「双月千年世界 4;琥珀暁」
琥珀暁 第3部
琥珀暁・南都伝 3
神様たちの話、第120話。
鳳凰の思い出;邱醍カコ縺ィ縺ョ蜃コ莨壹>縲 。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
3.
「えっと、……ゼロと、鳳凰?」
そう尋ねてきた彼女に、ボクと、隣のゼロは揃って応じる。
「うん。僕がゼロ。隣がホウオウ」
「よろしくー」
手を差し出してはみたものの、正直言ってボクは、握り返してもらえるか不安だった。
いやね、彼女が見た感じヤバいって言うか、あ、ヤバいってのは怖いって意味合いもあるんだけど、マジな意味でのヤバさもあったんだよ。
あー、コレじゃ説明になってないよね。つまり彼女は、健康的な見た目じゃなかったんだよ。そう言う意味のヤバさ。
もしかしたら手を挙げる体力すら無いんじゃないかって思って、出会い頭に悪いコトしちゃったなと思ったんだけど……。
「よろしく、鳳凰」
でも彼女はすんなり、手を握ってくれた。ソレからゼロとも握手して。
ソレを横目に見つつ、ボクは彼女に尋ねてみた。
「他に人は? ***とか無い?」
「無いね。そんな上等な設備、この病院にあるもんかね」
「そっか」
安心したところで、ボクは彼女にもう一つ聞いてみた。
「えーと、緑綺(ロッキー)」
「なに?」
彼女は不機嫌そうな感じ半分、だるそうな感じ半分の目でにらんできた。
もしかしたらこうして話をするコト自体、相当辛いのかも知れないなって思ったんだけど、やっぱり気になったから聞いてみたんだ。
「何の病気なの?」
聞いた途端、彼女は「何を分かったコトを聞いてるんだかね」って言いたげな表情をボクに見せて、こう返してきた。
「不治の病。持って後3年だってさ」
「ま、最初に会った時は怖いなー、ヤバそうな人だなーって思ってたんだけどね、色々話してみたら面白いお姉ちゃんだったんだよね」
「そうか」
目を合わせず、にべもない返事をしたハンに、男は苦笑いしている。
「興味無さそうだね」
「無いな」
ハンもカップに茶を注ぎ、飲み始める。
「あんたにも、あんたの昔話にも興味は無い。他人の病気がどうだとかって話なんてのも、わざわざ聞きたいもんじゃ無い。
それ以上その話を続けたいって言うんなら、向こう向いて勝手にしゃべっててくれ」
「辛辣だなぁ。じゃあ、話題変えるよ」
「もういい。うんざりだ」
ハンはそう返したが、男は意に介していないらしく、またも話しかけてくる。
「ここ数年さ、この山も人の行き来が増えてきたよね」
「ああ」
「山の北と南の方で、ゼロとエリちゃんが色々頑張ってるって話もあちこちで聞いてるしね」
「何だって?」
ハンは苛立ちを覚え、男に食って掛かる。
「随分馴れ馴れしい呼び方だな」
「ん?」
「『ゼロ』に『エリちゃん』だと? あんた一体、何様のつもりだ?」
「何様って言われてもなぁ」
「そもそも、さっきから思ってたんだが」
ハンはカップを足元に置いて立ち上がり、男を見下ろす。
「あんたは何なんだ? 妙に上からモノを見てるなって雰囲気が、ぷんぷんと臭ってくる。
そんなに雲上人を気取りたいなら、俺がこの山から落っことしてやろうか」
「物騒だなぁ、もう」
男も立ち上がり、肩をすくめて返す。
「喧嘩腰にならないでよ。単純に、話がしたいだけなんだ。ソレだけ」
「生憎だが、俺の方には今、話をする気が全く無いんだ。正直に言えば、これ以上口を開きたくすらないって気分なんだよ。
それでもまだ何か、俺に話しかけてくる気か? それなら俺は言葉じゃなく、暴力に訴えるぞ」
「……分かった、分かったよ」
男はくるりと背を向け、そのまま歩き出した。
「まるで機嫌が悪い時のカズちゃんだよ。何言ったってキレるんだから、もう」
「さっさと行け」
ハンのダメ押しを背中にぶつけられながら、男はその場を去って行く。
ようやく静けさが戻り、ハンはふう、とため息を付く。
(何なんだ、今の奴は。……まあいい。これでようやく、落ち着いて茶が飲める)
男が残していったカップの中身を撒いて捨て、ハンは再び、焚き火の前に座り込んだ。
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3.
「えっと、……ゼロと、鳳凰?」
そう尋ねてきた彼女に、ボクと、隣のゼロは揃って応じる。
「うん。僕がゼロ。隣がホウオウ」
「よろしくー」
手を差し出してはみたものの、正直言ってボクは、握り返してもらえるか不安だった。
いやね、彼女が見た感じヤバいって言うか、あ、ヤバいってのは怖いって意味合いもあるんだけど、マジな意味でのヤバさもあったんだよ。
あー、コレじゃ説明になってないよね。つまり彼女は、健康的な見た目じゃなかったんだよ。そう言う意味のヤバさ。
もしかしたら手を挙げる体力すら無いんじゃないかって思って、出会い頭に悪いコトしちゃったなと思ったんだけど……。
「よろしく、鳳凰」
でも彼女はすんなり、手を握ってくれた。ソレからゼロとも握手して。
ソレを横目に見つつ、ボクは彼女に尋ねてみた。
「他に人は? ***とか無い?」
「無いね。そんな上等な設備、この病院にあるもんかね」
「そっか」
安心したところで、ボクは彼女にもう一つ聞いてみた。
「えーと、緑綺(ロッキー)」
「なに?」
彼女は不機嫌そうな感じ半分、だるそうな感じ半分の目でにらんできた。
もしかしたらこうして話をするコト自体、相当辛いのかも知れないなって思ったんだけど、やっぱり気になったから聞いてみたんだ。
「何の病気なの?」
聞いた途端、彼女は「何を分かったコトを聞いてるんだかね」って言いたげな表情をボクに見せて、こう返してきた。
「不治の病。持って後3年だってさ」
「ま、最初に会った時は怖いなー、ヤバそうな人だなーって思ってたんだけどね、色々話してみたら面白いお姉ちゃんだったんだよね」
「そうか」
目を合わせず、にべもない返事をしたハンに、男は苦笑いしている。
「興味無さそうだね」
「無いな」
ハンもカップに茶を注ぎ、飲み始める。
「あんたにも、あんたの昔話にも興味は無い。他人の病気がどうだとかって話なんてのも、わざわざ聞きたいもんじゃ無い。
それ以上その話を続けたいって言うんなら、向こう向いて勝手にしゃべっててくれ」
「辛辣だなぁ。じゃあ、話題変えるよ」
「もういい。うんざりだ」
ハンはそう返したが、男は意に介していないらしく、またも話しかけてくる。
「ここ数年さ、この山も人の行き来が増えてきたよね」
「ああ」
「山の北と南の方で、ゼロとエリちゃんが色々頑張ってるって話もあちこちで聞いてるしね」
「何だって?」
ハンは苛立ちを覚え、男に食って掛かる。
「随分馴れ馴れしい呼び方だな」
「ん?」
「『ゼロ』に『エリちゃん』だと? あんた一体、何様のつもりだ?」
「何様って言われてもなぁ」
「そもそも、さっきから思ってたんだが」
ハンはカップを足元に置いて立ち上がり、男を見下ろす。
「あんたは何なんだ? 妙に上からモノを見てるなって雰囲気が、ぷんぷんと臭ってくる。
そんなに雲上人を気取りたいなら、俺がこの山から落っことしてやろうか」
「物騒だなぁ、もう」
男も立ち上がり、肩をすくめて返す。
「喧嘩腰にならないでよ。単純に、話がしたいだけなんだ。ソレだけ」
「生憎だが、俺の方には今、話をする気が全く無いんだ。正直に言えば、これ以上口を開きたくすらないって気分なんだよ。
それでもまだ何か、俺に話しかけてくる気か? それなら俺は言葉じゃなく、暴力に訴えるぞ」
「……分かった、分かったよ」
男はくるりと背を向け、そのまま歩き出した。
「まるで機嫌が悪い時のカズちゃんだよ。何言ったってキレるんだから、もう」
「さっさと行け」
ハンのダメ押しを背中にぶつけられながら、男はその場を去って行く。
ようやく静けさが戻り、ハンはふう、とため息を付く。
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