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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 9 ~ 赤錆びたガンスミス ~ 11

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    ウエスタン小説、第11話。
    活路を見出せ。

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    11.
     まだ戦々恐々としつつも、アーサー老人の極めて冷静な振る舞いに、局員たちの頭も冷えてきたらしい。
    「じゃあつまり、トリスタンは立て続けに攻撃してこれないってことなのか?」
     尋ねたダンに、ディミトリはうなずいて返す。
    「そうだよ。これは僕の経験から来る予測だけども、あの銃は多分、続けて6、7発も撃ったらシリンダー部分が熱膨張を起こし、残ってる弾がぎゅうぎゅうに締め付けられ、一斉に破裂しちまう。そんなことになったら、流石の兄貴でも腕が千切れ飛ぶだろう。
     そもそも弾自体、僕の特製なんだ。そこいらの店じゃ売ってるはずも無い。あんたたちがブッ壊してくれた店の中に、24発あるだけさ」
    「さっきビルから2回、銃声が聞こえたな。それに加えて、こっちは2名やられたし、窓際には2つ銃痕ができた。
     とすると――あいつが外して無い限り――残りの弾は18発ってことになるな」
     いつの間にか、アーサー老人とディミトリを除く全員が円陣を組むように集まり、対策を練り始める。
    「加えて、ディミトリの言葉を信じるとすれば、もう6発撃ってることになるから、銃には相当熱がこもってるはずだ」
    「冷やそうったって、そう簡単に冷えやしないだろう。となれば別の得物で攻撃してこざるを得ないだろうな」
    「おいディミトリ、奴は他にどんな武器を持ってる?」
     アーサー老人に止血を施してもらいつつ、ディミトリが答える。
    「いつも持ってるのは、普通のM1873と、カスタムしたやつの2挺だ。と言ってもこっちは通常の11ミリ×17ミリ弾を使う奴だけどね」
    「となればM1874が使えるようになるまで、その2挺で戦うしかないわけだ」
    「2人やられはしたが、まだこっちにはガトリング銃も、他の武器もある。
     奴の姿が見え次第、もういっぺん総攻撃だ」
    「待って」
     と、エミルが手を挙げる。
    「いくら何でも、こいつの言うことを素直に信用しすぎじゃない?」
    「馬鹿言うな」
     エミルの指摘に、ディミトリが憤った声を漏らす。
    「そりゃ確かに、あんたたちなんかに情報を渡す義理なんか無い。でも嘘ついたら間違い無くあんた、僕を撃ち殺すだろ?」
    「そりゃそうよ。こんな切羽詰まった時に騙すようなクズ、あたしが許すわけ無いじゃない」
    「だから、今まで言ったことは全部本当だよ。
     そもそもガンスミスの僕が、銃に関することでデタラメ言ったりなんかするもんか。その点はプライドがあるからね」
    「じゃ、あんたの言うことが本当だとして」
     そう前置きし、エミルは話を続ける。
    「それでも相手は、あの崩れ落ちるビルの中から生還した上、あの距離から一瞬で2人撃ち殺した奴よ? どんなに警戒したって、しすぎるってことは無いわ。
     二手に別れましょう。半分はここで奴の注意を引き付け、残り半分が左右から囲む。それならどうにか、あのトリスタンを抑えられるかも知れない」
     エミルの提案に、アーサー老人も賛成する。
    「私もその案を推そう。このままここで全員が固まっていては、トリスタンが逃げる可能性もある。そうなればスティーブ君とマシュー君は、ただの犬死にになってしまう」
     二人の意見に、局員たちは顔を見合わせ、揃ってうなずく。
    「分かった。じゃあ、誰が奴の左右に回り込む?」
     再度顔を見合わせるが、誰も答えない。
     眺めていたエミルが、はあ、とため息を付き、手を挙げる。
    「あたしが行く。他には?」
    「じゃ、……じゃあ、俺も」
     続いて、アデルがそろそろと手を挙げる。
    「お二人が行くなら、もちろん俺も行くっスよ」
     顔を青ざめさせつつも、ロバートが続く。
     3人手を挙げたことで、ようやく局員たちも覚悟を決めたらしい。
    「分かった。俺もやるよ」
     ダンと他2名が手を挙げたところで、エミルがうなずく。
    「オーケー。この6人で行くわよ。
     あたしたちはここを出て、右側に回る。あんたたちは左側からお願い」
    「分かった」
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