「双月千年世界 短編・掌編・設定など」
世界観・補足・考察
双月世界地図;琥珀暁(第4部)
「琥珀暁」第4部の地図と、「衝北伝」「奸智伝」における、「ゼロ軍+友軍」対「帝国沿岸方面軍」の進行ルート。
まず第4部の地図。

こうして地図上で見てみると、ノースポートとホープ島はあまり距離が無いようにも思え、
「この島もしかして、ノースポートから見えたんじゃないか?」と言う疑問もあるかも知れませんが、
世界地図の幅が2,400ピクセル、現実の地球における赤道の長さ(つまり地球上の、最も円周が大きくなる箇所)
が40,000kmなので、双月世界と現実世界が同じ大きさと考えた場合、1ピクセル辺り16.67kmの長さ。
そこからノースポート-ホープ島間の距離を計算すると、およそ80ピクセル分。
つまり1,300km以上開いていることになります。東京都から八丈島までがおよそ300kmなので、この4倍強の距離。
現実に即して考えると、まず間違い無く見えません。
行くにしても、この当時の漁船のような小型木造船で航行可能な距離は恐らく往復300kmにも満たず、
そんな小舟で「ずーっと行ってみたら」、確実に往路の途中で難破します。
……改めて考えてみると、本当に杜撰で無謀かつ、非現実的な上に非人道的な航海だったんだなぁ、と。
現実の歴史ではコロンブスが無茶な航海を強行したせいで反乱を起こされ、殺されかけた事例が知られていますが、
よくイサコは反乱も処刑もされず無事に漂着、いや、到着できたもんだなぁ、と。
地図上の、緑の線で囲ってあるところがいわゆる「沿岸部」。
北方大陸は名前通りに北の方にあり、双月世界では相当日照時間が短く、厳しい寒さが続くところです。
双月千年世界を通し、作中では「北方唯一の不凍港」として扱われているテプロイモア(グリーンプール)も、
一年中使えるわけではなく、厳寒期には凍ります。
当然、その間の漁業はできるはずも無く、「火紅狐」以降の時代のように貿易が行われていない時代のこの街は、
相当食べるものに苦労していたことと思われます。虎獣人の人たちはよく我慢できたなぁ。
(閑話――ジョジョの奇妙な冒険第6部に、『最初にキノコを食べた者を尊敬する』と言うセリフが登場しますが、
この北方の地で最初にキノコとかフグを食べるような奴は、絶対に虎獣人なんだろうなぁ、って)
恐らく、熊獣人や虎獣人の人たちは、帝国の植民・人種隔離政策上の措置として、
貧しい土地へと追いやられて行ったんだろうな、と考えられます。
21世紀における人道上の観点からは考えられないレベルの最低な施策ですが、
まだ海の向こうに人がいるかどうかも、って程度の時代だと、ちょっとでも形が違うなって人たちを、
同じ「人間」として見られなかったのかも知れませんしね。
さて、堅い話を続けてしまいましたが、本番はここからです。

「衝北伝」におけるゼロ軍とユーグ王国軍による混成軍と、帝国沿岸方面軍(以下『沿岸軍』)との戦いについて。
結論から言うと、沿岸軍は沿岸部にいる人たちのことを劣等人種と見下し、舐めきっていました。
恐らく上述の人種隔離政策が行われたのも、皇帝ジーンが「自分たちと程度の違う賤民を遠ざけよう」と図ったため。
そうした理由から、斥候もろくに行わないばかりか、前線もまともなものを構築せず、
街道のど真ん中に本陣を構える形を採っていました。
「十把一絡げの賤民が大勢攻めてきたところで我々のような選ばれし者たちが負けるはずも無い」
とか何とか、ぬるーいことを考えて。
が――十字軍がイスラム教圏で撃退されたのもしかり、ヨーロッパと盛んに交流していた清国が明国を下したのもしかり。
レベルの違う文明国と、あるいはそれらと接触・交流した勢力と戦闘したらどうなるか、結果は火を見るよりも明らかと言うもの。
ハン率いる遠征隊とユーグ王国の混成軍は、あろうことか正面突破で沿岸軍を蹴散らしてしまいました。
勝因としては、
・沿岸軍が見張りも何も立てずにぐっすり眠っていた
・沿岸軍がまともに情報収集せず、遠征隊と王国軍の結託を把握していなかった
・沿岸軍が混成軍に対し、圧倒的に少ない人員しか投下しなかった
など、明らかに沿岸軍の落ち度が目立ちます。
作者の僕としては勿論、ハンたちの側を無条件でひいきするものですが、それにしたって、
沿岸軍はもうちょい相手を知るべく動いた方が良かったのではと思います。
兵士一人辺りの強さとしては沿岸部に軍配が上がりますし、もっと頭を使って戦えば、結果はずいぶん違ったはず。
と言って、頭を使っただろうにこの体たらく。

前回の敗北で流石に学んだらしく、ある程度は情報収集したようです。
で、メンツの問題もあるので、今度は勝てる相手に勝たなきゃいけないとばかり、ミェーチ軍団に攻撃を仕掛けました。
……が、この行動も混成軍側の智将エリザに読まれてしまっており、彼女が仕掛けた戦略、
即ち「ミェーチ軍団がクラム王国・ノルド王国と結託する」と言う、
沿岸軍にとって決してありえない、想定外の流れに呑み込まれ、ミェーチ軍団へ向けた軍勢は殲滅。
監視基地に残っていた兵力もハン率いる別働隊に叩き潰され、沿岸軍はあっけなく壊滅しました。
ちょっと年をまたいでしまいますが、後もうちょっとで第4部も終了です。次は多分6月くらい。
沿岸軍の惨憺たる戦果を踏まえて、帝国軍も次はもっと、手強くなっていくはず。
果たしてエリザはその上を行くのか。そしてハンはエリザ(とクー)の無茶振りに耐え切れるのか。
乞うご期待。
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まず第4部の地図。

こうして地図上で見てみると、ノースポートとホープ島はあまり距離が無いようにも思え、
「この島もしかして、ノースポートから見えたんじゃないか?」と言う疑問もあるかも知れませんが、
世界地図の幅が2,400ピクセル、現実の地球における赤道の長さ(つまり地球上の、最も円周が大きくなる箇所)
が40,000kmなので、双月世界と現実世界が同じ大きさと考えた場合、1ピクセル辺り16.67kmの長さ。
そこからノースポート-ホープ島間の距離を計算すると、およそ80ピクセル分。
つまり1,300km以上開いていることになります。東京都から八丈島までがおよそ300kmなので、この4倍強の距離。
現実に即して考えると、まず間違い無く見えません。
行くにしても、この当時の漁船のような小型木造船で航行可能な距離は恐らく往復300kmにも満たず、
そんな小舟で「ずーっと行ってみたら」、確実に往路の途中で難破します。
……改めて考えてみると、本当に杜撰で無謀かつ、非現実的な上に非人道的な航海だったんだなぁ、と。
現実の歴史ではコロンブスが無茶な航海を強行したせいで反乱を起こされ、殺されかけた事例が知られていますが、
よくイサコは反乱も処刑もされず無事に漂着、いや、到着できたもんだなぁ、と。
地図上の、緑の線で囲ってあるところがいわゆる「沿岸部」。
北方大陸は名前通りに北の方にあり、双月世界では相当日照時間が短く、厳しい寒さが続くところです。
双月千年世界を通し、作中では「北方唯一の不凍港」として扱われているテプロイモア(グリーンプール)も、
一年中使えるわけではなく、厳寒期には凍ります。
当然、その間の漁業はできるはずも無く、「火紅狐」以降の時代のように貿易が行われていない時代のこの街は、
相当食べるものに苦労していたことと思われます。虎獣人の人たちはよく我慢できたなぁ。
(閑話――ジョジョの奇妙な冒険第6部に、『最初にキノコを食べた者を尊敬する』と言うセリフが登場しますが、
この北方の地で最初にキノコとかフグを食べるような奴は、絶対に虎獣人なんだろうなぁ、って)
恐らく、熊獣人や虎獣人の人たちは、帝国の植民・人種隔離政策上の措置として、
貧しい土地へと追いやられて行ったんだろうな、と考えられます。
21世紀における人道上の観点からは考えられないレベルの最低な施策ですが、
まだ海の向こうに人がいるかどうかも、って程度の時代だと、ちょっとでも形が違うなって人たちを、
同じ「人間」として見られなかったのかも知れませんしね。
さて、堅い話を続けてしまいましたが、本番はここからです。

「衝北伝」におけるゼロ軍とユーグ王国軍による混成軍と、帝国沿岸方面軍(以下『沿岸軍』)との戦いについて。
結論から言うと、沿岸軍は沿岸部にいる人たちのことを劣等人種と見下し、舐めきっていました。
恐らく上述の人種隔離政策が行われたのも、皇帝ジーンが「自分たちと程度の違う賤民を遠ざけよう」と図ったため。
そうした理由から、斥候もろくに行わないばかりか、前線もまともなものを構築せず、
街道のど真ん中に本陣を構える形を採っていました。
「十把一絡げの賤民が大勢攻めてきたところで我々のような選ばれし者たちが負けるはずも無い」
とか何とか、ぬるーいことを考えて。
が――十字軍がイスラム教圏で撃退されたのもしかり、ヨーロッパと盛んに交流していた清国が明国を下したのもしかり。
レベルの違う文明国と、あるいはそれらと接触・交流した勢力と戦闘したらどうなるか、結果は火を見るよりも明らかと言うもの。
ハン率いる遠征隊とユーグ王国の混成軍は、あろうことか正面突破で沿岸軍を蹴散らしてしまいました。
勝因としては、
・沿岸軍が見張りも何も立てずにぐっすり眠っていた
・沿岸軍がまともに情報収集せず、遠征隊と王国軍の結託を把握していなかった
・沿岸軍が混成軍に対し、圧倒的に少ない人員しか投下しなかった
など、明らかに沿岸軍の落ち度が目立ちます。
作者の僕としては勿論、ハンたちの側を無条件でひいきするものですが、それにしたって、
沿岸軍はもうちょい相手を知るべく動いた方が良かったのではと思います。
兵士一人辺りの強さとしては沿岸部に軍配が上がりますし、もっと頭を使って戦えば、結果はずいぶん違ったはず。
と言って、頭を使っただろうにこの体たらく。

前回の敗北で流石に学んだらしく、ある程度は情報収集したようです。
で、メンツの問題もあるので、今度は勝てる相手に勝たなきゃいけないとばかり、ミェーチ軍団に攻撃を仕掛けました。
……が、この行動も混成軍側の智将エリザに読まれてしまっており、彼女が仕掛けた戦略、
即ち「ミェーチ軍団がクラム王国・ノルド王国と結託する」と言う、
沿岸軍にとって決してありえない、想定外の流れに呑み込まれ、ミェーチ軍団へ向けた軍勢は殲滅。
監視基地に残っていた兵力もハン率いる別働隊に叩き潰され、沿岸軍はあっけなく壊滅しました。
ちょっと年をまたいでしまいますが、後もうちょっとで第4部も終了です。次は多分6月くらい。
沿岸軍の惨憺たる戦果を踏まえて、帝国軍も次はもっと、手強くなっていくはず。
果たしてエリザはその上を行くのか。そしてハンはエリザ(とクー)の無茶振りに耐え切れるのか。
乞うご期待。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
本年の投稿はこれで最後。そして24時間後には新年最初の投稿がある予定です。
年末年始の休暇も無いので、季節感も何もあったもんじゃないですが、
とりあえず季節だと言うことで、年末のご挨拶をば。
本年は非常に創作意欲がガンガン湧いてきた年でした。
ちょっと前にも言及しましたが、双月千年世界を2部、DWを3作+1作。
それに加えてイラスト13点、ドット絵27点。
この数年で一番の製作数です。
今年は自分にとって当たり年でした。年収も去年、一昨年の倍になったし。
来年がどうなるかは分かりませんが、今年以上のいい年であることを切に祈ります。
そして来年こそは本を出せるように。それに備えてDW、……いや、「OW」書いたし。
当ブログをご訪問いただきました皆様、本年は大変お世話になりました。
年の瀬も迫りに迫ってのご挨拶となりますが、良いお年をお過ごしください。
本年の投稿はこれで最後。そして24時間後には新年最初の投稿がある予定です。
年末年始の休暇も無いので、季節感も何もあったもんじゃないですが、
とりあえず季節だと言うことで、年末のご挨拶をば。
本年は非常に創作意欲がガンガン湧いてきた年でした。
ちょっと前にも言及しましたが、双月千年世界を2部、DWを3作+1作。
それに加えてイラスト13点、ドット絵27点。
この数年で一番の製作数です。
今年は自分にとって当たり年でした。年収も去年、一昨年の倍になったし。
来年がどうなるかは分かりませんが、今年以上のいい年であることを切に祈ります。
そして来年こそは本を出せるように。それに備えてDW、……いや、「OW」書いたし。
当ブログをご訪問いただきました皆様、本年は大変お世話になりました。
年の瀬も迫りに迫ってのご挨拶となりますが、良いお年をお過ごしください。
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総もくじ
双月千年世界 3;白猫夢

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双月千年世界 2;火紅狐

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双月千年世界 1;蒼天剣

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短編・掌編

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今日の旅岡さん

- ジャンル:[小説・文学]
- テーマ:[自作小説(ファンタジー)]
~ Comment ~
NoTitle
あれ、違ったっけ、と思って全部読み返して調べましたら、「地学・天文学」についてわたしが質問したときに「世界は球形である」ときちんと回答に明記されていました。すみません。<(_ _)>
誰かほかの人と間違えたみたいです(汗。年のせいか記憶が混濁していて行けません……
こんなミスもしましたが、本年もよろしくお願いいたします。
誰かほかの人と間違えたみたいです(汗。年のせいか記憶が混濁していて行けません……
こんなミスもしましたが、本年もよろしくお願いいたします。
NoTitle
海路ならともかく、陸路で1,300km行軍は流石に非現実的ですね。実際はもっと少ないだろうと思います。
地図には適当な描写も少なからずあるので、地図上の誤りは多分にあります。修正はめんどくさいからしませんが。
なお、この世界は球形です。見えないのはご指摘の通り、丸いからです。
平らであるとは一度も言った覚えがないはずですが……。
地図には適当な描写も少なからずあるので、地図上の誤りは多分にあります。修正はめんどくさいからしませんが。
なお、この世界は球形です。見えないのはご指摘の通り、丸いからです。
平らであるとは一度も言った覚えがないはずですが……。
NoTitle
ノースポート=ホープ島間が1300kmってことは、
目測ですが、テプロイモア上陸後、ハンたちは駐屯地まで陸路を1300kmも進軍したんですか?
たしかこの世界は平らと伺ってましたので……わたしの記憶違いで球形だとしても、それほど緯度に差がないので、少なくとも1000kmはあるような……。
あと、それと、地球上で300km離れた陸地が見えないのは、地球が丸くて水平線に隠れるからであって、この世界の曲率しだいによっては、望遠鏡があれば、もしくは裸眼視でも、月のクレーターくらいはっきりと見えます……。
目測ですが、テプロイモア上陸後、ハンたちは駐屯地まで陸路を1300kmも進軍したんですか?
たしかこの世界は平らと伺ってましたので……わたしの記憶違いで球形だとしても、それほど緯度に差がないので、少なくとも1000kmはあるような……。
あと、それと、地球上で300km離れた陸地が見えないのは、地球が丸くて水平線に隠れるからであって、この世界の曲率しだいによっては、望遠鏡があれば、もしくは裸眼視でも、月のクレーターくらいはっきりと見えます……。
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本年もよろしくお願いいたします。