黄輪雑貨本店 新館


    短編・掌編

    開発風景

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    開発風景

    開発、第1日目。
    主は開発全体の基盤となる、地面を作成した。
    また、それに並行して、地面を照らすための太陽を作成。

    バグの発生を確認。
    地面がガス化しており、固形化されていないことを報告。
    私の報告により、主は即座に構成物の比率を修正。地面が固形化されたことを確認した。

    バグの発生を確認。
    太陽に核融合反応が見られず、光が発生しないことを報告。
    私の報告により、主は即座に太陽を修正。
    それにより、エンバグの発生を確認。
    一瞬にして地面は、核融合による非常に強い光に覆われて蒸発。99%以上がプラズマ化する。
    私は太陽が非常に世界と接近しており、また、太陽光が直接地面を照射しているため、超高温状態となっていることを報告。
    即座に修正が行われ、太陽は著しく地面から遠のく。
    主から状況の報告を求められ、適度な環境となったことを伝えると、主は「よし」と、嬉しそうな声を漏らした。

    バグの発生を確認。
    世界が自転しておらず、照射面の気温が上昇し続けているため、次段階に進む上で重篤な障害が発生することが懸念されると伝える。
    私の報告により、主は地面を修正。直後に世界が自転し始める。
    報告から数時間後、夜が訪れた後に、正常に朝になることを確認した。



    開発、第2日目。
    主は世界に水と植物を作成した。

    バグの発生を確認。
    地面に起伏が無いため、世界がすべて水に覆われたことを報告。
    私の報告により、地形が修正される。
    ある程度以上に高くなった箇所は陸となり、また、ある程度以上に低くなった箇所は海となったことを報告。
    相当苦心したのだろう。主は私の報告にまた、「よし」と嬉しそうに返した。

    植物については特に問題を見受けられず。
    翌朝まで検証を行ったが、バグと思しきものは確認できなかった。
    ようやく思い通りに事が運んだためか、この報告についても「よし」との返答をいただく。



    開発、第3日目。
    主は既存の太陽に対し、修正を行ったと連絡した。
    予定より大きかったらしく、一部を分割して再形成し、月および星にしたとの説明を受ける。
    それに伴って月と星についての検証を行い、夜間に出現することを確認した。
    エンバグに発展しないことを安堵してか、またも「よし」と仰られた。



    開発、第4日目。
    主より、各種生物を実装したとの連絡を受ける。

    バグの発生を確認。
    生物の配置が非常に偏っており、水中において著しく群がっていることを報告。
    これについては仕様であるとの返答を受ける。

    バグの発生を確認。
    鳥が水中に配置されていることを報告。
    修正が行われ、鳥が空を飛んでいることを確認。

    バグの発生を確認。
    ある生物の形状が、予定と異なっていることを報告。
    修正が行われ、予定通りの形状となっていることを確認。
    なお、同様のバグは多数発見され、すべての修正には一昼夜を要した。
    数十万回に及ぶ修正が行われた後、大きな不具合が見受けられなくなったことを伝える。
    相当疲れていらっしゃったのだろう、この報告については「……よし」と、疲れきった返事が返ってきた。

    直後、主は急に大声を出された。
    「魚も鳥もこれ以上作ってられるかッ! 勝手にどんどん産めッ! どんどん増えてろッ!」



    開発、第5日目。
    あれほど疲労困憊し、取り乱していたはずの主から、またも生物を追加実装したとの連絡を受ける。正気を疑う。
    「どうしても細かいところが気になったから……。あと、どうしても追加したいものがいくつかあって」との返答を受けた。

    案の定、バグの発生を確認。
    ある生物の形状が、予定と異なっていることを報告。
    修正が行われ、予定通りの形状となっていることを確認。
    なお、同様のバグは多数発見され、すべての修正にはやはり、一昼夜を要した。

    私自身も相当に疲労しており、ようやく重篤なバグの発生が見受けられなくなった頃には、半分眠りかかっていた。
    「……勝手に……増えてろッ……世界中に……世界中を……」
    主が投げやりに仰られている言葉も、ぼんやりとしか耳に入ってこない。
    「……ぶどうとか……勝手に食べていいから……」
    誰かに話しかけているようだが、どうやら私ではないらしい。
    「……青草とか……食べさせてやって……」
    誰と話しているのだろうか……?



    開発、第6日目。
    本日は世界全体を見直し、致命的なバグが残っていないかを、丸一日かけて確認。

    しかし前述の通り、私はこの時には相当疲れきっており、意識が朦朧としていた。
    どうにか世界を回り終えたが、はっきり言って、何を見ていたのかすら、よく覚えていない。
    「どう?」
    そう尋ねられたが、どうにかしゃんとした声を出すので精一杯だった。
    「問題無いと思います。非常にいい出来です」
    「よし」
    主が満足気にそう返されたのを聞き、私は心底、ほっとした。
    「とりあえず、一段落だな。明日は休んでいいよ。明後日、またよろしく」
    「はい」

    とりあえず、明日は一日、ゆっくりしよう……。



    開発、第7日目。
    報告しそびれたバグが何点かあったような、……気がする。
    明日には稼働開始であるため、急いで報告すべきではある。
    しかしそれを確かめ、報告するだけの気力は、私にはなかった。
    主も今日は休んでいるはずだ。報告したところで、修正されるはずもない。

    もういいや、寝よう……。
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    助手がもうちょっと仕事熱心だったなら、もうちょっとは住み良い世界になったかも分かりませんが、
    ただし多少なりとも、いや、相当バグだらけのゲームでも名作と称されることは、往々にしてあります。
    (スーパーマリオや初期のFFなんかもバグの宝庫ですし)
    もしかしたらこの世界も、案外いい話が転がっている、……の、かも。

    こんばんは~。 

    これは楽しいですね。
    語りが誰なのかはわかりませんが(神様の助手?)
    あるある、こういうこといかにもありそうだな、と思わずニヤニヤします。
    実に面白かったです。
    さて、どんな世界が出来上がったのやら・・・。
    あ、こんな世界か(バグだらけですもの・・・)
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