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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 4;琥珀暁」
    琥珀暁 第3部

    琥珀暁・奪港伝 2

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    神様たちの話、第134話。
    制圧完了、……か?

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    2.
    《2発目撃ち込んだったで。岸におった敵さんらは全員、市街地方面へ向こたわ》
    「了解。ではこちらも動きます」
     ハンは「頭巾」を頭から剥ぎ取り、背後に並んでいた大隊300人に命令する。
    「第1隊、左翼へ進め! 第2隊は右翼! 第3隊はこのまま前進せよ!」
    「はっ!」
     100人ずつに別れた大隊はざく、ざくと軍靴の音を立て、命じられた方向へと進む。
     ハンが直接率いる第3隊も、程無く街の門前に到着した。
    「目標地点に到着! これより門の破壊、および壁外からの威嚇(いかく)を開始する! 全員、所定の配置に付け!」
     指示に従い、門の前に魔術兵が数名立ち、そして残りの兵士が壁に沿うように並び、弓や投石具を手にする。
    「開始!」
     ハンの号令と同時に、魔術兵が門を攻撃する。
    「うおおおおおおッ!」
    「うりゃああああッ!」
     その一方で兵士たちが大声を上げながら、大量の煙幕弾を壁の向こうへ放り込んでいった。

     沖からの攻撃に慌てふためき、市街地に走ってきた敵たちは、そこで再度、面食らった様子を見せる。
     街の反対側から、自分たちの仲間が同じような素振りでなだれ込んできたからである。
    「**!?」
    「**! **!」
     互いに、半ばわめいているような声を出し合いながら、街の中心部にある広場で交錯し、ぶつかり合い、やがて立ち止まる。
    「****!?」
    「******!?」
    「**ーッ!?」
     状況がまったく把握できていないらしく、敵はただただ、戸惑ったような叫び声を挙げるばかりである。
     と――いつの間にか広場の真ん中に突き立てられていた金属板が、カッと光を放つ。
    「*ッ……」
     次の瞬間には――その場に寄せ集まっていた敵は全員、ばたりと倒れてしまった。



    「砦の監視班から連絡がありました。中心部に集められた敵性勢力、沈黙したとのことです」
    《上々やね。ほんでも気ぃ付けて入りや》
    「ええ」
     ハンは3つに別れていた隊を再び1つにまとめ、街の中に入る。
    「第1隊、第2隊の中から2班、8名ずつ選出し、門の防衛に当たらせてくれ。万が一敵を逃がした場合、そこで食い止めるためだ。
     残りは4名ずつで散開し、家屋や納屋、倉庫、その他建物内に敵が残っていないか、つぶさに確認してくれ」
     2部隊を街中に散らせつつ、残る第3隊を街の中心部、敵が倒れている場所まで進め、ハンは再度命令を下す。
    「敵全員の装備を解除しつつ、厳重に拘束してくれ。起き上がる可能性もあるから、警戒は緩めるな」
     命令してから3分もしないうちに、その場にいた全員が縄で両手と両腕をがっちり縛られ、無力化された。
    「……全然目を覚まさないな。生きてるよな?」
    「みたいですよ」
     ハンの傍らにいたマリアが拘束された敵に近寄り、首筋を触って確かめる。
    「息してるみたいですし、脈もちゃんとあります。気絶してる、……って言うより、まるで寝てるみたいですね」
    「流石はエリザさん、と言うべきか。
     さてと、後は残存してる敵がいないか、そろそろ他2隊からの返事が聞きたいところだが……」
     ハンは来た道に目をやり――安全確認に向かわせた兵士たちの一部が、慌てた様子でこちらに走ってきていることに気付いた。
     戻ってきた兵士たちが揃って真っ青な表情を浮かべているのを見て、ハンは嫌な予感を覚える。
    「どうした?」
    「隊長、敵と思われる者を1名発見いたしました!」
    「何?」
     ハンは報告に来た兵士たちを一瞥(いちべつ)するが、敵らしい人間を連行している様子が無いことを確認し、こう尋ねる。
    「逃げられたのか?」
    「申し訳ありません! 突然、家屋から飛び出してきて、とっさに反応ができず……」
    「どこに逃げたか分かるか?」
    「分かりません」
    「ふむ」
     ハンは兵士たちに一旦背を向け、敵の行方を予測する。
    (例えば、俺がこう言う状況で、たった一人残されたその相手だったとしたら、どう言う行動を採る? こうして大勢の敵に囲まれ、味方は見当たらないぞって言う、この状況に置かれた場合だ。
     真っ先に考え付くのは、港だ。俺たちが来た方向にそいつがいたってことは、そいつは必ず、この中心部、もしくはその付近を通ることになる。
     だがここに来た様子は無い。もし来てたんなら、とっくに誰かが拘束してるか、姿を目撃しているはずだからな。それらの報告が無い以上、その可能性は無いと見ていいだろう。
     となると反対方向、つまり門の方へ逃げたか)
     ハンは兵士たちに向き直り、命令を下した。
    「敵は門から脱出するつもりだろう。だが門は我々が閉ざしている。どんな屈強な奴だろうと、1分隊分の兵士を蹴散らして突破するのは不可能だ。
     敵も恐らく門前で状況に気付き、引き返してくるはずだ。それを迎撃する。
     手の空いている者、俺に付いて来てくれ」
    「了解です」
     命令に従い、兵士たちは武器を構え、ハンに追従した。
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