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    DETECTIVE WESTERN

    DETECTIVE WESTERN 14 ~ 西の果て、遠い夜明け ~ 4

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    ウエスタン小説、第4話。
    夜明け前の制圧作戦。

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    4.
     未明頃にケープビーチを出発した州軍の艦隊は、明け方直前にはその海域に到達した。
    「あれが目的の島かね?」
     海に浮かぶその影を指差した局長に、ジョン司令がうなずいて返す。
    「ああ、あれがサンドニシウス島だ。俺たちが知ってる限りじゃ漁師が中継地にしてる、直径6~7マイルくらいの無人島、……だったはずだが」
     真っ暗な状況でもはっきりと分かるほどに、その島はコンクリートの防壁で覆い尽くされていた。
    「どう見たって、ありゃ基地だ。砲台まで取り付けてやがる」
    「応戦してくる可能性がある、と? 対策は?」
     尋ねた局長に、ジョン司令はフン、と鼻を鳴らして答えた。
    「あんたが最大限警戒しろって言ったんだろうが。ありったけ持って来てるよ」
     ジョン司令は局長に手招きし、甲板に複数取り付けられた鉄製の円筒を、コンコンと拳で叩いて見せた。
    「最新式の重機関銃だ。ガトリングの倍の威力って話だぜ」
    「ほう」
    「すげえ代物だって聞いたから、大枚はたいてイギリスから取り寄せた。ウチの基地の看板娘みたいなもんさ」
    「うむ、『彼女たち』の働きに期待しよう」
     と、島の各所に明かりが灯る。どうやら相手も州軍の接近に気付いたらしく、瞬く間に慌ただしげな様相を呈した。
    「大佐! 相手勢力、砲台の準備に取り掛かっている模様です!」
     観測手からの報告を受け、ジョン司令は手を振り上げた。
    「敵性対象と断定する! 攻撃用意!」
     艦は島に対して側面を見せる形に舵が切られ、最新鋭の機関銃が一基残らず、島に照準を定めた。
    「撃てーッ!」
     ジョン司令の号令と同時に、機関銃が一斉に火を噴いた。途端にコンクリートの防壁が一瞬で砕け散り、爆発が立て続けに起こる。
    「砲台の火薬に引火したか。あれだけの火柱だ、岸辺のヤツらは全員ブッ飛んだだろう」
    「頼もしい限りだ。だがあくまで我々の目的は組織の拿捕だ。一人残らず虐殺、なんてことは避けてくれると非常に嬉しいがね」
    「ま、何とかならあな」
     話している間に機関銃の一斉掃射が終わり、艦上にはもうもうと白煙が漂っていたが、1分も経たない内に海風で散らされ、すっかり様変わりした島の様子が視認できた。
    「防壁が跡形も無いな。岸辺にも動いてる人間の姿は無さそうだ。よし、船を着けるぞ! 乗り込んで制圧するんだ!」
     ジョン司令の号令を受け、艦隊は一斉に島へと向かい出した。

     どうやら一斉掃射によって相手の戦闘能力はごっそり失われてしまったらしく、上陸しても襲って来る気配は全く無かった。
    「なかなかむごい有様だ。ゲティスバーグ以来かな、これだけの惨状は」
    「同感だ。ちょっとやりすぎたかな……」
     兵士たちによる安全確認が済んだところで、局長たちとジョン司令は港に降り立ち、島の奥を望遠鏡で観察する。
    「流石に最新鋭の重機関銃といえども、防壁を越えて奥までは届かなかったと見える。だが動きが無いな」
    「応戦してくるかと思ったが、どうやら戦意を喪失したらしいな」
     ほどなく、奥にあった建物からぞろぞろと、明らかに丸腰と分かる者たちが現れた。
    「投降するか?」
     兵士たちの呼びかけに素直に応じ、彼らは次々、縄で縛られて拘束された。いかにも順調そうに思えたが――。
    「……やけにあっさりしている」
     局長がそうつぶやき、首をかしげる。
    「何だよ、ジェフ? あんた、ドンパチやりたかったのか?」
    「いや、そうじゃあない。ここは組織の本拠地だ。言い換えれば彼らにとって最後の砦、ここを落とされればもう後が無い、と言う場所のはずだ。であればもっと抵抗しても良さそうなものだが」
     局長は不安そうな様子を見せ、拘束した者たちに声をかけた。
    「君たちは大閣下の組織の者で間違い無いかね?」
    「ああ」
    「大閣下はどうしている? ここにいるんだろう?」
    「……」
     答えない手下に、局長は淡々と質問し直した。
    「答えたまえ。もう隠し立てする意味は無かろう?」
    「……分からない」
    「なんだって?」
     相手の返答に面食らった顔を見せ、局長は尋ね返した。
    「分からないなんてことは無いだろう? この7マイル足らずの島にいる最重要人物を知らないと言うのかね?」
    「大閣下は……」
     手下は海の方に目をやり、こう続けた。
    「あんたたちがやって来る直前に幹部2、3人を連れて突然、島を出て行った。どこへ行ったか、多分、誰も知らない」
    「……!」
     局長は目を見開き、黙り込んでしまった。
    「ジェフ、まさか……!?」
     尋ねたリロイに、局長は小さくうなずく。
    「この期に及んで、……私は大閣下を、ジャン=ジャック・ノワール・シャタリーヌと言う男を、甘く見ていたらしい。 何故だ!? 何故、奴は我々の行動を……!?
     教えてくれ、エミル! 一体奴はどんな方法を使って、我々から逃げおおせることができたんだ!? ……うん?」
     局長は顔を挙げ、辺りを見回す。
    「エミルはどこだ?」
    「え?」
     言われてリロイも、他の局員たちも辺りを見回し――そこにエミル、アデル、そしてロバートの姿が無いことに、ようやく気が付いた。
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