「双月千年世界 4;琥珀暁」
琥珀暁 第2部
琥珀暁・金火伝 2
神様たちの話、第78話。
エリザの今後。
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2.
《そう――第三の規範、それは『悪魔氏だけが倒せる限界まで、強いバケモノを出現させる』。
言い換えれば『悪魔氏にしか倒せないであろうバケモノが倒された時点で、出現を終了させる』。それが即ち、『絶滅』ってことなんだ」
「なるほど、それで合点が行った。
モールさんが『ゼロや自分くらい魔力持ってる奴が現れなきゃ、バケモノは絶滅しない』って言ってたんだが、その悪魔氏かどうか判断する基準が、魔力ってことか。
巨獅子3頭を一気に倒せるくらいのずば抜けた魔力を持ってる奴がいたら……」
《そこで多分、悪魔氏が現れたと判断するんだろう。判断されれば、後はもう、その地域では二度と出現しない。
バケモノは規範に従い、自ら絶滅するってわけさ》
「自分で絶滅するって説が確かだとすりゃ、そっちでもうバケモノが出て来なくなった理由も分かるな。
思い返してみれば、確かにどこの村でも巨獅子3頭で打ち止めだった。こっちでも、結果から見れば3頭だったしな。
つまり、逆に言えば……」
《巨獅子3頭が出現し、それを速やかに倒してしまえば、バケモノ側は悪魔氏が出現したとみなす。そして第三の規範が発動――ほぼ間違い無く、その村とその周辺には、二度とバケモノは出現しないだろうね。
でも念のため、最初に決めてた通り、あと2ヶ月駐留して欲しい。それで近隣にも出ないっぽかったら、もう引き上げちゃっていいよ。多分、今後出たとしても、エリちゃんが何とかするだろうし。
いや、今後のことを考えたら、彼女がやらなきゃダメだろう》
ゼロの言葉に、ゲートはもう一度うなずく。
「モールさんも同じことを言ってた。エリちゃんがこの村の村長になった時、他に頼る相手がいちゃ、彼女が困るだろうと。
となると俺たちも、あと2ヶ月経ったらさっさと引き上げた方がいいよな」
《そうだね。それに何度も山越えするのは、僕たちだって困るし。メノーも寂しがってたよ》
「はは……、そうだな。さっさと帰れるって言うなら、俺も異存は無い。
しかしさ、ゼロ。それじゃ納得しない奴もいるんだ」
《って言うと?》
「この村に金鉱床があると聞いて、欲を出してる奴が何人かいる。このままただ引き上げるんじゃ、そいつらも不満がるだろうからな」
ゲートがそう返したが、ゼロは黙り込み、応答しない。
「どうする?」
ゲートが促したところで、迷い迷いと言った口ぶりでゼロが答える。
《そうだな……。それについては、僕一人で決められない。エリちゃんを呼んできてもらってもいいかな?》
「分かった、ちょっと待っててくれ」
ゲートはエリザを呼び、ゼロとの連絡会議に参加させた。
《……と言うわけでエリちゃん、君が将来、どうするつもりなのか確認しておきたいんだ。
ただ、返事を聞く前に――誘導的な話をしてしまうことを許してほしいけど――君が村長になりたいと言うなら、僕たちは支援すると約束する。
まだ少女の君が『村をまとめたい』と言っても、反対する人間は多いだろう。でも、素直な感想を言えば、君が一番だろうと、僕は思っている。恐らくはモールも。
君がまとめ役、指導者になれば、そっちは大きく発展するだろう。政治的・経済的に見て、僕らと非常に良好な関係、いい取引相手になるだろうと見込んでいる。
だから君が村長になると決めたなら、僕たちは政治的、……あと、軍事的に支援する。もし誰かが君に危害を加えようとしたなら、僕たちは友好関係上、報復行動に出ると明言するし、実行もする。
その上で、聞かせて欲しい。君はこれから、どうする?》
「……」
エリザは一息、すう、と息を吸い込み、静かに答えた。
「ええ。何となくですけど、そのつもりではおりました。一方で、確かにこんな小娘が長やの何やの言うたって、納得せえへんヤツらがおるやろうな、とも。
ゼロさんが後押ししてくれはるっちゅうんやったら、そらもうありがたいです。是非、お願いします」
《良かった。じゃあ……》
ゼロが答えかけたところで、エリザが付け加える。
「ソレについて、いくつかお願いしたいコトがあるんです」
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エリザの今後。
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《そう――第三の規範、それは『悪魔氏だけが倒せる限界まで、強いバケモノを出現させる』。
言い換えれば『悪魔氏にしか倒せないであろうバケモノが倒された時点で、出現を終了させる』。それが即ち、『絶滅』ってことなんだ」
「なるほど、それで合点が行った。
モールさんが『ゼロや自分くらい魔力持ってる奴が現れなきゃ、バケモノは絶滅しない』って言ってたんだが、その悪魔氏かどうか判断する基準が、魔力ってことか。
巨獅子3頭を一気に倒せるくらいのずば抜けた魔力を持ってる奴がいたら……」
《そこで多分、悪魔氏が現れたと判断するんだろう。判断されれば、後はもう、その地域では二度と出現しない。
バケモノは規範に従い、自ら絶滅するってわけさ》
「自分で絶滅するって説が確かだとすりゃ、そっちでもうバケモノが出て来なくなった理由も分かるな。
思い返してみれば、確かにどこの村でも巨獅子3頭で打ち止めだった。こっちでも、結果から見れば3頭だったしな。
つまり、逆に言えば……」
《巨獅子3頭が出現し、それを速やかに倒してしまえば、バケモノ側は悪魔氏が出現したとみなす。そして第三の規範が発動――ほぼ間違い無く、その村とその周辺には、二度とバケモノは出現しないだろうね。
でも念のため、最初に決めてた通り、あと2ヶ月駐留して欲しい。それで近隣にも出ないっぽかったら、もう引き上げちゃっていいよ。多分、今後出たとしても、エリちゃんが何とかするだろうし。
いや、今後のことを考えたら、彼女がやらなきゃダメだろう》
ゼロの言葉に、ゲートはもう一度うなずく。
「モールさんも同じことを言ってた。エリちゃんがこの村の村長になった時、他に頼る相手がいちゃ、彼女が困るだろうと。
となると俺たちも、あと2ヶ月経ったらさっさと引き上げた方がいいよな」
《そうだね。それに何度も山越えするのは、僕たちだって困るし。メノーも寂しがってたよ》
「はは……、そうだな。さっさと帰れるって言うなら、俺も異存は無い。
しかしさ、ゼロ。それじゃ納得しない奴もいるんだ」
《って言うと?》
「この村に金鉱床があると聞いて、欲を出してる奴が何人かいる。このままただ引き上げるんじゃ、そいつらも不満がるだろうからな」
ゲートがそう返したが、ゼロは黙り込み、応答しない。
「どうする?」
ゲートが促したところで、迷い迷いと言った口ぶりでゼロが答える。
《そうだな……。それについては、僕一人で決められない。エリちゃんを呼んできてもらってもいいかな?》
「分かった、ちょっと待っててくれ」
ゲートはエリザを呼び、ゼロとの連絡会議に参加させた。
《……と言うわけでエリちゃん、君が将来、どうするつもりなのか確認しておきたいんだ。
ただ、返事を聞く前に――誘導的な話をしてしまうことを許してほしいけど――君が村長になりたいと言うなら、僕たちは支援すると約束する。
まだ少女の君が『村をまとめたい』と言っても、反対する人間は多いだろう。でも、素直な感想を言えば、君が一番だろうと、僕は思っている。恐らくはモールも。
君がまとめ役、指導者になれば、そっちは大きく発展するだろう。政治的・経済的に見て、僕らと非常に良好な関係、いい取引相手になるだろうと見込んでいる。
だから君が村長になると決めたなら、僕たちは政治的、……あと、軍事的に支援する。もし誰かが君に危害を加えようとしたなら、僕たちは友好関係上、報復行動に出ると明言するし、実行もする。
その上で、聞かせて欲しい。君はこれから、どうする?》
「……」
エリザは一息、すう、と息を吸い込み、静かに答えた。
「ええ。何となくですけど、そのつもりではおりました。一方で、確かにこんな小娘が長やの何やの言うたって、納得せえへんヤツらがおるやろうな、とも。
ゼロさんが後押ししてくれはるっちゅうんやったら、そらもうありがたいです。是非、お願いします」
《良かった。じゃあ……》
ゼロが答えかけたところで、エリザが付け加える。
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