「双月千年世界 5;緑綺星」
緑綺星 第1部
緑綺星・密薬譚 5
シュウの話、第18話。
メイスンリポート#37;あやしぃ企業リストのご紹介第2弾です!
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5.
マドック警部とクルトは手紙の内容を信じ、クレメント製薬の工場に向かっていた。
「ふあ、ああ……眠み」
「さっきコーヒー飲んだじゃねえか。ま、俺もさっきから欠伸噛み殺してるがよ」
「これで何もなしのイタズラだったら、やってられないっスね」
「そうならないことを祈るしかないな」
車を走らせ、二人は朝4時45分に工場裏の路地に到着した。
「確かに誰かいるみたいっスね。黒いバンがありますよ」
「裏口にベタ付けか。車種は……あれなんだ?」
「ミナト自動車の『ワークエース』ですね。央南のメーカーのやつです。商用車カテゴリーの、かなり安いやつですよ」
「ふーん……。っと、横に何か書いてあるな」
二人して目をこらし、車体側面のロゴを読む。
「リンドンスタッフサービス……人材派遣会社っぽいな」
「昼間なら特別発注に間に合わすための臨時アルバイトって気もしますが、こんな朝早くにって言うのが気になりますね。ソレに確か……」
クルトはスマホを取り出し、アプリを立ち上げる。
「メイスンってクラウダーが前に、ネオクラウンのフロント企業一覧みたいなのを紹介してたんですが……」
「くら……なんだって?」
「クラウダーですよ。『ビデオクラウド』って言う動画配信サイトがあって、ソコで人気の動画配信者のコトを、『クラウダー』って言うんです。で、メイスンって人が……あ、これっス」
クルトは動画を再生し、マドック警部に見せる。
《こんにちは、シュウ・メイスンですー。今回も社会のヤバーい真実を、明らかにしていっちゃいたいと思いますー》
「バカそうな話し方のねーちゃんだな」
「一応大卒らしいですけどね」
《コレからご紹介するのはゴールドコースト市国に本拠を置く企業さんたちですが、わたし独自の取材と分析により、とんでもないコトが判明しました。すべてガチのブラック組織、ブッちぎりのアウトロー経営、ぶっちゃけてしまうと暴力団系のフロント企業さんたちなんですー》
これを聞いて警部の狼耳がぴん、と毛羽立つ。
「バカそうっつったが、こいつ、マジのバカなのか? 話の真偽はともかく、マフィアの舎弟企業をネットで晒すなんざ、襲って下さいって言ってるようなもんじゃねえか」
「うわさじゃ襲われたらしいですよ、マジで。ほら、こないだのシティファーストホテルの襲撃事件、あれってそのホテルに泊まってたメイスンを狙ったものらしいですから。最近また新しい動画アップしてたんで、生きてはいるみたいですけどね」
「ってコトはこの動画の内容がマジだったってことか。ウデだけは確からしいな、このねーちゃん」
と、その画面の中のシュウが、まさに今、二人が目にしたロゴを読み上げる。
《そしてこのリンドンスタッフサービスさんですが、高収入とか要望に合ったお仕事探しとか宣伝してますけど、全部ウソです。どんな希望を伝えても、結局連れてかれるのは時給120エル(約250コノン)の、違法スレスレのグレーな工場勤務か風俗業です。市国でアルバイト探したいなーって人は、絶対この業者さんからの募集に乗っちゃダメですよー》
「……このねーちゃんの情報が確かなら、あのバンは真っ黒ってことだな。車体が既に真っ黒だが」
と、裏口からぞろぞろと人が現れ、二人は顔をこわばらせた。
「出てきましたね」
「大半がいかにもアルバイトって感じのやつらだが、一番後に出て来たあの3人は、雰囲気が違うな。間違いなく裏稼業の人間だろう」
「職質しますか?」
「いや、分が悪い。あのアルバイト連中を除いても、相手は3人だ。2対3じゃ、強硬手段に出られたら返り討ちされる危険がある。ここは尾行だな」
「うっス」
荷物と人を積み込み終え、2台のバンは工場を後にする。警部たちも車を発進させ、後を追った。
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マドック警部とクルトは手紙の内容を信じ、クレメント製薬の工場に向かっていた。
「ふあ、ああ……眠み」
「さっきコーヒー飲んだじゃねえか。ま、俺もさっきから欠伸噛み殺してるがよ」
「これで何もなしのイタズラだったら、やってられないっスね」
「そうならないことを祈るしかないな」
車を走らせ、二人は朝4時45分に工場裏の路地に到着した。
「確かに誰かいるみたいっスね。黒いバンがありますよ」
「裏口にベタ付けか。車種は……あれなんだ?」
「ミナト自動車の『ワークエース』ですね。央南のメーカーのやつです。商用車カテゴリーの、かなり安いやつですよ」
「ふーん……。っと、横に何か書いてあるな」
二人して目をこらし、車体側面のロゴを読む。
「リンドンスタッフサービス……人材派遣会社っぽいな」
「昼間なら特別発注に間に合わすための臨時アルバイトって気もしますが、こんな朝早くにって言うのが気になりますね。ソレに確か……」
クルトはスマホを取り出し、アプリを立ち上げる。
「メイスンってクラウダーが前に、ネオクラウンのフロント企業一覧みたいなのを紹介してたんですが……」
「くら……なんだって?」
「クラウダーですよ。『ビデオクラウド』って言う動画配信サイトがあって、ソコで人気の動画配信者のコトを、『クラウダー』って言うんです。で、メイスンって人が……あ、これっス」
クルトは動画を再生し、マドック警部に見せる。
《こんにちは、シュウ・メイスンですー。今回も社会のヤバーい真実を、明らかにしていっちゃいたいと思いますー》
「バカそうな話し方のねーちゃんだな」
「一応大卒らしいですけどね」
《コレからご紹介するのはゴールドコースト市国に本拠を置く企業さんたちですが、わたし独自の取材と分析により、とんでもないコトが判明しました。すべてガチのブラック組織、ブッちぎりのアウトロー経営、ぶっちゃけてしまうと暴力団系のフロント企業さんたちなんですー》
これを聞いて警部の狼耳がぴん、と毛羽立つ。
「バカそうっつったが、こいつ、マジのバカなのか? 話の真偽はともかく、マフィアの舎弟企業をネットで晒すなんざ、襲って下さいって言ってるようなもんじゃねえか」
「うわさじゃ襲われたらしいですよ、マジで。ほら、こないだのシティファーストホテルの襲撃事件、あれってそのホテルに泊まってたメイスンを狙ったものらしいですから。最近また新しい動画アップしてたんで、生きてはいるみたいですけどね」
「ってコトはこの動画の内容がマジだったってことか。ウデだけは確からしいな、このねーちゃん」
と、その画面の中のシュウが、まさに今、二人が目にしたロゴを読み上げる。
《そしてこのリンドンスタッフサービスさんですが、高収入とか要望に合ったお仕事探しとか宣伝してますけど、全部ウソです。どんな希望を伝えても、結局連れてかれるのは時給120エル(約250コノン)の、違法スレスレのグレーな工場勤務か風俗業です。市国でアルバイト探したいなーって人は、絶対この業者さんからの募集に乗っちゃダメですよー》
「……このねーちゃんの情報が確かなら、あのバンは真っ黒ってことだな。車体が既に真っ黒だが」
と、裏口からぞろぞろと人が現れ、二人は顔をこわばらせた。
「出てきましたね」
「大半がいかにもアルバイトって感じのやつらだが、一番後に出て来たあの3人は、雰囲気が違うな。間違いなく裏稼業の人間だろう」
「職質しますか?」
「いや、分が悪い。あのアルバイト連中を除いても、相手は3人だ。2対3じゃ、強硬手段に出られたら返り討ちされる危険がある。ここは尾行だな」
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