「双月千年世界 短編・掌編・設定など」
世界観・補足・考察
補足;「白猫夢」における央北政治史
久々にシュウさんとパラさんを介さず、解説記事を掲載します。
ポールさんから「わかりやすい央北全土の行政区地図と、「白猫夢」での史実における戦役の展開を」とのご質問がありました。
と言うわけで、内容を「『白猫夢』で起こった政変のまとめ」と拡大し、解説していきます。
なお、ポールさんが描いた国境線と大分違っていますが、他意はありません。
自分のイメージでかなりざっくり、適当に描いています。

こちらがその地図。灰色の線は国境を表しています。
①超大国の崩壊以後

まず「蒼天剣」と「白猫夢」の間の時代について。
世界平定(天帝教初代教皇が達成したとされる、世界の政治的統一)を目論む超大国、
第3次中央政府(通称『ヘブン』)の崩壊と「ヘブン王国」への体制一新に伴い、
央北各地でヘブン王国からの独立や、影響力の弱い地域での実効支配などが立て続けに起こり、
その結果、央北は40以上の国に分裂しました。
「ヘブン」時代の遺産がそれなりにあったため、ヘブン王国の発行する通貨「ヘブンズ・クラム」の価値は保たれており、
分裂後も央北内では事実上の基軸通貨としてクラムが使われていました。
しかし40以上にも分かれた国々は、自分勝手な経済政策の断行や小規模な戦争を繰り返していたため、
やがて央北全体の経済力が著しく低下。クラムもそれに引きずられる形で、次第に価値を落としていきました。
それを危惧したヘブン王国の女王がクラムの価値を維持しようと画策するも、
女王に反発する大臣たちが王子を担ぎ上げてクーデターを起こし、
その上、大臣派が優勢と見た軍の大半がそちらに付いた結果、女王は討たれてしまいました。
その後新たな国王となった王子は、当面の資金確保のために国土の一部を売却。
しかし杜撰な算定の元、生産力のある地域を売却してしまったこと、
そしてその地域が天帝教の政治的復権を目論む政治結社、「天政会」が購入したことから、事態は大きく変わります。
②天政会と新央北の対立

天政会はヘブン王国から購入した土地を「セブロ市国」と制定し、取引所を設立しました。
そしてクラム発行元であるヘブン王国の目の前で、クラムの価値をさらに貶めるような取引を乱発。
クラムに重篤なインフレが起こり、元々から生産力が落ち込んでいたヘブン王国にとっては、これが致命傷になりました。
いくらクラムを発行しても何も買えない状況となり、ヘブン王国は財政破綻。
天政会の傘下に下るより他に、復興の道は無くなりました。
基軸通貨発行国をも飲み込み、急速に勢力を拡大しつつある天政会の動向に危機感を抱いた央北東部、
トラス王国は周囲の国と連携し、天政会に対抗できるような地域共同体「新央北」を築き、その宗主国となりました。
すると今度は天政会が彼らの活動を疎んじ、陰に日向に妨害工作を仕掛けます。
勿論、新央北もそれに対抗し、これが両陣営の戦いへと発展しました。
あちこちで戦闘を繰り返した末、やがて両陣営は疲弊。
和平交渉が行われ、央北にしばしの平和が訪れることとなりました。
③白猫党の台頭

新央北側はトラス王国主導の元、堅実な復興を遂げ、順当に発展していましたが、
戦争と交渉ですっかり弱腰になっていた天政会は、ヘブン王国に責任を丸投げ。
経済手腕に乏しいヘブン王国は失策を繰り返し、クラムはふたたび価値を落としていました。
そこへ現れたのが白猫党。
彼らはヘブン王国を「合法的に」掌握し、管理下に置きました。
さらには王国議会を牛耳っていた天政会の会員たちを騙し、全員を虐殺。
この事実は白猫党自身の手により、央北中に喧伝されました。
ところが天政会は報復に出ることを渋ったため、天政会の傘下国が抗議。
両者が紛糾している最中、天政会の主要会員が全員行方不明になると言う異常事態が発生します。
そのまま天政会は立ち消えとなりましたが、残された国々は白猫党への報復を誓い、「央北西部連合」として再度結束します。
しかし飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大を続ける白猫党と、元々単独では天政会の言いなりになるしか無かった連合とでは、
国力、軍事力に雲泥の差がありました。
連合はあえなく敗北し、白猫党に下ることとなりました。
一方、流石の白猫党でもそのまま新央北とやりあえるだけの力は無く、
両陣営はそのまま、にらみ合いの状況に入りました。
④「コンチネンタル作戦」と白猫党の南北分裂

白猫党は央北ではそれ以上戦わず、央中、西方、央南へと版図を広げていきました。
占領した地域や国はことごとく、生活や職業、言論などあらゆるものを統制・管理され、
まるで国民全員を奴隷として扱うような体制を強いていました。
それに義憤を燃やしたのがトラス王国第一王子、マーク・トラス。
明晰な彼は白猫党に「コンチネンタル」と呼ばれる、ある作戦を仕掛けました。
その作戦は見事に成功し、白猫党に甚大な混乱を引き起こしました。
紆余曲折の末、白猫党は南北に分裂。
南の白猫党はこれまで通り「白猫原理主義世界共和党」、通称「白猫共和党」。
北の白猫党は「国家社会主義白猫党」、通称「社会白猫党」と名を変え、新たな戦いが始まりました。
ちなみに双月世界小話「黒エルフの騎士団」と「赤虎亭日記」にて、
「ペルシェビレッジ」あるいは「リモード共和国」と言う地名が出てきますが、こちらも央北の小国。
①の時点でどさくさに紛れて独立し、それ以来、新央北にも天政会にも白猫党にも属さず、中立を貫いています。
央北には他にもこうした独立国が少なからず存在しており、
すべての国が新央北か白猫党のいずれかに付いている、と言うわけではありません。
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ポールさんから「わかりやすい央北全土の行政区地図と、「白猫夢」での史実における戦役の展開を」とのご質問がありました。
と言うわけで、内容を「『白猫夢』で起こった政変のまとめ」と拡大し、解説していきます。
なお、ポールさんが描いた国境線と大分違っていますが、他意はありません。
自分のイメージでかなりざっくり、適当に描いています。

こちらがその地図。灰色の線は国境を表しています。
①超大国の崩壊以後

まず「蒼天剣」と「白猫夢」の間の時代について。
世界平定(天帝教初代教皇が達成したとされる、世界の政治的統一)を目論む超大国、
第3次中央政府(通称『ヘブン』)の崩壊と「ヘブン王国」への体制一新に伴い、
央北各地でヘブン王国からの独立や、影響力の弱い地域での実効支配などが立て続けに起こり、
その結果、央北は40以上の国に分裂しました。
「ヘブン」時代の遺産がそれなりにあったため、ヘブン王国の発行する通貨「ヘブンズ・クラム」の価値は保たれており、
分裂後も央北内では事実上の基軸通貨としてクラムが使われていました。
しかし40以上にも分かれた国々は、自分勝手な経済政策の断行や小規模な戦争を繰り返していたため、
やがて央北全体の経済力が著しく低下。クラムもそれに引きずられる形で、次第に価値を落としていきました。
それを危惧したヘブン王国の女王がクラムの価値を維持しようと画策するも、
女王に反発する大臣たちが王子を担ぎ上げてクーデターを起こし、
その上、大臣派が優勢と見た軍の大半がそちらに付いた結果、女王は討たれてしまいました。
その後新たな国王となった王子は、当面の資金確保のために国土の一部を売却。
しかし杜撰な算定の元、生産力のある地域を売却してしまったこと、
そしてその地域が天帝教の政治的復権を目論む政治結社、「天政会」が購入したことから、事態は大きく変わります。
②天政会と新央北の対立

天政会はヘブン王国から購入した土地を「セブロ市国」と制定し、取引所を設立しました。
そしてクラム発行元であるヘブン王国の目の前で、クラムの価値をさらに貶めるような取引を乱発。
クラムに重篤なインフレが起こり、元々から生産力が落ち込んでいたヘブン王国にとっては、これが致命傷になりました。
いくらクラムを発行しても何も買えない状況となり、ヘブン王国は財政破綻。
天政会の傘下に下るより他に、復興の道は無くなりました。
基軸通貨発行国をも飲み込み、急速に勢力を拡大しつつある天政会の動向に危機感を抱いた央北東部、
トラス王国は周囲の国と連携し、天政会に対抗できるような地域共同体「新央北」を築き、その宗主国となりました。
すると今度は天政会が彼らの活動を疎んじ、陰に日向に妨害工作を仕掛けます。
勿論、新央北もそれに対抗し、これが両陣営の戦いへと発展しました。
あちこちで戦闘を繰り返した末、やがて両陣営は疲弊。
和平交渉が行われ、央北にしばしの平和が訪れることとなりました。
③白猫党の台頭

新央北側はトラス王国主導の元、堅実な復興を遂げ、順当に発展していましたが、
戦争と交渉ですっかり弱腰になっていた天政会は、ヘブン王国に責任を丸投げ。
経済手腕に乏しいヘブン王国は失策を繰り返し、クラムはふたたび価値を落としていました。
そこへ現れたのが白猫党。
彼らはヘブン王国を「合法的に」掌握し、管理下に置きました。
さらには王国議会を牛耳っていた天政会の会員たちを騙し、全員を虐殺。
この事実は白猫党自身の手により、央北中に喧伝されました。
ところが天政会は報復に出ることを渋ったため、天政会の傘下国が抗議。
両者が紛糾している最中、天政会の主要会員が全員行方不明になると言う異常事態が発生します。
そのまま天政会は立ち消えとなりましたが、残された国々は白猫党への報復を誓い、「央北西部連合」として再度結束します。
しかし飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大を続ける白猫党と、元々単独では天政会の言いなりになるしか無かった連合とでは、
国力、軍事力に雲泥の差がありました。
連合はあえなく敗北し、白猫党に下ることとなりました。
一方、流石の白猫党でもそのまま新央北とやりあえるだけの力は無く、
両陣営はそのまま、にらみ合いの状況に入りました。
④「コンチネンタル作戦」と白猫党の南北分裂

白猫党は央北ではそれ以上戦わず、央中、西方、央南へと版図を広げていきました。
占領した地域や国はことごとく、生活や職業、言論などあらゆるものを統制・管理され、
まるで国民全員を奴隷として扱うような体制を強いていました。
それに義憤を燃やしたのがトラス王国第一王子、マーク・トラス。
明晰な彼は白猫党に「コンチネンタル」と呼ばれる、ある作戦を仕掛けました。
その作戦は見事に成功し、白猫党に甚大な混乱を引き起こしました。
紆余曲折の末、白猫党は南北に分裂。
南の白猫党はこれまで通り「白猫原理主義世界共和党」、通称「白猫共和党」。
北の白猫党は「国家社会主義白猫党」、通称「社会白猫党」と名を変え、新たな戦いが始まりました。
ちなみに双月世界小話「黒エルフの騎士団」と「赤虎亭日記」にて、
「ペルシェビレッジ」あるいは「リモード共和国」と言う地名が出てきますが、こちらも央北の小国。
①の時点でどさくさに紛れて独立し、それ以来、新央北にも天政会にも白猫党にも属さず、中立を貫いています。
央北には他にもこうした独立国が少なからず存在しており、
すべての国が新央北か白猫党のいずれかに付いている、と言うわけではありません。
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皆様ご訪問いただき、ありがとうございます。
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今日の旅岡さん

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- テーマ:[自作小説(ファンタジー)]
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ありがとうございます! よーしこれで「ヒストリカルシナリオ」ができる。後はどうやってシミュレートするかや。
システム自体も別なものを探そうか……。
システム自体も別なものを探そうか……。
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完成を楽しみにしてます。