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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 10 ~ 燃える宝石 ~ 12

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    ウエスタン小説、第12話。
    決死の強盗。

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    12.
    「……っざけんなボケえええッ!」
     手紙を読んだ途端、マクレガー監督は激怒した。
    「つくづくケチな会社だぜ、まったくよぉ! ……とは言え、確かにここで石炭掘るのに3万ドルもいらんからな。普通に、ただ石炭掘るだけって本社が考えるなら、要求が通るワケねーか」
    「でも、どうするんです? このまま壁眺めてるだけじゃ、どうにもなりませんぜ」
     ゴードンの言葉に、マクレガー監督は苦々しい表情を見せる。
    「分かってら。俺名義でどこかで借金して、……いや、もしもダイヤがまともに出なかったらヤバいか。そもそも一炭鉱夫に3万ドルも貸すはずが無え」
    「……あの」
     と、ケビンが意を決したように手を挙げ、立ち上がる。
    「俺が取って来ます」
    「あん?」
    「俺が本社に忍び込んで、カネを盗って来ます」
    「お、おいおい」
     突拍子も無いケビンの提案に、マクレガー監督は目を丸くする。
    「バカなこと言うなよ、ケビン。いくらなんでも、そこまでやっちまったら……」
    「俺だって、こんな合衆国の端っこまで飛ばされて、毎日毎日どろっどろに汚れて働かされてるってのに、その見返りがたったの週3ドルじゃあ、ちっとも納得できないですよ。
     会社だって、少しくらい報いを受けりゃいいんですよ」
    「……」
     その場にいた全員が、ケビンと同じ不満を抱いていたのだろう――罪を犯そうと息巻くケビンを、誰一人、咎めることができなかった。



     その8日後の夜、ケビンは単身、P州のメッセマー鉱業本社に忍び込んでいた。
     運良く鍵の開いていた窓から侵入し、ケビンは誰もいない、夜の社内を恐る恐るうろつく。
    (ツイてるぜ、俺。こりゃもう、神様が俺にやれ、盗んでよしっつってるんだろうな)
     そんな自分勝手なことを考えている間に、ケビンは難なく、金庫前にたどり着いた。
     だが――。
    「うっ」
     金庫にはダイヤル式の鍵が付いており、ケビンがその暗証番号を知るはずも無い。
    (……神様ぁ)
     神に祈りつつ、ダイヤルをかちゃかちゃと回してはみるが、何の反応も返っては来ない。
    (こうなったら壊して……)
     そんなことも考えてはみるものの、自分の手にあるのは一箱分のマッチだけである。
     また、金庫ごと盗み出そうにも、相手は3フィート以上もの大きな鉄塊である。ケビン一人では到底、その場から動かすことさえできそうになかった。
    「……こんなのって無いだろ、神様。あんまりだ」
     ついにケビンは途方に暮れ、金庫の前にへたり込んでしまった。

     と――。
    「誰だ!?」
     背後から、男の声が投げかけられる。
    (やべっ!)
     慌てて立ち上がり、後ずさったところで、ケビンは男と目が合う。
    「う……っ!?」
     その、カンテラに照らされた顔を見た途端、ケビンも、そしてその男も、同じ表情を浮かべた。
     いや――同じだったのは表情ではなく、顔そのものだったのだ。
    「な、んっ……!?」
     相手も面食らっているらしく、自分より20年は老けた顔を引きつらせている。
    「あ、あ……」
     ケビンも混乱していたが、どうにか口を開き、恐る恐る相手に尋ねてみた。
    「あんた、……誰だ?」
    「わ、私か? 私はオーウェン・グリフィス。ここの社員で、今晩の当直だ」
    「オーウェン? ……オーウェン・グリフィス!?」
     その名前を聞いた途端、ケビンの頭は驚愕と、そして怒りで満たされた。
    「あんた、デイジー・モリスンって知ってるか? 24年前、イギリスから移民でやって来た、デイジー・モリスンだ」
    「で、デイジー? ああ、そのデイジーには、心当たりがある。昔結婚したことがあるが、そのデイジーだろうか」
    「そうかよ」
     瞬間、ケビンはオーウェンに殴りかかっていた。
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