「双月千年世界 4;琥珀暁」
琥珀暁 第3部
琥珀暁・練兵伝 3
神様たちの話、第128話。
女傑と女傑。
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3.
「あー、汗ごっつかいてもうたわー」
エリザは汗でびしょびしょになった肌着を着替えようと、宿舎へ向かっていた。
と、道の向こうから見知った顔が一人、尻尾をぴょこぴょこさせながら歩いてくるのが視界に入る。
「おー、マリアちゃんやないの」
「あ、エリザさん」
ぺこっと頭を下げるマリアに、エリザもぺら、と手を振って会釈する。
「一人で珍しいやん」
「あー」
マリアは顔を赤くしつつ、恥ずかしそうに答える。
「ご飯食べ終わってお昼寝してたら、こんな時間になっちゃって……」
「ぷ、……あははっ」
エリザはけらけら笑いながら、マリアの肩をぺちぺちと叩く。
「いつも思てたけどアンタ、ホンマに面白い子やねぇ。
なーなー、今日は自主訓練だけやんな?」
「え? あ、はい。でも早く行かないと、尉官に……」
「ハンくんにはアタシからよろしゅう言うとくから、一緒にお風呂行って、その後ご飯食べに行かへん?」
「えっ?」
目を丸くするマリアの手を引き、エリザは「ほな行こかー」と歩き出した。
エリザとマリアは宿舎に備え付けの大浴場に入り、揃って湯船に浸かっていた。
「はー……っ、えー気持ちやねぇ」
「ホントですね~」
大きな浴槽にたった2人で並び、張られたばかりの湯を満喫しつつ、エリザはあれこれとマリアに質問する。
「なーなー、マリアちゃん何歳?」
「今年で18です」
「軍に入って何年くらい?」
「12の時学校入ったんで、6年ですねー」
「学校出てすぐ、ハンくんトコに?」
「あ、その前に1年、バケモノ対策部隊ってトコに」
「あー、バケ対? でもアレ、『もういらん』っちゅうて、ゼロさんらが一昨年くらいに解散さして……」
「そーそー、そーなんですよ。
で、あたしの所属が宙ぶらりんになっちゃってたんで、そこで尉官のお父さんから、『息子の班に入るか』って声をかけていただいてー」
「あー、なるほどなぁ。せやから他の人に比べて、めっちゃ身軽なんやねぇ。体つきも何ちゅうか、全体的に引き締まっとるし。スタイルええよなぁ」
エリザにほめちぎられ、マリアはうれしそうにはにかむ。
「いや、そんなぁ。エリザさんだって、……すっごいおっきいし」
「アハハハ……」
「その見た目で10歳越えたお子さんが2人もいるなんて、絶対思えないですよー。……ってそう言えばエリザさんってー」
「うん?」
「ダンナさんいるんですか? お屋敷に行った時も、それっぽい人見たこと無いですし」
エリザにとってははっきり答え辛い話題を振られ、彼女は言葉を濁す。
「あー、まあ、おらへんのよ。ソコはソレや、一晩の熱い夜? みたいなんがな、2回とか3回とかくらい、な?」
「うわーお」
何を想像したのか、マリアはニヤニヤと、興味深そうな笑みを浮かべてくる。
「やっぱりエリザさんって、色々すっごい人なんですねぇ」
「そんなコトあらへんてー」
ゆっくり風呂を堪能した後、二人は宿舎近くの食堂に向かった。
「ほな、何食べよか? あ、今日はアタシおごるから、何でも好きなもん言うてや」
「ありがとーございまーす」
並んでカウンターに着き、間も無く店員が注文を取りに来る。
「あれ? ロッソさん、今日は先生と?」
「そーなの。お風呂で色々お話してた。あっと、注文だよね。
そんじゃ鱒定食とエビカツとアジフライとキノコのスープと揚げパン2個、お願いしまーす」
「ちょっ?」
横で注文を聞いていたエリザが驚き、マリアに聞き直す。
「えらい多くないか?」
「そうですか?」
「……アンタ、ドコにそんな入るん?」
「流石に食べた後はお腹、ぽこっとしてるんですけど、一晩寝たらスッキリ、どっか行っちゃいますねー」
「ホンマかいな……」
その後もマリアは次々に注文を繰り返し、1000クラムにも上る額を喰らい尽くして、エリザを呆れ半分に爆笑させた。
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女傑と女傑。
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「あー、汗ごっつかいてもうたわー」
エリザは汗でびしょびしょになった肌着を着替えようと、宿舎へ向かっていた。
と、道の向こうから見知った顔が一人、尻尾をぴょこぴょこさせながら歩いてくるのが視界に入る。
「おー、マリアちゃんやないの」
「あ、エリザさん」
ぺこっと頭を下げるマリアに、エリザもぺら、と手を振って会釈する。
「一人で珍しいやん」
「あー」
マリアは顔を赤くしつつ、恥ずかしそうに答える。
「ご飯食べ終わってお昼寝してたら、こんな時間になっちゃって……」
「ぷ、……あははっ」
エリザはけらけら笑いながら、マリアの肩をぺちぺちと叩く。
「いつも思てたけどアンタ、ホンマに面白い子やねぇ。
なーなー、今日は自主訓練だけやんな?」
「え? あ、はい。でも早く行かないと、尉官に……」
「ハンくんにはアタシからよろしゅう言うとくから、一緒にお風呂行って、その後ご飯食べに行かへん?」
「えっ?」
目を丸くするマリアの手を引き、エリザは「ほな行こかー」と歩き出した。
エリザとマリアは宿舎に備え付けの大浴場に入り、揃って湯船に浸かっていた。
「はー……っ、えー気持ちやねぇ」
「ホントですね~」
大きな浴槽にたった2人で並び、張られたばかりの湯を満喫しつつ、エリザはあれこれとマリアに質問する。
「なーなー、マリアちゃん何歳?」
「今年で18です」
「軍に入って何年くらい?」
「12の時学校入ったんで、6年ですねー」
「学校出てすぐ、ハンくんトコに?」
「あ、その前に1年、バケモノ対策部隊ってトコに」
「あー、バケ対? でもアレ、『もういらん』っちゅうて、ゼロさんらが一昨年くらいに解散さして……」
「そーそー、そーなんですよ。
で、あたしの所属が宙ぶらりんになっちゃってたんで、そこで尉官のお父さんから、『息子の班に入るか』って声をかけていただいてー」
「あー、なるほどなぁ。せやから他の人に比べて、めっちゃ身軽なんやねぇ。体つきも何ちゅうか、全体的に引き締まっとるし。スタイルええよなぁ」
エリザにほめちぎられ、マリアはうれしそうにはにかむ。
「いや、そんなぁ。エリザさんだって、……すっごいおっきいし」
「アハハハ……」
「その見た目で10歳越えたお子さんが2人もいるなんて、絶対思えないですよー。……ってそう言えばエリザさんってー」
「うん?」
「ダンナさんいるんですか? お屋敷に行った時も、それっぽい人見たこと無いですし」
エリザにとってははっきり答え辛い話題を振られ、彼女は言葉を濁す。
「あー、まあ、おらへんのよ。ソコはソレや、一晩の熱い夜? みたいなんがな、2回とか3回とかくらい、な?」
「うわーお」
何を想像したのか、マリアはニヤニヤと、興味深そうな笑みを浮かべてくる。
「やっぱりエリザさんって、色々すっごい人なんですねぇ」
「そんなコトあらへんてー」
ゆっくり風呂を堪能した後、二人は宿舎近くの食堂に向かった。
「ほな、何食べよか? あ、今日はアタシおごるから、何でも好きなもん言うてや」
「ありがとーございまーす」
並んでカウンターに着き、間も無く店員が注文を取りに来る。
「あれ? ロッソさん、今日は先生と?」
「そーなの。お風呂で色々お話してた。あっと、注文だよね。
そんじゃ鱒定食とエビカツとアジフライとキノコのスープと揚げパン2個、お願いしまーす」
「ちょっ?」
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「えらい多くないか?」
「そうですか?」
「……アンタ、ドコにそんな入るん?」
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