黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 4;琥珀暁」
    琥珀暁 第4部

    琥珀暁・交誼伝 4

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    神様たちの話、第183話。
    秘密の看破と、虎王の再訪。

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    4.
    「あまりあれこれと質問するのもわずらわしいでしょうから、3回だけにします。
     まず1つ目、殿下は尉官とエリザ先生の関係について、公に開かせないような秘密を握っているような素振りを見せていましたが、それは男女関係……」
     言いかけて、ビートの方が首を傾げた。
    「ちょっと待って下さいね。……マリアさん、尉官が殿下以外の女性とそうした関係を持つ可能性があるでしょうか?」
     ビートにこそこそ問われ、マリアが「無い無い」ときっぱり否定する。
    「そんなの、月が落ちてくるくらい有り得ないから」
    「ですよね。……お待たせしました。それは尉官か、その家族に関係するものですか?」
     この問いに、クーは一瞬迷ったような表情を見せたが、大きく首を横に振った。
     が、それが嘘であることを、ビートはあっさり見抜いたらしい。
    「では2つ目、それはエリザ先生のお子さんとも関係あることですか?」
    「え」
    「仕草で分かります。もし答えたくないと言うことであれば、何もしなくて結構です」
    「あっ、は、はい」
     そう言われ、クーは首を縦、横のどちらにも振らなかったが、それも見透かされてしまう。
    「なるほど。……3つ目の質問をしようと思いましたけど、やめときます。殿下は嘘が付けないみたいなので」
    「あぅ」
     と、しゅんとした表情になったクーの耳に、ビートが口を寄せる。
    (つまり、……尉官と、エリザ先生のお子さんたちは、異母兄弟なんですね)
    (えっ)
     クーが目を丸くしたところで、ビートは最後にこう付け加えた。
    「その2つを肯定されたら、答えはほとんど出たようなもんですし。分かりました、この話は秘密にしておきます。マリアさんも内緒でお願いしますね」
    「はいはーい」
     にこにこ微笑んだまま応えるマリアを見て、クーは頭を抱えてうずくまる。
    「お二人に知られてしまうなんて……。わたくし、ハンに顔向けできませんわ」
    「秘密にしますって。もしバレたら、僕たちの立場だって相当まずくなりますし。
     測量班や遠征隊の結成にはシモン将軍が関わってるんですから、もし将軍の立場が危うくなれば、遠征隊の解散や尉官の更迭・除隊も有り得ますからね。そんな危険を冒してまで公表する話じゃありません。
     僕たちにしても、そんなことになれば強制帰国を命じられる可能性があります。新天地を訪れると言う滅多に与えられない絶好の機会を、自分で潰すようなことはしません。約束します」
    「……そう。でしたら、信じることにいたしますけれど」
     クーはのろのろと顔を挙げ、懇願した。
    「くれぐれも、わたくしが秘密を漏らしてしまったと言うようなことは、ご内密にお願いいたしますわよ」
    「ええ、勿論です」
    「だいじょぶですよー」

     と――。
    「(失礼、もしやタイムズ殿下ではござらんか?)」
     声をかけられ、クーは後ろを向く。
    「あら。(ごきげんよう、ノルド陛下)」
     そこには先日ハンたちが持て成したノルド王と、その家臣団の姿があった。
    「(こんな往来でお会いするとは。殿下自らの視察と言うところか?)」
    「(さようですわ。陛下は如何されたのでしょう?)」
    「(うむ、我々の側で色々と、まとまったことがあったのでな。伝えに来た次第だ。まあ、そのー……、後はも一つ、私用と申せばよいか、そのような件もあるのでな)」
    「(ゴールドマン女史にご用事でしょうか)」
     その名を出した途端、ノルド王は虎耳の内側まで、顔中を真っ赤に染める。
    「(ああ、いや、うむ、そうだな、彼女とも話ができれば結構であるが、……いやその、オホン、オホン)」
     もごもごとごまかしつつ、ノルド王は話題を切り替える。
    「(しょ、所期の目的であるが、その、……あー、と)」
    「(往来でいたせそうなお話ではないご様子ですわね。ではご一緒に、王宮まで参りましょう)」
    「(うむ)」
     ノルド王を伴い、王宮に向かおうとしたところで、クーは「あら」と声を上げる。
    「(本日は家臣団の皆様、全員ではいらっしゃいませんのね)」
    「(うむ、毎回全員でぞろぞろと押しかけては迷惑であろうと思うてな)」
    「(家臣の皆様を信頼していらっしゃいますのね)」
    「(うん? それはどう言う意味であるか?)」
     きょとんとするノルド王を見て、クーは「(いえ、何でもございませんわ)」と返した。
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