黄輪雑貨本店 新館


    「琥珀暁」
    琥珀暁 第1部

    琥珀暁・襲跡伝 2

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    神様たちの話、第21話。
    ようやくの到着。

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    2.
     翌日、ゼロたち一行は南の村跡からさらに南下し、巨壁のように雄々しくそびえ立つ山脈のふもとに到着した。
    「鉱床はどの辺りだ?」
    「聞いた話だと近くに小屋とかあるらしいから、……あ、あれっぽいね」
     小屋に近付いてみると、すぐ横に洞窟の入口があることが確認できた。
    「この先が多分、鉱床かな。
     じゃあ当初の予定通り、僕とゲートとシノンは原料を採るのに専念する。フレンは山の方に登って、食べられそうなものを集める。メラノは僕たちとフレンのところとを回って、僕たちを手伝いつつ、フレンの無事を確保して」
    「おう」
    「んじゃ早速、見てくる」
     フレンとメラノが山を登り始めたのを確認し、ゼロたちは洞窟へと入っていった。

    「こりゃいい」
     洞窟の奥、鉱床である岩壁の前に着いたところで、ゼロが嬉しそうな声を上げた。
    「一目見て高純度だって分かるね、この石英。いい素材になりそうだ」
     ゼロは早速、持ってきたつるはしでカン、カンと岩壁を叩き、掘り出した鉱物を手に取る。
    「ほら、この水晶。向こう側が見える。相当質がいいよ」
     それを見たシノンが、ゼロと反対側から水晶を覗き見る。
    「綺麗だねー」
    「掘るのはこう言う透明なやつでいいのか?」
     尋ねたゲートに、ゼロは嬉しそうにうなずいた。
    「うん。とりあえず2時間、ここで水晶を掘り出そう。それくらい掘れば、20人分にはなるだろうから」
    「よし、やるかっ」
     ゲートが袖をまくり上げ、岩壁に向かったところで、ゼロはシノンにこう指示した。
    「僕とゲートが掘る。シノンは掘ったやつを外に運び出して。坑道は暗かったけど、君なら魔術を使えるから大丈夫だよね?」
    「だいじょぶ、大丈夫ー」
    「何かあったら大声で呼ぶんだよ。ほぼ一本道だったから、呼んだらすぐ聞こえるはずだし」
    「分かってるって。ほら、掘って掘って」
     シノンに促され、ゼロも岩壁を掘り始めた。
     掘り始めて20分もしないうちに、小屋から持ってきた荷車一杯に水晶が積み上げられる。
    「じゃ、一回持って行くねー」
    「うん、お願い」
     シノンが荷車を押してその場から離れたところで、ゲートが口を開く。
    「なんつーかさ」
    「ん?」
    「シノンも子供じゃないんだから、そこまで心配しなくてもいいと思うんだが」
    「あー、うん。分かってるんだけどね、頭では」
     弁解しつつ、ゼロはこう続ける。
    「でも何か、構いたくなるって言うか、気になるって言うか」
    「はは、言えてる」
    「それに、あんなのを見た後だから、心配になっちゃって」
    「あんなの、……ああ」
     廃墟と化した村を思い出し、ゲートは小さくうなずく。
    「この辺りにゃもう見当たらんとはメラノも言ってたが、それでも不安だよな」
    「うん。それに生兵法は怪我の元とも言うし」
    「な……ま?」
     聞き返したゲートに、ゼロは岩壁を掘り続けながら説明する。
    「聞きかじったことをすぐに実践しようとすると、大抵ろくなことにならないって意味だよ。
     シノンはきっと、僕から学んだ魔術をバケモノ相手に試してみたくて仕方が無いと思うんだ。馬車に乗ってた時に襲われそうになったことがあったけど、その時もシノンは、勇んで魔術を放ってたしね。
     でも学んでからそんなに間も無いし、自分の魔力が限界になるまで使い続けたことも無いだろうし、彼女が魔術を使い慣れてるかどうかって考えると、はっきり言えばまだ怪しい。
     今のところ可能性としては微々たるものだと思うけど、もしもバケモノが戻って来て、シノンがそれに出くわしちゃったりなんかしたら、きっと良くない結果になる」
    「……なるほどな」
     とは言え、この時は杞憂だったらしく、シノンが空になった荷車を運びながら、ゼロたちの元へと戻って来た。
    「運んできたよー」
    「ありがとう、シノン。……そろそろメラノが来てもいい頃だと思うんだけど、ちょっと辺りを探して来てもらってもいいかな?」
    「はーい」
     そのままくるんと踵を返したシノンに、ゼロが付け加える。
    「あ、山に登らなくていいから。周りにいなきゃ、そのまま戻って来て」
    「分かったー」
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