか、晴奈はしっかりとした指導プランを立ててくれてた。アタシも素人ながら聞いてたが、イオタが最初に考えてたのとは全然、比べ物にならん。すげえきちっとしてる。コレなら安心して任せられそうだ。

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    ・晴奈と秋也が教会に来た……白猫夢・秋分抄
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    「白猫夢」ラストでまた戦争が起こる感じで終わってますからね……。
    きっとその戦争中に、戦車やら爆撃機やらが台頭するんでしょうね。

    人生50年、80年と考えれば、成人してから2世代、3世代は移り変わることになりますし、
    その人生に即して物語を描けば、時代の変化をより強烈に感じることになりますね。

    NoTitle 

    もう白猫夢ですか。時間の流れが速いので置いていかれそうです(^^)

    それにしてもこうして見ると、剣による斬り合いの時代から自動車化部隊が出てくるまで30年も経ってないのですから、このあたりの時代の変転ぶりがよくわかります……。

    また20年も過ぎると無限軌道が発明されて戦車と航空機の時代になるのかなあ。
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