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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 11 ~ 大閣下の逆襲 ~ 12

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    ウエスタン小説、第12話。
    掃討。

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    12.
    「しかし何故ここに? Lやミヌー君の話では、君は東部地域で企業や政府筋を探っていたと聞いていたが」
     尋ねたアーサー老人に、パディントン局長は事も無げに答えた。
    「東洋のことわざにあるだろう? 『敵を騙すにはまず味方から』だ。
     DCへ行くと見せかけ、君のところに向かっていたんだ。恐らく君は、この局面に至ればかなり性急な真似をするだろうと読んでいたからね」
    「うぬ……」
     憮然顔のアーサー老人に構わず、パディントン局長は続ける。
    「案の定、君はギルマンを仕留めるなり、『兵隊を寄越せ』などと無茶を言ってLを困らせていたな。聞いていて思わず頭を抱えそうになったよ」
    「なに、……では、君は私が探偵局に電話をかけた時、既に近くにいたと言うのか」
    「うむ、ダリウスのすぐ後ろでバーボンを呷(あお)る振りをしていた。
     話を戻そう。逸(はや)る君はダリウスの奸計にはまり、むざむざ敵陣の奥深くに入り込んでしまった。このまま放っておいては、結果は火を見るより明らかだ。そこでわたしはダリウスの集めた手下の一人に変装し、ここまで来たと言うわけだ」
     説明し終え、パディントン局長は辺りを見回す。
    「さて、次に論じるべきは我々がどうやってこの窮地から脱するかだが」
    「策はあるのですか?」
     尋ねたイクトミに、パディントン局長は自信有りげにうなずいて返す。
    「無ければむざむざ敵陣まで来るはずがあるまい?
     そもそもわたしは、ダリウスの軍勢の中に紛れてやって来たのだ。彼らがどこから入り、どのルートを通ってここまで来たか、しっかり把握している。
     そして彼らの警備網をどうかいくぐるかも……」
     と、そこまで話したところで――その場にパン、パンと立て続けに銃声が響き渡った。

     10分後――。
    「ボス、戻りました」
     ぴかぴかに磨かれたニッケルメッキのSAAで口の中を確認していたDJのところに、男たちが戻ってきた。
    「んあっ? ……おー、仕留めたか」
    「ええ」
     男たちに引きずられる形で、血まみれの白装束を身にまとった男と、他の手下たちと同様の、西部者の格好に扮した男たちが運ばれてきた。
    「固まって相談し合ってたところをズドン、ってな具合でさ。一人増えてましたが、仕留めちまって良かったですかね」
    「ああ、上々だ」
     DJは引きずられてきた彼らの顔をカンテラで照らし、いずれも事切れていることを確認する。
    「ヘッ、10年俺たちを手こずらせてきた伝説の男も、流石にこれだけの布陣じゃ凌ぎようが無かったか。
     そんじゃ、ま、これで俺たちの仕事は終わりだな。全員撤収だ」
    「ういっす」
     DJの命令に従い、男たちは全員、その場から去って行った。
    「……あ、あの、ダリウス」
     と、この間ずっと、呆然と立ち尽くしていたワットウッド翁が、最後に立ち去ろうとしていたDJに声をかける。
    「ん? どうした、じいさん」
    「一体、大閣下はどちらへ? いつの間に地下本営を出ていたのだ?」
    「ああ、そう言や説明してなかったんだっけか」
     DJはくるんと踵を返し、にこにこと微笑む。
    「いやな、大閣下のお心変わりがちょいと、あったもんでさ。ちっと別のところに、居を構え直そうって話になったんだよ。
     そもそもあんたん家の真下に地下本営作ろうって言い出したのが、ギルマンのおっさんだったろ? そこが大閣下のお気に召さなかったみたいでね」
    「そ、それは構わないが……、では、今はどこに?」
     尋ねたワットウッド翁から目をそらし、DJは右手に持ったままだったSAAの弾倉を確認する。
    「さあね。あんたが知らない場所だってことだけは確かさ」
    「え……? 教えてくれんのか? 何故だ?」
    「言ったろ? 大閣下はギルマン関係がお気に召さなくなっちまったって」
     弾が6発すべて装填されていることを確認し終え、DJはワットウッド翁に、SAAを向けた。
    「あんたもその内の一つってことだ」
    「は……?」
     DJの言ったことが理解し切れていない様子のワットウッド翁に、DJはパン、と鉛弾を撃ち込んだ。
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