黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 4;琥珀暁」
    琥珀暁 第6部

    琥珀暁・内乱伝 5

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    神様たちの話、第298話。
    四者四様、思いは絡んで。

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    5.
    「で、マリアちゃんやけども」
     クーが去ったところで、エリザは残ったマリアに尋ねる。
    「ドコまで計算しとった?」
    「え?」
    「クーちゃんに付いとったくせに、あの娘にメリーちゃんの話いっこもせえへんかったんは、わざとやろ?」
    「あー……、はい。言いませんでした」
     マリアはばつが悪そうな顔をして、素直に白状した。
    「せやろな。アンタはそーゆートコにはよお気が付く娘やし。ほんで、言わへんかった理由は、どうせハンくんの出方を見たいとか、その辺のコトやろ?」
    「はい」
    「どう言うことだ?」
     尋ねたハンに、エリザが答える。
    「アンタが本気でメリーちゃん口説こうとするんやったら、クーちゃんからどんだけののしられようと実行するわな。でもこの1週間、せえへんかったみたいやし――ハンくんが保護しとったんやったら、クーちゃん側がソレ察知してへんワケが無いからな――本気っぽさが無いな、っちゅうコトくらいは読めたワケや。
     その上でマリアちゃんは、この騒動の収め方も図っとったやろ?」
    「はい。あたしの考えとしては、エリザさんが帰って来たら多分、尉官に味方するだろうなーって。そしたら尉官の側が正しいって見られるじゃないですか。その辺りで、あたしがクーちゃんを説得する形で仲直りさせようかなって」
    「ソコでもしアタシがクーちゃんの肩持っとったら、アンタは孤立したハンくんに『メリーちゃんとは本気で付き合いたいと思てへんのやろ』、『素直にクーちゃんに謝ったら許してもらえるで』みたいなコト言って説得する、と」
    「そのつもりでした。……まさか尉官もあたしも、揃ってビンタされるとは思ってませんでしたけど」
    「そらな。仮にアタシがどっちかに付いたら、もう一方がものすごい困るやろ? 少なくとも対等、公平な関係ではなくなってまう。『負い目』がでけた後でお付き合いやなんや言い出したところで、ソレは片っぽがもう一方を縛り付けるだけになるわ。ソレはアンタも望んでへんかったやろ?」
    「そうですね。……エリザさんには敵いませんね、ホントに」
     ぺろっと舌を出したマリアに、エリザは笑みを浮かべつつ、フン、と鼻を鳴らして返した。
    「ま、ともかくや」
     エリザはハンに向き直り、こう尋ねた。
    「もっかい確認するけども、アンタ、メリーちゃんと付き合う気無いやろ? 前にソレっぽいコト言うてたけど」
    「……そうですね。改めて思い返してみれば、そんな気持ちとは、全く違います」
    「周りがやいやい言うてたせいで、『うるさいなー、ほんならコイツと付き合うから』みたいに、意地になってしもたっちゅうワケやな。ま、その点に関してはアタシも謝るわ。ホンマ、グイグイやりすぎてしもたみたいやな。ゴメンなぁ、ハンくん」
    「いえ、そんな……」「ほんでや」
     エリザはテーブルに身を乗り出し、ハンに詰め寄る。
    「アンタがホンマに付き合いたいんは、結局誰やねんな? ソコがはっきりせな、またこう言うしょうもない騒ぎが起こるで」
    「う……」
     苦い顔をするハンに、エリザは畳み掛けた。
    「先に言うとくけどもな、この期に及んでまだ、『誰とも付き合う気はありません』なんて強情張ろうとすなよ? ホンマに最初からそんなつもりやったらそもそも、今回の騒ぎなんか起こらんからな。『メリーと付き合う? んなワケあらへんやないか』であしらったらおしまいなんやからな。その気があるからこんだけこじれたワケやし」
    「しかし、その」
    「ええトシした大人が惚れた腫れたを言い辛いなんてコトあるか? ソレともアレか?」
     エリザはハンの顔をじっと見つめ、こう続けた。
    「『今の今までケンカしとった相手に今更、やっぱり君だったなんて言い辛い』っちゅうコトか?」
    「……!」
     再度、はっとした顔をするハンを見て、エリザはふう、と息を吐いた。
    「アンタはその変なプライド、どうにかでけへんのんか? 今のうちどうにかせな、コレから先もしんどい思いするで?」
    「……猛省します」
     頭を下げるハンに、エリザは肩をすくめる。
    「クーちゃんにも言うたやんか。ゴメンで話をおしまいにせんといてや。コレからアンタが何するんか、言うてくれな。ソレが『話し合い』っちゅうもんやんか」
    「そう……ですね」
     ハンはしばらく顔を伏せ、黙っていたが、やがて意を決したように顔を挙げた。
    「俺は……」

     その瞬間――3人が座っていたテーブルの上に突然、銀髪の男が現れた。
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