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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 11 ~ 大閣下の逆襲 ~ 2

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    ウエスタン小説、第2話。
    おともだち。

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    2.
    「なーんかさー」
    「ん?」
    「本っ当にエミル、あいつが気に入ってたんだなって」
    「まあ、そうだな。あの様子じゃな」
     オフィスの衝立に隠れるようにして、アデルと、そして昨年の暮れに彼の同僚となったダンが、こそこそと話していた。
    「伸びてきたわね、髪」
    「そ、そうですか?」
    「前のサイドパート(七三分け)も悪くなかったけど、あなたの顔なら、髪がもうちょっと長い方が似合ってるわよ」
    「あ、ありがとうございます。で、でも」
    「どうしたの?」
    「何と言うか、その、目の端に映るようになったって言うか、あの、うっとうしいなって言うか、そんな気もするので、あの、切ろうかどうしようかって」
    「あら、勿体無いわよ。あたしがまとめたげるから、そのまま伸ばしなさいな」
     二人の様子を衝立の間からチラチラと眺めながら、アデルたちはあれこれと邪推する。
    「サムとは何度か仕事してたんだろ? 前からあんな感じで、姐さんと仲良かったのか?」
    「そう言やそうだな。あいつの方も、俺やロバートとはあんまり積極的に話さなかったけど、エミルとはちょくちょく絡んでるし」
    「相思相愛ってか?」
    「な、何だよそれ? 女同士だぜ?」
    「有り得ん話でもないだろ」
    「あってたまるか。ってか前も『サムはミラー元局長の……』だの何だのって言ってたよな。そう言うのが好きなのか、お前ら」
    「面白いだろ? そう言う話の方が」
    「俺には分からん……」
     と、衝立からトントン、とノックの音が響く。
     アデルが振り返ると、衝立の上から顔を出していたエミルと目が合った。
    「あっ」
    「あっ、じゃないわよ。何話してんのよ」
    「いや、その」
     たじろぐアデルを薄くにらみながら、エミルは刺々しい口調で続ける。
    「なんならマジで、サムにキスして来よっか?
     その後であんたたちには、あたしのスコフィールドとキスしてもらうけど。喉まで突っ込むがっつりディープなやつよ」
    「……すまん」「俺が悪かった」
     アデルとダンが揃って頭を下げたところで、エミルはくる、と背を向ける。
    「悪いと思ってるなら、『ランクス&アレックス』のキャラメルクランチドーナツ、オフィスにいる人数分買って来なさいよ。揚げたてで。
     あたしはコーヒー淹れてくるから、その間によろしく」
    「おう」
     アデルたちがそそくさとオフィスを出たところで、エミルはサムに声をかける。
    「そんなわけだから、あんたも手伝ってちょうだい」
    「あっ、は、はい」
     サムはガタガタと音を立てながら机を離れ、辺りを見回す。
    「え、と……、あれ?」
    「どうしたの?」
     そう尋ねながら、エミルもオフィス内を一瞥し、「ああ」と声を上げる。
    「局長なら留守よ。『おともだち』とDCで会食ですって」
    「ワシントンに?」
    「ええ。『もうじき代替わりだからいい加減、彼の栄光と幸運を祝いに行く』とか何とか言ってたわね」
    「代替わりって、……えっ、ま、まさか、それって?」
     目を丸くするサムに、エミルはいたずらっぽく笑って返す。
    「ま、本当の目的は他にあるんでしょうけどね」
    「え?」
     一転、エミルは真面目な顔になる。
    「探りに行ったのよ、政府筋を。
     ほら、前にも話したでしょ? 司法省に組織の手が伸びてるんじゃないか、って」
    「え、ええ」
    「ま、現時点では局長も、『本当に司法省が掌握されているか、私にも確証は無い』って言ってたけど、懸念はしてたみたいよ。
     あたしたちがその話をしてから局長、大きなところにあっちこっち、顔を出してるみたいだから」
    「大きなところ?」
    「この周りだと、W&B鉄道とか大西洋交易銀行とか。後はD州の連邦信託とか、P州の東海岸製造とかね」
    「大丈夫なんですか? 組織が、その、活発化してると聞きましたけど……」
     そう尋ねたサムに、エミルは憂鬱そうな顔を向ける。
    「一応、腕利きって自慢してるのを何人かボディガードに付けてるって言ってたけど、それでもこんなにしょっちゅう出歩いてたら、不安になってくるわね。
     と言っても、今更あたしたちがDC行ったってどうしようもないし、無事に帰って来るのを待つしか無いわね」
    「はあ……はい」
     エミルの言葉に、サムはただひたすら、戸惑った顔をするばかりだった。
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