「双月千年世界 4;琥珀暁」
琥珀暁 第1部
琥珀暁・創史伝 2
神様たちの話、第27話。
団結。
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2.
「……」
ゼロの恐るべき仮説に、ゲートたち3人は顔を青ざめさせていた。
「で、でも、ゼロ?」
と、シノンが恐る恐ると言った素振りで口を開く。
「それって、結局、どう言うことなの?」
「どう、って?」
「もし本当に、ゼロの言う通りバケモノがあたしたちを目の敵にしてるとしても、それにどう言う意味があるの?」
「……分からない。そうだね、確かに君の言う通りだ。
この仮説には、現状の打破に結び付くような要素は無い。単に僕がそう言う気がするってことを、掘り下げて考えただけのことだ。
ごめんね、変なこと言っちゃって」
「いや」
と、ゲートが首を振った。
「案外、大事なことかも分からんぜ?
要するに、お前の言うことが確かだとしたら、あのバケモノは今までずっと、俺たち人間だけを狙って来たわけだ。
だとしたらムカつく話じゃねえか。シノンのトコみたいに家族で仲良く暮らしてた奴らは、そいつのせいで生活ブッ壊されたんだって話になる。ヨランたちだって、バケモノがいなきゃ今でも父親と一緒に、南の村で平和に暮らしてたはずだ。
人間として、そんな話を許せる気はしねえよ。だろ、ゼロ?」
ゲートにそう返され、ゼロは深々とうなずく。
「ああ、その通りだ。許せない。許すわけには行かない」
「だとするならよ、丁度良く、バケモノは俺たちの村を襲おうとしてる。
そいつらを全部ブッ倒しちまえば、今まで殺されてきた皆の仇を、俺たちがばっちり討ってやったってことになるんじゃないのか?」
「うん、そうなる」
ゼロの目に、強い意志の光が宿る。ゲートの顔も、紅潮していく。
「やってやろうぜ、ゼロ。
今までバケモノに追われ、殺されてくばっかりだった俺たちが、逆にあいつらをぶちのめしてやるんだ!」
「……ああ、やってやろう!」
がしっと堅く握手を交わした二人に、フレンとシノンも続く。
「メラノの旦那の無念は、俺が晴らしてやる。いいや、今まで死んでいった仲間や友達の分もな」
「仇討ちなら、あたしがまず、やってやりたいもん。どこまでも付いてくよ、ゼロ」
四人で手を合わせ、ゼロが場を締めた。
「見せつけてやろう。
あいつらが僕たちを蹂躙するんじゃない。僕たちがあいつらをねじ伏せてやるんだ、……ってことを」
防衛準備は、恐るべき速さで進められた。
まず、ゼロが武器製造のすべての工程を指示・監督し、村中が武器工房と化した。一方で防衛線も二重、三重に構築され、あちこちにやぐらが建てられた。
その他のあらゆる指示も、ゼロがあちこちを駆け回って、矢継ぎ早に出されて行く。
「子供たちと戦えない人たちは村の中央にいつでも移動できるようにしておいてくれ! いざと言う時は、古井戸を改造した地下壕に避難するんだ!
バケモノはいつ、どの方向から、どのくらいの数で攻めてくるか、まったく不明だ! だから少しでも素早く確実に対応できるよう、見張りは2人で、3交代で切れ間無く続けることを徹底してくれ!」
そしてゼロの補佐として、シノンたちも動き回っていた。
「杖、できた!? じゃあ半分は井戸の周りに並べといて! 避難する人の邪魔になんないようにね!」
「魔術使えるやつは杖持って俺と一緒に、村の端を巡回だ! 見付けたら迷わず即、撃ち込め!」
「いいか、『ライトボール』の緑のヤツは異状無しの合図だからな! 異状があったら赤い球だぞ! 忘れんな!」
クロスセントラルの村人50人余りはゼロたちの指示の下、可能な限り万全な態勢で、バケモノの出現を待ち続けた。
そして、準備を始めてから二昼夜半を回った未明前――その時は、来た。
「南東やぐらから赤球! バケモノが出たぞ!」
「東のやぐらからもだ!」
報告を受け、ゼロはシノンと村人5名を率いて走り出した。
「行くぞ、みんな! まず南東からだ!」
「おう!」
すぐに現場に到着し、ゼロたちはバケモノと接敵する。
「こないだのと違う……! 牛みたい! でっかい角あるよ、ゼロ! それに脚が6本!」
「ああ、突進されたら防衛線が危ない。可能な限り遠巻きに攻撃するんだ!」
「はいっ!」
ゼロの号令に合わせ、シノンを含めた村人6人が魔術を放つ。
「『ファイアボール』!」
6個の火球が、六本脚の巨牛の顔面を焼く。
しかし巨牛はぶんぶんと頭を振って火を消し、突進し始める。
「怯まない……! みんな、第二撃用意! その間に僕が撃つ!」
命令を出しつつ、ゼロが魔杖をかざす。
「これならどうだ! 『フレイムドラゴン』!」
ぼっ、ぼっと小刻みに破裂音を立てて、村人たちが放ったものより二回り大きな火球が3つ、巨牛に飛んで行く。
立て続けに3発眉間に食らい、巨牛の動きが止まる。
「今だ! 目を狙って当てろ!」
「はい!」
村人たちの第二波が巨牛の目を焼き、その奥までねじ込まれる。
巨牛は耳と鼻、口から火を噴き、そのまま倒れ込んだ。
「……やった?」
「やった、……ぽいな。血がめちゃめちゃ出てるし」
「よし、ここは抑えた! 東のやぐらに……」
命令しかけたゼロの顔がこわばる。
その視線の先を追ったシノンも、自分の背筋が凍りつくのを感じていた。
「4つ、……5つ、6つ、……7、……うそ……」
あちこちのやぐらから、続けざまに赤い光球が飛ばされていたからだ。
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団結。
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「……」
ゼロの恐るべき仮説に、ゲートたち3人は顔を青ざめさせていた。
「で、でも、ゼロ?」
と、シノンが恐る恐ると言った素振りで口を開く。
「それって、結局、どう言うことなの?」
「どう、って?」
「もし本当に、ゼロの言う通りバケモノがあたしたちを目の敵にしてるとしても、それにどう言う意味があるの?」
「……分からない。そうだね、確かに君の言う通りだ。
この仮説には、現状の打破に結び付くような要素は無い。単に僕がそう言う気がするってことを、掘り下げて考えただけのことだ。
ごめんね、変なこと言っちゃって」
「いや」
と、ゲートが首を振った。
「案外、大事なことかも分からんぜ?
要するに、お前の言うことが確かだとしたら、あのバケモノは今までずっと、俺たち人間だけを狙って来たわけだ。
だとしたらムカつく話じゃねえか。シノンのトコみたいに家族で仲良く暮らしてた奴らは、そいつのせいで生活ブッ壊されたんだって話になる。ヨランたちだって、バケモノがいなきゃ今でも父親と一緒に、南の村で平和に暮らしてたはずだ。
人間として、そんな話を許せる気はしねえよ。だろ、ゼロ?」
ゲートにそう返され、ゼロは深々とうなずく。
「ああ、その通りだ。許せない。許すわけには行かない」
「だとするならよ、丁度良く、バケモノは俺たちの村を襲おうとしてる。
そいつらを全部ブッ倒しちまえば、今まで殺されてきた皆の仇を、俺たちがばっちり討ってやったってことになるんじゃないのか?」
「うん、そうなる」
ゼロの目に、強い意志の光が宿る。ゲートの顔も、紅潮していく。
「やってやろうぜ、ゼロ。
今までバケモノに追われ、殺されてくばっかりだった俺たちが、逆にあいつらをぶちのめしてやるんだ!」
「……ああ、やってやろう!」
がしっと堅く握手を交わした二人に、フレンとシノンも続く。
「メラノの旦那の無念は、俺が晴らしてやる。いいや、今まで死んでいった仲間や友達の分もな」
「仇討ちなら、あたしがまず、やってやりたいもん。どこまでも付いてくよ、ゼロ」
四人で手を合わせ、ゼロが場を締めた。
「見せつけてやろう。
あいつらが僕たちを蹂躙するんじゃない。僕たちがあいつらをねじ伏せてやるんだ、……ってことを」
防衛準備は、恐るべき速さで進められた。
まず、ゼロが武器製造のすべての工程を指示・監督し、村中が武器工房と化した。一方で防衛線も二重、三重に構築され、あちこちにやぐらが建てられた。
その他のあらゆる指示も、ゼロがあちこちを駆け回って、矢継ぎ早に出されて行く。
「子供たちと戦えない人たちは村の中央にいつでも移動できるようにしておいてくれ! いざと言う時は、古井戸を改造した地下壕に避難するんだ!
バケモノはいつ、どの方向から、どのくらいの数で攻めてくるか、まったく不明だ! だから少しでも素早く確実に対応できるよう、見張りは2人で、3交代で切れ間無く続けることを徹底してくれ!」
そしてゼロの補佐として、シノンたちも動き回っていた。
「杖、できた!? じゃあ半分は井戸の周りに並べといて! 避難する人の邪魔になんないようにね!」
「魔術使えるやつは杖持って俺と一緒に、村の端を巡回だ! 見付けたら迷わず即、撃ち込め!」
「いいか、『ライトボール』の緑のヤツは異状無しの合図だからな! 異状があったら赤い球だぞ! 忘れんな!」
クロスセントラルの村人50人余りはゼロたちの指示の下、可能な限り万全な態勢で、バケモノの出現を待ち続けた。
そして、準備を始めてから二昼夜半を回った未明前――その時は、来た。
「南東やぐらから赤球! バケモノが出たぞ!」
「東のやぐらからもだ!」
報告を受け、ゼロはシノンと村人5名を率いて走り出した。
「行くぞ、みんな! まず南東からだ!」
「おう!」
すぐに現場に到着し、ゼロたちはバケモノと接敵する。
「こないだのと違う……! 牛みたい! でっかい角あるよ、ゼロ! それに脚が6本!」
「ああ、突進されたら防衛線が危ない。可能な限り遠巻きに攻撃するんだ!」
「はいっ!」
ゼロの号令に合わせ、シノンを含めた村人6人が魔術を放つ。
「『ファイアボール』!」
6個の火球が、六本脚の巨牛の顔面を焼く。
しかし巨牛はぶんぶんと頭を振って火を消し、突進し始める。
「怯まない……! みんな、第二撃用意! その間に僕が撃つ!」
命令を出しつつ、ゼロが魔杖をかざす。
「これならどうだ! 『フレイムドラゴン』!」
ぼっ、ぼっと小刻みに破裂音を立てて、村人たちが放ったものより二回り大きな火球が3つ、巨牛に飛んで行く。
立て続けに3発眉間に食らい、巨牛の動きが止まる。
「今だ! 目を狙って当てろ!」
「はい!」
村人たちの第二波が巨牛の目を焼き、その奥までねじ込まれる。
巨牛は耳と鼻、口から火を噴き、そのまま倒れ込んだ。
「……やった?」
「やった、……ぽいな。血がめちゃめちゃ出てるし」
「よし、ここは抑えた! 東のやぐらに……」
命令しかけたゼロの顔がこわばる。
その視線の先を追ったシノンも、自分の背筋が凍りつくのを感じていた。
「4つ、……5つ、6つ、……7、……うそ……」
あちこちのやぐらから、続けざまに赤い光球が飛ばされていたからだ。
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