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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 9 ~ 赤錆びたガンスミス ~ 8

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    ウエスタン小説、第8話。
    策謀巡る捜査線。

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    8.
     決戦前日の午前7時、ジョージタウンの次の駅、トマスリバーにて。
    「それじゃ皆、出発だ」
     半数を前の駅に残し、10名となった人員を前にし、ローは指示を出す。
    「次の便に乗り込み、スリーバックスに到着後、マーティン班は貨物車に潜んで待機。午後1時になったらビル前の第1ポイントに向かってくれ。
     バロウズ班は到着後すぐに駅を出て、第2ポイントに。それから俺の班は、午後2時まで駅で待ってから、第3ポイントに行くぞ」
    「……」
     ところが――誰ひとりとして敬礼もせず、姿勢も正さず、「了解」の一言も発しない。
    「なんだ?」
     ローがけげんな顔をし、尋ねたところで、背後からとん、と肩に手が置かれる。
    「え……」
     振り向いた次の瞬間、前の駅で降りたはずのダンが怒りを満面ににじませた顔で、ローのあごを殴りつけてきた。
    「ぎゃっ!?」
    「お芝居はそこまでだぜ、リーダー」
    「な……何故?」
     情けなく尻もちを着き、そのまま動けないでいるローに、ダンが拳銃を向ける。
    「何でここにってか? てめーの企みを見抜いてたからだよ。
     大体、無茶な話じゃねえか。いくらバレるかもって言ったってよ、20人プラス3人の大軍を、わざわざ3人、4人に分けるなんざ、自殺行為もいいところだ。各個撃破して殺してくれって言ってるようなもんだろ。
     じゃあどうして、そんなことをするのか? 簡単な話だ、殺してもらおうと図ってたんだ。俺たち特務捜査局にとって憎むべき凶悪犯であるはずの、トリスタン・アルジャンにな」
    「ば、馬鹿な! なんで俺がそんなこと……」
     弁解しかけたローに、エミルも拳銃を向けつつ近付いて来る。
    「それも単純な話ね。あんたがそう頼まれたからよ。今度はスミスだかジョンだか知らないけどね。
     昨夜、確かにあたしたちはジョージタウンで降りたわ。今日の昼の便で、スリーバックスに向かうってことでね。
     でもその前にちょっと、電話を掛けてみたのよ。特務捜査局にね」
    「……!」
     エミルの話を聞き、ローの顔から血の気が引く。その真っ青な顔を憮然と眺めつつ、アデルが話を継いだ。
    「特務局に電話してみたら、ミラー局長からものすごく驚かれたよ。『なんで今まで電話してこなかったんだ』、ってさ。
     どうやらあんたがご熱心に電話してたのは、特務局にじゃなく、もっと別のところだったってことだ。
     で、本当はどこに電話してたのか、ミラー局長を通じて電話会社に調べてもらった。そしたら……」
     そこでエミルがニッと笑い、ふたたび話を続ける。
    「A州、セントメアリー――スリーバックスの先にある駅に何度も電話してたってことが分かったわ。
     つまりあたしたちの動きは、組織にバレてるってことよね。あんたが逐一報告してくれたおかげで」
    「し、知らん! なんだよ、組織って?」
     ローは白を切ろうとするが、エミルはそこで、ダンに向き直る。
    「ダン、こいつの身体検査して。三角形のネックレスか何か、持ってるはずよ」
    「よし来た」
     ダンはごそごそとローの懐を探り、「あったぜ」と答える。
    「これか? この、三角形と目みたいなのが付いた奴」
    「それね。もう言い逃れできないわよ、リーダーさん?」
    「う……ぐ」
     ローはそれ以上反論せず、うつむいて黙り込んだ。
    「……しかし、となるとだ」
     ネックレスを握りしめたまま、ダンが不安そうな表情になる。
    「俺たちがこのままノコノコとスリーバックスに行っちまったら、返り討ちに遭うってことだろ? 何日も潰して折角ここまで来たってのに、退却しなきゃならんってのは悔しいぜ」
    「そうとも言い切れないわよ」
     エミルがパチ、とウインクする。
    「トリスタンはあたしたちが来ていることを知ってはいても、こうしてスパイがバレたことについては知らないわ。
     罠を張ってると高をくくって、堂々と真正面から乗り込んでくるはずよ。それこそ、あいつにとって最も大きな隙になる。
     だから、結論はゴーよ。このまま22人総出で、あの化物を退治しに行きましょう」
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