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    「双月千年世界 4;琥珀暁」
    琥珀暁 第5部

    琥珀暁・狐略伝 5

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    神様たちの話、第249話。
    王国の反撃作戦。

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    5.
     30分後、城の大広間に集められた兵士を見て、将軍は苦い顔をした。
    「なんと! 30名もいないではないか!?」
    「申し訳ございません。思った以上に敵の動きが早く……」
    「ま、まあ良い。して、敵の動きは?」
     将軍に尋ねられるが、集まった兵士たちは一様に、首をかしげて返す。
    「それが……」
    「我が軍の者を拘束しては、どこかへと消えるばかりで……」
    「足跡を追おうにも、却って敵の罠にはまるようなものでして」
    「打つ手が無く、やむなく逃げ回るしかありませんでした」
    「ぐぬぬぬ」
     情けない返答に、将軍は顔を真っ赤にして怒鳴る。
    「役立たずどもめ! そんなしょぼくれた顔を並べて、それでもお前ら兵士のつもりかッ!」
    「も、申し訳……」
    「申し訳無い、申し訳無いと、いい加減聞き飽きたわ! 少しは申し訳をしてみたらどうだッ!? まったく、最前線が聞いて呆れるわい! 少しくらい、気骨のある奴はおらんのか!?」
     将軍は兵士たちと、その前でしょんぼりと立ちすくむ城主をにらみつけつつ、状況を整理する。
    「ともかく、このまま城に閉じこもっておっても、形勢が不利になるばかりだ! 早急に、何か手を打たねばならん。
     とは言えだ、そもそも敵が現れては引っ込み、強襲しては隠れるなどと言う卑屈な戦法を取ると言うことは、正面切って戦闘を仕掛ける度量も戦力も持っておらんと言うことだ。であればこちらが頭数を揃え、しらみ潰しに城下町を探れば、容易に撃退し得るだろう」
    「と言うことは……」
    「うむ。わしは部下と共に、帝国西山間部方面軍基地へ向かい、応援を呼ぶ。お前たちは城を守るとともに、農村を周って民兵を集めるのだ」
    「御意」

     将軍とその部下たちはボリショイグロブを抜け、南へと向かおうと試みた。ところが――。
    「なんだ、あれは!? とんでもない数ではないか……!?」
     武装した者が多数たむろし、道を塞いでいたのである。その厳重な封鎖線を目にし、将軍はうなる。
    「ぬぬぬ、考えおったな……。帝国本軍へ応援を要請する者がいるだろうと踏んで、こちらに大人数を割き、封鎖を仕掛けおったのか。なるほど、特に用事が無い限り、本軍がこんな田舎に足を運ぶはずも無し。一方で、王国からの知らせが無い限り、この異変に気付く者もおらん。こうして封鎖してしまえば、その芽を摘めると言うわけだ。
     このわしにしても、今回は半ば叱咤目的で来たわけであるし、大して手勢を率いておらん。……この人数では、あれだけ重厚な封鎖線を突破するのは不可能だ。戻るしかあるまい」
     苦々しい顔で封鎖線をにらみつつ、将軍は踵を返す。だが――。
    「……ぬ、ぬぬぬぬぬぬぅ」
     振り返ったところで、後方からも武装した者が迫っていることに気付く。
    「ほほう」
     と、そのうちの一人、大柄な虎獣人がニヤリと笑う。
    「誰かと思えば、帝国本軍のトブライネン将軍閣下ではないか。2年、いや、3年ぶりであるか」
    「む、む? ……ぬっ!? 貴様、ノルド王国のミェーチ将軍ではないか!」
    「既に流浪の身、もう将軍ではござらん。今はミェーチ軍団団長と名乗っておる。にしてもここで貴様に出くわすとは。大方、ハカラ王国の城主に気合いを入れに来たと言うところか」
    「貴様、わしにそのような尊大な態度を取って、許されると思うか!?」
     顔をしかめる将軍に、ミェーチは肩をすくめて返す。
    「言ったであろう。今の吾輩は帝国に尻尾を振る子飼いの身ではござらん。故に貴様が帝国の威を借りて脅しに来たとて、昔と違って毛ほども疎ましく無い。ところで将軍閣下」
     ミェーチは背後に並んでいた部下たちに、手で合図を送る。
    「こんなところでぼんやり突っ立っていると言うことは、ハカラ王国襲撃を帝国本軍に伝えるつもりで南下しようとしていたな? 当然、そんなことをされては困る。豪族も、我々もな」
    「なんだと!? では貴様、豪族と通じて……」
     将軍が怒鳴り出したその瞬間、彼は頭から布袋を被され、拘束された。
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