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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 11

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    ウエスタン小説、第11話。
    降って湧いた福音。

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    11.
    「と、とと、ともかくだ」
     マクレガー監督はガタガタと震えながらも、ダイヤの原石を机に置き、その前に座り込んだ。
    「お、お前らも座れ。と、と、とりあえず、あ、アレだ、か、か、会議だ」
    「はっ、はひ」
    「りょうきゃ、……了解っス」
     全員、机を囲んで座り込んだが、誰も言葉を発しない。
     誰も彼も、この親指の先程度の、ほんのり透き通る石に、すっかり気圧されてしまっていたのだ。
    「……で、その、アレだ、ケビン」
    「うっス」
    「どこで見付けた?」
    「坑道っス」
    「んなこたぁ分かってんだよ! そこら辺の道端に落ちてるわきゃねえだろうが!?」
    「あ、す、すんません! あの、昨日おやっさんがダメだっつってたトコっス」
    「あそこでか? 泥炭も褐炭も出なくなっちまって、やたら岩にしかぶつからなくなっちまったからな……。でも、そうか、うーん……」
     マクレガー監督は原石を恐る恐る手に取り、つぶさに眺める。
    「俺も詳しいわけじゃないが、ダイヤってのは確かに、こう言う青っぽいような黒っぽいような岩ん中から出てくるって話は、坑夫筋の知り合いから聞いたことはある。
     だけども、マジでダイヤ鉱床を掘り当てちまったってことは……」
     その言葉に、全員がごくりと固唾を飲む。
    「……俺たち、大金持ちっスか?」
     ケビンがおずおずと尋ねるが、マクレガー監督はがっかりした顔をケビンに向ける。
    「いや、そうはならねえよ。
     このダイヤは、メッセマー鉱業所有の鉱山から出たんだからな。出たものは全部、会社のものだ」
    「そんな……」
     と、ゴードンが原石に視線を向けたまま、ぼそっとつぶやく。
    「分かりゃしないですよ」
    「あん?」
    「俺たちが、いや、ケビンが今の今、誰も予想してないところでダイヤ掘ったなんてこと、本社の誰が知ってるって言うんです?
     このまま黙っちまいましょうよ」
    「……うーん」
     ゴードンの意見に、マクレガー監督は悩ましげにうなる。
    「まあなぁ……。考えてみりゃ、会社には散々煮え湯を飲まされてきたわけだし、今だってこんな僻地(へきち)に飛ばされてるわけだし。
     もしかしたら来る日も来る日も泥だらけになって穴ぐらにこもって頑張ってる俺たちに、神様がプレゼントしてくれたのかもな、……なんてな」
    「おやっさん、そんなに熱心でしたっけ」
    「これ見りゃ教会に通う気にも、賛美歌歌う気にもなるってもんだ」
     マクレガー監督は椅子から立ち上がりつつ、ケビンに尋ねる。
    「ケビン、案内してくれ。もしまだまだ原石採れるってんなら、色々考えなきゃならんからな」
    「うっス」

     その後、日が暮れるまで試掘を続け、マクレガー監督らはなんと2カラット相当ものダイヤを掘り出すことができた。
     だが――。
    「硬ってえなあ、クソっ」
    「つるはしが欠けましたぜ、おやっさん」
     ダイヤの鉱床となるキンバリー岩は相応に硬い岩石であり、錬鉄製のつるはしで掘り出すことは容易ではなかった。
     ゴードンが差し出した、先が大きく欠けたつるはしを一瞥し、マクレガー監督は悪態をつく。
    「ケッ、こんな安物何本あったって、掘り出せるもんか!
     いや、そもそも石炭とダイヤじゃ、硬さが天と地だからな。もっとマシな装備を用意しなきゃ、どうしようも無いぜ」
    「でも、そんな予算無いですよ」
    「……本社に掛け合ってみるか」
    「えっ!? 言うんですか、会社に」
    「勿論、あんなクソ会社に、バカ正直に『ダイヤ出たんですけど』なんて言いやしない。まあ、『石炭出そうです』とか適当に言って、予算出してもらおうぜ」
     マクレガー監督は本社に手紙を出し、返事を待った。



     半月後――本社から届いた手紙には、ただ二行、こう書かれていただけだった。
    「予算追加の必要性無し
     現状の装備で対応せよ」
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